公明党破折
税金問題



定額給付金 支離滅裂な施策はやめよ/『毎日新聞』社説H20.11.12ほか

道路特定財源の公約どこに/『しんぶん赤旗』H20.2.2

"増税隠し""トリック"と指摘され/『しんぶん赤旗』H19.7.11

「増税戦犯」プラス公約違反/『しんぶん赤旗』H19.6.30

定率減税が6月に全廃、これが消費低迷の一因になっている/明大教授・高木勝<nikkeiBPnet on Yahoo!ニュース>WS070530

負担増で庶民は“悲鳴”/『しんぶん赤旗』H18.7.29

「公明党は増税戦犯」(『東京新聞』)/『しんぶん赤旗』H19.2.24

定率減税の半減 これでは納得できない/『沖縄タイムス』社説H16.12.17

庶民に25%の大増税 首相も否定せず/『しんぶん赤旗』H15.10.17

税制の基本方針を狂わせる要求/川崎泰資=椙山女学園大学教授『フォーラム21』H15.1.1


定額給付金 支離滅裂な施策はやめよ

(『毎日新聞』社説H20.11.12)

 政府・与党が追加経済対策の目玉と位置付けている定額給付金について、法律による所得制限は行わないことで合意した。高額所得者には自発的な受け取り辞退を促す方式とする。この種の措置で、受け取る受け取らないを本人に任せることは前代未聞である。
 麻生太郎首相が年度内給付にこだわったためだ。これは連立与党、公明党の強い要望でもある。自民党は給付金の名称は、施しの意味合いが強いということで、変更を検討している。
 追加経済対策は「生活対策」と銘打たれているように、景気後退で苦しくなっている家計へのテコ入れが最大の眼目だ。これまでの景気拡大では、輸出業種を中心に大手企業は過去最高の収益となったが、賃金やボーナスなど従業員への配分は限定的だった。中小企業も下請け代金などを抑えられており、好況を実感していない。
 減税や給付金を実施するのであれば、そうした政策目的に合致していることが何よりも重要である。その上で、効果が期待できる方式でなければならない。
 この2つに照らし合わせて、今回の定額給付金は支離滅裂な制度である。
 定額給付金は福田康夫前内閣時代の8月末に決定された緊急経済対策に盛り込まれた定額減税から始まっている。総選挙をにらみ公明党の顔を立てたが、「金で票を買うのか」という批判があったように、評判はあまり芳しくはなかった。
 その時点では、年末の税制抜本改正時に制度設計するとされ、税の専門家などによる議論の余地もあった。麻生首相の全世帯実施発言後も、「高額所得者を含めるのは筋が違う」「所得制限は必要」などごく当たり前の主張も、閣内や自民党内から出された。これを受け、麻生首相も途中、やや揺れたが、結局、早期実施にこだわった。一方で、総選挙は先送りされた。
 このつけは大きい。与謝野馨経済財政担当相も指摘する社会政策的な生活支援制度という枠組みは、ばらまきの前に雲散霧消してしまった。しかも、麻生首相は景気回復を見定めたうえで、3年後をめどに消費税引き上げをお願いすると発言している。将来の負担増を考えれば、1人当たり1万2000円の給付金で追加的消費需要が生まれることは期待できない
 財源措置は、本来なら国債残高を減らす目的に使われる財政投融資特別会計の金利変動準備金だ。麻生首相は赤字国債に頼らずに政策を実施するというが、実質的に赤字国債発行と変わりない
 政策目的が不明確で、効果も疑わしく、財政にも負担をかけるような定額給付金は白紙に戻すべきだ。生活対策というのならば、低所得層などに対象を絞った減税や、大胆な非正規雇用対策を講ずるのが責任ある政治の務めではないのか。


自画自賛の『公明新聞』

■定額給付金 1人1万2000円
―高齢者(65歳以上)、子ども(18歳以下)8000円加算―
―市区町村で交付要綱決定 円滑、迅速な実施めざす―

『公明新聞』H20.11.13

 自民、公明両党の幹事長、政務調査会長、国会対策委員長は12日午前、都内で会談し、新たな経済対策の柱となる総額2兆円の「定額給付金」について1人当たり1万2000円、65歳以上と18歳以下にはそれぞれ8000円を加算することで合意した。公明党から北側一雄幹事長、山口那津男政調会長、漆原良夫国対委員長が出席した。
 給付金額が固まったことで、夫婦と18歳以下の子ども2人の標準的世帯であれば合計6万4000円、同じく18歳以下の子どもが3人の5人家族では8万4000円、65歳以上の夫婦2人家族の場合は4万円が支給される。
 焦点の1つだった高額所得者に所得制限を設けるかどうかについては、各市区町村がそれぞれの実情に応じて交付要綱で決めることとし、所得制限を設ける場合の下限を「目安として所得1800万円」とした。
 会談後、与党両政調会長は国会内で記者団の質問に答え、所得制限を設ける場合の所得の考え方について、「収入から必要経費(給与所得者の場合は給与所得控除)を控除した後の金額」と説明。給与所得者であれば所得1800万円は給与収入に換算し2074万円と例示した。
 その上で、所得制限を1800万円としたことについては、「2000万円以上収入のある方は確定申告を出さなければならないので、ここで線引きをした」と説明した。
 また、給付金の名称については、「生活支援とともに経済対策の意味合いもある」とし、最終的に「定額給付金」となった旨を報告した。
 公明党の山口政調会長は、今後の流れについて、円滑な実施、運用に向けて自治体の意見も十分踏まえ、総務省の「定額給付金実施本部」で検討が進められるとし、「現場で確実に混乱なく給付が行われることを期待してこのような決定をした」と述べた。
 また山口政調会長は、「生活支援を重視すれば所得制限の検討は十分あり得る。一方で給付の実務に当たる市区町村の実情も十分配慮しなければならない」とし、年度内に迅速に実施するため、ある程度、幅を持たせた形で与党の枠組みを決めた経緯を説明した。
 与党両政調会長は同日、首相官邸を訪ね、与党の合意内容について河村建夫官房長官に報告した。

