秘密保護法成立に走る「公明」(上)

―利かぬ「ブレーキ役」「反対意見聞く」はずが修正協議で「慎重」から一変―
(「こちら特報部」『東京新聞』H25.11.20)

 罪深きは公明党だ。希代の悪法たる特定秘密保護法案の成立に一直線とあっては、「安倍政権のブレーキ役」が聞いてあきれる。(中略)支持母体の創価学会も、秘密法案とダブる戦前の治安維持法違反の罪で初代会長が投獄され、獄死した過去を忘れたのか。安倍タカ派路線の補完勢力に成り下がった公明党を指弾する。(荒井六貴、篠ケ瀬祐司)
 「歓迎すべきだ」。公明党の山口那津男代表は19日の記者会見で、秘密法案の修正協議をめぐる与党とみんなの党の合意を評価して見せた。
 公明が、野党との修正協議に熱心なのは、秘密法案に批判的な世論をかわすのが狙いだ。みんなの党関係者は「修正協議をリードしているのは公明だ」と明言する。
 公明は当初、政府案に慎重姿勢かのように装っていた。
 山口代表は9月19日の記者会見で「知る権利、取材、報道の自由など、基本的人権との関わりは極めて重要だ」と強調。その上で「法律的な議論のみならず、報道関係や弁護士会など各界の意見を聞きながら、是非を検討すべきだ」と語っていた。
 日本弁護士連合会は、法案反対の急先鋒だ。「弁護士会の意見」を聞いたのであれば、公明も同様に反対を貫けたはずだが、そうはならなかった。
 政府・自民との修正協議で、法案に「国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由に十分に配慮」との規定などが盛り込まれると、「わが党の提案をほぼ受け入れる形で合意ができた」(山口代表)と態度を一変させた。「知る権利」などは、賛成するための「のりしろ」にすぎなかった。まさに「出来レース」。その後は、ひたすら法案成立へと突き進む。
 公明は、政府・自民との修正点について「『知る権利』を守るため、取材者が萎縮しないように配慮した」などと自画自賛するが、田島泰彦・上智大教授(メディア法)は「知る権利に配慮するというが、処罰されることに変わりはない。取材が著しく困難になるのは明らかで、知る権利は担保できない」と一蹴する。
 公明の手のひら返しにもあきれ顔だ。「法案に反対する弁護士らが水面下で、公明ならばと、協力をお願いしていたのに裏切られた。公明が、与党にいる意味がない
(以下略)

<デスクメモ>
十数年も前の話だが、公明党の地方議員と仲良くなった。貧乏が肌身に染みた苦労人である。一緒に酒も飲んだ。地方本部の大会でのこと。その人はあいさつで、回顧録の内容が問題視されていた竹入元委員長を痛罵した。阿修羅(あしゅら)のごとき表情だった。異様な雰囲気に背筋が寒くなった。(圭)