創価学会破折
反共謀略



公明の中傷に各地で反撃/『しんぶん赤旗』H19.4.3

「私は謀略ビラまいた」=学会員/『しんぶん赤旗』H15.10.8

民医連関連の反共ビラ(表自民、裏学会)/『しんぶん赤旗』H15.3.11
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反共謀略本
謀略本の販売停止/『しんぶん赤旗』H16.10.30

自民が1万冊分払う/『しんぶん赤旗』H15.10.4

著者は創価学会員 3つの名で正体隠し/『しんぶん赤旗』H15.9.3

著者の本名「柳原滋雄」/『しんぶん赤旗』H15.6.25

反共謀略本で提訴 出版元やJR東日本に謝罪広告など要求/『しんぶん赤旗』H15.3.25

反共謀略本の正体/『しんぶん赤旗』H15.3.6〜H15.3.17

反共謀略本の出版社・役員、中づり広告担当者ら名誉毀損などで告訴・告発/『しんぶん赤旗』H15.3.4

反共謀略本 つり広告費(首都圏)2200万円(学会・公明党がまとめ買い)/『しんぶん赤旗』H15.2.22






「私は謀略ビラまいた」

―真夜中に地域拠点に集まり―
―創価学会男子部長「配ってはいけないビラだ」「絶対見つかるな」―
(『しんぶん赤旗』H15.10.8)

 夜中に集合し、「絶対見つかるな」「捕まるな」とビラまきを指示された−−。1面所報のように、複数の創価学会員が本紙に謀略ビラ配布の実態を語りました。
 証言した創価学会員は、東京都内で創価学会の地区(学会の地域組織)の男子部幹部をしていました。この学会員が謀略ビラを配布したのはいまから2−3年前のこと。ビラは日本共産党などを攻撃したもので、聞いたこともない団体が発行元となったものでした。
 時期は選挙中。配布当日の夜10時すぎ、地区の上部組織にあたる「部」の男子部長から地域の拠点(創価学会員の個人宅)に集合をかけられました。

<約20人で配布>
 集まったのは約20人。このときは2、3人が1組となって、公明党の法定ビラだけをまくグループと、謀略ビラをまくグループに分けられ、夜中の12時すぎに配布をはじめました。
 ビラまきに先立って地区の男子部長は「ひとつのビラは配ってはいけないビラだ。配っているところを絶対に見つかるな」「捕まるな」「ポストに入れるところを人に見られるな」と注意を繰り返したといいます。
 創価学会員は、「違法行為という認識はありました。しかし、集まったメンバーはだれも異論を唱えなかったし、共産党だからやっつけてしまえという気持ちでした。やってはいけないこととは思いませんでした」と証言します。
 さらにこの学会員は次のように語りました。
 「違法ビラを配布するメンバーは男子部の幹部が個別に集めます。そのために男子部のなかでも配布する人は限られているし、女子部、婦人部は創価学会がこんなビラを配布していることすら知らされていない」
 この学会員はこれまで数回、日本共産党や他党を中傷するビラを配った体験があります。

<自民党議員も>
 別の創価学会員は、自社さ政権時、宗教法人法問題をめぐって創価学会批判を繰り返していた自民党の加藤紘一衆院議員(当時)らを狙い撃ちにした中傷ビラを配布しました。発行団体は聞いたことのない名前でした。
 配布メンバーは地域支部の男子部長に呼び出され、夜中の12時に地域の学会の拠点に集められました。約200枚を午前2時ぐらいまでかかって配りました。「捕まったら『公明党の青年局と答えろ』と指示された」といいます。
 この学会員はことし春のいっせい地方選挙でも活動し、「創価学会の会館で決起集会をやりますし、数字的なものも報告されます。会館を選挙に利用するのは当たり前のことだと思っています」と語っています。







反共謀略本


謀略本の販売停止

―出版社と著者、遺憾の意―
―東京地裁の勧告受け「和解」―

(『しんぶん赤旗』H16.10.30)

 未来書房らが、北朝鮮問題を利用して日本共産党を誹謗(ひぼう)中傷する書籍を発行し、電車内への中づり広告を掲出したことに対し、日本共産党が未来書房、著者の稲山三夫こと柳原滋雄氏、JR東日本らを名誉棄損と著作権侵害で訴えていた「謀略本裁判」(東京地裁民事第47部・高部眞規子裁判長)は29日、裁判所の勧告をうけ、日本共産党と未来書房、著者らとの間で裁判上の和解が成立しました。
 和解の内容は、未来書房、同代表取締役・海野安雄氏、著者が、「本件書籍における北朝鮮帰国事業及び北朝鮮による拉致事件に関する表現の一部に誤解を招くおそれがあったことにつき遺憾の意を表する」と明記したものです。
 また被告らは、「本件書籍の巻末に資料集」として日本共産党の諸文献を「原告の許諾なく使用した」ことに「遺憾の意を表し、今後、本件書籍を印刷、製本、販売、又は頒布しない」と確認しました。
 中づり広告を掲出したJR東日本とジェイアール東日本企画は、和解には参加しませんでしたが、同日の法廷で、「広告業務委託契約書」を守ると発言しました。同契約書は「特定の政治活動のためにするもの」「特定の個人又は団体等を誹謗し、名誉又は信用を傷つけるもの」などの広告を掲出してはならないとの条項があります。

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【解説】
―党の主張、基本的に認められる―
 日本共産党が訴えていた問題の書籍は『拉致被害者と日本人妻を返せ―北朝鮮問題と日本共産党の罪』(稲山三夫著)と題し、2002年末に未来書房から発行されたものです。
 いっせい地方選挙をまえに、公明党・創価学会の北朝鮮問題での反共攻撃と符節をあわせ、創価学会ライターグループの柳原滋雄氏、海野安雄氏などが関与し、創価学会の出版・流通ルートに乗せて発行、発売、宣伝されました。2003年2月には、東京・首都圏のJR電車などにこの書籍の宣伝を名目に、日本共産党を誹謗(ひぼう)中傷する中づり広告がいっせいに掲出されました。
 日本共産党は同年3月、東京地裁に提訴、被告らに対し、党の名誉を棄損した書籍の印刷、製本、発売、頒布の禁止、書店からの回収・廃棄、名誉棄損と著作権侵害について謝罪した中づり広告、新聞広告の掲出、損害賠償金の支払いなどを求めていました。
 和解内容は、前文で日本共産党が、「同書籍が北朝鮮帰国事業や北朝鮮による拉致事件に関し、日本共産党の社会的評価を著しく低下させ、党の名誉を毀損し、あわせて著作権を侵害するものであると主張した」のにたいし、被告は「正当な論評で、著作権も侵害していない」と裁判の争点を示したうえで、被告側のみが争点のいずれについても遺憾の意を表明し、書籍の販売等をストップするということを明確に記しています。
 このことは被告側が謀略本の不法性を認めざるをえなくなったことを明白に示したものです。JR東日本などは、和解には直接参加しないという態度をとりましたが、日本共産党を誹謗中傷した中づり広告を掲出したことに関連し、「広告業務委託契約書」を守ることを明言し、事実上、中づり広告の掲出が不適切だったことを認めるものとなっています。このように、謀略本裁判では日本共産党の主張が基本的に認められる結果となり、勝利をおさめました。