“丸投げ”批判は当たらず 太田代表
 公明党の太田昭宏代表は12日、与党が同日、定額給付金の支給額などで合意したことに関連し、首相官邸で記者団の質問に答える形で見解を述べた。
 太田代表は、所得制限の設定の有無を市町村に委ねた与党の判断に対し“丸投げ”批判が出ていることについて、「丸投げというよりは基準を示したということ。それほど難しいことではない」と反論。居住地によって対応が違った場合、不公平感が出てくるのではとの指摘に対し、「そういうことにならないのではないか」と述べた。
 また、公明党が主張していた減税方式が給付方式に変わったことについては「よりスピーディーに、漏れなく、できるだけ多くの方にお渡しできるということで決まったことは大変良いことだ」と述べ、公明党の当初の発想が生かされている点を強調した。

庶民の生活守る安全網
全国商店街振興組合連合会理事長 桑島俊彦氏
 定額給付金の決定を高く評価します。内需拡大が期待できます。今、子どもを抱えている家庭や年金で生活している方などは、収入が目減りしています。皆、欲しいものを買って元気になってもらいたい。
 一方、商店街も小さい店ほど大変な状況です。この機会に、知恵の出し方によっては一層の活性化が期待できます。
 「バラマキだ」と野党やマスコミは批判していますが、給付金はバラマキではありません。中小・零細企業や庶民は、米国発の金融不況などの、いわば被害者です。困っている庶民を支援するのはバラマキでしょうか。その意味では、給付金は生活のセーフティーネット(安全網)とも言えます。(談)


定額給付 迷走の末に地方丸投げとは

(『読売新聞』社説H20.11.13)

 さんざん迷走したあげく、こんな中身では、国民も素直に喜べないのではないか。
 総額約2兆円の定額給付金の概要が、ようやく固まった。制度の細目が極めて曖昧(あいまい)で、国の施策としては“無責任”とも言える内容となった。
 これでは、実際にお金を配る実務を担う市町村の現場は、混乱が避けられまい。
 財源を手当てする補正予算や関連法案の国会審議も難航が必至で、「迅速な景気てこ入れ」のための年度内給付も怪しくなった
 政府・与党はこの際、制度設計を、根本からやり直すべきだ。
 政府・与党が決めたのは、「1人1万2000円、65歳以上と18歳以下は8000円加算」の給付額と、「下限1800万円」という所得制限の目安だけだ。
 所得制限を設けるかどうか、いつの時点の所得を基準にするかなどは、給付金を支給するに際しての重要なポイントだ。その判断を市町村に丸投げした。
 所得制限を設ける場合でも、市町村には、制限を守っているかどうか確認するすべがない。多くの市町村が申請通りに支給する公算が大きい。所得制限など、あってなきがごとしだ。
 社会保障をはじめ、ほかにも予算不足に悩む重要政策が多い中、乏しい財源をこのような形で配っていいのだろうか。
 定額給付金は、福田内閣が公明党の強い要請で打ち出した定額減税が姿を変えたものだ。
 減税だと、税金を払っていない所得の低い世帯には恩恵が及ばない。給付金なら所得に関係なく支給でき、景気刺激にも即効性がある、というのがその理由だ。
 だが、政府・与党内から、高額所得者は対象外にすべきだ、という声が出て迷走が始まった。
 当初は「全世帯が対象」と明言した麻生首相も、党内の声に押され、「高額所得者には辞退してもらう」などと軌道修正した。
 ところが、閣内からさえ「辞退というのは制度ではない」との指摘があり、結局、高額所得者の扱いを市町村に委ねる中途半端な手法を取らざるを得なくなった。
 選挙対策として華々しく打ち出し、詰めは衆院選の後でやればいい。そう考えていたが、解散先送りで予定が大いに狂った――こんな事情が透けてみえる。
 「政局より政策」というのが、麻生首相が解散を先送りしたうたい文句だ。その結果、こんな政策が出てくるようでは、首相の指導力が問われよう。


定額給付金/政治の迷走が苦々しい

(『河北新報』社説H20.11.9抜粋)

