いつも新来者、新入信者、参詣者の笑顔
―開所21年"欧州広布の一翼"誓い―
―スペイン・テネリフェ出張所―
(『大白法』H26.9.16)
欧州初の寺院であるスペイン妙昌寺は、首都マドリードに1993(平成5)年12月5日に建立され、所属信徒はマドリード近郊ばかりか、6百キロメートル以上離れたバルセロナをはじめ国内の多くの地域で正法広布の活動を展開している。さらに、マドリードから約2千キロ離れたカナリア諸島テネリフェロに、出張所はある。このカナリア諸島から、毎月のように3時間弱の飛行便を利用して御報恩御講に参詣している信徒も多数いる。
今回はこのテネリフェで、21年間の長きにわたって家族一丸となって出張所をお護りしてきた、妙昌寺支部副講頭のラウール・モラ氏にお話を伺った。
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自己紹介をお願いします。
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〈ラウール〉私は、ラウール・モラ・デル・カスティージョと申します。スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島に在住し、妙昌寺支部の副講頭として信心活動を行っています。16歳から自動車の販売会社に勤務して現在に至り、家族は妻と3人の子供の5人家族です。
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初めに、日蓮正宗の信仰に出会った経緯をお話いただけますか。
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〈ラウール〉はい。1986(昭和61)年当時にパリに住んでいた私は、同じくパリに庄んでいた妻の姉から折伏を受けました。妻が先にこの信仰を始め、次いで私も、パリで妻と共に御題目を唱え始めました。
出身地のテネリフェ島に戻ったのを機に、本格的に信心活動を始めました。すぐにマドリードの野口信之氏(現妙昌寺総代)にもお会いでき、翌1987年5月に、ロンドンで御授戒を受け、御本尊様を御下付戴きました。
テネリフェ出張所開所の後は、出張所の管理のために家族で出張所に引っ越し、現在までその任に就いています。
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その後、どのようにして信仰を深めてきたのですか。
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〈ラウール〉この信仰に巡り合うまでは、人生の本当の意味を見出すことができずにいました。哲学や政治にその拠り所を求めましたが、納得のいく答えを見つけられずにいました。
しかし信心を始めてからは、仏法で説く因果の教えにより、すべてのことに何らかの意味があり、苦難や逆境も然るべき現象として起きていることを知りました。貪るように教学に関する教材を求め、先輩に資料のコピーをいただいたこともありました。そうして、仏様の智慧と慈悲は計り知れないものであるということを、少しずつ感じられるようになりました。
有り難くも特別御形木御本尊様を御下付戴いてからは、少しでも御恩に報いていけるよう、さらに精進しています。
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初めて登山したのは、いつ頃ですか。
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〈ラウール〉私と妻の初めての登山は1988(昭和63)年の御大会でした。多くの日蓮正宗の御僧侶と接することができた、たいへん貴重な機会でした。この頃の欧州では、在家の幹部のもとで活動していましたので、総本山で拝見した多くの御僧侶の姿、特にひたむきに修行されている若いお所化さんの姿は、とても新鮮に映り、感動しました。
またその登山の際、品川の妙光寺において、尾林前海外部長の御導師で私たちの結婚式を執り行っていただいたことは、忘れられない思い出となっています。
この初めての登山の感動的で貴重な経験のお陰で、SGI(創価学会インタナショナル)の問題が発生したときには、迷わず脱会できました。
昨年の御影堂大改修落慶記念法要にも夫婦で登山させていただき、御影堂の荘厳さと大御本尊様の無限の大慈悲を感じられましたことは、この上ない喜びの体験でした。
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日々の信仰活動についてお話ください。
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〈ラウール〉基本的にマドリードの妙昌寺の活動に準じて活動を行っています。出張所はお寺から約2千キロ離れているので、御住職の御指導を直接聞ける機会はあまり多くありません。ですから、御法主上人猊下の広布唱題会の砌の御指南と御住職の御報恩御講の法話を皆で拝読します。さらに、折伏座談会、登山指導会、折伏誓願唱題会、青年部の会合、毎週の教学勉強会などを積極的に開催しています。
現在、カナリア諸島の法華講員の折伏と会合への参加が非常に増えていて、皆から広布への情熱をひしひしと感じます。実際に、広布唱題会には毎回百名を超す信徒が集まり、御住職訪問時には150名を超す信徒が必ず集まります。いつも多くの新入信者と未入信の新来者の笑顔あふれる、すばらしい会合となっています。
カナリア諸島では今年、7月末までに計4回御住職にご来訪いただき、46名の折伏が成就しました。
この、会合参加者の顕著な増加と折伏の勢いの理由は、御授戒を受けた新入信者に声をかけて、できるだけ一緒に会合に参加していることにあると思います。
それにより、新入信者が歓喜をもって、直ちに他の方々へ折伏を実践できているためと思われます。
お寺から飛行機で3時間弱の距離があるカナリア諸島の信徒にとって、マドリードにある妙昌寺に参詣するのはたいへんなことです。御住職はお忙しい中、年に5回、カナリア諸島に訪問くださいます。私たちはさらに努力をして、妙昌寺にでき得る限り参詣して僧俗和合の活動を展開していきます。
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21年間、出張所を管理されて思うことをお話いただけますか。
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〈ラウール〉開所当初は、決まった行事や時間帯はなく、必要に応じて会合を計画していました。私たちの子供も生まれたばかりで、家庭生活と会合との兼ね合いでたいへんなこともありましたが、現在は多くの責任ある信徒が交代制でお給仕や清掃をし、共に出張所を護ってくれています。また、毎日の活動の時間帯も決まっています。
毎日、朝晩の勤行の導師をできたことは、すばらしい体験でした。この21年間、出張所を護ることができたことは、本当に私たちの幸せであり、そのお陰でたくさん功徳を積ませていただいたことを感謝しています。
出張所に住んでいても、私は僧侶ではなく在家信徒ですので、メンバーから信心や教学についていろいろ聞かれても答えられずたいへんだったことも多々ありました。
また、かつて1993(平成5)年に尾林前海外部長が来島された際、何者かの妨害によってホテルに宿泊できなくなり、出張所にご宿泊いただいたことは、今でも鮮明に覚えている思い出の1つです。
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最後に、今後の目標をお話ください。
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〈ラウール〉今後も信行学を深め、慈悲の心をもって1人でも多くの方々に日蓮大聖人様の仏法を伝え弘め、広宣流布のために邁進していきます。未だ多くの人が仏法に対して頑なに心を閉ざしています。そのような人たちの心を開かせ、本当の幸せの道を歩むことができるよう、仏様のお使いとしてご奉公していきたいと思います。そして、できるだけ多くの人が出張所やお寺に参詣できるように、育成にも尽力します。
将来、常駐御僧侶をテネリフェにお迎えする日を夢見て、宗祖日蓮大聖人御聖誕8百年記念までにテネリフェ島で磐石な法華講組織を築けるように精進します。それがスペイン、そして欧州広布の大きな前進になると信じています。