公用語は4言語数ヵ国語が飛び交う座談会
―スイス広布の人材育成に尽力―
(『大白法』H23.1.16)
標高4千メートル級のアルプスに抱かれ、花が香り風が歌い、山が語るスイス。国の面積は九州と同等だが、フランス・ドイツ・イタリア・オーストリアと国境を接し、混成民族であることから、公用語は4言語にも及ぶ。
今回はスイス広布の草創期から情熱と歓喜をもって日々正法広布に励んでいるミチコ・アーノルドさんにお話を伺った。
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自己紹介と入信動機を聞かせてください。
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〈アーノルド〉スイス人との婚姻を理由にこちらに永住して、35年以上の歳月が流れました。
私が来た当時、スイスの日蓮正宗信徒はチューリッヒに1名、ジュネーブに6、7名と、ベルンに滞在する私のみと、ほんのわずかであったと記憶しています。
スイスの首都ベルンでは、私が一粒種としてスタートを切りました。それを知らされた時の感動と衝撃とスイス広布への使命の深さに身震いしたことが、つい先日のことのように思い出されます。
私の実家は昔から真言や念仏を信仰していました。日蓮正宗に最初に入信したのは母でした。昭和29年のことです。母の一念が叶い、3年後には父を除いた家族全員(曽祖母、祖父母、兄、自分)が入信しました。
20数年間信心に反対していた父も、私の結婚式当日の朝、私の夫となるスイス人と共に実家のある土佐市の大信寺で御授戒を受けることができました。私と母の悲願が叶った瞬間でした。このことは、今となっては亡き父からの最高のプレゼントでした。
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スイスの公用語は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4ヵ国語だそうですが、座談会の時は何語で行っていますか?
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〈アーノルド〉私の住んでいる地域はドイツ語圏なので基本的にはドイツ語が中心です。ドイツ語があまり理解できないメンバーや新来者がいるときは、相手の言語を熟知したメンバーが通訳を行うこともありますし、皆で助け合って少しでも大聖人様の教えを理解してもらおうと必死になり、数ヵ国語が飛び交うこともしばしばあります。
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文化、風習、環境など様々な点で日本とは違いのあるスイスにおいて、折伏をする際に心がけている点を教えてください。
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〈アーノルド〉今から40年前にスイス人男性と日本で初めて出会ったとき、「言葉は通じなくとも人情は通じる」との母の言葉が真実を物語っているように思いました。折伏は最高の菩薩行であり、相手の幸せを心から願って唱えた御題目の響きが相手に通じないわけがありません。そこには言語、民族、文化、思考の相違などは関係ありません。それは人間対人間の命の対話だからです。これが折伏の基本だと思っています。
その他に、折伏が成就するまでのプロセスの中で、その都度、お国柄や国民性を考慮しながら進行させる応用知識が、ある程度必要になることもあります。確固としたアイデンティティーを持った個の確立をめざす国民性だけに、常に聞く耳を持って相手が何を求めているかをキャッチすることが大切だと思います。
またスイスの人たちは討論好きですから、理念に沿って筋道を立てた話し方もとても重要になってきます。
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現在の活動状況を教えてください。
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〈アーノルド〉1992(平成4)年、SGIスイス(スイス創価学会インタナショナル)は2支部、2地区の体制でした。当時私は地区部長の役職を持ち布教活動をしていましたが、池田大作に対する不信感は膨らむ一方で、ついに3名の同志と共に脱会しました。学会ではスイスで初めて脱会者が出たとあって非難ごうごうでしたが、こうして真のスイス広宣流布へのスタートを切ることができました。
現在、まだ私たちは小さなグループでしかありませんが、御法主日如上人猊下の御指南を拝し、毎年折伏が成就しています。自宅を開放して毎月の広布唱題会と、座談会を定期的に開催しています。
個人的には、時間の許す限りメンバー宅を家庭訪問し、共に勤行を行い異体同心の精神を育むことを心がけ、また、折伏実践の激励を行っています。
何としても2015年・日興上人御生誕770年までには御法主上人猊下の御命題である法華講員50パーセント増を達成すべく努力していきます。
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今後の決意を聞かせてください。
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〈アーノルド〉それはやはり何と言っても、スイス法華講員の増加と、日蓮正宗が宗教法人の認可を得てお寺が建てられ、御僧侶に常駐していただけるように精進することです。
信心に定年はありませんが、私も次世代の広布の人材を発掘し、育てていかなくてはならない年齢に達しています。スイスに永住して以来、自分の意思以外のところでもスイス広布への大きな使命があることを常に感じて今日まで生きてきましたが、1人でがんばってもできるものではありません。
しかし、人それぞれ自分にしかできない使命があると思いますので、各自がその使命を全うすることによって、逞(たくま)しいスイス広布の人材が大勢輩出することを信じ、御命題にお応えしてまいる決意です。
▲定期的に開催している座談会で