 生活現場が日に日に悪化する経済を嫌というほど実感させられているのに、あまりに政治が迷走している。
 政策そのものに、どれだけ国民の支持があるかはさておいても、経済再生に何より求められる迅速な決断と実行性が欠落していると言わざるを得ない。
 政府が追加経済対策の柱として盛り込んだ総額2兆円の定額給付金のことだ。(中略)
 定額給付金は「金融災害というべき百年に1度の暴風雨」(麻生太郎首相)の中で、追加経済対策の目玉として入ったが、支給方法などをめぐって政府・与党内で二転三転した。
 支給方式が定額減税から定額給付金へ変わったのが、その1つだ。当初、公明党は「ばらまき批判」が強かった地域振興券についての反省を踏まえ、定額減税を主張したが、自民党が減税に比べ機動的に実施できる給付金への切り替えを提案。事務の煩雑さの解消と支給対象の拡大による消費刺激効果の観点から給付金に落ち着いたという。(中略)
 そもそも「定額給付金」が消費拡大に結びつくかどうかは疑問視されている。景気が目に見えて悪化する中、給付金は貯蓄に回されるという見方が強い。2兆円を一括して医師確保対策や介護報酬の引き上げなど、中長期を展望した施策に使う方法があったのではないだろうか。





道路特定財源の公約どこに

―公明 半年前は「見直し」主張―
(『しんぶん赤旗』H20.2.2)

 ガソリン税など道路特定財源の暫定税率延長で、公明党は自民党とともに躍起となっています。しかし、公明党といえば、つい最近まで道路特定財源について「見直し」を打ち出していたはずです。
 2005年総選挙のマニフェストで公明党は、「6つの改革」の1つとして「自動車関係諸税の見直し」を掲げました。マニフェストには「自動車関係諸税は、公共事業5ヵ年計画や道路特定財源のあり方の検討にあわせ、見直します」と明記しています。特に、特定財源の1つ自動車重量税については「暫定税率の引き下げに挑戦します」(『公明新聞』H17.9.2)としていました。
 しかも、この公約は07年参院選のマニフェストでも一字一句違わず掲げられているのです。
 公明党は06年にも、運送業界が運賃の大幅下落や軽油価格の高騰により「事業存続の瀬戸際まで追い込まれている」「(暫定税率は)あまりにも税負担が重い」(『公明新聞』H18.7.29)として、軽油引取税暫定税率の一時凍結、撤廃を国土交通省に要望しました。
 この立場に立つなら、ムダな道路整備を加速させる暫定税率は廃止し、道路特定財源も福祉や教育などに使える一般財源にすべきです。
 ところが、公明党は暫定税率が廃止されれば通学路の整備や「開かずの踏切」対策に支障がでると主張。特定財源のうち「開かずの踏切」対策は全体の5%程度で、約4割が高速道・高規格道の整備に使われている実態をゆがめています。
 実際、冬柴鉄三・国土交通相は「(1987年に決めた高規格幹線道路整備1万4千キロのうち)65%強しかできていない」「十年以内でなんとしてでも通じるようにしたい」(1月18日の会見)と発言しています。
 冬柴氏は、05年マニフェストで道路特定財源の見直しを掲げた当時の公明党幹事長。公共事業の「見直し」どころか、毎年2千2百億円も社会保障予算を削りながら、十年間で59兆円を使い切る「道路中期計画」はなんとしても推進する姿勢です。
 公明党はさらに、「引き下げに挑戦」としていた自動車重量税についても、政府に「(現行税率を)ぜひとも確保していただきたい」(山口那津男参院議員、1月31日)と後押ししています。
 日ごろ「マニフェスト達成率ナンバーワン」を誇る同党ですが、わずか半年前の公約を投げ捨て、ムダな高速道路建設にまい進するようでは底が割れます。





"増税隠し""トリック"と指摘され

―公明党 しどろもどろ―
―テレビ朝日系番組「TVタックル」―

(『しんぶん赤旗』H19.7.11)

「悪質なトリックです」。日本共産党の小池晃参院議員は9日放送のテレビ朝日番組「たけしのTVタックル」に出演し、公明党の“増税隠し”をずばり指摘しました。


【定率減税廃止で大増税】
<“国民に謝りなさい”>
―小池議員ずばり―

 番組では、6月からの住民税大増税が論点になりました。
 まず、昨年は3万4千3百円の住民税が、33万2千6百円に増加した神奈川県在住の女性の実例を紹介。女性は、「納付書の金額を見ても、ゼロが1つ多いんじゃないかと思って…」「まさかここまで上がるとは思わなかったので。金額を見て思わずそのまま、ゴミ箱に捨てようと思った」と怒りを語りました。
 これを受けて、各党代表やコメンテーターらによる討論で―。
 公明党の福島豊衆院議員がパネルを示しながら切り出しました。「もう1つね、図をちゃんと見ておいていただいた方がいいと思いますので…」
 「税の総額は変わっていません」というタイトルのこのパネル。年収5百万円の4人家族の所得税と住民税の合計額が、「トータルでは変わらない」と説明する福島氏に、すぐさま「それはおかしい。まったくまやかしですよ」と切り込む小池氏。