反共謀略本
自民が1万冊分払う

―出版社に1300万円 創価学会の謀略に加担―
(『しんぶん赤旗』H15.10.4)

正体を隠し、北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を棄損した反共謀略本の出版社にたいし、自民党本部が昨年、約1300万円も支出していたことが本紙の調べでわかりました。この出版社の社長や著者は創価学会員で、謀略本出版への創価学会の関与がすでに明らかになっていますが、あらたに自民党本部の関与も明るみに出ました。

<本部収支報告書で明らかに>
 これは、自民党本部の2002年分政治資金収支報告書で判明したもの。同報告書によると、自民党本部は昨年12月26日に、東京都立川市幸町に本店があった「未来書房」にたいし、「図書資料費」として1365万円を支払っていました。
 未来書房は日本共産党を中傷攻撃し「しんぶん赤旗」などから大量盗用した『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』を昨年末出版。日本共産党は名誉棄損と著作権法違反などで「未来書房」や著者らを提訴しています。著者の「稲山三夫」は本名「柳原滋雄」。別名の「中田光彦」で、反創価学会勢力攻撃の本も出版する創価学会員でした。
 自民党本部が「図書資料費」を支出した時期は謀略本の初版第1刷(12月24日)の直後。未来書房がこの時期に出版したのは謀略本以外になく、自民党本部は本紙に「書籍購入費だった」と回答しています。
 謀略本は1冊1365円(消費税含む)。記載の「1365万円」はちょうど1万冊分の購入費用です。
 本紙が入手した出版取り次ぎ大手「日本出版販売」(日販)の社内文書には、この謀略本について「自民党・公明党の一括採用あり(直販ルート)」と記入。自民・公明の組織買いを示していました。





著者は創価学会員 3つの名で正体隠し

―反共謀略本―
(『しんぶん赤旗』H15.9.3)

<共産党攻撃に「稲山」、反学会勢力に「中田」、本名は「柳原」>
北朝鮮問題を利用して日本共産党を中傷攻撃した謀略本の著者は創価学会活動家で、3つの名前を使いわけ日本共産党や反創価学会の人物を攻撃、社会党(現社民党)機関紙『社会新報』記者という経歴まであることが本紙の調べでわかりました。

<『社会新報』記者の経歴も>
 問題の謀略本は『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』(未来書房刊)。拉致問題をふくむ日朝問題の解決に大きな役割をはたした日本共産党を中傷し、『しんぶん赤旗』など日本共産党の著作物を大量盗用したため、日本共産党が名誉棄損や著作権法違反で出版社や「稲山三夫」名の著者などを提訴。現在、東京地裁で裁判がおこなわれています。
 未来書房の海野安雄代表取締役は学会の地域幹部で、謀略本の出版・販売などに創価学会が深く関与していたことが本紙の調べで判明しています。さる6月24日の裁判で未来書房側の訴訟代理人は、著者「稲山三夫」の本名を柳原滋雄氏と明言。さらに同代理人は2日の裁判で、本紙記者が本人確認のために取材していた東京・新宿区在住の柳原滋雄氏を本の著者と事実上認めました。
 この柳原氏は創価学会活動家日本共産党を攻撃する場合には「稲山三夫」、反創価学会の陣営を攻撃するときは「中田光彦」のペンネームを使用し、取材・執筆していました。
 柳原氏は「中田」名で、元創価学会顧問弁護士で現在、創価学会を批判している山崎正友氏を攻撃する『サイコパスの犯罪』、『サイコパスのすべて』を創価学会直系の潮出版社から昨年相次いで出版。月刊誌『潮』の昨年8月号にも同じ趣旨で山崎攻撃の記事を掲載しています。
 攻撃対象は、山崎元創価学会顧問弁護士だけではありません。『潮』1999年12月号では、創価学会を厳しく批判していた白川勝彦自民党衆院議員(当時)を攻撃するために「元恐喝男に『支配』される白川代議士」という記事も「中田」名で書いています。
 この「中田」の正体は、山崎元創価学会顧問弁護士が潮出版社などを名誉棄損で訴えた裁判(横浜地裁小田原支部)で今年3月、被告側が「中田」の本名を「柳原」と示したことで明るみに出ました。
 さらに柳原氏には1990年代に、本名で『社会新報』記者をした時期がありました。当時は自社さ連立政権で公明党(新進党と公明)は野党。
 当時の『社会新報』編集関係者によると柳原氏は、宗教法人法改正問題を熱心に「取材」する一方で、反創価学会団体の「取材」にも取り組んだといい、「記者採用当時は創価学会員とは知らなかった。その後、彼の結婚式で創価学会や公明党が前面に出てきて驚いた」と語っています。柳原氏は、その後『社会新報』を退職しました。
 「創価学会による被害者の会」役員は「『社会新報』の名刺で『取材』する人物が『中田』や『稲山』だったとは。謀略の深さには背筋が寒くなる。許せない」と語っています。

<「新たな登記簿提出すべきだ」>
―未来書房に求める―

 日本共産党が反共謀略本を出版した未来書房や著者、本の車内中づり広告を掲示したJR東日本を名誉棄損などで提訴した訴訟の第3回口頭弁論が2日、東京地裁民事47部で開かれました。日本共産党の代理人は「名誉棄損にあたらない」などとするJR東日本の主張に反論しました。
 また、未来書房の本店が移っているので商業登記簿を訂正して出すことを求めました。さらに、被告である著者の柳原滋雄氏が山崎正友元創価学会顧問弁護士にかかわる裁判の被告である柳原滋雄氏と同一人物であるかどうかを明確にするよう求め、被告の代理人は、事実上、同一人物であることを認める対応をしました。





著者の本名「柳原滋雄」

―謀略本裁判で出版社側明かす/創価学会との関係焦点に―
(『しんぶん赤旗』H15.6.25)

