創価学会破折
『乱脈経理』


疑惑の創価学会に税務調査を!/『慧妙』H24.3.16

矢野絢也(元公明党委員長)著『乱脈経理』の凄(すご)い内容!/『慧妙』H23.11.16


疑惑の創価学会に税務調査を!

―今、問われるべき「税の公平性」―
―矢野氏が暴露した税務調査妨害の実態―
―この疑惑を放置しての増税論議は止めよ!―

(『慧妙』H24.3.16)

 3月も半ばとなった今、国会では平成24年度予算案の番議が大詰めを迎えている。
 今年の予算審議では、国の将釆を見据えての消費税増税問題が焦点となっているが、何はともあれ担保されるべきは、「税の公平性」ではないだろうか。
 「納税」が国民の義務である以上、法人・個人の別なく、誰もが応分の負担をしなければならない。
 とはいえ、公益性などを認めて、税制面で他に優遇される者もある。その代表格が宗教法人である。
 周知のように宗教法人は、法人税・住民税・固定資産税等の全てにおいて非課税、または優遇税制の恩恵に浴している。
 だからこそ、宗教法人は明確かつ明朗な経理を行ない、「税の公平性」を損ねるようなことがあってはならないのである。
 しかるに、我が国最大の宗教法人たる創価学会において、この「税の公平性」という大原則が破られている、との重大疑惑が存在する。
 それを告発したのは、元公明党委員長の矢野絢也氏。矢野氏は昨年10月、自身が深く関与した、平成2年から4年当時に行なわれた国税庁による学会の税務調査の一部始終について、『乱脈経理』という本にまとめた。
 同書の内容については、すでに本紙でも少々紹介したが、今回は特に、公明党議員ばかりでなく自民党有力者までをも巻き込んでの、学会の凄(すさ)まじいまでの国税庁工作の実態(すなわち税の公平性が損なわれた経緯)について、その概要を紹介する。