<スタジオ騒然>
 パネルには、「定率減税廃止分は除く」と小さく記入されているだけで、税源移譲前の所得税・住民税の合計額のグラフと、税源移譲後のグラフがまったく同じ高さになっていました。
 「そんなもの(パネル)出しちゃだめだよ」と民主党の原口一博衆院議員が声を上げるなど、スタジオは騒然。
 コメンテーターの大竹まこと氏が、福島氏が示したパネルを取り上げて、「どこがだめ?どこがだめ?」といいながら、小池氏に運びました。
 小池氏は「定率減税廃止で、年収5百万円の4人家族で年間1万7千6百円の増税になった。その定率減税廃止分を除いて納税額を変わっていませんというのは悪質なトリックだ」「上がっているのに、わざわざ除く。こういうのは増税隠しなんですよ」ときっぱり。
 福島氏は、「定率減税分は中にちゃんと書いてある」「隠そうと思ってたわけじゃない」と苦しい言い訳。
 「何で隠したいかよく分かる」と、小池氏は、公明党が2003年の衆議院選挙の公約の中で、年金財源を口実に定率減税廃止を打ち出したことを指摘し、「だから、隠そうとしている」と批判しました。
 さらに、自民・公明両党が年金財源を口実に定率減税廃止と高齢者増税を実施しながら、その増収分(約2兆8千億円)の2割(約5千百億円)しか、年金財源に充当されていない実態を指摘した小池氏。「ウソ八百なんですよ、公明党のやったことは。国民に対してちゃんと謝らないとだめだよ」と迫りました。


【法人税下げ温存】
 コメンテーターの評論家、森永卓郎氏は、1999年度税制「改正」で定率減税とともに導入された法人税率引き下げが今も温存されていることを指摘し、こう強調しました。「企業の方だけは法人税率の引き下げを残して、個人だけ定率減税を廃止して増税をするというのは、景気が回復し、税制の抜本的改革の中に織り込むかたちで解消すると決めた法律にも違反している
 福島氏は「政治というのは時間の関数だ」と、意味不明の言い訳をするしかありませんでした。





「増税戦犯」プラス公約違反

―住民税増税 火消しに躍起ですが―
―消えた2兆円 どこへいった―

(『しんぶん赤旗』H19.6.30)

6月からの住民税増税に国民の怒りが沸騰しています。増税の旗を振った公明党は、火消しに躍起ですが、「増税戦犯」の事実も公約違反の事実も消せません。


【定率減税廃止を提案】
 公明党は「6月から住民税が増えるの?」(『公明新聞』H19.5.29)、「給与明細を見たら住民税が増えていた」(同H19.6.24)と、問答形式で住民税増税への釈明に追われています。
 それもそのはず。増税の原因は、自民・公明政権が決めた定率減税の廃止(所得税は1月、住民税は6月実施)だからです。
 定率減税廃止を言い出したのは公明党です。公明党は2003年9月に「年金100年安心プラン」を発表し、基礎年金の国庫負担引き上げの財源に定率減税の縮小・廃止を充てることを主張。同年の総選挙(11月9日投票)でこのプランを、マニフェスト(政権公約)として大々的に宣伝しました。
 公約どおり、自民・公明政権は、定率減税を05年度税制「改正」で半減(実施は06年)、06年度税制「改正」で廃止(実施は07年)することを決めました。
 公明党を「増税戦犯」と報じたのは『東京新聞』H16.12.16付です。「定率減税協議検証 公明“増税戦犯”恐れ『白紙に』 自民『言いだしたのはどっち!』」との見出しの同記事。翌年夏に都議選を控え、増税の「戦犯」にされるのを恐れ、与党協議で「定率減税の見直しはやらない」という公明党側に、自民党幹部が「許さない。もともと公明党が言いだした話だろう」と反発。結局、定率減税「半減」が決まったてん末を紹介。協議後、「公明党メンバーの1人は『うちが言い出しっぺだから、そこを攻められたらどうしようもない』と言って、力なく笑った」と報じました。
 「皆さん! 定率減税『全廃』は公明党のおかげです」(『週刊新潮』H19.6.28)というのは、いまや商業メディアでも常識になりつつあります。

