南米(ブラジル・アルゼンチン)裁判報告対談

―試練を乗り越えさらなる南米広布へ前進―
―ブラジル 前御法主日顕上人猊下が御親修あそばされ
   平成17年7月、晴れやかに新寺院の落慶入仏法要を奉修―
―アルゼンチン 日蓮正宗の姿を正しく認識し、再び宗教法人登録
   宗教省代表がブエノスアイレスの布教所を親善訪問―

(『大白法』H22.5.16/<知道寺>WS)

 南米(ブラジル・アルゼンチン)では、これまで長年にわたって、SGl(創価学会インタナショナル)による様々な画策により宗教活動が妨害されてきた。その妨害工作は、当該政府当局をはじめ、マスコミ関連、他宗教、近隣住民等を巻き込んで行われ、日蓮正宗に関して虚偽の告発や悪宣伝を流したため、ブラジルでは、御法主上人猊下をはじめ関係者の入国ビザ申請が却下され御親修法要が延期されるに至り、アルゼンチンでは、宗教法人登録抹消処分、宗教活動停止にまで追い込まれた。
 この影響は非常に大きく、南米ばかりではなく、他の海外各国の布教活動にも悪影響を及ぼすほどの深刻な事態に陥(おちい)った。
 宗門はその打開のため、様々な方策を講じると共に、クロウ事件でも実績をあげたH・ジェイ・カルマン弁護士を筆頭とする弁護団を再編し、両国の政府関係者等に日蓮正宗の真実の姿と活動内容を正しく判断してもらうよう努めてきた。こうした弁護団と関係各位の多年にわたる尽力が功を奏し、今般の解決に至ったわけである。
 今回は、南米での一連の問題を解決した弁護団の中心者であるカルマン弁護士を迎え、南米問題の本質に触れながら解決に至るまでを秋元渉外部長と語り合っていただいた。
 
〈秋元渉外部長〉カルマン先生、また大石寺にようこそおいでくださいました。
〈カルマン弁護士〉ありがとうございます。総本山に来て秋元渉外部長と御僧侶の皆さん、もちろん御法主上人猊下ともお目にかかれるのはいつも楽しみです。
〈秋元〉数年前にはクロウ事件の件でインタビューさせていただきました。あの事件ではワシントン州シアトルにおいて仕事をする機会が多かったと思いますが、最近ロサンゼルスからシアトルの近くに引っ越されたそうですね。
〈カルマン〉はい、クロウ事件の仕事をしている間にシアトルがとても気に入ったものですから、引っ越すことにしました。それで、最近シアトル郊外に家を買ったんです。ただ家を離れることが多くて。主に宗門の仕事のためですが。
〈秋元〉そうでしょう、今日はその仕事のお話をお願いします。まず、これまでどんな仕事をなさってきたか、お伺いします。
〈カルマン〉はい。喜んでお答えします。私はクロウ事件の仕事が終わって1年ほどしてから、宗門の海外での別件の仕事をするようになりました。そして平成16年頃から私のメインの仕事は、ブラジルで宗門が置かれていた困難な状況を好転させるという仕事になりました。現地では信徒の宗教活動の自由が脅かされ、サンパウロの正法寺が開設できなくなっていました。私はブラジルの弁護士たちとも協力して取り組んだ結果、何とか状況を好転させることができ、正法寺も平成17年7月に無事落慶法要を営むことができました。それ以降ブラジルでは大きな問題はありません。
 ブラジルでの仕事を終えた後は、アルゼンチンの問題に取り組むことになりました。日蓮正宗にはここでもブラジルと同じような障害がありまじた。と言うのは、アルゼンチン政府が、同国内での日蓮正宗の活動を非常に難しくするような処置を取っていたからです。ここでも弁護士をはじめ各方面の専門家の力をお借りして、やっと状況を好転させることができました。今は、アルゼンチン政府を味方と考えていいところまで漕(こ)ぎつけました。
〈秋元〉私もよく覚えていますが、あなたが南米での仕事に取りかかった頃は、ブラジルでもアルゼンチンでも宗門は非常に厳しい状況に置かれていました。一体どのような状況にあったのか、また状況を好転させるためにどのようなことを行ったのか、詳しくお話いただけますか。まずブラジルについてお聞かせください。