【矢野氏使い税務調査を妨害した学会】
―「税制度の根幹揺るがす犯罪的行為」―
 創価学会に対しては、平成2年6月から平成4年4月まで、都合、2期にわたって国税庁が税務調査に入った。その発端となったのは、平成元年に起きた「1億7千万円入り金庫投棄事件」だった。
 これに対し創価学会は、大蔵省(※当時)・国税庁内に公明党書記長の時代からの人脈を持つ矢野氏に、国税対応を依頼。矢野氏はこれを断わりきれず、引き受けることに。矢野氏はその時の心境を、『乱脈経理』に
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 私は国会議員である。国会議員は国民の代表として、税の徴収や分配の大本となる法律を定める重要な立場にある。その国会議員が課税問題を巡り国税当局に脱税交渉まがいの裏工作をするなどということは、国の税制度の根幹を揺るがしかねない犯罪的な行為であり、けっして許されることではない。
 私はそれを承知で、信心の名の下、池田氏を守るために裏工作に携わってしまった。(中略)ひとかたならぬご恩を受けてきた池田氏への最後のご奉公のつもりで国税庁との裏交渉を引き受けてしまったのだ
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と記している。
 以後、矢野氏は、国税庁の担当部長・課長と、再三にわたって交渉を繰り返すことになる。
 その交渉の一々については省(はぶ)くが、国税庁はまず、聖教新聞社(※創価学会の収益事業部門)の会計を調査した上で、同じく学会の収益事業である墓苑事業の会計、並びに"本丸"である本部会計(公益事業)について、収支計算書・貸借対照表・財産目録の提示を求めてきた。
 これに対し創価学会は、公益事業に関しては資料の提示をあくまで拒否することとし、その上で、矢野氏に対して、絶対に死守すべき6つの条件を示し、国税庁と交渉するよう要請した。以下は『乱脈経理』からの引用である。
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 (※平成2年)10月2日、私は八尋氏(※学会副会長・弁護士)と最終的な詰めをした。(中略)
 この日、八尋氏は今後の学会側の方針をまとめた1枚の書面を私に渡した。書面には学会のエゴと醜悪(しゅうあく)さが凝集されていた。納税者も他の宗教団体も熟視すべき、歴史に残る書面だと私は思う。
 書面には「総論」として@財産目録は出さない、A美術品にふれない、B(池田氏の)個人所得にさわらない、C第一庶務にさわらない、D会員のプライバシーにふれない、E宗教活動にふれない、の6項目が記されていた。
 このうち@からCまでが池田名誉会長がらみ。DとEは学会の収入の柱である学会員からの寄付=財務に関するもので、会員のプライバシーなどを理由に財務についての調査を断固として拒否する決意が感じられた。
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 すなわち、池田に関する一切の事項は「聖域」として指1本ふれさせず、また財務の内訳も絶対に秘匿(ひとく)すべし、というのが、矢野氏に対する学会の指令だったのである。
 矢野氏は、この指令に基づき、粘り強く国税庁の担当部長と交渉。その結果、
「(T)墓苑特別会計は調査する。
(U)本部会計については矢野さんのいう6項目は(調査しないことを)前提とし尊重する。(中略)
 筋道をたてて、全てをやったことにするため、外へは絶対に漏(も)れないよう配慮願いたい」
というところまで、税務調査を"骨抜き"にすることに成功したのである。しかも、担当部長に「でき得るかぎり矢野さんの顔が立つようにした」と言わしむるまでに。
 しかして、この方針に基づいた税務調査が行なわれた結果、平成3年1月25日、国税庁の調査官は、墓苑を中心に約60億円の学会の申告漏れを示唆、納税額は20億円程度になる、という見通しを学会側に告げたという。
 すると、すっかり図に乗った学会側は矢野氏に対し、厚かましくも、今度は税金を値切るように要求。八尋は最終的に「もっと下げられないか。(※申告漏れの額が)20億円台の前半にならないものか」と矢野氏に迫った。
 これを受けて矢野氏が再度の交渉をした結果、最終的に、法人税の申告漏れは昭和52年から昭和54年までの3年間分、23億8千万円とされ、税額は6億4千万円ということになり、創価学会は平成3年5月7日に修正申告を行なった。
 ここまでが税務調査の第1ラウンドである。