 北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を棄損し著作権を侵害した謀略本の出版にたいし、日本共産党が提訴した裁判の第2回口頭弁論が24日、東京地裁民事47部で開かれ、被告の出版社側が謀略本の執筆者の本名を初めて明らかにしました。この人物は「柳原滋雄(やなぎはら・しげお)」という名前で、謀略本の背後にいた創価学会との関係が注目されます。
 問題の謀略本は、東京・立川市の公団住宅に「本店」を置く「未来書房」(海野安雄代表取締役)が出版した『拉致被害者と日本人妻を返せ北朝鮮問題と日本共産党の罪』(注参照)。
 著者は「稲山三夫」という名前で出版されていますが、本の奥付には略歴も連絡先もいっさいなく、正体不明の人物。また、出版社についても、本に印刷された所在地には用件を取り次ぐ事務代行会社があるだけ。本にしるされた「ISBN」(国際標準図書番号)の番号からやっと「本店」所在地がわかるという謀略手法でした。
 ことし3月、日本共産党は、著者の「稲山三夫」や出版元の未来書房を名誉棄損と著作権侵害で、さらに、日本共産党を中傷攻撃する本の電車中つり広告を掲出させたJR東日本などを名誉棄損で、それぞれ提訴。謝罪広告や損害賠償などを求めています。
 この日の弁論で被告未来書房の代理人は、第1回口頭弁論で訴状さえ届かなかった執筆者の「稲山三夫」被告について、「稲山はペンネームで、本名は『柳原滋雄』。住所は『未来書房』が置かれていた立川市の公団住宅」であることを明らかにしました。
 また、柳原氏と弁護士が接触したのは、「6月23日が初めてだった」ことも明らかにしました。著者の本名が判明したことで、謀略本裁判の被告全員が確認されたことになります。
 未来書房の海野氏は、本紙の調べで、創価学会の地域幹部であることが判明。創価学会・公明党がこの本の大量買い取りをし、流通などにもかかわっていたことがわかっており、著者との関係も焦点になっています。

<「稲山三夫」こと「柳原滋雄」とは>
 反共謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ北朝鮮問題と日本共産党の罪』の著者「稲山三夫」の本名だった「柳原滋雄」とは、どういう人物か――。
 未来書房の代理人によると、住所は、未来書房の「本店」であり、海野安雄氏の居宅だった東京都立川市の公団賃貸住宅の一室。しかし、24日午後にこの住所を訪ねると、2月末に海野氏が突然引っ越したあとに入居した人がいるだけで、「未来書房も海野氏も柳原氏も知らない」と答えました。
 同じ、「柳原滋雄」という名前は、これまで反創価学会の活動をする山崎正友元創価学会顧問弁護士を、創価学会側の立場から攻撃した本『サイコパスの犯罪』の著者の本名として裁判で明らかになったことがあります。このときは著者名として「中田光彦」という名前が使われ、出版社は創価学会直系の「潮出版社」でした。

(注)謀略本は、拉致問題をふくむ日朝問題の解決に大きな役割を果たした日本共産党を「殺人加担」などと中傷攻撃し、名誉を棄損したうえ、本の半分のページにわたって「赤旗」など日本共産党の著作物を盗用して著作権を侵害しました。





反共謀略本で提訴

―出版元やJR東日本に謝罪広告など要求/日本共産党―
(『しんぶん赤旗』H15.3.25)

 日本共産党24日北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を棄損し、「しんぶん赤旗」などの大量無断転載で著作権を侵害する本を出版した株式会社「未来書房」らと名誉棄損広告を車内掲示したJR東日本などにたいし、謝罪広告の車内掲示や本の発行差し止め、2200万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしました。
 日本共産党が訴えたのは、反共謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』を出版した未来書房と海野安雄・同社代表取締役、執筆者の「稲山三夫」、JR東日本と同社の広告を扱う子会社のジェイアール東日本企画。
 訴状は、日本共産党が拉致問題をふくむ日朝問題の解決に大きな役割を果たしてきたことを指摘したうえで、この本の出版や広告が、いっせい地方選をまえに公明党などが全国各地で行っている一連の共産党攻撃・誹謗(ひぼう)中傷の「一環としておこなわれているもの」だと強調。「日本共産党があたかも犯罪を犯したかのような間違った宣伝をおこない」「名誉を傷つけた」旨の謝罪の車内中づり広告や、全国紙への謝罪広告掲載、本の印刷・製本・発売・頒布の禁止などを求めています。





反共謀略本の正体を追う

【目次】
<1>大手取次店文書は語る「池田大作本といっしょに」
<2>鳩レース会社変身の裏で
<3>潮出版社に頼まれた
<4>創価学会人脈と裏事務所
<5>4つの名前をもつ男
<6>販売より広告自体が目的
<7>広告基準に反している
<8>中づり広告、背後に…
<9>製本所は長野だった
<10>未来書房社長の素顔
<11>問われるべきは、だれか
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−大手取次店文書は語る「池田大作本といっしょに」−
(『しんぶん赤旗』H15.3.6)

 電話も事務も事務代行会社まかせ。登記上の「本店」は公団賃貸住宅の一室そんな「出版社」が出版大手も驚く巨費を投じて日本共産党を誹謗(ひぼう)中傷する大々的な広告をうつ――。それがさる3日、名誉棄損と著作権法違反の罪で、日本共産党が告訴・告発した反共謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』(未来書房刊)=注=の実態です。民主主義を冒とくする犯罪者たちの背後関係を追跡しました。「赤旗」取材班

 「創価学会がいかに出版にかかわっているか判明すると思います」。そんな手紙をそえて本紙編集局によせられた内部告発の資料があります。
 全国の出版流通を仕切る出版取次大手、日本出版販売(日販)の文書コピーでした。

<内部告発の文書>
 タイトルは「創価学会関連ニュース NO・1」。ことし1月16日の発行。こんな書き出しです。
 「(昨年11月の)支社長会議でご報告致しました“聖教新聞社取扱いシェアについて”の中で、『学会関連情報』を定期的に支店にご案内する旨が確認されました。各支店では『部数確保のために先方の活動内容を良く理解し、定期的な情報交換等で普段からの関係を強化すること』という指示となっています」
 この意味は――。
 出版流通関係者が説明します。
 「創価学会の扱う出版物は学会員が大量に買い取る。取次会社も利益があがるから、学会と交渉してできるだけ多い部数をとりたい。そのために東京で創価学会から学会関係出版物の情報を聞き、支店に知らせるので、地方の学会の書籍部長と関係を強め、部数増を交渉せよ―というわけです」
 この会社が学会と部数を交渉する昨年12月発売の新刊6点が「ニュース」に掲載されていました。そのなかに、なんと日本共産党が告訴・告発した問題の本『拉致被害者と日本人妻を返せ』があったのです。

