10.22衆院選で、公明党大敗北


10.22衆院選、公明党大敗北を総括する/『慧妙』H29.11.16

衆院選での公明党敗北の理由を解析/『慧妙』H29.12.1


10.22衆院選、公明党大敗北を総括する

元参議院議員・元公明党副幹事長・元学生部東大総合委員長=福本潤一
元創価学会本部組織センター広宣局副部長・元文化本部副書記長・元芸術部書記長=小多仁伯
(『慧妙』H29.11.16)

【勝利のジンクスが崩れた公明党】
〈小多仁〉10月22日に衆議院選挙が行なわれ、どのマスコミにも「与党の大勝」の文字が踊りました。福本さんは、公明党の参議院議員を12年経験された立場で、今回の結果をどう見ておられますか?
〈福本〉そうですね。私の最初の印象は、自民党と立憲民主党の大勝利で、公明党をはじめ他政党の大敗北、と思いました。
〈小多仁〉大型台風接近の大雨の中の選挙で、戦後2番目に低い投票率でしたし、期日前投票者が最高の選挙でしたから、組織票の強い公明党には有利に働くと思っていましたが。
〈福本〉期日前投票は、組織選挙のできる団体にとっては、選挙対策の大きな手段でした。最近の選挙では、「投票干渉罪」という選挙違反で逮捕されるケースが増えていたからです。つまり、投票当日に連れ出しをすると、老齢者や障害者の場合、候補者の名前を覚えられないことが多いので、その人の手に候補者の名前を書き込んだり、候補者のパンフレットを持たせて投票所に送り出すことがあったわけです。これが、「投票干渉罪」という選挙違反に問われる行為だったのです。
〈小多仁〉なるほど、選挙当日に連れ出しをすると、その違反行為が発見されやすいですが、期日前ですと、分散されて発見されにくいですからね。そういう意味では、創価学会の一番得意だったのが期日前投票だったわけですが、今回は、他党も無党派層も、台風に備えて積極的に期日前投票を行なう、ということになったのでしょうね。
〈福本〉そうです。投票当日に台風接近という報道により、役所や役場に、多くの方々が期日前投票に出かけ、順番待ちのすごさに投票をあきらめた、という人まで出現しました。正確な天気予報どおりの台風で、投票率も極端に悪く、組織政党に有利な選挙でしたが、しかし、今回は、公明も、共産も敗北しました。


【ピーク時より2百万票も減らす】
〈小多仁〉公明党の敗北とは、どういう結果でしたか。
〈福本〉公明の選挙結果は、神奈川小選挙区で、上田勇前議員が落選。比例区で4人減で、当選者総計29人となりました。
 党勢を表す比例区の公明党への投票総数は、7百万を下回りまして約697万票になりました。2005年小泉郵政解散の時のピーク898万より、2百万票減です。2007年以後、比例区投票総数は漸減してきましたね。比例区の4減は、北関東、南関束、東海、九州での各1人減です。
〈小多仁〉前回は、34人でしたので、今回は29人で5人減だったのですね。ちょうど、結成時の25人、言論弾圧で糾弾された後の27人と、ほぼ同じ結果になったのですか。
 比例区も池田の目標「めざせ広布の1千万」に近づくどころか、低減して、いまや、7百万以下になりましたか。
〈福本〉議員総数が、5減で34人から29人になった、ということは当事者たちにとっては大変なことで、公設秘書としては3名置けるから、最低5×3=15人が失業することになります。かつて、30名ほど公明議員が落選したことがありますが、その時ほどでなくとも、事後に大変な対応がまっていますね。