【竹下元総理まで動かし国税庁に圧力】
―池田への便宜供与と贈与を"白紙"に―
 税務調査の第2ラウンドは、平成3年6月の人事異動で、国税庁長官、および創価学会を担当する部長が替わったところから始まった。7月1日、新国税庁長官と新担当部長に挨拶に行った矢野氏は、新担当部長からこう告げられる。
 「最重要テーマとして引継ぎを受けており、池田名誉会長がらみの6項目全てを9月から調査に入りたい。」
 新担当部長は、「マムシ」とあだ名される人物で、いったん食いついた相手はけっして逃がさない、やり手国税マンとして霞が関にその名を轟(とどろ)かせていた。その「マムシ」が、さっそく牙(きば)を剥(む)いたのだ。
 じつはこの年の4月、かの有名な「ルノアール事件」が明るみに出ていた。その関係で、創価学会に対する世間の目は、「またも学会で不祥事」と、非常に厳しかった。そうした国民の声を奇貨として、国税庁が一気に"反撃"に出たのである。
 これに対し、防戦一方の様相となった矢野氏ら学会側は、最終防衛線を「@池田名誉会長にさわらず、A第一庶務にさわらず、B絵画などは未整理で提出できない」というところまで引き下げた。
 そして、矢野氏が引き続き新担当部長らとの交渉に当たる一方で、新担当部長が自民党の竹下元総理の側近中の側近とも言われる人物であることを足がかりに、矢野氏は、親交のあった竹下氏に対して新担当部長の説得を依頼した。公明党委員長(当時)の石田幸四郎も、必死に竹下氏に頭を下げた。
 その結果というべきか、平成4年4月12日、国税庁が最終的に指摘した「問題点」は
@池田が私邸として使っていた白雲寮に関するもの
A外遊時などに学会幹部などから池田に渡された餞別(せんべつ)に関するもの
B池田の名前入りの学会の創立記念メダルについて
C所在不明の美術品に関するもの
の4つで、申告漏れの額は、締めて4千2万4千円というわずかなもの。これについて矢野氏は
 「申告漏れ額は、拍子抜けするほど少なかった。間違いなく竹下氏から、そうとうネジを巻かれたのだろう。結局、学会経理の巨大な闇の構造は、闇のまま放置されることになった」
と記し、また国税庁の担当部長が
 「今回は矢野さんや竹下さんの顔を立てて、この辺で収めた。あとは重い宿題として次に残す。改善もしてほしい。必要に応じ、有力な材料があればまた調査するが、来年すぐという訳ではない」
と語った、という事実を記している。
 しかし、この報告を受けた秋谷会長は、金額の少なさについては「感謝する」と言ったものの、白雲寮と池田への餞別については「呑(の)めない。何とかしてほしい」と、矢野氏にすがりついた。
 その翌日、矢野氏は担当部長に折衝してみたものの、やはりこれ以上の譲歩は得られず、やむなく竹下氏に
 「ここまで軽くしてもらっているのは、竹下さんのお力だし、それを受けた国税の配慮だと思う。しかし、ここまで来たなら、キレイにゼロにしてほしい。頼みます。恩に着ますから」
と切々と訴えた。竹下氏は「池田さん、ずいぶん税金少なくなっているが……」とつぶやき、あとは黙って聞いていたが、最後に「矢野さん、そうか……うーん、じゃあ……」と言って電話を切った。
 そしてその5日後、竹下氏から1本の電話が入った。
 「国税庁には"心にまで課税できない"と言っておいた。源泉徴収義務を怠(おこた)った程度の扱いで収める。学会の山崎尚見副会長には"矢野さんの力でできたことだ"と話しておく」
と。こうして、第2次税務調査は"何もなし"で終わったというのである。
 平成4年4月30日、矢野氏が国税庁の担当部長にお礼に行くと、
 「各種大きな問題が存在する。しかし憲法で保障された宗教という特権性にかんがみ、また学会も初体験で書類未整理など準備不充分だったことや改善への意欲がみえることを考慮した。だが、とくに白雲寮は明らかな便宜供与であり、裁判で争っても(国が)勝てる。それで今回は、すべて今後の教育指導のための問題提起に留める。諸問題はすべて宿題として必ず調査をするときがくる。目こぼしではない。まあ、執行猶予だ。勝ったとか、してやったとかは、絶対に言わないように。現場の調査官たちが硬化する。
 矢野さんから"世話になった"と竹下先生にお礼を言ってほしい」
と言われたという。
 以上が、『乱脈経理』から抽出した税務調査の概略である。


【絶対に許してはならない不条理】
―増税論議の前に学会に税務調査を!―
 矢野氏は同書の後書きで、「学会による証拠隠滅(いんめつ)や、私や学会首脳らによる妨害工作により、国税庁の税務調査は不十分なもので終わった。特に第2次税務調査は池田氏の脱税まがいの事実を把握(はあく)しながら、それを今後の宿題として先送りし事実上黙認する結果となった。つまり課税なしとなった。学会の完勝だった」と述べている。
 また「国税庁に求められている良識は、どんな団体や企業、個人に対しても法律に則(のっと)り等しく課税することであり、政権と近い団体や企業などに手心を加えることではない。相手が誰であれ、不正があれば徹底的な調査を行ない法律に沿って課税する。それが国税マン5万5千人の職業倫理」である、とも。
 冒頭にも書いたが、宗教法人は、公益性に鑑(かんが)みて優遇税制の恩恵を受けており、だからこそ「税の公平性」についても厳しく遵守(じゅんしゅ)していく姿勢が必要である。
 ところが創価学会は、種々の隠蔽(いんぺい)工作を行なったばかりでなく、天下の公党である公明党と、そこに連なる人脈を最大限に利用して国税庁に圧力をかけ、税務調査を完全に骨抜きにしてしまったのである。こんなことは、税法上も倫理上も、絶対に許されない行為だ。
 消費税の増税を訴える野田政権が、こんな不条理を許したままにするなら、その目論見(もくろみ)が「税の公平性」を損ね、国益に反することは明白である。
 国税庁にもし、矢野氏が述べたような「職業倫理」が存在するなら、池田大作のXデーを待つことなく、今すぐ創価学会を"丸裸"にすべきである。
 また、野田政権が政治主導を発揮すべきは、まさにこの点であり、この時である。消費税の増税論議はその後に回しても、けっして遅くはあるまい。






