夫婦で街頭に立って折伏

―欧州広布の未来 私たちの実践で―
(『大白法』H24.12.16)

 ベルギー王国の首都ブリュッセルはEU(欧州連合)の主要機関が多くあることから、EUの首都とも言われている。
 同国の法華講員はフランス信行寺に所属している。今回は首都ブリュッセル郊外に在住し、二人三脚で自行化他の信心に励んでいる、伊藤正・マリエ夫妻に話を伺った。
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まずは入信の動機、脱会の経緯について教えていただけますか。
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〈伊藤正〉12歳の時、私は母を病気で失い、看病に来てくれていた学会員の叔母に折伏され入信しました。3年前にフランス信行寺の法華講員となるまでは、12歳から始めた信心を2年後に止め、25歳で再び始めた信心も6年ほどで止めています。25歳からは、ロンドン滞在中に結婚したベルギー人の妻と一緒に信心を始めました。妻はカトリックの環境で育ったにもかかわらず、仏教で説かれる三世に亘る生命観が正しいと、いつも思っていたようです。その後、日本へ帰国した際に妻は御授戒を受けました。
 8年間は勤行を欠かさず行っていましたが、多くの学会員の言動に疑問と不信感を抱きました。子供の頃、何度も「学会が天下を取る」と聞かされ、強い違和感を持ったことを思い出します。
 ロンドンで信心していて、子供の頃に経験したものと表面的には違うように思えましたが、相変わらず「南無妙法蓮華経は宇笛のリズム」と説明していました。これは、真理を無視したキャッチフレーズで、これに類する言葉が飛び交っているのが学会の会合でした。こういった様々なことに疑問を抱き、1985(昭和60)年から完全に組織から離れました。
 私たちは学会が日蓮正宗から破門された事を2009(平成21)年まで全く知りませんでした。すぐに信行寺に直行し、御住職にお目にかかりました。御住職に「新しい人生だと思って信心に励んでください」と温かく迎えていただいて、法華講員として信心を始めることになりました。
 法華講員となって以来、新しい世界に住んでいるみたいだと妻は言います。私も同感です。

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ベルギーでの活動はどのようにされているのか、教えてください。
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〈伊藤マリエ〉今までは人数が少なかったこともあり、御住職の家庭訪問と、特に御報恩御講参詣を中心とした信行寺への参詣が主たる活動でした。信行寺へは車で4時間弱かかります。冬場は雪のため参詣できないこともあります。
 しかし今、法華講員が倍増したこともあり、今後は御住職に御指導をいただきながら定期的に集まって活動していきたいと計画しています。

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街頭で折伏をされていると聞いていますが、どのようにされているのでしょうか。
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〈伊藤正〉日常生活での知人には限りがありますし、ベルギーでは仏教を全く知らない人々ばかりですので、なるべく多くの人に大聖人様の教えを伝えたいと思いました。
 ベルギーには大学を中心として発展した町がいくつもあります。それらの町の大学近くの街頭で折伏します。「仏教の修行と教えに興味のある方とお話したいことがあります」と書いたパネルを置き、相手が自主的に話かけてくるのを待つんです。話せたら必ず、海外部から発行されている書籍から日蓮正宗の教義、例えば「十界について」とか「依正不二」とかを抜粋して、コピーし、渡しています。
 街頭での折伏は1回だいたい4時間で、2、3人と話ができます。興味を持った人が後日私たちの自宅まで来てくれたこともありました。残念ながら入信者はまだいませんが、これからも続けていきます。

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難しい点や気をつけている点はありますか。
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〈伊藤正〉特に難しいとは感じていません。街頭で質問してくるのは青年層が圧倒的に多いです。しかも初対面で、お互いのことを知りませんから、相手はこちらが話し始めるのを待っています。ですから自然と対話になるように心がけています。また、仏教を精神修養程度に思っている人がほとんどですので、三世の生命観等を話し、視野を広げてもらうようにしています。

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最後に今後の決意をお話ください。
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〈伊藤マリエ〉先日の御会式で御住職・中野道賢御尊師より、「信行寺に直接訪問してこられた1家族4名が勧誡及び御授戒を受けられました」とのお話がありました。予期しなかったことで、驚くと共に嬉しく感じました。その時に御住職から、「伊藤さんが大聖人様のお使いをしようと心を固めて街頭に立ち、道行く人に御本尊様のことをお伝えしている実践がこのような結果を生んだのだと思います」と激励いただき、さらに折伏への決意を強くすることができました。
〈伊藤正〉私たちは、大聖人様の仏法がヨーロッパで弘まっていくことは当然であると感じ、未来の人が「日蓮大聖人の仏法がヨーロッパで広宣流布した」と歴史に記録するであろうと信じています。しかし、御法主日如上人猊下が常々御指南されますように、私たちが実践・行動をしていかなければ実現はできません。未来への責任を負うのは、今信仰している私たちです。
 ベルギーをはじめ欧州には、仏法を知らない人たちがたくさんいます。これらの人々へ常に折伏しようと決意しています。