【性急なスキャンダル処理も創価の影響力!?】
〈小多仁〉そのうえで、公示直前に、公明党の現職副大臣、政務官の、2人の国会議員の女性スキャンダルが『週刊文春』で報告されました。あの時、他党以上に早く、2人の首を切ったのは、今回の衆院選に悪影響を及ほすのを防ごうとする支援宗教団体・創価の判断でしょう。
〈福本〉それだけ創価は、公明党の選挙支援を取り仕切っているわけです。
 公明党が安保法制を通過させたときの国際局長で、英語堪能な上田勇氏が、立憲民主党候補に敗れたことは象徴的でした。憲法改変を望まない池田崇拝派が、公明以外の共産や立憲に投票した例を聞いています。池田は現憲法擁護を代作の書物や記事で説いていますので、公明以外に投票する会員が出現するに至ったのでしょう。今後、安倍自民の宿願の憲法改正に、与党としてどう対応するかが大きな課題となります。
〈小多仁〉衆参ともに、自公与党を中心に憲法改正に必要な3分の2を超えていますものね。さらに、希望の党や維新の会も改正派だとか。その後の国民投票が重要になってきますが。
〈福本〉自民党が最大政党になっているのは、創価学会の組織票の支援のおかげです。1人を選ぶ小選挙区や首長選挙は、たいがい創価がついた方が勝ちます。なぜなら、一小選挙区当たり平均2万票(6百万票を3百選挙区で割ると平均が2万票です)が、291小選挙区で自民につくか、野党につくかは決定的要素だからです。かつて非自民の連立内閣ができたのは、創価が非自民側についていたからです。だから、民主党政権ができた時が唯一、自公を上回る勢力が与党でいられた一瞬と言えます。今回の選挙は、自民の小選挙区候補を創価が応援した結果、ともいえます。
〈小多仁〉それで、「希望の党」の小池さんも「創価公明を敵に回すとうるさい」とのアドバイスどおりに、当初「山口さんを首班指名するのがいい」とまで発言したのですかね。


【憲法改正論議が公明党の正念場】
〈福本〉安倍総理から「公明党の9条に第3項を付加するとの加憲案に乗ってでも憲法改正を」(趣意)と言われ、急きょ山口代表が「(9条3項に入れる予定の)自衛隊はすでに国民の中で合憲と認知されている」(趣旨)との発言がありましたね。
 公明の加憲案は太田代表時代の提案で、山口代表時代には、安部自民案に安易に乗るわけにいかないという政治姿勢を感じますし、池田創価に配慮した発言でしょう。
〈小多仁〉公明党の加憲案に乗って、自民党の新憲法草案をトーンダウンしてでも憲法改正をしたい、というのは不思議な発言ですね。自民党石破茂議員も、このトーンダウン発言に異議をとなえていましたね。
〈福本〉祖父の岸総理からの念願の普通の「美しい国」づくり(つまり軍隊で応戦できる国づくり)を現実に実行できたのは、安倍総理自身の実績である、と誇示したいのでしょう。ましてや国会を2/3で通過させても、最後は国民投票で過半数の賛成をみないと成立しないのですから。それで、過半数以下ですと、総理辞職ものです。
〈小多仁〉その場合は、EUの離脱を反対していたイギリスのキャメロン首相の辞任や、大阪都構想を推進していた橋下市長の辞任と同じ経過ですね。
〈福本〉そうです。それが国民投票制度、つまり国民や住民投票の重要性で、最後の決定権は国民が握っている、ということです。
〈小多仁〉それにしても創価公明党の存在は、仏法の眼から見れば正法滅尽を目的とした三宝破壊の魔物です。10月1日号の『慧妙』1面でも明確に破折されています。
〈福本〉池田創価学会は「僭聖増上慢」である、として断罪されていますね。公明党は池田創価の走狗ですから、破仏法、破国の因縁と言えましょう。
〈小多仁〉いずれにしても、今回7百万票をも超えられなかった、ということは学会の落日を象徴するものです。今後、いよいよ低落傾向に歯止めがかからなくなるでしょう。