矢野絢也(元公明党委員長)著『乱脈経理』の凄(すご)い内容!

―ついに露呈!国税に対する学会の悪辣(あくらつ)
―こんな学会・公明党をのさばらせてはいけない!―

(『慧妙』H23.11.16)

 創価学会が恐れていたことが、ついに起こった。元公明党委員長・矢野絢也氏を強迫してまで、その内容が外に洩れることを防ごうとした、矢野氏が議員時代に記録した「黒革の手帳」の内容が、矢野氏の手によって書籍化され、世に出てしまったのである。
 その本の名は『乱脈経理』。その衝撃の内容を、ここにお伝えする!


【『乱脈経理』が明かした学会の本性】
―池田を守るためなら手段を選ばず―
 過日、元・公明党委員長の矢野絢也氏が、1冊の本を出版した。
 『乱脈経理』と題されたその本は、矢野氏自身が国会議員時代に書き溜めた、百冊近くにものぼる「黒革の手帳」の記録に基づき、まとめられたもの。
 内容は、平成2年6月から平成4年4月まで続いた、国税庁による創価学会本部への税務調査の顛末(てんまつ)を中心に、平成元年6月に起きた「1億7千万円捨て金庫事件」、創価学会の絵画取引に絡(から)んで15億円が"闇"に消えた「ルノワール事件」、創価学会の株取引に対する証券会社からの巨額の損失補填(ほてん)の問題等、さらには、税務調査と時を同じくして勃発(ぼっぱつ)した日蓮正宗との対立についても、矢野氏が知るかぎりのことを記している。
 創価学会に国税庁の税務調査が入ることになった発端は、平成元年6月に起きた「1億7千万円捨て金庫事件」だった、と矢野氏は記す。
 神奈川県横浜市旭区のゴミ処分場に運び込まれた古金庫から現金1億7千万円が見つかったこの事件は、問題の古金庫の出所が聖教新聞社だったことが公(おおやけ)になるや、池田大作の側近中の側近であった中西治雄氏が、"古金庫は自分のもので、中の金は、昭和46年頃から3年間、総本山大石寺に開いた土産物店で得た利益を隠し、脱税したものだ"と"告白"。
 しかし、売店で売り上げた日銭を隠したにしては、大蔵省印刷局の帯封がされたままの1千万円の札束が3つも入っているなど、不自然な点が多かった。そのため、マスコミが盛んに取り上げ、国会でも問題になったものの、結局、完全な真相は明かされることなく、事件には幕が引かれてしまったのである。
 だが、国税庁は違った。中西氏が"脱税した金だ"と公言したことから、その調査に乗り出したのである。そしてその調査はやがて、創価学会本体への税務調査へと拡大していった―。
 これに慌(あわ)てた創価学会は、国税庁に人脈を持つ矢野氏を頼(たよ)った。そして、国税庁への裏工作を懇請(こんせい)した。
 そのため、創価学会と国税庁との攻防の一部始終が、矢野氏の「黒革の手帳」に残される結果となった。そして今般、その手帳の記録を元に『乱脈経理』が出版されるに至ったのである。
 同書において矢野氏は、創価学会への税務調査に関し、創価学会から墾請されて、公明党書記長時代に築いた国税庁幹部との関係や、竹下元総理との関係を拠(よ)り所に、税務調査内容を最低限にさせつつ作業の引き延ばしを図り、さらに追徴課税額を値切り、また、国税庁からの請求の多くを「宿題」という形で"先送り"させた経緯(けいい)を語ると共に、その間に創価学会が資料の廃棄や帳簿改ざんを行なうなどの隠蔽(いんぺい)工作を行なっていたことを示唆(しさ)。
 さらには、池田創価学会の基本体質ともいえる"人に対し全幅の信頼を置かない""用済みになれば使い捨てる"実態までも、赤裸々に綴(つづ)っている。
 本紙はその中から特に、宗教法人にあるまじき隠蔽工作と、池田大作による創価学会・公明党の私物化に焦点を当てる。