 6点を紹介しましょう。
 (1)『詩集・人生の旅』池田大作著、初版3万部
 (2)『創作物語 花と少年』池田大作著、初版5万部
 (3)『池田SGI会長 平和への対話』池田大作著、初版4万部
 (4)『青年と宗教』創価学会男子部教学室編、初版3万部
 (5)『暁闇』北林芳典著、初版2万部
 (6)『拉致被害者と日本人妻を返せ』稲山三夫著、初版2万部


<創価学会丸抱え>
 新刊のうち、創価学会名誉会長・池田氏の著書が3冊、創価学会男子部の本が1冊。また、『暁闇』の著者は、日本共産党の宮本顕治委員長(当時)宅の電話盗聴事件を実行した山崎正友元創価学会顧問弁護士のグループにいた人物で、創価学会との関係を知るのは難しくありません。
 しかし、『拉致被害者と日本人妻を返せ』だけは出版社の「未来書房」、著者の「稲山三夫」ともいっさい創価学会との関係を知ることができません。なのに、池田本と同じ扱い。さらに、この文書は問題の本について驚くべき注釈を書いていました。
 「自民党・公明党の一括採用あり。(直販ルート)。左記採用以外にも公明党から党員への購入指示あり。指示書店は党本部のある地区の一番店が多く見られます。尚(なお)、書籍部長のとりまとめは各地区毎(ごと)の対応となっています」
 ここでいう「書籍部長」とは、地方の創価学会の担当部長のこと。つまり、問題の謀略本は、公明党が一括買い取りし、創価学会が各地方で購入部数の「とりまとめ」をするような本だったのです。
 取材班は、関東のある書店で、創価学会がこの本を依頼し、公明党に200部届けたという証言を得ました。まさに、内部文書と一致します。
 謀略本は創価学会・公明党の丸抱えだった――。内部告発で判明した真相です。では、出版社である未来書房の正体は何なのか。

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−鳩レース会社変身の裏で−
(『しんぶん赤旗』H15.3.7)

 反共謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』の出版社、未来書房の素顔は用意周到に準備された何重もの仕掛けで秘匿されていました。
 ――本の奥付に書かれた住所は東京都新宿区新宿7の16の12で訪ねても出版社は存在しない。広告に出てくる住所、東京都新宿区西新宿7の16の12は事務代行会社。本記載の電話にかけても事務代行会社につながり、用件の取り次ぎのみ。著者の略歴や印刷所にいたってはいっさい本に記述がない。

<唯一の手掛かり>
 そんな本から得られる唯一の手掛かりは、見過ごしてしまうような小さな活字の「ISBN4−902086−05−0」という数字でした。
 ISBNとは国際標準図書番号のこと。出版社が登録するもので、番号から出版社の住所、電話番号などを知ることができます。登録は義務づけられていませんが、出版取次を通して全国流通させるためには必要。これだけはごまかせなかったのです。
 明らかになった住所は立川市幸町4の52の1にある公団賃貸住宅の一室。表札には「海野 未来書房、宇野事務所」のプレートが。この住所で会社登記をみると、奇怪な実態が見えてきます。
 現在の未来書房の代表取締役は海野安雄氏。他の取締役には妻の海野静枝、臼井克身両氏、監査役は西村伸一氏。海野氏宅が「本店」でした。
 ところが会社の設立は8年前にさかのぼる1995年4月。当時の社名は「チャンピオン社」。東京都荒川区東日暮里にあり、社長は石橋秀明氏。当時の監査役は「海野も未来書房も知らない。当時の社長の行方はもうわからない」と語ります。目的に「鳩の輸送」などとあり、鳩レース関係の出版をしていました。
 約6年間、登記上、役員もいない休眠状態が続き、突然、昨年10月から“鳩会社”が大変身をとげます。
 会社登記で役員を一新。本店も移転。そして、ISBNを登録し、大量出版の体制を完成…。別表のように公明党・創価学会による北朝鮮問題を利用した日本共産党への誹謗(ひぼう)中傷攻撃の開始時期とピタリ一致します。

<逃げるように… 役員はどんな人物か。>
 取材班は、海野安雄社長と妻の海野静枝取締役はともに創価学会員で、地域役員をしていた――という複数の証言を得ました。直接、真偽を確認しようと繰り返し、海野宅を訪問しました。ドアごしに応対した妻に創価学会員かどうかを聞いても自分自身のことなのに「わかりません」と語るだけでした。
 取材班が未来書房の正体を追及し、しだいに実態が見えてきたさなかの2月27日朝。海野氏は、突然、逃げるように引っ越しを始めました。
 引っ越しに使ったワゴン車は日本図書輸送がリースしていたもの。同社は、創価学会機関紙『聖教新聞』の輸送にもかかわる創価学会企業で知られる会社です。登記上の本店からも消えてしまった未来書房。しかし、その正体は別の角度からさらに鮮明になってきました。(つづく)

<謀略本と公明党の動き>
 95. 4.10 チャンピオン社設立(本社、東京・荒川区)
 96.12. 9 チャンピオン・タイムス日本に商号変更
 02. 9.17 日朝首脳会談
     9.27 公明新聞、北朝鮮問題で日本共産党への攻撃記事掲載
    10. 3 チャンピオン・タイムス日本を未来書房(本社・東京立川市)に商号変更登記。海野安雄代表ら4人の役員就任を登記。この時、チャンピオン社の役員の6年前の退任届を登記し、過去6年間の役員の空白が判明
    10.10 冬柴公明党幹事長、拉致問題で反共演説
    10.21 太田昭宏公明党幹事長代行、衆院代表質問で攻撃
    11.14 未来書房、ISBN(国際標準図書番号)を登録
    12.24 未来書房、謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ』発行
 03. 2. 8 JR東日本の電車内に謀略本の中づり広告(24日まで)

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−潮出版社に頼まれた−
(『しんぶん赤旗』H15.3.8)

[画像]:反共謀略本が保管された輪匠倉庫。敷地内には公明党のポスターが=埼玉県新座市

 北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を棄損し、著作権を侵害した『拉致被害者と日本人妻を返せ』(未来書房刊)。本紙によせられた情報をもとに、取材班はこの反共謀略本の倉庫となった企業をつきとめました。
 株式会社「輪匠(りんしょう)倉庫」(鎧塚澄雄社長)

