毎年2回の出張御授戒に着実な発展

―大切なのは異体同心 築いた和―
(『大白法』H23.8.16)

 ペルーといえば、かつて南米の広域を統治していたインカ帝国の中心地であり、今なお当時の面影が色濃く残る歴史ある国である。現在はスペインによる植民地支配の影響で、カトリックをはじめとするキリスト教系の信仰が盛んな地域となっている。
 今回は、ペルー共和国で中心者として尽力しているホルヘ・ビジェガスさんにお話を伺った。
 ホルヘさんは、創価学会が破門されて以降、初めて日蓮正宗と連絡を取ったぺルー人であり、それがきっかけで後に多くの人々が脱会し、日蓮正宗に再び所属することが叶った。
◇◇◇
************************************************************ 自己紹介を兼ねて、入信したきっかけを聞かせてください。
------------------------------------------------------------
〈ホルヘ〉私はホルヘ・ビジェガといいます。ペルーのリマ市出身の57歳で、現在は妻と2人の子供と生活しています。
 私が幼少の頃、父は家庭を顧みず仕事に没頭し、母は精神を病んで薬漬け、3人の兄はそれぞれ友人と遊び回る毎日でした。家庭の経済状況は非常に苦しく、そのような暗い家庭環境の中、私は独り自分の殻に閉じ込もり勉強に没頭していました。
 そんなある日、父と1番年上の兄が日蓮正宗の会合に誘われて参加しました。驚いたことに2人は、嬉しそうに、感動した様子で帰ってきました。2人が目(ま)の当たりにしたことを無邪気に話したその日の家族全員での夕食は、それまでが嘘であったかのように和やかな雰囲気だったことを今でも覚えています。
 その後1ヵ月が過ぎて、父は御本尊様を御下付戴き、未入信だった私も家族と共に勤行・唱題を行うようになりました。それからというもの、我が家は激変しました。父は私たちと共に過ごすようになり、母は健康を取り戻し、家族間の会話が戻りました。また経済的にもよくなりました。
 これらの現証を見て、私は仏教徒となることを決意したのです。

************************************************************ ホルヘさんは創価学会との問題が起こって以降、ペルー人として初めて日蓮正宗と連絡をとった方だと聞きました。その時の経緯を聞かせください。
------------------------------------------------------------
〈ホルヘ〉ちょうど1991(平成3)年、私は日本の広島県で仕事をしていました。創価学会の会館に行くと、詳しい説明もないままいきなり御法主上人猊下に対する中傷だけを聞かされ、私は何が起こっているのかわけが判らなくなりました。そこで、とにかく総本山へ向かいました。
 やっとの思いでたどり着くと、総本山を警備していた法華講員の方が、創価学会が起こしている問題について説明してくださり、広島のお寺を紹介してくださいました。そのお陰でペルーに帰国するまでの間、広島の順正寺で信仰を続けることができたのです。
 1994年、順正寺の支部総登山で登山させていただいた折、御住職・森茂道春御尊師が、ちょうど第1回海外信徒総登山で来日されていたブラジル在駐の井尻執道御尊師と連絡を取ってくださり、初めて南米在駐の御僧侶に縁することができました。
 ペルーにいた私の親兄弟は、創価学会からの一方的な情報を鵜呑みにするしかない状態に置かれていました。私はペルーに帰国するや、日本にいて初めて知った真実を、家族や知り合いの学会員に明かしました。
 そして1996年に再び井尻御尊師と連絡を取り、多くの学会員に折伏をして、少しずつメンバーの数が増えていき、1999年には、念願の日蓮正宗の宗教法人を設立することが叶ったのです。

************************************************************ その後、ホルヘさんは信徒グループの中心者の1人として、ペルー共和国における広布への再出発に貢献されてきました。再出発から現在に至るまでペルーの日蓮正宗はどのように発展してきましたか。
------------------------------------------------------------
〈ホルヘ〉1997年に最初の脱会者がありました。その後、活動は国内の2ヵ所で座談会を行うところから始まりました。
 1999年に法人が認可された折には、御僧侶にお越しいただいて初めて法要が行われ、実に85名の人が御授戒・勧誡を受けることができました。
 それ以降、年に2回、御僧侶がペルーに出張してくださり、着実な発展を遂げています。

************************************************************ 2015年の御命題である信徒数50パーセント増を達成するために、どのような活動を心がけていますか。
------------------------------------------------------------
〈ホルヘ〉私たちは1人ひとりが強いエゴを持っており、「自分が考えていること、行っていることは正しい」と考えがちです。そのような私たちが持っている性分を変革することが大切だと思います。
 50パーセント増を達成していくには、自己中心的な考え方ではなく、初心に立ち返って御本尊様、御法主日如上人貌下の御心に異体同心していくことが大切であると考えます。具体的な活動を挙げればきりがありませんが、そのようにして築き上げた「和」をもとに、折伏・育成・座談会等の活動を着実に実践していくことが基本であると思います。
 ともあれ、1日も早く常駐の御僧侶をお招きできる布教の拠点を築き、信徒が一堂に会して、常に信仰や布教活動に関して誤りがあれば正していただき、御指導いただける状況を整えられるよう、精進していきます。


▲アルゼンチン布教所責任者のもとペルーで行われた座談会