公明党はいつから「自民のポチ」になったのか

(『フライデー』H26.1.31/<現代ビジネス>)

【750万学会員に聞きたい「平和と福祉はどこへ?」】
 「末端の学会員には子供が派遣社員のままで正社員になれないなんて世帯がたくさんあります。なのに、公明党は消費増税にも賛成しているんです。それで選挙になると、夫の収入が十分にある専業主婦が中心になった婦人部の人たちが『池田(大作)先生のために全員当選だ』なんてやってるんですから、バカバカしい話です」(50代男性創価学会員)
 公明党の存在感が低下している。特定秘密保護法集団的自衛権消費増税原発再稼働靖国参拝など国論を二分するテーマで、「平和と福祉の党」であるはずの同党はただただ自民党に追従するばかりだ。
 たとえば、安倍晋三首相(59)の靖国参拝についても、公明党・山口那津男代表(61)は「(参拝が)今後引き起こす問題を考えると残念だ」と弱々しいコメントを発するばかりだった。
 戦争につながる可能性さえ指摘されている、安倍首相肝いりの日本版NSC(国家安全保障会議)創設の関連法には諸手をあげて賛成した。さらに、国会周辺で連日反対派がデモを繰り広げた特定秘密保護法に大筋で合意。同法に「知る権利」などを盛り込むことで野党との合意形成を促し、成立に尽力した。
 憲法改正の是非については、自民党の視線を意識するあまり混乱が生じている。弁護士で資格試験予備校を主宰する伊藤真氏が言う。
●公明党は「加憲」という言葉を持ち出しています。加憲とは、現在の憲法にいくつか条文を付け足すというもので、9条でいえば、「武力行使の永久放棄、戦力不保持」を謳う1~2項はそのままにして、追加する3項に自衛隊の存在を明記するという。つまり、相反するものを並べる自己矛盾です(弁護士・資格試験予備校主宰 伊藤真)
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 公明党は今や、ひたすら安倍政権の指示を待ち、黙ってそれに従いついていく「自民のポチ」に堕した。
 「一昨年の衆院選、昨年の参院選で大量議席を得た自民党は、公明党が言うことを聞かない場合、政権離脱を迫れるようになった。さらに安倍首相は日本維新の会の橋下(徹)、石原(慎太郎)両共同代表とも接触を図っており、公明党の立場は弱くなっています」(政治評論家・筆坂秀世氏)
 かつてはこんな党ではなかった。自公連立政権発足時の'99年には、「右傾化にブレーキ」(神崎武法代表・当時)を標榜していた。日中関係についても、支持母体の創価学会が日中友好に尽力、池田名誉会長は中国で高く評価されている。昨年1月には山口代表が習近平総書記(当時)と会談。昨年8月には青年部が北京を訪れ、共産党幹部から「永遠の友人」と呼びかけられている。
 「平和と福祉の党」が「ポチ」になり下がったのには、「創価官僚」たちの存在が大きい。
 「学会と党の組織維持、組織防衛に腐心する創価官僚にとって、池田(大作)名誉会長の健康問題がある今、公明党が与党をおりるなど考えられない。だから山口代表が少しでも自民党と違った主張をすると、井上(義久)幹事長や漆原(良夫)国対委員長がストップをかけ、『自民党についていきます』となる」(元公明党参議院議員・福本潤一氏)

【安倍首相の顔色を窺い】
 現在、公明党は消費増税に伴う軽減税率導入や、児童手当減額に反対するなど福祉政策に取り組んでいるが、本気で自民とケンカするつもりも度胸もない。
 「特定秘密保護法などについて支持者から出るクレームに対応するため、という側面があります。時局講演会や集会などで『党はここまで頑張ったんだ』という話をしてなんとか支持者を説得し、つなぎとめる。繰り返されてきたパターンです」(前出・福本氏)
 実際、前出の男性学会員によると、学会中枢のエリートは年収1000万円を超えており、一般の会員と生活感覚がかけ離れているという。
 「自民党のなかには、暴走する安倍首相に待ったをかけるストッパー役を公明党に期待している人もいますが、公明党のなかからは『安倍さんの公明党創価学会離れが本当のことになったらどうするのか』と声が上がっており、与党から外れることに懸念を持つ人たちも多数います」(ジャーナリスト・後藤謙次氏)
 750万人の創価学会員が哭(な)いている。