<倉庫会社が判明>
 埼玉県新座市にある小さな倉庫会社です。敷地内のブロック塀には公明党のポスターが。
 帝国データバンクの資料によると同社の取引先のなかに潮出版社がありました。潮出版社は、創価学会名誉会長・池田大作氏が毎号のように登場する雑誌『潮』を出版。創価学会公式ホームページで聖教新聞などと並んで「関連団体」とされる学会直系企業です。
 この倉庫会社がどういういきさつで反共謀略本を保管し、流通させたのか。誰が依頼してきたのか。海野安雄未来書房社長とはどういう関係だったのか−−。
 取材班は、率直に電話で質問をぶつけることにしました。応対したのは同倉庫の業務部長。取材の意図を話し、日本共産党を“闇討ち”するような本のことを説明していくと、以下のような重要な回答が返ってきました。
 −−未来書房の海野社長とは電話で話しただけで、直接の面識はない。海野社長からの連絡は先方から一方的に来る
 −−取引先の出版社から(未来書房の本の出版を)やる人がいるんだけど、荷物だけ預かってくれないかと言ってきた。それで預かった。未来書房からの直接の依頼ではない。だから海野さんにも会ったこともない。

<明かされた実態>
 では、未来書房の本を預かるよう依頼した「取引先」とは潮出版なのか−−。やりとりは核心に入りました。
 「そうそう。潮出版から1月早々に電話で(依頼が)きた。一覧表でどこに配送してくれと」
 −潮出版の誰ですか。
 「いつもの担当者とは違う人」
 −この本を未来書房から出すということで、潮出版から具体的な注文がきたわけですね。
 「はい。その後に海野さんがよろしくと連絡してきた。支払いは、1冊、1冊にかかりますよね。1冊の値段などを出したわけです。それで潮出版の担当者の人に了解を得ている」
 −潮出版の担当者と支払いも含めて相談した?
 「そうです」
 −部数はどれだけですか。
 「東販に5000、日販に2000とか、そういう形で5万部全部を発送した」「本は長野県からきました。量でいうと4トントラック3台分。10日以内に全部出た」
 海野社長の背後にいたのはまさに創価学会直系企業。その企業が反共謀略本に深く関与していた実態が業務部長の証言で裏付けられたのです。

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−創価学会人脈と裏事務所−
(『しんぶん赤旗』H15.3.9)

[画像]:未来書房の秘密事務所の表札。「ギョエンエイジェントシステム」の文字は、3月はじめになくなった=東京・新宿区新宿

 謀略は、その醜い正体が明るみに出ると、逆に最大の弱さに変わります。反共謀略本で日本共産党の名誉を棄損し、著作権を侵害した未来書房(海野安雄代表取締役)はまさにその実例です。
 未来書房の背後に創価学会・公明党がいることはこれまでの3回の連載でほとんど疑問の余地がなくなりました。正体を取材班に追及された未来書房は、登記上の「本店」である公団賃貸住宅の一室(海野宅)から逃げるように撤退しました。(連載2)

<手段を選ばない>
 しかし、明るみに出すべき謀略の闇はまだまだ深い。取材すればするほど、目的のためには手段を選ばない、この組織の驚くべき謀略手法が見えてくるのです。
 東京都新宿区新宿2の2の4の9D。
 新宿御苑に近い12階建てマンションの一室に「ギョエンエージェントシステム」というシールを掲げた部屋があります。ここは未来書房と何の関係もない部屋に見えます。
 取材班は、本紙に寄せられた情報をたどり、事務所の賃貸名義人が未来書房であることを確認しました。借りたのは海野安雄社長その人でした。未来書房の秘密の事務所だったのです。
 部屋の所有者の女性は語ります。
 「未来書房との契約はことし1月から。しかし、(海野氏が)当分入院になるから引っ越したい、ということで、いきなり2月いっぱいで解約したいといってきた」
 謀略本出版は昨年末。海野社長が自宅から消えたのは2月末。これにあわせて秘密事務所も現れ、そして消えたのです。
 取材班は何回かこの部屋を訪問しましたが、いつも返事がありません。
 部屋を借りるさいの保証人は「岡謙二」という名前でした。本紙によせられた出版取次大手、日本出版販売(日販)の内部文書には、未来書房について「営業担当 岡謙二」という記述がありました。この人物は日本共産党の告訴・告発状で、「未来書房関係者」として被告訴人の1人になっています。

<『第三文明』登場>
 実は、この同じ名前が創価学会直系の雑誌『第三文明』にも執筆者として登場します。『第三文明』は、池田大作氏の「私の人生記録」を長期連載したり、反創価学会の人物を口汚くののしるなど創価学会系有力宣伝物。
 取材班は新宿区内で、岡氏を直撃取材しました。岡氏は、自身が創価学会員であることを認め、『第三文明』に執筆していたことも認めました。
 未来書房「営業担当」などの役割は否定しましたが、海野氏とはかねてからの知り合いで、未来書房が「共産党をたたく本を出した」ことも承知のうえで、保証人となったことを認めました。
 未来書房と海野氏の創価学会人脈がまたしても浮上したのです。
 海野氏の過去をたどると、その謀略手法はさらに明らかになってきます。

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―4つの名前をもつ男―
(『しんぶん赤旗』H15.3.11)

<海野安雄 宇野善哉 宇野文集 海野靖雄>
 北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を棄損し、著作権を侵害した未来書房の海野社長は、取材班が確認できただけでもこれだけの「名前」を持っていました。
 最初の「海野安雄」という名前は、未来書房の会社登記で、代表取締役として使われたもので、公的なものです。

<「取材された」>
 次の「宇野善哉」と名乗る人物に「取材された」という証言者がいます。
 京都府内に住む安東尚美さんです。
 安東さんは、2001年参院選挙白川勝彦元自民党衆院議員が代表の「白川新党」に参加しました。選挙後に、政界情報誌のライターから「白川新党について教えてほしい」と依頼があり、取材を受けました。「白川新党」は創価学会・公明党を批判しており、このライターは自分が“創価学会寄りの記事”を書いているという趣旨の話をしたといいます。
 それからまもなくの同年秋、今度は「宇野」から、「社民党の辻元清美議員(当時)と『赤軍派』について聞きたい」という取材依頼があり、会いました。辻元前議員は小選挙区で公明党候補を落選させています。
 このとき「宇野」は、「未来書房を経営し、ライターをやっている。本はインターネットで売っている」などと自己紹介。白川新党のことを取材にきた政界情報誌のライターとも「親しい」と語りました。
 名刺には「宇野善哉」という名前と連絡先が書かれ、さらに、別途、連絡先として名刺の裏に「未来書房」の名前と電話番号を書き込みました。この電話番号こそ、東京都立川市幸町の公団住宅の一室にある未来書房「本店」の電話番号でした。
 本連載2で、未来書房の「本店」=海野宅の表札に、「海野 未来書房 宇野事務所」と書かれていたことを紹介しました。この「宇野」とは海野氏の別名でした。海野氏は、今回の本を発行する以前から、「未来書房の経営者」「フリーライター」として活動していたのです。
 冒頭紹介した「宇野文集」、「海野靖雄」という他のふたつの名前も「未来書房」の肩書で使われていたものでした。
 それにしても、あるときは社民党、あるときは日本共産党をねらう──。名前を変え、創価学会・公明党の背後関係も隠してうごめく海野氏の活動は謀略という言葉がぴったりです。