[画像]:公明党の「増税戦犯」問題を報じる『東京新聞』H16.12.16

[画像]:定率減税「全廃」は公明党のおかげですと報じる『週刊新潮』H19.6.28



【「年金財源」のはずが】
―増税は公約通り。年金財源確保は?―
 公明党の03年総選挙での公約のうち、増税だけは着々と実行されました。ところが、定率減税廃止で年金財源を確保するという公約は、宙に浮いたままです。
 公明党の公約は次のようなものでした。
 「段階的に基礎年金の国庫負担割合を現行の1/3から1/2に引き上げます」
 「必要な安定財源(約2兆7000億円)について、所得税の定率減税を3段階で廃止して約2兆5000億円、一部の高額所得者への年金課税で約2000億円を確保します」(03年総選挙の法定ビラ)
 実際はどうなったのか。財務省によると、07年度時点(平年度ベース)、年金課税強化で約2千4百億円、所得税の定率減税の縮減・廃止で約2兆6千億円、あわせて約2兆8千4百億円の増収です。ところが、基礎年金の国庫負担割合引き上げのために充てられたのは、必要額の2割弱にすぎない約5千百億円だけです。
 この問題を国会で追及した日本共産党の小池晃議員は「計画どおり実行されたのは増税だけ。増税分の5分の1しか基礎年金の国庫負担に回っていないのは、国民に対する約束違反だ」(3月29日の参院厚生労働委員会)と批判しました。
 増税で庶民から吸い上げた約2兆8千4百億円のうち、残りの2兆3千億円を超える税金は、いったいどこへ消えてしまったのでしょうか。
 『公明新聞』6月24日付も「定率減税の廃止分は何に使われているのか」との設問に「一部が基礎年金の国庫負担引き上げの財源に充てられており」と「一部」しか年金財源に充てられていないことを認めています。
 定率減税だけでも、06年の半減で約1兆7千億円増税(所得税約1兆3千億円、住民税約4千億円)、07年の廃止でさらに約1兆7千億円の増税(同)をし、庶民の「安心」を脅かす自民・公明政権。その一方で、07年度に大企業減税(減価償却制度の見直し)と大資産家減税(証券優遇税制の延長)あわせて1兆7千億円の減税を実施。大企業・大資産家の「安心」にだけは熱心です。

[画像]:増税は公約通り。年金財源確保は?

[画像]:2003年の総選挙で配布された、公明党の法定ビラ

[画像]:定率減税を廃止しますと明記した『公明新聞』H15.10号外

[画像]:2003年の総選挙の公明党の法定ビラ





定率減税が6月に全廃、これが消費低迷の一因になっている

―定率減税の復活を、消費税率を引き上げる状況にはない―
(明大教授・高木勝<nikkeiBPnet on Yahoo!ニュース>WS070530)

 わが国の景気は2007年1月以降、変調の兆しを見せている。景気動向指数の先行系列は5ヵ月連続、また、一致系列は3ヵ月連続で各々50%割れを記録した。
 また、日銀「短観」を見ると、本年に入り企業の業況感に陰りが生じている。企業の生産活動や機械受注にも変調の兆候が見られる。本年1〜3月期の実質設備投資(GDPベース)も、前月比0.9%のマイナスだ。
 事態がこのまま続くと、景気が後退局面へ向かう可能性もなしとしない状況にある。このため、個人部門にとっても、以下のような政策・経営対応が不可欠になるのではないか。
 第1は、定率減税の復活である。個人消費が伸び悩み、消費者マインドも改善しない今日、政府・与党はこれまでの動きを謙虚に振り返り、定率減税の再現、1999年当時へのリターンを検討すべきであろう。また、今秋以降、消費税の税率引き上げ問題が浮上する見込みだが、増税しうる環境にはないことは確かである。
 第2に、企業は、従業員に対するメリット還元をもっと強力に進める必要がある。企業は国際競争力の向上を金科玉条にするが、賃上げやボーナスアップで内需を高めないと、企業の国内売上高が結局は落ち込むという点にもっと注目すべきである。また、非正規労働者から正規労働者へのシフトは、長い目でみると、企業経営の発展、安定化に多大な貢献をするはずである。

高木勝(たかぎ・まさる)1969年 慶應義塾大学経済学部卒業
1969年 富士銀行入行
1988年 富士総合研究所経済調査部長
1993年 研究主幹
1997年 理事就任
1998年 明治大学政治経済学部教授・経済評論家となり現在に至る。





負担増で庶民は“悲鳴”

―「増税戦犯」公明ダンマリ―
(『しんぶん赤旗』H18.7.29)

 お年寄りの住民税が数倍から十数倍、それに連動して介護保険料や国民健康保険料などが「雪だるま」式に膨れ上がる――生存権を脅かす増税・負担増に全国で怨嗟(えんさ)の声が広がっています。ところが、それをリードしてきた「増税戦犯」公明党はだんまりを決めこんでいます。
 『公明新聞』25日付は年金の“実績”の1つとして「基礎年金の国庫負担を09年度まで従来の3分の1から2分の1へと引き上げる」ことをあげていますが、その「財源」として同党が主張してきた年金課税の強化と所得税・住民税の定率減税の全廃にはふれていません。全国であがるお年寄りの増税・負担増に対する悲鳴についても、『公明新聞』は報じていません。


【骨太の方針誇る】
 それどころか同党は、社会保障を中心とした歳出削減をすすめ、消費税増税の方向を打ち出した「骨太の方針2006」を「公明党の主張が大きく反映」「歳出入両面で道筋示す」と誇っています。
 そもそも急激な増税・負担増となったのは、自民、公明両党が決めた2004、2005両年度の税制「改正」の内容――年金課税の強化と所得税・住民税の定率減税半減がいっせいに襲いかかってきたためです。(年表)

【マニフェスト掲げ】
 この年金課税の強化と定率減税の見直しを政党として真っ先に言い出したのが、公明党でした。
 同党は、それらを03年11月の衆院選「マニフェスト(政権綱領)」に掲げて大宣伝。04年の国会審議で撤回を求める声が出ても「年金を持続的にしていくには負担を若干増やしていただかないといけない。年金額は現在より減らしていただかないといけない。そのバランスが大事だ」(坂口力厚生労働相=当時、04年2月12日の衆院予算委員会)などといって強行したのです。