【これが公益法人のすることか!?】
―乱脈経理の隠蔽に狂奔した学会―
 そもそも創価学会は、国(※当時は東京都)から認証された、「宗教法人」という名の公益法人である。すなわち、宗教を通じて国民の公益に資することを条件に、宗教施設や宗教行為に係る金品についての税を免除されるなど、税制面で特段の優遇を受けているのである。
 されば、公序良俗に順(したが)い、明朗会計に努め、納(おさ)めるべき税金はしかるべく納めているのが当然であって、いつ、いかなる形で税務調査に入られようと、何ら困ることはない、というのが本来の在(あ)り方のハズ。
 ところが実際には、矢野氏に対し、公序良俗に反する裏工作を懇請しなければならないほどの、まさに『乱脈経理』が横行していたばかりか、それが露呈(ろてい)しないよう、必死の隠蔽工作を行なっていたのである。


【税務調査の先延ばしを要求】
 『乱脈経理』には、こんな記述がある。
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 8月28日(※平成2年)の八尋氏(※副会長・弁護士)からの電話連絡。
《敵(国税庁)はひたひたと来ている。ルール(※税務調査にあたっての、創価学会と国税庁との取り決め)は守っているが、本部会計への(調査に入る)きっかけ作りをやっている。秋谷氏も本部会計は1年先延ばしにしてほしい、いまやられるともたないと言っている。収益会計と公益会計の混同、池田氏の公私混同の区別がついていないところへ調査が入ってきている……。池田夫人の日程、車両日誌など既(すで)に全部廃棄した。かなり厳しい状況だ。調査は28、29、30日と続くがルールを守っているので物の言いようがない。事情を知らない人は、八尋は何をボヤボヤしているのかと批判しているが、トップは事情を皆知っている。毎日、こちらから電話しなければならないのに申し訳ない》
 池田ファミリーは学会内では特別扱いされている。創価学会は、池田氏のカリスマ性と指導力で牽引されていることは明白で、学会にとっても余人をもって代えられない存在だ。だから池田氏専用の豪華施設などが、あたかもそれが池田氏への忠誠心の証(あかし)であるかのように多数建設されるなど、特別扱いはとどまるところがなかった。
 香峯子夫人もこの当時、学会内で特に役職を持たなかったが、私的な買い物を含め、どこに行くにも学会の運転手付きの車で送り迎えしてもらっていた。こうしたことは学会本部の日程表や車両日誌に記録されていた。あまりに公私混同が明白なので、学会側は急いで夫人に関する記録を廃棄したわけだ。(※《》内の記述は、手帳の記録に矢野氏が補筆したもの。以下同)
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【肝心な書類は提出を拒否】
 また、こんな記述もある。平成2年9月19日のことである。
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《八尋「やはり本部会計にさわられると、まずい。対応できない。6日の話、秋谷と詰めてきたが、墓苑については3点セット(※収支計算書・貸借対照表・財産目録)出してもよい。本部は収支計算書のみ、後の調査はなしにしてほしい。墓苑も調査されれるとまずい。色々説明できない支出があって。本部は財産目録出せない。問題は現物(絵、その他など)がどこにあるかだ。預金も同様、特金(※特定金融信託。創価学会は、バブル期に特定金融信託で資金運用を行ない、バブル崩壊で生じた損失に対して、証券会社から4億6千5百万円もの補填を受けていた)もまずい。第一庶務がらみは聖域中の聖域、私もさわれない。だから調査なしでお願いしたい」
(中略)》
―(中略)―