<大量流通狙い>
 とくに今回の日本共産党攻撃には念が入っていました。未来書房は、過去の活動でもやったことがない、ISBN(国際標準図書番号)の登録を、昨年11月、初めておこないました。大量に流通させるためです。本紙編集局に寄せられた出版取次大手、日本出版販売(日販)の昨年末の内部資料には、未来書房について「創価学会関連書籍を中心に刊行予定」としるされていました。
 海野氏のような人物を使った創価学会・公明党の大がかりな作戦のカラクリがいま明るみに出てきました。

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―販売より広告自体が目的―
(『しんぶん赤旗』H15.3.12)

<約2200万円>
 未来書房が2月、JR東日本はじめ首都圏の電車内に、反共謀略本の中づり広告をだした費用です。これだけではなく、新聞の出版広告にも推計500万円前後の金をかけています。

<業界の常識では>
 たった1冊の本に2700万円もの広告費用をかける。それがどんなに異常なことか、調べるほどにわかってきました。
 出版関係者は、本の広告費用は「出版社の売り上げ(定価の7割)の最大10%が常識」と口をそろえます。これで逆算すると、売り始めの時期に、30万部以上は売れると見込んでいたことになります。30万部というのはすごい数字です。
 ミリオンセラーになった『ハリー・ポッターと秘密の部屋』でも初版部数は約17万部。創価学会本の池田大作対談集『地球対談 輝く女性の世紀へ』(主婦の友社発行)でさえも昨年3月から昨年末までの累計で約10万部(出版取次資料)にすぎません。
 池田本をしのぐ部数になるはずはなく、実際、取材班の調べでは、反共謀略本は初版2万部、増刷数万部で総計せいぜい7万部です。しかもその多くは、連載1でふれたように、創価学会・公明党の買い取りをあてこんでおり、本を売るための宣伝広告などもともと必要がないのです。売ることよりも「広告自体」が目的――それが真相です。

<“批判”した手口>
 2月17日付の創価学会機関紙『聖教新聞』の幹部座談会に興味深い発言があります。
 「…オーバーな見出しを立てて、電車の中吊りや新聞広告で大々的に宣伝する
 「記事を読まなくても、広告の見出しだけで、何百万人もの人々に悪印象を植え付ける。たとえ、その記事が裁判で断罪されても、広告の責任までは厳しく問われない
 これは創価学会が雑誌広告を“批判”した言葉ですが、これこそ、今回の日本共産党攻撃の手口そのもの。効果は承知のうえなのです。
 広告の実態をさらに追跡しました。

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−広告基準に反している−
(『しんぶん赤旗』H15.3.13)

日本共産党の名誉を棄損する広告そのものが目的だった未来書房の反共謀略本――。「これが許されたら大変だ」という声が出版関係者から出ています。

<「広告」を装って>
[画像]:JR東日本とジェイアール東日本企画との広告業務委託契約/広告を掲載できない基準が記されています

 ある団体が正体を隠して本を出版する。その本の「広告」という装いで政党や個人を中傷する…。こんな手法が広がれば、公共空間である車内は資金を持つ勢力による誹謗(ひぼう)中傷の場になってしまうからです。
 公共交通機関の広告には、広告の内容を審査し規制する基準がありました。
 JR東日本の車内中づり広告を扱っているのは、関連会社のジェイアール東日本企画。このジェイ社は、JR東日本と広告業務委託契約をむすんでおり、そこにはこう規定されていました。
 「(ジェイ社は)広告内容が次の基準に該当し、またはそのおそれがある場合はその広告を掲出してはならない」
 「特定の政治活動のためにするもの」
 「特定の個人または団体等を誹謗し、名誉または信用を傷つけるもの」
 「その他これらに準ずるもの」
 JR東日本はじめ鉄道11社でつくる関東交通広告協議会でも、「広告掲出審査判断基準」があります。
 そこでも「特定の政治宣伝、宗教宣伝を主目的としていないか」「人権侵害、名誉棄損などの恐れはないか」などが基準です。この諸規定からすれば未来書房の広告は許されなかったはずです。

<取り消し事件も>
 1995年8月、首都圏のJR東日本の車両に掲示予定だった「赤旗」日曜版の中づり広告が掲示前日に取り消される事件が起きました。
 ジェイ社の取り消し理由は前出規定にある「特定の政治活動になる」ということ。いかなる団体・個人も攻撃せず、ただ「赤旗」日曜版を紹介するだけだったこの広告は、のちに東京地裁も「掲示せよ」と仮処分決定しました(その後ジェイ社が損害賠償などを支払うことで和解)。
 当時の異常な対応も問題ですが、基準を無視し名誉棄損を助けた今回の対応はどうしたことか――。

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−中づり広告、背後に…−
(『しんぶん赤旗』H15.3.14)

 JR東日本の広告掲載基準に反した未来書房の車内中づり広告はどんなルートで持ちこまれたか。
 「JRの中づり広告は簡単に出せるものではない」と語るのは都内の広告代理店社員。

<“一見は難しい”>
 「とくにISBN(国際標準図書番号)を獲得したばかりの未来書房のような一見(いちげん)さんが広告を出すのは非常にむずかしい。初取引でいきなり2、3千万円の広告を出すのは特別の事情があるはずだ。何かの保証や裏があるのか、それとも大金を前金で積んだのか…」
 調べてみると、JR東日本の広告を扱うジェイアール東日本企画に広告を持ちこんだのは未来書房でも、海野(うんの)安雄同社社長でもありませんでした。
 広告代理業「オリコム」(東京・港区、永井秀雄社長)。中堅企業です。オリコム社に聞くと、さらに経路は複雑でした。同社の担当部長が説明します。
 「私たちも未来書房から直接、依頼を受けたわけではない。間にもうひとつ代理店が入っている。そことの信頼関係でやったことです」
 では、その代理店とは──。取材班が未来書房を名誉棄損で告訴・告発したことを説明しながらさらに質問しました。担当部長は「検討させてほしい」と留保。その後、こんな回答が返ってきました。
 ──当社に広告を持ちこんだ代理店に、取材を伝えたが「断ってほしい」といってきた。その代理店は、「いまの状況で話すことは何もない」ということだった。したがって名前をいえない。