<ブラジルにおける深刻な状況>
〈カルマン〉私がブラジルでの仕事に取りかかったときには、全くひどい状況と言ってよかったと思います。ブラジル政府は日蓮正宗に敵対する者たちが流したデマを根拠に、日蓮正宗僧侶のブラジル入国を禁じる決定を出していたのです。
〈秋元〉でもその頃、サンパウロの寺院とアングラ・ドス・ヘイスの布教所には既に日蓮正宗の僧侶がいましたが。
〈カルマン〉そうです。その人たちは入国禁止令が出る前にブラジルに入っていました。しかし、たとえば総本山での儀式に参列するために1度でもブラジルから出国すると、もうブラジルに戻れないことになっていたのです。しかもブラジル政府は、既にブラジルにいる御僧侶へのビザ発給も制限しようとしていました。もしそうなっていたら、御僧侶方は出国を余儀なくされて二度と入国できなくなっていたはずです。
 状況がいかに深刻だったか、1つ具体的な例を挙げてみましょう。覚えているでしょう、渉外部長と何人かの御僧侶が、日蓮正宗の日本人弁護士である管弁護士と私と共にアルゼンチンのブエノスアイレスに行ったことがありました。平成15年の7月でした。この時はブラジルを短期間訪問する予定でした。管弁護士はブエノスアイレスまで御僧侶方と同行し、ブラジルにも2、3日滞在する予定でしたが、主な用向きとしては日本弁護士連合会を代表して国連の人権促進・保護小委員会に出席するため、スイスのジュネーブへ向かう途中でした。菅弁護士のジュネーブ行きは、宗門の仕事とは全く関係ありません。しかし菅弁護士がサンパウロ空港に到着すると、日蓮正宗の御僧侶と同行しているという理由だけでブラジル入国を拒否され、すぐに出国させられました。もちろん、渉外部長と他の御僧侶もブラジルへの入国を拒否され、すぐに出国させられました。
 この一例だけでいかにひどい状況だったかよくお判りでしょう。ブラジル政府は、ジュネーブの国連での公式の会議に向かう途中に乗り換えで立ち寄った弁護士までも、日蓮正宗の御僧侶に同行しているというだけの理由で入国させなかったのです。
〈秋元〉7年前でしたね。では、あなたがこの大きな問題にどう立ち向かったかをお伺いする前に、そもそもブラジル政府はなぜ日蓮正宗の僧侶や、その同行者までも入国させなくなったのでしょうか。
〈カルマン〉読者の方々もよくご存知の通り、前御法主日顕上人猊下は平成3年に創価学会を破門し、平成4年にはその名誉会長・池田を信徒除名にしました。それ以来、創価学会は日本だけでなく外国でも日蓮正宗の活動を妨害しようと躍(やっ)起(き)になりました。ブラジルでは政府が日蓮正宗に関する様々な嘘を信じ込まされていて、日蓮正宗は750年以上の歴史を持つ合法かつ平和的な宗教であるのに、何か犯罪組織に近い集団だと見られるようになっていました。日蓮正宗を貶(おとし)める活動の多くは政治家や官僚に対してこっそり陰に隠れる形で始まったため、宗門がこれに気づいて対抗するまでにしばらく時間がかかりました。当方が対抗手段を取るまでに、しつこいデマが影響して、ブラジル政府の多数の人が日蓮正宗について様々な嘘を信じ込むようになっていたのです。
 また創価学会の関係者は多くのブラジル政府機関等に対して、日蓮正宗を非難する告発を行いました。それは各地の連邦警察、連邦検察局、司法省、外務省、インターポール・ブラジル事務所、さらにはブラジル上院まで及びました。日蓮正宗に対する告発は取るに足りない根拠薄弱なものであることが後に判明しましたが、そのせいで連邦警察による捜査が始まり、それが長期間に及びました。そして、警察の捜査対象となっているということで、日蓮正宗の御僧侶方はブラックリストに載せられ、ブラジルへの入国を禁止されたのです。しかも創価学会の関係者は、こうした日蓮正宗に関する根拠のない告発によって、ブラジル上院にまでも日蓮正宗に対する調査を始めさせることに成功したのです。
〈秋元〉ブラジル政府内には、日蓮正宗の敵となっていた人が大勢いたようですね。
〈カルマン〉ええ、全くその通りです。ただその人たちも何種類かに分けられると思います。第1は「悪者」と呼ぶしかない人たちです。全く客観性がなく、事実がどうあろうと、とにかく日蓮正宗の邪魔をすると決めた人たちです。ご存知の通り、ブラジルもアルゼンチンも汚職の長い歴史があることで有名ですので、私も初めは、汚職のためにまっとうな解決をすることができないのではないかと心配していました。実際、私がブラジルでの問題に取り組んでいた頃、「アナコンダ作戦」という名前でサンパウロの連邦警察官に対する大規模な汚職捜査が行われたほどです。この捜査で警察官や公務員が何人も起訴されました。事実、詳しいことは判りませんが、宗門に対して多数のトラブルを招いていた警察官の1人は、多数の事件から担当を外されました。この汚職捜査の結果と思われます。
 ブラジルのような不当な状況を正す際に、腐敗した人たちや、創価学会とそれに近い政治家の影響で強い偏見を抱くようになった人たちは、もちろん頼りになりません。こちらが何を言っても聞く耳を持ちませんから。他方、政府内には公正で客観的であろうとする人もいましたが、彼らですら日蓮正宗に対する一方的な悪宣伝を聞いて既に偏見を抱いていたのです。私がブラジルでの状況改善に取りかかった頃には既に、公正で客観的であろうとする多くの官僚も「悪者」たちの影響で、日蓮正宗という団体には何かおかしなところがあるに違いないと思うようになっていました。そのため、まず公正な人たちに話を聞いてもらい、客観的な事実を知ってもらうところまでいくのがたいへんでした。
〈秋元〉ある人物や集団について悪いことばかりを聞かされると、事実とは関係なく悪い噂を信じてしまったり、何割かは事実が含まれていると考えてしまうのが人間の性質なのでしょう。
〈カルマン〉そうですね。そしてある人間や集団に対して一度悪い印象を抱くと、その印象を変えるには心理的な抵抗がつきまといます。私たちの仕事はこの抵抗を打ち破って、日蓮正宗がブラジル政府から不当な扱いを受けたこと、それを撤回する必要があることをブラジル政府内の公正な人たちに納得してもらうことでした。
 この点については面白い話があります。私がブラジルで共に仕事をすることになった女性弁護士は、後には状況を好転させるについて大いに貢献してくれたのですが、その人が後で話してくれたことです。私が彼女のもとへ仕事の依頼に行って、日蓮正宗の犯罪や悪行に関する告発はすべて間違いだと詳しく説明したのですが、彼女は初め私の話を信じていなかったと言うのです。日蓮正宗についてはあらゆる悪い噂があるのに、全部が嘘とは思えないと。私は創価学会と日蓮正宗の間のもめごとやその影響を詳しく説明したのですが、それでも初めは疑っていたと彼女は言うのです。本件の仕事をするようになり、何が起こっているかをその目で見てやっと、私が説明した状況と不正義が本当なのだと納得したそうです。
 私たちが直面した根本の問題は要するに、人間は同じ嘘や誇張を何度も聞かされると信じてしまうということでしょう。ブラジルでの日蓮正宗に対する悪い宣伝は初めのうち陰でこっそり行われていたので、私たちが悪宣伝に気づくまでは嘘や誇張に反論する機会もありませんでした。その時にはもうすべての人の頭に嘘や誇張が定着してしまっており、そうなると反対の証拠に耳を貸してもくれないのです。ブラジルの問題について私が仕事に取りかかった頃は、だいたいそんな状況でした。
 汚職ということにちょっと触れましたが、1つ大事なことを言っておきます。日蓮正宗の被(こうむ)ったトラブルの中には、汚職によって引き起こされたものもあったことが十分考えられましたが、当方では現場での厳しいルールを作りました。私たち自身は賄賂などの汚職には手を染めないということです。理非曲直をもってのみ問題解決に当たるということを徹底しました。この点については、宗門と私の間で意見が百パーセント一致しており、仕事の基本線になりました。