 国税庁は学会本部の公益事業会計(※本来は非課税の部分)の3点セットの提出を求めているのに、学会側は3つのうち収支計算書1つしか出せないという。出せるのは公益事業会計ではなく墓苑事業会計の3点セットのみ。池田氏の公私混同が疑われている、絵画などの美術品を含む財産目録はむろんのこと、学会の預金や特金、第一庶務がらみの経理もいっさい出せないときた。池田氏が後ろで指示を出しているのだろうが、こんな「ないない尽くし」では国税庁側が飲む訳がない。
 しかも八尋氏も了解していた墓苑についてすら、「調査されるとまずい」と言い出したのだから、ゼロ回答どころかマイナス回答だ。八尋氏が豹変(ひょうへん)したのはもちろん池田氏が墓苑調査に反対しているからだが、それには事情がある。
 私が聞いているところでは、学会はこれまで墓苑の土地購入などのために、地元の有力者に工作資金を払ったりしており、その資金を捻出するために裏金作りをしてきたという。それ以外にも学会関係者へのバックペイの噂(うわさ)もあって、私のところへかなり克明な投書すら来ていた。墓苑事業会計を調べられると、そういう裏金工作がわかってしまう恐れがあると考えたようだ。
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【不都合な書類は「なくす」】
 さらにはこんな記述も。
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 10月14日(※平成2年)、レストランの個室で会った八尋氏はいつもの気難(きむずか)しい顔に戻っていた。八尋氏は一般管理費の中の「仮払い」の処理について頭を痛めていると打ち明け、「仮払いからも池田氏がらみの褒賞(ほうしょう)激励費(※池田が、その時々に職員などに配った"金一封")が出ている。仮払いを国税庁から突っ込まれると応答できない」と顔をしかめた。仮払いの金額は相当額に上っていたようで、八尋氏は「一般管理費だけをコンピューターでソート(分類)して一覧表を作り、領収書などはコピーで……。でないと結局、すべてを見せることになってしまう。仮払いはなくす方向だ」と話していた。要するに一般管理費から仮払金を削除し、伝票や帳簿を改竄(かいざん)する、ということだろう。
 また伝票と引き換えに金を出す聖教新聞社の「受け払い」伝票を調べたところ、ここにも第一庶務がらみの、表に出せない金が入っているとのことだった。そこかしこに池田氏がらみの支出があったということだろう。
 また学会の理事会議事録も国税庁に提出できないと八尋氏は話していたが、これも同じような理由からだと思われた。
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【公明党でも書類を改竄(かいざん)】
 改竄行為は、創価学会だけでなく、公明党にも及んでいた。
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 第2次調査(※平成3年9月開始)の対象には公明党も含まれていたが、実は公明党については、第1次調査が始まる前の段階で資料の改竄が済んでいた。なぜ改竄が必要だったかというと、公明党議員や党本部から池田名誉会長宛に多額の寄付や贈り物が届けられていて、その痕跡を消す必要があったからだ。
 まず議員の寄付についてだが、私も議員を辞(や)めたときに、感謝の意味でまとまった金額のお金を池田名誉会長宛にお届けしたことがある。他の議員も同様にしてきた。また選挙で当選すると、私たち国会議員はお礼の意味で池田氏にお金をお届けした。その他、池田氏の外遊やお祝いごとの都度、池田氏にお金や品物をお届けした。
 お届けするといっても、池田氏に直接渡すのではなく、第一庶務という秘書集団にお願いする。第一庶務のほうでも議員の当選時にそれとなく催促(さいそく)してくる。池田先生のお蔭(かげ)で議員にしていただいたのだから、払うのは当然だ、という感覚なのだろう。これがいわゆる「P献金」だ。「P」は「プレジデント=池田氏」の略である。