<正体を隠して>
 徹底した正体隠しです。不自然なのは車内広告だけではありません。実績のない出版社が出版取次の日本出版販売(日販)と簡単に取引すること自体が業界常識では不可解です。
 取材班が入手した日販の内部資料に「新規取引・社名変更出版社受付連絡票」という書類があります。日販が新規取引する会社の概要を示したものですが、「紹介者名」欄は空白でした。業界関係者がいいます。
 「新規取引には通常、紹介者がいる。それを必要としないのは大きなバックがあるから。創価学会系企業の特徴だ」

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−製本所は長野だった−
(『しんぶん赤旗』H15.3.15)

<「本は長野県からきました」>
 取材班は未来書房の反共謀略本を保管した輪匠(りんしょう)倉庫(埼玉県新座市)の業務部長から、こんな証言を得ました(連載3)。
 長野県のどこからきたのか−−。取材班はその後の調べで、製本会社をつきとめました。

<県内最大手企業 株式会社渋谷文泉閣>
 長野市に本社を置く製本会社です。帝国データバンクによると製本業では、長野県内最大手。日産8万冊を製本できる企業です。
 同社には、2つの工場があります。本社工場と柳原事務所です。問題の反共謀略本は、柳原事務所で製本されました。
 取材班にたいし、同社の営業部長は、全面否定しました。
 「どこの業者がそんなことをいっているのですか。出所がわからないのでなんともいえませんが、とにかくいっさい知りません」
 しかし、製本は社内で秘密にできるものではありません。印刷物を運び、完成本を運ぶ流通業者なども知りうるからです。そんな関係者が語ります。
 「たしかに渋谷文泉閣という製本会社から本が発送されました。私は見たのですから。製本は12月末から始まっています」

<それにしてもなぜ長野か−−販売部の住所は>
 取材班はさらに長野と未来書房の接点を発見しました。
 東京都立川市に会社登記される前の未来書房が2001年8月24日に出版した『カシス・ポリフェノール驚異の効果』という本があります。発行者は「海野靖雄」。海野安雄未来書房社長の別名です。
 この本を通信販売しているホームページでは、「未来書房販売部」として長野県伊那市の住所が記されていました。
 住所を調べると驚くべきことがわかりました。元公明党の伊那市議だった飯島尚幸氏と同じ住所だったのです。飯島元市議は創価学会機関紙『聖教新聞』の元記者98年友人の暴力団組員の公判に出廷。組員の情状をのべたことで批判され市議を辞職した人物です。
 取材班が飯島元市議に繰り返し質問しました。「あなたに答えることはない」といい、まともな説明はありませんでした。

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−未来書房社長の素顔−
(『しんぶん赤旗』H15.3.16)

反共謀略本を出版した未来書房の海野安雄(うんの・やすお)社長は、取材班の追及のなか、未来書房「本店」がある立川市幸町の公団住宅から2月末、逃げるように姿を消しました(連載2)。

<携帯電話で質問>
 その後、取材班は携帯電話番号をつきとめ、質問をこころみました。

 ――海野さんですか。
 海野 はい。
 ――「赤旗」の記者です。
 海野 はい。はい。
 ――未来書房の本を日本共産党が名誉棄損と著作権法違反で告訴・告発したのは知っていますか。
 海野 ああ、知っていますよ。訴状(注、告訴・告発状を間違えている)も届いてないし、コメントしようがない。いま治療中なんです。提訴されたならそれでいいでしょう。(プツッ)

 肝心の質問に入る前に電話を切りました。再度電話すると、「いま点滴中だ」といってまた電話を切り、以後、沈黙を続けています。
 複数の人物から興味深い証言を得ました。
 「創価学会員としての活動を知っている」と語る1人は、「海野氏は東京・立川市に移る前には新宿で創価学会の地域役員をしていた」と証言しました。証言者は海野氏とともに創価学会で活動した体験を持つ人。海野氏が創価学会員であることはもう動かしがたい
 「フリーライター」としての海野氏の活動を知る別の1人は以下のように語ります。
 ――2000年、情報誌に「共産党系『耳原病院』(大阪)の院内感染事故で隠蔽(ぺい)工作疑惑」という「山田要」名の記事が載った。この記事は海野氏が持ちこんできたものだ。
 ――書いたのは海野氏が頼んだライター。しかし、原稿料は海野氏の会社に振りこまれた。

<病院を中傷攻撃>
 海野氏は今回の本だけでなく、全日本民主医療機関連合会加盟の病院を中傷攻撃する記事にもかかわっていたのです。
 海野氏には「NPO法人大久保文化振興協議会理事」(東京都新宿区歌舞伎町2の41の12)という肩書きも。
 創価学会本部で広報戦略にかかわっていた元学会幹部は語ります。
 「私自身の体験でも、学会員ライターや学会に協力するライターを使い、正体を隠してさまざまな名前で記事や本を出させたことがある。正体を隠した方が客観性を装えるからだ。原稿のチェックをする担当者もいた
 謀略本の背後関係――。その焦点は間違いなく公明党と「一体不二」の創価学会です。

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―問われるべきは、だれか―
(『しんぶん赤旗』H15.3.17)

連載開始以来、読者の方から多くの意見や激励を受けました。
「下手な推理小説よりもエキサイティングです」
背後で糸をひいている創価学会・公明党の姿が今回ほどたちどころに鮮明に浮かび上がってきたケースは、あまり無いのではないでしょうか」
「創価学会・公明党の反民主的・反国民的な姿を暴き出してください」

<共通する怒り>
 なかには「迫力ある記事に感激して、私もついに取材協力をしました」といって、重要な情報を寄せてくれた読者も。
 寄せられる声に共通しているのは、民主主義を冒涜(ぼうとく)する卑劣な犯罪への強い怒りです。
 正体を隠し、大きな広告をうち、ウソとすりかえで政党の評価をおとしめる―。そんな手法がまかりとおれば民主主義は死んでいくでしょう。
 これまでの連載で、今回の出版の背後に創価学会・公明党が存在していることは疑問の余地がなくなりました。
――未来書房の海野(うんの)安雄社長自身が創価学会の活動家変名で「フリーライター」を名乗り、謀略的文筆活動をおこなってきた。
――本の保管・流通は創価学会直系企業の潮出版が指示していた。
――本は、池田大作本といっしょに出版取り次ぎに「創価学会関連出版物」として扱われ、各地の創価学会・公明党がまとめ買いをしていた。
 他方、創価学会は日本共産党の告訴・告発についての『週刊新潮』の取材に、「当会とはいっさい関係ありません。迷惑な話です」などとコメントしています。
 こんなふまじめな回答ですませるところに、創価学会の体質があらわれるのです。