<ブラジル政府は宗門への認識を一変>
〈秋元〉カルマン先生は最終的にはこの政府・警察・司法関係等に及ぶ非常に難しい状況を好転させ、ブラジルでの日蓮正宗の権利と名誉を回復なさったわけです。どうやってそこまでたどり着いたのですか。
〈カルマン〉最初の仕事はしっかりした専門家のチームを作ることでした。主力となるのは政府内で耳を貸してくれる人たちに事実を説明していく弁護士たちです。そのためには、誠実さの点で尊敬されている弁護士を集める必要がありました。それから私が弁護士たちに、正統かつすばらしい宗教としての日蓮正宗の長い歴史、ブラジルでの経緯などの事実を詳しく教えました。これで弁護士たちは官僚に事情を正しく伝えられるようになりました。その次は、ありのままの事実の力と説明を行う弁護士たちの説得力によって政府官僚の心理的な抵抗を破り、日蓮正宗に対する政府のこれまでの行為が間違った誘導によるものだったことを改めて客観的に検討してもらえるようにしたのです。
 努力の一環として、日蓮正宗への根拠のない主張に一つひとつ反論し、日蓮正宗の歴史を説明する文書をブラジルの弁護士たちと共に作成し、政府に提出しました。相手側の主張が相当にひどいものであったこともここで言っておくべきでしょう。たとえば日蓮正宗は幼児性愛を行っているとか、マネーロンダリングのための集団だとか、僧侶たちが学歴を偽(いつわ)る卒業証書を使って入国しているとかです。私たちは長文の反論を提出すると共に、司法省、外務省の高官などとの会談も行いました。この努力が実を結んで、話を聞いた官僚たちもようやく、日蓮正宗の僧侶に対する入国禁止など、大きな間違いをしていたことに気づいてくれました。そして事情が判っていくにつれて、日蓮正宗に対するあらゆる制限を撤回してくれました。私自身は政府官僚との会談には出られなかったのですが―ブラジルの弁護士たちが出席しました―会談での話について報告を受けています。ある報告によりますと、いろいろと日蓮正宗に不利な行為を積極的にしてきた官僚の1人がこう言ったそうです。「どうして真相に気づくのにこれほど時間がかかったのだろう?」と。ブラジル政府は日蓮正宗に不利な扱いをしてきたが、それは日蓮正宗の活動を妨害しようとする連中の数々の嘘や誇張のせいだった、どうして気づくのがこんなに遅れたのかという意味です。