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【語 録】
―“高額所得者からとるだけ”―
◆(年金課税の強化と定率減税の見直しについて)高額所得の方々から、少し税金をいただこうという案だ(神崎武法代表、2003年10月10日の東京都内での街頭演説)

◆定率減税というのは、実際は中高所得者の方々に恩恵がいっている減税だ。大衆課税だとかそんな批判をされているが、とんでもない話だ(北側一雄政調会長=当時、03年10月19日のテレビ番組で)

◆我々はマニフェストの中で、年金課税の創設、定率減税の廃止と具体的に提案しているわけです。ほかの党では、ないんじゃないですか、そういうことを具体的に言っているのは(冬柴鉄三幹事長、03年11月25日の衆院予算委)

◆年金課税の見直しも行わないのであれば、どのようにして必要な財源を確保し、段階的引き上げを実現するのであろうか(長沢広明議員、04年8月5日の衆院本会議)

◆(年金課税について)現役世代からの収入だけでやっていくのでなく、やはり高齢者にも可能な範囲で負担をお願いしてやっていくことは大変大事だ(北側一雄国土交通相、05年3月4日の参院予算委)

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【庶民増税の経緯】

<2003年>
9月 公明党が衆院選マニフェストに「年金課税の強化、定率減税の見直し」を掲げる

12月 自民、公明両党が2004年度税制「改正」大綱で老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を明記


<2004年>
3月 老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を盛り込んだ増税法が自民、公明両党の多数で成立

12月 自民、公明両党が2005年度税制「改正」大綱で所得税・住民税の定率減税の半減、高齢者の住民税非課税措置の廃止を明記


<2005年>
1月 所得税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小を実施

3月 定率減税の半減、高齢者の住民税非課税措置の廃止を盛り込んだ増税法が自民、公明両党の多数で成立


<2006年>
1月 所得税の定率減税の半減を実施

3月 所得税・住民税の定率減税全廃を盛り込んだ増税法が自民、公明両党の多数で成立

6月 住民税の老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小、非課税措置の廃止、定率減税の半減を実施


<2007年>
1月 所得税の定率減税の全廃

6月 住民税の定率減税の全廃





「公明党は増税戦犯」(『東京新聞』)(仮題)

―公明党はなぜ「増税戦犯」とよばれるのか―
(『しんぶん赤旗』H19.2.24)

『公明新聞』23日付は、「『増税戦犯』は共産党が意図的につくり出した笑止千万のデマ」などという「編集メモ」を掲載しました。

【言いだしっぺ】
 「増税戦犯」という指摘は、一般紙が言い出した言葉です。『東京新聞』(2004年12月16日付)は、05年度予算での税制協議で「協議をぶちこわしたと自民党から宣伝される」ことより、「増税の戦犯となる」ことを選んだてん末を紹介しました。その記事でも、「うちが言いだしっぺだから」(公明党メンバー)と発言しているように、自ら自覚していた「増税戦犯」を、いまさら「デマ宣伝」といっても選挙目当ての言い訳にすぎません。
 公明党は03年総選挙での「マニフェスト」(政権公約)で「基礎年金の国庫負担割合の段階的引き上げ」を「理由」に、「所得税の定率減税及び年金課税の見直し」を掲げ、定率減税の廃止という増税と年金増税を提案したのです。総選挙後、自民党も公明党に同調して、与党の「税制改正大綱」に盛り込まれ、翌年の国会には増税法案提出に至りました。
 04年の国会では年金生活者への課税を緩和する「公的年金等控除」縮小、「老年者控除」の廃止が決められ、年金は1円も増えないのに税金だけが増えることになりました。
 05年には「住民税の高齢者の非課税措置」(所得が125万円以下)を廃止。また、所得税・住民税の定率減税を半減。06年には全廃しました。
 昨年6月、多くの高齢者が納税通知書をみて驚いたのは、04年の2つの年金課税が実施されたからです。しかも、住民税額と連動して決められる国民健康保険料や介護保険料もこれらの増税によって連動して増額。「雪だるま増税」という事態を引き起こし、庶民の悲鳴につながったのです。
 公明党は、こうした大増税路線を政党として一番初めに言いだしたのですから、「増税戦犯」といわれるのは当然です。
 「編集メモ」は、こうした「増税戦犯」ぶりを反省するどころか、「定率減税をただ廃止するのではなく国民に還元する道筋をつけた」と居直っています。しかし、増税の方はすべて実施されたのに、「国民への還元」と主張する基礎年金の国庫負担は07年度予算案を含めてもまだ5千億円しか増えていません。「不足」は消費税増税でという議論さえ強まりを見せています。

【大企業は減税】
 「編集メモ」は、庶民増税に一貫して反対してきた日本共産党に対し、「最後まで定率減税法案に大反対した」などと「難クセ」をつけています。しかし、定率減税は定額方式という特別減税に代わるものとして導入されましたが、定額方式に比べると、中低所得者では逆に増税になる仕組みでした。しかも、所得税の最高税率引き下げという金持ち減税と大企業優遇の法人税減税と抱き合わせでした。これに、日本共産党が反対したのは当然のことでした。
 逆に、定率減税の方は廃止しておきながら、企業減税・金持ち減税はそのまま温存する公明党の姿勢こそ大問題です。(K)





