寺院建立めざして御本尊の功徳伝える
―妙法の声絶えない国土へ―
(『大白法』H26.6.16)
近年、広布の躍動目覚ましいインド。2012(平成24)年には、インド最大の都市・ムンバイに事務所が開設され、これを機にさらに弾みがつき、新入信者が功徳の実証をもとに新たに折伏を行うなど、勢いある布教が続いている。
今回お話を伺ったプラカシ・イドナニさんには、事務所が開設される1年半前に、その当時のムンバイでの布教の様子を伺ったが(『大白法』815号)、今回は、待望久しかった事務所の開設を経て、その後の活動の様子などを中心にお話を伺った。
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入信間もない頃に貫重な体験をされたそうですね。
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〈プラカシ〉私は1981(昭和56)年の初めての登山の前に、東京の大願寺で御授戒を受けて、御本尊様を御下付戴きました。そして、初めての登山を終えて戻ってから、不思議な体験をしました。ふだん、私はスクーターに乗ってムンバイ郊外の工場に働きに行っていました。ある日、夜遅くに高速道路を走行して帰宅途中、突如、前方から車が猛スピードで突つ込んできて正面衝突し、10メートル近く飛ばされました。ヘルメットを被(かぶ)っていませんでした。しばらく意識を失っていましたが、気付くと私が落下したのは、不思議なことに道路脇の柔らかな草の上でした。わずかな打撲と擦(す)り傷で済んでいました。最悪の結果もあり得た事故から守られたのは、生死を超える御本尊様の御力であると感じ、無意識に御題目を唱えていました。
以来、私は御本尊様に新しい命を戴いたのだと感じて、信心を持(たも)ってきました。
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インド人の仏教認識、また、その中での布教についてはいかがですか?
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〈プラカシ〉前回お話したことと重複するかも知れませんが、ほとんどの人が、仏教とは釈尊の教えと認識しています。中には仏教の発祥はインドというこだわりを持つ人もいますが、本因妙の仏と本果妙の仏の説明をすれば、理解してもらうことは難しくありません。
それより、多くの人々は問題を抱え困難に直面しています。皆、その苦しみの緩和、問題の根本的な解決を望んでいます。ですから、御題目を教えると、自ずと真剣に唱えます。
この人々に日蓮正宗の信心を教え、実践して御本尊様の功徳を実感してもらえば、折伏は自然と成就していきます。また、その人が次の人にその功徳を分かち、折伏の輪が広がっています。
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インドに事務所ができてからの活動の様子や、今後の課題を教えてください。
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〈プラカシ〉御法主日如上人猊下の御慈悲のもと、2012(平成24)年11月、ムンバイに事務所が開設され、御本尊様が御安置されたことは、私たちにとっても、インド広布においても、大きな転機となりました。
この事務所の開設に先立ち、インドにおける法人登録を行い、私は、法人の許可から登録に関わる事務に携(たずさ)わらせていただきました。その過程で、なかなか思うように物事が進まない一面もありましたが、最終的には事故や遅滞もなく無事に登録が済みました。
私たちは、御法主上人猊下への感謝を忘れることはありません。
開所以釆、信心の後退がありません。毎朝、毎晩、近隣の信徒が事務所の御本尊様にお給仕を申し上げて勤行・唱題を行っています。週末には大勢の信徒が集まって、毎週海外部から送られてくる教材をもとに勉強会を開き、信心を深め、大聖人様の仏法を勉強しています。
信徒は事務所で勤行・唱題することを何よりも大事にしています。私自身も、毎日の勤行・唱題の修行を通じて信心を磨き、生命を清められています。
ただインドからの登山は容易ではありません。日本までの距離がある上に、パスポートの取得、査証の取得、滞在・交通費の工面と、かなりの費用もかかります。まず登山の決意をして、貯金を何年もして、ようやく実現できます。
私の場合、最近では2011年に日本へ仕事で行く機会があり、その際、幸いにも登山できましたが、全員が同じように登山できるという訳ではありません。
皆が1ヵ月でも1日でも、1時間でも早く本門戒壇の大御本尊様にお目通りできるように、切に祈っています。それぞれが信心に励んで境界を高めて登山し、歓喜を分かち合えることを願って止みません。
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今後の目標を教えてください。
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〈プラカシ〉事務所は私たちにとってかけがえのない拠り所であると感じています。そして私たちの次の目標は、日蓮正宗の信心を正しく教わる環境です。正しい御指導をいただける御僧侶の常駐です。そうすればもっと信徒間に堅固な結束ができ、インドで縦横に、この仏法を弘めることができると確信しています。
将来においては寺院建立です。その後さらに複数の寺院がインドの国土に建立され、この信心が次の世代に相続されることです。
また、いつの日か、御法主上人猊下にインドに御尊体をお運びいただき、仏法西漸(せいぜん)の実証・正法流布の礎(いしずえ)を確固たるものに、という夢もあります。
最後に、日本の法華講へのお願いです。今、多くのインド人が日本に行っています。ほとんどの人が仕事での訪日です。もし日本でインド人を見かけたら、できるだけ信心の話をしていただきたいと思います。その方々がインドに戻って来てからは、我々で折伏いたします。まずは、日本で日蓮正宗に触れたならば、インドに戻ってから、きっとその縁で入信でき、折伏は進むと信じます。
明年の2015(平成27)年、そして2021(平成33)年に向けて、御法主上人猊下の御指南を根本に折伏を展開し、1人でも多くのインド人が総本山へ登山参詣でき、妙法の声が絶えない国土になるよう、信心修行に精進していく決意です。