<サンパウロ・正法寺>
―前御法主日顕上人猊下の大導師により入仏法要を盛大に挙行―

〈秋元〉既にご説明がありましたが、ブラジル政府の処置によって、サンパウロの寺院の落慶法要ができなくなっていました。落慶法要の際には、あなたもブラジルの弁護士たちと一緒にご列席くださいました。落慶法要に至るまでの経緯を話してください。
〈カルマン〉はい、寺院開設に向けては、宗門もブラジルの法華講の皆さんも、また私たち弁護士はじめ各方面の専門家もたいへんな準備を行いました。サンパウロは治安があまりよくないので、御法主上人猊下と、ブラジルまで同行した方々の安全確保が心配でした。私は安全などの理由から、米国からサンパウロまでは飛行機をチャーターするよう提案しました。そのほうが安全面でもよいし、何か起こっても対応し易いからです。また、訪問中に保安上の問題が起こっても対応できるよう、セキュリティ会社とも協力しました。
 しかし私が心配していたのは安全だけではありません。ブラジル政府は日蓮正宗を迫害する方針を転換したものの、たとえば汚職とか堕落した警察官など下級の公務員との間にトラブルが起こるかも知れないという心配がありました。そこで私はブラジルの弁護士の1人にサンパウロに向かうチャー夕ー便に同乗してもらい、またもう1人の弁護士には、入国時のトラブルに備えてサンパウロの空港で待機してもらいました。
 まさに心配していた通り、サンパウロ空港に着いて入国審査場に向かう途中で、連邦警察官が何人も現れ、私たちは空港に2時間以上も足止めされて、国外退去にするぞと脅されたのです。責任者らしき警官はたまたま日系人のようでしたが、私たちに、「サンパウロには既に寺院があるのに、なぜわざわざ別の寺院を開設するのか」と尋ねてきました。既にある寺院というのは創価学会の一乗寺のことで、この警官が並の警官よりもはるかに創価学会と日蓮正宗について知っていることは明らかでした。空港で足止めされた状況にも、この警官の発した質問にも非常に疑問があったので、そのとき私は、本当に国外退去させられて落慶法要が予定通りにはできなくなるかも知れないと思いました。
 足止めされている間に幸い、空港で待機していた弁護士と電話が通じたので、彼が長時間にわたり電話を使って首都ブラジリアにいる政府高官の介入を求めてくれました。このとき既に夜遅くになっていたため苦労したようです。しかし夜の11時頃になって、ブラジリアにいる高官から空港の警官たちに私たちを入国させるよう直接の命令が出て、やっとブラジルに入国できました。寺院の落慶法要は大成劫で、感激的でした。
〈秋元〉お話から考えますと、ブラジルでの問題は政府に高いレベルでは解決したけれども、日蓮正宗の足を引っ張る人はまだいるかも知れないということですね。
〈カルマン〉残念ながらそのようです。事実、サンパウロへの飛行機に同乗してくれたブラジルの弁護士は初め、同乗は必要ないんじゃないか、政府が日蓮正宗に対するこれまでの制限を公式に撤廃した以上、トラブルは起こらないだろうと言っていたのです。それでも私は、ブラジルに着いたら何が起きるか判ちないから、ぜび同行してくれと頼みました。
 ブラジル政府が以前よりかなり好意的になってきたのは有り難い限りですが、今後も問題は生じ得ると覚悟しておかねばならない、それが大きな教訓だと思います。過去に妨害をしてきた人たちは今も政府内にいて、最近の政府の動きによってその力はだいぶ弱まったとは言うものの、将来状況が変われば、また新たな問題が出てくる恐れがあります。

<ブラジル上院も真相を究明>
〈秋元〉ただブラジル上院の動きについてたいへんすばらしい知らせがあって、これでだいぶ安心になったのではないかと聞いています。
〈カルマン〉ええ、既に述べました通り、ある創価学会の関係者がブラジル上院に対して、日蓮正宗に不利な行動を取るよう求める文書を提出していました。これは前例のない要請ですから、それだけでブラジル上院の不(ふ)興(きょう)を買いそうなことです。それでもある上院議員がブラジル政府の各部局に対して、日蓮正宗に関する報告を上院に提出するよう求めました。その時点では、日蓮正宗に不利な報告も出てくるのではないかと私たちは心配していました。日蓮正宗に対するこれまでの不当な扱いについて、司法省と外務省を説得する作業はまだ終わっていなかったからです。しかし当方のブラジル人弁護士たちが、司法省に出したのと同じ情報、特に日蓮正宗に関する主張が嘘である証拠を、有力な上院議員たちに提供しました。上院が政府各部局からの報告を待つ間に、状況は当方の有利に変わっていきました。結局のところ、各部局から上院に出された報告に日蓮正宗に不利なものは全くなく、好意的なものばかりでした。
〈秋元〉各部局から報告を受けて、ブラジル上院はどうしましたか。
〈カルマン〉結論はブラジル上院の報告書に詳しく書かれています。この報告書の内容には、出席した委員の全員が賛成しています。この上院報告書の内容は、上院に対して日蓮正宗への不利な扱いを求めた(そしてブラジル政府の他の部局に日蓮正宗を告発した)創価学会関係者は、ブラジルの行政府と立法府の両方を不当に誘導して日蓮正宗に打撃を与えようとした、というものです。また報告書によれば、創価学会関係者は政府機関に対する申立権を濫(らん)用(よう)して、日蓮正宗信徒の信教の自由という基本的権利を侵害しようとしたと述べています。さらに報告書には、日蓮正宗やその僧侶について何の問題も見受けられなかったことを証するブラジル政府各部局の文書記録も添えられています。
 要するにブラジル政府の各部局が1つの公式文書を作り、日蓮正宗には何の問題もないこと、そして創価学会関係者が不当な活動によって、ブラジル政府に日蓮正宗の僧侶・信徒の信教の自由を侵害させようとしたことを認めたのです。将来については断定できませんが、ブラジル政府の最近の行動と、それが公式の文書となったことは、今後ブラジル国内で起きる同種の悪宣伝から日蓮正宗の身を守る上で確実な根拠となるはずです。