[画像]:投票翌日の『公明新聞』=「当選相次ぐ」の見出しも束の間、結果は7百万票にも届かぬ大惨敗





衆院選での公明党敗北の理由を解析

―学会の求心力・統率力の減退が明らか―
―マスコミが読み解いた創価学会の実態―

(『慧妙』H29.12.1)

 公明党は、10月22日の衆議院総選挙において大敗した。
 『公明新聞』では、「当選相次ぐ」と大見出しを出したものの、実際には、前回の34議席から5議席減らして29議席となり、比例区の得票数も2007年以降減り続け、今回は697万票となって、とうとう7百万票を下回ったのである。
 さらに、公明党の候補者が出馬した選挙区では無効投票率が全国平均と比べ突出して高い、と『日刊ゲンダイ』(H29.10.29)が報じた。
 『日刊ゲンダイ』によると、
〈10.22総選挙で公示前の34議席から5議席減らし、比例代表では、2000年以降の衆参両院選を通じてはじめて700万票を割った公明党。公明候補が出馬した小選挙区の無効投票率が、全国平均と比べ突出して高いことが分かった。
 総務省が発表した全国の無効投票率は2.68%。公明が候補を立てた9選挙区の平均は7.00%だった。都道府県の選挙管理委員会がまとめた無効投票率をもとに日刊ゲンダイが集計した。
 最も高いのは、大阪3区の10.22%。自公連立の象徴で、太田昭宏元代表が当選した東京12区も、9.71%が無効票だ。
 このように、全国の無効投票率は2.68%であるのに対し、公明候補が出馬した9選挙区の平均は7.00%と、全国平均と比べかなり高いことがわかる。
 また、学会において「常勝関西」といわれる大阪では10.22%と多くの無効票が投じられている。〉
 では、なぜ無効票が多いのか。『日刊ゲンダイ』では現役の学会員の言葉を挙げ、次のように述べている。
〈「学会員はちゃんと投票に行ったかフォローされるので、必ず投票所に足を運びます。公明党への批判の意味で、無効票を投じる学会員も少なくありません、」(現役の創価学会員)
 公明候補の選挙区で無効票が多いのは、学会員の公明への無言の抵抗であることは間違いない。
 平和、庶民の党はどこ吹く風。政権に居ることを何よりも最優先し、安保法制、共謀罪に賛成し、森友問題では、当事者であるのに石井国交相は他人事だ。〉
 学会員は、投票に行かないと、後からいろいろ言われることになる。しかし、平和を党是としながら、政権にしがみつきたい一心で、安保法制、共謀罪に賛成する公明党に、票を入れたくない学会員の無言の抵抗であろう。
 その結果が、7百万を下回り、5議席減という、大惨敗を喫した1つの理由であろう。
 やはり、2年前の安保法案に賛成したことは、そうとう学会員の反感を買ったようだ。
 『日刊ゲンダイ』(H29.10.19)の記事に、
〈創価学会員の一部が公明党にソッポを向いているという。ある学会員が語る。
 「流れが大きく変わったのは2年前の安保関連法の成立直前です。『創価大学有志の会』の反対署名は1300人以上に膨れ上がりました。その後、サイト発起人に対する嫌がらせなどで"沈静化"したかに見えますが、反対運動はゲリラ化し、全国に拡散。ネットなどで反対運動が激しくなっています」〉
とあるように、公明党への反対運動をむりやり押し込めた反動が、今回の選挙で噴出したともいえよう。
 それにしても今回の選挙で、創価学会の求心力・統率力が著しく低下してきていることがわかる。
 さらに、本紙11月1日号で報じたように、11月18日に発効された「創価学会会憲」なるものによって、学会員の心の拠り所である池田センセーが、現創価学会会長の原田の部下となった。
 これを学会員が受け止められるのか、といえば否であり、これによって、学会員の創価学会離れ、公明党得票数低下が加速していくことは、もはや確実であろう。

[画像]:景気のいい見出しが躍った『公明新聞』(10月23日付)。しかし実状はガタガタ