定率減税の半減 これでは納得できない

『沖縄タイムス』社説H16.12.17)

 「増税の時代」を迎えている。
 自民、公明両党は2005年度の与党税制改正大綱で、所得税と個人住民税の定率減税の5割縮小を決めた。
 所得税は06年1月、個人住民税は06年6月から実施される。家計負担は最大14万5千円となる。
 税制と社会保障を加えた現役世代の負担増は05年度で1兆1千億円、06年度までには3兆2千億円に達する。今回の増税分は基礎年金の国庫負担の引き上げの財源に充てられる。
 1999年、小渕内閣が景気刺激策として導入した定率減税の見直しは、税制が景気重視から財政再建へ舵を切った象徴ともいえる。
 国、地方の赤字が7百兆円、毎年の予算の半分近くが国債など新たな借金というのは正常とはいえない。
 高齢化社会が進む中で年金、介護など社会保障費の増も避けられない。
 財政再建と社会保障制度の安定は直面する課題である。
 しかし「増税大綱」が、景気への影響と国民の理解という2つの難関をクリアしたとはいえない。
 15日発表された日銀短観は、企業の景況感の悪化を裏付けた。定率減税縮減の理由とした景気回復の雲行きは怪しくなっている。
 増税が直撃する中所得者層を中心に、消費抑制へと進むと景気減速という危機に直面する。
 このため大綱は「経済状況に弾力的に対応」するとして06年度廃止は入れず、縮減の見直しも視野に入れた。
 97年の橋本内閣時代の消費税率上げによる景気後退の轍を踏むまい、ということもあってだろう。逆に財政再建が中途半端となるジレンマを抱え込んだ先送り策といえる。
 国民の理解を得ることはさらに厳しい。社会保障制度改革の全体像は示されず、「政治への信頼」も欠如したままだからだ。
 増税は定率分だけではない。05年度は公的年金保険料、雇用保険料の引き上げ、配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止など家計の負担が加速する。
 06年度改正ではいよいよ消費税の抜本改正が議論のまな板に載る。
 増税の大合唱のなかで、整備新幹線の新規着工が決まるなど公共事業の抑制や公金の無駄遣いをどうするのか。歳出削減に国の努力は見えない。
 年金未納騒ぎ、政治資金問題で失った政治の信頼回復もなされていない。
 財政再建、社会保障制度確立の重要性では国民の認識も同じである。増税は改革の全体像を示し、中身を国民が納得した上でなされるべきだ。





庶民に25%の大増税 首相も否定せず

―公明党が主張する 所得税定率減税の廃止―
(『しんぶん赤旗』H15.10.17)

公明党は、基礎年金への国庫負担を2分の1に引き上げるための財源として、所得税の定率減税を段階的に廃止する方針を打ち出しています。これについて、日本共産党の志位和夫委員長は9日の党首討論で、これが庶民増税になることを明らかにしつつ、「そういうことをしないとはっきりいえるのか」と、小泉純一郎首相の姿勢をただしました。首相は、それを明確に否定せず、14日の記者会見では、「消費税以外にも財源がある。それを探すのが政治だ」と、定率減税廃止に含みを残しました。庶民大増税になる、その内容を見てみました。

<年収800万世帯7万円の増税>
 所得税の定率減税とは、所得税率(累進税率)をかけて算出した税額から、その20%(上限25万円)を差し引くという減税措置です。
 この所得税の定率減税を廃止すると、いったい、どれだけの増税になるでしょうか。
 財務省がよく使う「サラリーマン世帯モデル(片働き夫婦、子ども2人=うち1人は16歳以上23歳未満=の4人家族)」で、年収ごとに試算すると、表のようになります。
 例えば、年収800万円の世帯では、現在の税額の28万4千800円より7万1千200円増え(増税率25%)、35万6千円にもなります。
 同様に、年収400万円から年収1千万円の低中所得者では、増税率は一律25%にのぼります。
 ところが、年収1千309万円以上になると、その増税率は急激に少なくなり、年収1億円では増税率は2・45%にまで縮小します。

<サラリーマンや事業者にも>
 この「定率減税の廃止」による増税は、サラリーマンだけでなく、個人事業者など所得税を負担するすべての国民に同様にふりかかるものです。高額所得世帯ほど増税率が小さい一方、中低所得世帯は25%増の大幅な増税になるわけで、庶民大増税そのものです。
 この「定率減税の廃止」による増税の規模は、財務省によると年間約2兆5千億円。基礎年金への国庫負担を現在の3分の1から2分の1に引き上げるために必要な財源は、年間2兆7千億円。この点でも、小泉首相の狙う「消費税以外の年金財源」が、この庶民増税である疑いは濃厚です。