<アルゼンチンにおける問題の経過>
〈秋元〉ブラジルでの事情をご説明くださってありがとうございます。ではアルゼンチンの話に移りましょう。皆さんよくご存知の通り、同地ではおよそ10年もの間、日蓮正宗は深刻なトラブルを抱えておりました。
〈カルマン〉そうです。平成10年頃からごく最近まで、アルゼンチンの政府も日蓮正宗と信徒の宗教活動に大きな制限を加えていました。ブラジルとアルゼンチンの間には一種の共鳴の関係があるため、初めは日蓮正宗にとってマイナスでしたが、最近ではプラスに働いています。
〈秋元〉共鳴の関係とはどういうことでしょう。
〈カルマン〉そうですね、すぐにまた詳しくご説明しますが、アルゼンチン政府は平成10年に日蓮正宗の宗教法人登録を抹消しました。この登録抹消処分は平成11年にアルゼンチンの裁判所が出した仮処分決定によってその効力が停止されましたが、創価学会の関係者はこのアルゼンチンでの登録抹抹消の話をブラジル政府に示して、日蓮正宗の悪宣伝を行ったのです。要するに、アルゼンチンが日蓮正宗を禁止したのだから、ブラジルもそうしなさいというわけです。ブラジル政府にこの話が示されたときには既にアルゼンチンの裁判所によって仮処分が出て「登録抹消」の効力が停止されていたのですから、あたかもその効力が続いているかのように言うのは間違っているのですが、やはりブラジル政府の一部の人たちは影響を受けたようですね。それから後にブラジルが日蓮正宗僧侶の入国を禁止すると、今度はアルゼンチン政府に対して「ブラジルは日蓮正宗を禁止した、だからアルゼンチンも同じようにすべきだ」と主張したのです。両国に共鳴の関係があったと言うのはそういうことなのです。
 もう1つ付け加えたいのは、ある国で日蓮正宗にとって不利なことがあると、その事実が他国政府に同じ処分をせよと説得する理由になりますので、これからは世界的な視野を持った対応がたいへん重要であるということです。これはブラジルとアルゼンチンの問題を解決する過程で痛感した教訓です。
〈秋元〉アルゼンチンで日蓮正宗の仕事に取りかかった頃、初めはどういう状況であったか、お願いできますか。
〈カルマン〉まずご説明したいのは宗教全般について、ブラジルとアルゼンチンでは政府の方針に多少の違いがあることです。ブラジルの憲法と国家組織は宗教とは分離された、いわゆる政教分離原則に基づいたものになっています。ブラジルはカトリック教徒の人口でいうと世界最大なのですが、政府そのものは1つの宗教を優先することもないし、宗教を専門に扱う政府機関もありません。そのため、日蓮正宗がブラジルで経験した問題はだいたい司法省、外務省、連邦警察によるものであって、宗教問題を専門とする部局ではなかったのです。
 これに対して、アルゼンチンの憲法ではブラジルと同じく信教の自由は認められているものの、国家はカトリックに支援を与えると定めています――公式の国教ではありませんが。さらに非宗教的な国と違ってアルゼンチンには宗教省があります。たとえば第1にアルゼンチン国内のカトリック以外の宗教はすべて宗教省に登録する義務があり、さもないと宗教法人として存在できません。さらに宗教省には、正当な理由があれば登録を抹消する権限があります。ただし日蓮正宗の場合、同省が登録を抹消する正当な理由はなったと今では認められています。
 公平を期すために言っておかねばなりませんが、アルゼンチンでは現在、カトリック以外の宗教について登録の義務をなくすかどうか検討中のようです。間もなくこの義務づけが廃止されても、私は不思議ではないと思います。ただアルゼンチンで日蓮正宗がトラブルに遭っていた時期は、基本的には今申し上げたような状況で、現在も同じです。
 こうした背景の中で日蓮正宗はトラブルに巻き込まれていったのです。創価学会は平成8年の時点で既に、日蓮正宗の宗教法人登録を却下するよう、宗教省に訴えていました。初め宗教省は創価学会の求めに応じず、日蓮正宗は法人登録されていました。しかし平成10年に状況は変わりました。1つの理由は様々な政治要因、もう1つはブエノスアイレスの担当教師の発言でした。この発言はいささか敵対的、挑発的だったかもしれません――私の知る範囲だけですが、日蓮正宗の教えにも厳密には沿っていないようですし。
 ただ言っておかねばなりませんが、所属する僧侶の誰もがいかなるときも間違いを犯さず、不適当な行為も絶対にしない、そんな宗教団体は滅多にありません。そして宗教団体の本質とは無関係な、たまたまの間違いがあったからといって、それを根拠にその宗教団体全体を非難することなどはまずあり得ないことです。
 しかし日蓮正宗は創価学会との争いのためにもともと目をつけられており、担当教師の発言は特にアルゼンチン宗教省に注目されてしまいました。それからアルゼンチン政府は日蓮正宗を注視し始め、ついには登録を取り消したのです。
 ここで大事なことは、客観的に見れば誰でも判りますが、担当教師の発言は日蓮正宗の登録を抹消する主な理由だったのではなく、単にきっかけに過ぎなかったことです。アルゼンチンの法律を公正に解釈すれば、発言だけで登録抹消の十分な根拠とはなりません。すぐ後で詳しくご説明しますが、今ではアルゼンチン政府もそのことを認めています。