 寄付したお金がその後、どこに流れたのか定かではない。仮に池田氏の個人収入になっていたとしたら、池田氏は申告して税金を払っていたのだろうか。もし払っていなかったら、池田氏が脱税に問われかねない。党としてはP献金関連の報告書や学会第一庶務からの連絡メモといった、池田氏がらみのもろもろの書類をすべて廃棄しなければならなかったのである。
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【議員からも搾取する池田大作】
 「P献金」については、次のような記述もある。
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 10月1日(※平成3年)、神崎国対委員長ら公明党幹部との会合があった。
《神崎「軽井沢で池田名誉会長が"浅井、伏木(和雄)は5百万(円)市川は1千万(円)。実績のない人は持って来い。と言った。矢野さんは功があるから寄付リストに名前見ない」
 皆、唖然(あぜん)としたり、ブスッとしたり、伏木「5百(万円を寄付)する。だが……」浅井「(私は)2百(万円)をする」》
 議員たちは、後で「学会はお金がうなっているのに、俺たちから取り上げてどうするつもりだ。サドだ。イジメだ」と憤慨(ふんがい)していた。
 実際に各氏が寄付したかどうかはいちいち聞いていないが、これがいわゆるP献金の実態である。私自身、池田氏から「働きが悪い」との理由でペナルティーとして「金を持って来い」と言われたことがそれまで何回もあった。
 本来、宗教における罰金とは罪障消滅を目的としたもののはずだが、学会の場合は、罰金を科すことも金額も池田氏の気分次第で決まるのが実態だ。
 このときの寄付リストに私の名前は載(の)っていなかったものの、他の議員が寄付するのに、私だけ寄付しないと、後で池田氏から「矢野は思い上がっている」などと怒られるのがおちなので、私は後日、銀座の「和光」で名誉会長用のセーターを12万円で購入し、お礼名目の200万円と一緒に第一庶務に届けた。
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【あるべき姿を失った学会・公明党】
―その醜い実態を糾弾するのは今!―
 繰り返すが、創価学会は「宗教法人」である。公益法人として、公序良俗に順い、明朗会計に努め、納めるべき税金はしかるべく納めるべき立場にある。
 また、公明党は天下の公党であり、公明党議員は公僕である。国民の負託に応えるのがその役割であり、一個人・一団体の利益のためだけに便宜を図ることなど、本来許されるはずがない。
 ところが、矢野氏の本によれば、実際にはこの体たらく。
 創価学会は、専ら池田大作を守るため、乱脈経理の隠蔽・改竄を行ない、その時間かせぎのために国税庁の査察を先送りさせようと画策し、さらには求められた会計書類の提出すら拒(こば)んだ。
 そして矢野氏ら公明党議員は、公僕たるべき自身の立場も顧(かえり)みず、創価学会なかんずく池田大作を守るため、身を粉にして働いたばかりか、池田に言われるがままに、あるいは覚え愛でたきを願って、金まで貢いできた。そしてその事実を隠蔽するため、公明党の資料も改竄した、というのだ。
 常人にとっては、これだけでも驚天動地(きょうてんどうち)の心境であろうが、矢野氏の本には、この他にもまだまだ驚くべき創価学会・公明党の醜(みにく)い実態が暴露(ばくろ)されている。
 創価学会も公明党も、池田大作のために存在しているようなものである。その創価学会・公明党に、宗教法人としての特権を与え、公党としてキャスティングボートを握らせておく、などということは、もはやできまい。
 我々は今こそ、創価学会・公明党の醜い実態を、声高に訴えていかねばならない。

[画像]:矢野絢也氏の著書『乱脈経理』