<所得税の定率減税の廃止による増税額(試算)>(単位:万円)
給与収入現在の納税額増税額増税率(単位%)
300000.00
4003.920.9825.00
5009.522.3825.00
60015.123.7825.00
70021.045.2625.00
80028.487.1225.00
90041.2810.3225.00
100055.0413.7625.00
110069.617.425.00
120084.1621.0425.00
130098.7224.6825.00
1400116.62521.44
1500141.22517.71
2000283.7258.81
5000689.23253.63
100001021.73252.45
(注)給与収入は、サラリーマン世帯(片働き夫婦、子ども2人=うち1人は16歳以上23歳未満=の4人家族というモデル世帯)の年収額





税制の基本方針を狂わせる要求(仮題)

−深まる政治不信−政界もメディアも学会汚染−
(川崎泰資=椙山女学園大学教授『フォーラム21』H15.1.1)

 自民党は、もはや「自公党」と党名を変えたほうがいいのではないか。公明党が政権入りして以来、自民党は単独政権ではできなかったタカ派政策を実現させた。その上、去年の衆参両院の統一補欠選挙では、公明党・創価学会の組織力で辛うじて勝利したことで小泉首相は公明党の言いなりにならざるを得なくなったようだ。
 年末の税制改革では、公明党は児童手当の増額を条件に発泡酒や煙草の増税を認める取引を行った。公明党は来年の統一地方選挙に向けて、支持者向けに児童手当の増額は我々が勝ち取ったと宣伝し、酒税などの増税には反対したと責任を回避する狡猾さだ。
 一方、今年にも予想されるアメリカのイラク攻撃に関連して、米側から強い要請のあったイージス艦の派遣を決めた時も、事前に暗黙の了解を与えておきながら、政府が与党3党の幹事長会談で正式な決着を計ろうとすると俄に反対を表明し、責任を逃れる。
 結局、自民党は公明が「平和と福祉」の党を強調するため、政権の中での批判勢力ぶりを示し格好をつけることに協力するだけで、税制の基本方針を狂わせる要求も安易に受け入れる始末だ。この手口は公明党が自衛隊の海外派遣を認めた自衛隊法の改正案やテロ対策特別措置法に賛成したり、国歌・国旗法、盗聴法に賛成して以来、一貫している。
 これが通るのも、小泉首相が自らの政権維持のために変節し、池田創価学会名誉会長に見苦しい程のすり寄りをみせたことと無縁ではない。11月2日、公明党大会に来賓として出席した小泉首相は、南アフリカで池田創価学会名誉会長の写した写真をみて感動したと、池田氏を礼賛し、公明党に「与直し政党」として発展することを期待していると述べた。
 政教分離をはたしていない公明党・創価学会に対する批判が厳然とある中で、公明党の大会でわざわざ創価学会の最大実力者を話題に取り上げる挨拶は、極めて計画的で小泉首相が自ら政教一致の実態を容認したのも同然である。選挙での票欲しさ、政権の維持を優先させたとはいえ、余りにも無節操、見識の無さは呆れるばかりだ。
 だがこの事をメディアは、小泉首相の挨拶として事実を伝えるだけで、民主政治の根幹に関わり憲法違反の疑いのある行為を解説もせず論評もしないという情けなさだ。これが広告や聖教新聞の印刷などの金権支配に屈し、学会に頭のあがらないメディアの現実で、ジャーナリズム性を放棄する迄に至った「学会汚染」の浸透する悲劇である。
 2003年、今年の政治は4月の統一地方選挙に始まり、通常国会、9月の自民党総裁選挙と続くが、年末に民主党が菅党首で戦う姿勢を見せ野党の連携を目指す方向を明らかにした。この結果、党内から保守系の議員が離脱の動きを見せ、連動するように与党の保守党の野田党首が自民党への復党を仄めかすなど政局は流動化の気配を示し始めた。
 経済政策が行き詰まっても「政策転換」と認めず、政策強化と誤魔化し、不良債権の処理は竹中担当相に「丸投げ」、道路公団民営化委員会の審議も今井委員長が辞任し高速道路の建設慎重派が出した答申に自民党や官僚が抵抗し無視する態度を取っても首相は「これからが政治です」と言うだけ。郵政の民営化でも同じような経緯を辿った。
 小泉内閣の公約は何だったのか。「改革なくして成長なし」「反対するなら自民党を潰す」と大見得を切って得た高い内閣支持率をテコにパフォーマンスを駆使した政治。
 それに協力したのがメディアだ。1日1回はテレビカメラの前に立ち、顔を出して自分に都合のいい台詞だけ喋り、それをテレビが無条件に放映し格好がいいと人気になる。
 小泉首相が偽装報道と記者を茶化したり、政策転換を迫る与党議員に、分からないのは「節穴」と常軌を逸した言動に出てもメディアは反撃も批判もしない。政治と金の問題で責任を問われながら、改造内閣で起用した大島農水相の秘書官の口利き疑惑には頬冠り、「拉致問題の解決なくして国交正常化交渉はない」と言明しながら日朝ピョンヤン宣言に署名した責任。「丸投げ」「先送り」「詭弁」の連続の政治手法は政治不信を増大させるだけだ。テレビを利用する首相に迎合する放送とそれを垂れ流す新聞は無責任過ぎる。
 政治を正常化するにはメディアがジャーナリズム性を取り戻すことが不可欠である。