 アルゼンチンの状況を理解する最大のポイントは、日蓮正宗が以前から、創価学会が政府に対して行うロビイング活動(陳情運動)の標的になっていたことです。あの頃には、アルゼンチンのメネム大統領とコアン官房長官が創価学会と密接な関係を絡んでいたことが判っています。たとえばメネム大統領は少なくとも1度、池田と会っています。またコアン官房長官は聖教新聞本社を訪れ、創価大学から名誉学位や表彰を受けています。密接な関係の証拠を探すのに苦労はいりません――創価学会の新聞に自慢げに書いてあります。この関係については宗教省が日蓮正宗の登録を抹消しただけでなく、登録抹消が大統領令によって追認された点が注目されます。アルゼンチンの近代の歴史でもあまり例のない行為と言えます。
〈秋元〉登録抹消のせいで、アルゼンチンの布教所が何ヵ月か全く活動できなくなったことを覚えています。
〈カルマン〉ええ、日蓮正宗の宗教法人登録が取り消された以上、布教所の活動は非合法ということになります。ただ日蓮正宗が当時依頼していたアルゼンチンの弁護士が裁判所に行って、数ヵ月後に法人登録抹消の処分を一時停止し、布教所の再開を認める仮処を取ってきてくれました。もちろんそれでも、信徒と日蓮正宗が打撃を受けたことに変わりはありません。仮処分が出るまでの間は、布教所で宗教行事を行うことはできなかったのですから。
〈秋元〉仮処分の状態での活動はいつまで続いていたのですか。
〈カルマン〉驚かれるかも知れませんが、アルゼンチンでは裁判に非常に時間がかかる上、平成13年に起こった同国の経済危機で生じた訴訟も山積していることから、数ヵ月前にアルゼンチン政府との間で和解が成立するまで仮処分はずっと有効でした。和解していなければ裁判はさらに何年も続いたはずです。もちろん最終的に勝訴する自信はありましたが、裁判に絶対確実なことはありません。したがって裁判をいつまでも続けるより、当方にきわめて有利な条件での和解を選んだわけです。
〈秋元〉平成10年の登録抹消に対しては仮処分が出されたため、布教所は活動を継続できたわけですが、問題は他にもあったのでしょう。
〈カルマン〉ええ、政府の中には常に日蓮正宗の邪魔をしようとしている人たちがいました。事実、平成18年には、宗教省が再び日蓮正宗の登録を抹消しました。このときの抹消の理由は単なる手続上の違反でしたが、そのため寺院はおよそ7ヵ月の期間、閉鎖せざるを得ませんでした。手続き上の問題とは、日蓮正宗が僧侶の養成課程に関する文書の一部を提出していないということでした。手続き上の違反といっても大したものではなかったのですが、明らかにおかしいのは通常、他の普通の宗教団体であれば、同じような違反をしても登録を取り消されるまでのことはないということです。このときの登録抹消は、宗教省が依然として日蓮正宗に対して偏(かたよ)った見方をしている証拠でした。
 この2回目の登録株消については私たちが裁判所に訴えて、すぐに有利な判断が下りました。裁判所の判断が出てからしばらくして、政府は2回目の登録抹消を撤回する決定を下しました。こんな薄弱な根拠で日蓮正宗を登録抹消したのはやりすぎだった、登録抹消の正当性を法廷で争えば恥をかくだけだと気がついたのでしょう。この政府の決定によって2回目の登録抹消による問題はなくなりましたが、平成10年の1回目の登録抹消についてはまだ判決が出ておらず、問題は残っていました。
 しかも2回目の登録株消があったということは、メネムとコアンの時代から国のトップは交代したものの、政府内にはまだ何かにつけて日蓮正宗の邪魔をしようと狙っている人間がいる証拠でした。政府が2回目の登録抹消を撤回したのは、別に政府の態度が変わったのではなく、登録抹消の根拠がいかにも薄弱だったということです。もし政府が日蓮正宗の登録を抹消する理由を見つけたら、それが他の宗教では問題にならないようなものでも、3回目、4回目の登録抹消があり得ると思えました。
 既に話してきたように、アルゼンチン国内で日蓮正宗の活動が可能であったのは平成11年に出た仮処分によるもので、最終的な判決によるものではありませんでした。裁判ではいずれ有利な判決が出て問題は解決するものと私たちは予想していましたが、絶対に確実とは言えません。さらに裁判官が当方に有利な判決を出したとしても、政府は上級裁判所に控訴するでしょう。控訴審では何らかの理由で有利な判決が出ない恐れもあります。そこで私はいろいろな事情を総合して、日蓮正宗の利益をしっかりと守るには、まず日蓮正宗がアルゼンチンの政府や国民に対して何の危険も与えないこと、アルゼンチン国内の他の宗教と同じに扱うべきことを納得してもらうために、宗教省の人たちともっと前向きな関係を作っていくしかないと考えました。
〈秋元〉10年も不公平な扱いを受けてきたのですからね。
〈カルマン〉その通りです。アルゼンチンでも状況はブラジルと同じで、政府内の一部に「悪者」がいて、さらに善良ではあるが日蓮正宗に対する悪意のある宣伝に流された人たちもいました。アルゼンチンで一緒に仕事をすることになった弁護士たちと共にやるべき仕事は、これもブラジルでの仕事と同じで、適切な政府官僚を見つけて接触することでした。まず日蓮正宗の話を偏見なく聞いてくれ、不当な扱いを修復すべく行動してくれそうな人です。
 ブラジルのときと同じように、簡単な仕事ではありませんでした。日蓮正宗についてあまりに多くのデマが流されていたために、まともな政府官僚でさえも日蓮正宗はどこかおかしい宗教だと思っていたのです。しかし忍耐をもって、また現地の弁護士の力も借りながら、不正が行われたこと、それを修復すべきであることを政府に納得してもらったのです。

<各界有識者との対話を忍耐強く>
〈秋元〉一度ブエノスアイレスに行ったときに、私も含めて日本から行った日蓮正宗の僧侶たちがアルゼンチンの政府官僚や宗教界の主だった人たちと会談したのを覚えています。
〈カルマン〉そう、あのときの訪問はアルゼンチンでの問題を解決するのに非常に役立ちました。彼らは日蓮正宗の僧侶、信徒、教義についてずっと様々な嘘や誇張を聞かされていました。しかし、あの会談で日蓮正宗の人たちと直接接触したことによって、彼らも何が真実かが判ったのです。伝聞や再伝聞で聞かされた確認しようのないデマをもとに判断を下すことはなくなりました。皆さんの行った会談は、私たちが政府官僚に対して行った事実説明と共に、流れを変える決め手になりました。

<訴訟の一切を終結し広布前進を新たに誓う>
〈秋元〉今のアルゼンチンはどのような状況ですか。
〈カルマン〉しばらく前まで、アルゼンチン政府は日蓮正宗に敵対的であったと言わざるを得ない状態でしたが、今は全く反対です。きわめて友好的な関係になりました。同国政府は最近、日蓮正宗の登録抹消を命じた平成10年の決議を撤回するという公式の決議を出しました。つまり日蓮正宗はアルゼンチンで正規に法人登録された宗教となり、他の宗教と同じ法的権利を持つということです。さらに同国政府は平成11年の仮処分を出した法廷において、日蓮正宗の主張を認めるという声明を出しました。つまり、平成10年の登録抹消が違法であったこと、そして信教の自由の原則にも反していたことをアルゼンチン政府が認めたということです。こうした当事者間における和解を受けて、裁判官はこれを肯(ぜ)認(にん)する当方に非常に有利な判決を下し、理論上の問題だけではなく日蓮正宗の具体的事案に即して信教の自由の重要性を改めて強調しました。
 さらに喜ばしいことに、先日は宗教省の代表がブエノスアイレスの布教所を訪問してくれました。日蓮正宗に対する敵対的な見方はすっかりなくなり、友好的な立場から親善訪問をしてくれたのです。まさに画期的な出来事でした。
〈秋元〉では、ブエノスアイレスにおける日蓮正宗は安泰になったと言えるのでしょうか。
〈カルマン〉「イエスでもありノーでもある」とお答えすべきでしょう。「イエス」と言うのは日蓮正宗に不利な取り扱いがすべて覆(くつがえ)っただけでなく、その理由がしっかりと文書に記録されたからです。さらに今日では、日蓮正宗の問題を扱うアルゼンチン政府の人々は、日蓮正宗に対して犯した過去の過(あやま)ちと日蓮正宗の真実の姿をはっきり認識しています。そして職務に真剣に取り組み、正義を守ろうと願っていると私は確信しています。
 他方で「ノー」でもあると言うのは、日蓮正宗には依然創価学会という手(て)強(ごわ)い敵がいて、政府の関連した地位に今後どういう人が就(つ)くか、創価学会寄りの人になるかどうか判らないからです。ただ日蓮正宗に対する同国政府のこれまでの否定的な態度が逆転した経過は宗教省の公式文書に詳しく記録されており、今は政府と日蓮正宗の間に良好な関係がありますので、大(たい)勢(せい)として日蓮正宗の流れになってきており、たとえ新たに地位に就く人が望んでも、この流れを変えることは難しいと思います。
〈秋元〉では、アルゼンチンもブラジルも、状況は10年ほど前のときと比べてがらりと好転したようですね。たいへんな仕事に当たってくださった方々、つまり両国の政府関係者、弁護士方、もちろんカルマン先生にも感謝いたします。今後同じような問題が絶対に起こらないとは言い切れませんが、ブラジル、アルゼンチン共にもうこんなトラブルには遭わないだろうし、両国の将来にも大きな可能性が開けていると思います。
 ブラジルは平成28年のオリンピックを開く栄誉を獲得しましたし、いろいろな面ですばらしい方向に向かっていると私は信じています。またブラジルの人々の幸福を心から願っています。またアルゼンチンの人々に対しては、当初誤解があったようですが、最終的には日蓮正宗が平和的な宗教であり、アルゼンチンに対していかなる悪意もないことを忍耐と広い心をもって理解してくださったことに、心から感謝したいと思います。
 カルマン先生、本日はいろいろとお話をしていただき、本当にありがとうございました。日蓮正宗のためにたいへんな努力をしてくださったことに感謝いたします。今後共、日蓮正宗の正義顕揚のためにご尽力のほどよろしくお願いいたします。
〈カルマン〉こちらこそよろしくお願いします。私にとっても、日蓮正宗のために尽力することは常々本望とするところです。

[資料]:南米訴訟関連 略年表

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▲宗門弁護団 H・ジェイ・カルマン弁護士
略歴:1975(昭和50)年カナダ、モントリオールのマギル大学を首席で卒業(心理学専攻)、その後、アメリカ、ウイスコンシン大学において実験心理学で博士号取得。1991(平成3)年スタンフォード大学において法学博士号を取得。
 ロサンゼルスにおいて弁護士活動を始めた後は、契約法、知的所有権法ならびに取引関係訴訟などを幅広く手がけている。弁護士として活動する以前は、ニューヨーク州立大学で心理学の助教授を務め、人間の記憶力と認識能力について多数の学術論文を執筆しており、目撃証人の証言に関する裁判上の鑑定にも携わった経験を有する。

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▲アルゼンチン布教所において4月18日に奉修された布教所開所12周年記念勤行会。この日も御授戒が行なわれた。


国会議員をも動員したブラジルでの大陰謀

―創価学会の陰湿・卑劣さを示す謀略―
(『大白法』H23.11.16)

 ブラジルでは、言語や文化の違いもある中、正法広布が着実に進展してきた。しかし、創価学会はこれを嫉(ねた)み、何とか宗門の活動を妨害せんと、政治力等を最大限に使って画策したのである。
 幸いにも、正法の功徳と関係各位の数年にわたる多大な尽力もあり、すべての問題は正しく解決したが、その経過の中で、創価学会の驚くべき謀略が露見した。
 ブラジル政府の公用書簡は、この謀略を次のように記載している。
●法務省が収集した情報によれば、本件事案は、敵対する2つの宗教団体間の紛争であるが、その一方当事者は「創価学会」という団体であって、これが日蓮正宗に敵対し、この紛争にブラジル政府を巻き込もうとしているものである。(中略)宗教団体「日蓮正宗」のブラジルにおける活動について日本の参議院議員が述べたところは、偏向したものであって、同人の所属する政党は「創価学会」と緊密な関係を有するものである(外務大臣・2005年8月24日付文書)
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 創価学会は、日本の参議院議員までも動員して、ブラジル政府に働きかけた。この議員は、創価学会と緊密な関係を有する政党に所属しているという。これが何党を指すものか、もはや指摘するまでもあるまい。
 彼らは、既にブラジルで活動する僧侶のビザを停止させ、日本へ強制退去させようと企んだ。さらに、サンパウロ市に新たに建立された正法寺の落慶入仏法要へ御下向される日顕上人のビザを発給させないよう画策し、宗門の宗教活動を妨害しようと謀(はか)ったのである。
 結局、この策略は失敗に終わり、日顕上人はサンパウロ市・正法寺に御親修あそばされた。また、現地僧侶たちは、正当なビザを得て今も現地で正法広布に邁進している。
 さらにフラジル連邦上院の憲法・司法・市民委員会から、議会に提出された意見書には、この件について、
●連邦憲法に規定されている本来の権利が悪用されたもの(中略)宗教の自由という基本的人権を阻害するなど、第三者に対して害悪を加えるために、国の官僚機構を操作する目的で不法に利用されたもの(2008年第540号)
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と指摘され、さらには、
きわめて異様(同)
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とまで述べられて、創価学会の策略が弾劾されている。


▲ブラジル外務大臣による政府公用書簡より(平成17年8月24日付)
 「16.法務省が収集した情報によれば、本件事案は、敵対する2つの宗教団体の紛争であるが、その一方当事者は『創価学会』という団体であって、これが日蓮正宗に敵対し、この紛争にブラジル政府を巻き込もうとしているものである。
(中略)宗教団体『日蓮正宗』のブラジルにおける活動について日本の参議院議員が述べたところは、偏向したものあって、同人の所属する政党は『創価学会』と緊密な関係を有するものである」
と、創価学会の策略が厳しく指弾されている。(写真は、意見書最後の2枚より。セルソ・アモリム外務大臣の署名も入っている)