<もう1つの狙い>
 2人の元創価学会関係者から忠告がありました。
 「謀略本は選挙で共産党の票を減らすための攻撃だけが目的ではない。実はもうひとつのねらいが隠されている」
 そのねらいとは――。
 広報戦略にくわしい創価学会の元本部職員はズバリいいます。
 「創価学会は、池田名誉会長の独裁、個人崇拝という点で北朝鮮とまったく同じ体質を持っている。学会員はそれを肌身で感じているが、学会員の目をそらせ、北のイメージを共産党にすりかえることにある。これが1番のねらいだ」
 東京都内の元公明党市議もこういいました。
 「金正日と池田像は学会員にはダブって見える。マスゲーム、人文字、外国から勲章をもらう姿は創価学会の姿と重なるが、口に出せないだけだ。だからこの問題を共産党にすりかえることが必要になってくる」
 北朝鮮と重なる創価学会の全体主義的イメージを学会員の目からそらし、それを日本共産党に結び付けて攻撃する――。謀略本に秘められた狡猾(こうかつ)な策略、とんでもない話です。
 北朝鮮問題で真に問われるべきは公明党創価学会、創価学会公明党ではないのか――。稿を改めてただしていきます。(おわり)





反共謀略本の出版社・役員、中づり広告担当者ら名誉毀損などで告訴・告発

−東京地検に日本共産党 背後関係含む真相究明を−
(『しんぶん赤旗』H15.3.4)

 日本共産党は3日、北朝鮮問題を利用して日本共産党の名誉を毀損(きそん)し、「しんぶん赤旗」などからの大量無断転載で著作権を侵害する本を出版した株式会社「未来書房」とその役員らを名誉毀損と著作権法違反の罪で、この本の電車内での中づり広告を認めたジェーアール東日本企画の担当者を名誉毀損の罪でそれぞれ東京地検特捜部に告訴・告発しました。
 同日午前、日本共産党の井上哲士参院議員、代理人の小林亮淳弁護士が東京地検で告訴・告発状を提出。同日午後、市田忠義書記局長が国会内で記者会見し、検察当局が出版の背後関係をふくむ真相を究明し、民主主義を冒涜(ぼうとく)する犯罪者たちを厳重に処罰するよう求めました。
 日本共産党が告訴・告発したのは、反共謀略本『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』を昨年12月末に出版した未来書房と海野安雄同社代表取締役、同社関係者の岡謙二氏ほか編集担当者(氏名不詳)、「稲山三夫」と名乗る執筆者ら。
 告訴・告発状は、未来書房らがこの本や、本の表紙、本の帯で、「殺人加担行為」などと日本共産党が拉致問題、帰国事業などにかかわってあたかも「犯罪者の党」であるかのようにえがき、虚偽の事実を出版・流布し、日本共産党の名誉を毀損したと指摘しています。
 また、ジェーアール東日本企画の中づり広告担当者らは、日本共産党が犯罪者の党であるかのように思わせる広告を2月8日から17日間、山手線、中央線、東海道線などの車内に掲示し、名誉毀損の犯罪行為を助けたこと、この広告内容そのものも日本共産党の名誉を毀損していることを明らかにしています。
 著作権法違反については、この本が全257nのうち、約半分の125nにわたって、「赤旗」と『前衛』など日本共産党の著作物を無断転載している事実を指摘しています。
 さらに、日本共産党が拉致問題をふくむ日朝問題の解決に大きな役割を果たしてきたことを明らかにしながら、いっせい地方選挙をまえに公明党などによる日本共産党への誹謗(ひぼう)中傷がおこなわれるなかでの悪質な犯罪であると強調。告訴・告発状は、未来書房が、もとは休眠状態の会社を社名変更し、登記簿上の本店所在地を東京都立川市の公団賃貸住宅の一室に置き、本には著者の経歴や連絡先、印刷所も記載されていないなどきわめて異常な実態であることを明らかにし、「背後関係に日本共産党を攻撃する政治的勢力」が策動している疑いが濃いとして、厳重な捜査と処罰を求めています。

<北朝鮮問題を利用した日本共産党への名誉毀損と著作権法違反についての告訴・告発状>
 2003年3月3日
 告訴・告発人代理人
 弁護士  松井繁明  菊池紘  長澤彰  小林亮淳
 東京地方検察庁検事正上  田廣一 殿
 告訴・告発人  日本共産党  代表者  志位和夫
 被告訴・告発人  株式会社未来書房  代表者 代表取締役・海野安雄  株式会社未来書房関係者である岡謙二外同社編集担当者氏名不詳の者  稲山三夫と名乗る『拉致被害者と日本人妻を返せ、北朝鮮問題と日本共産党の罪』と題する本の執筆者  株式会社ジェイアール東日本企画の社員で本件中づり広告担当者

−告訴・告発の趣旨−
 被告訴・告発人らは、告訴人の名誉を著しく毀損し、告訴人の著作権を侵害する悪質な名誉毀損罪および著作権法違反の罪を犯した者であるから、直ちに厳重に捜査の上、厳罰に処すことを求めるものである。

−告訴・告発の理由−
第1、名誉毀損罪
1、犯罪事実
 (1)株式会社未来書房の代表取締役である被告訴・告発人海野安雄、同株式会社未来書房関係者である岡謙二および同社編集担当者氏名不詳の者、同稲山三夫と名乗る執筆者らは、北朝鮮の拉致問題などに関し日本共産党を誹謗中傷し、その名誉を毀損することを目的として本の出版を共謀して、稲山三夫執筆ということで『拉致被害者と日本人妻を返せ 北朝鮮問題と日本共産党の罪』と題する本(以下本件書籍という)を2002年12月24日ごろ出版し、表紙で、「拉致被害者と日本人妻を返せ」と大きく書き、あわせて「北朝鮮問題と日本共産党の罪」と記載した上で、帯封で「北朝鮮帰国運動で『地上の楽園』のデマを演出した日本共産党!」と大きく書き、「日本共産党が拉致調査を妨害した『本当の理由』とは!」「拉致調査を“妨害”しつづけた日本共産党」などと記載し、さらに、本件書籍のなかで、もっぱら日本共産党への誹謗中傷を内容とする反共攻撃を意図して、何人かの虚偽の事実や事実を歪曲して述べている者の話を根拠に、日本共産党を誹謗中傷する内容の記述をしているものであるが、特に、「拉致問題に最後まで“消極的”だった政党が日本共産党であり、その共産党が『拉致疑惑の存在を認めさせ、道理ある解決方法を提案した』などと声高に主張しているのは、この党ならではのハレンチ行為」(2ページ)、拉致問題について日本共産党が「180度、自分の立場を《豹変》させている」などと事実を歪曲し、それは「まさに、詐欺行為としかいいようがない」(49ページ)、「この党は、被害者やその家族の心情など、いっぺんたりともくんだことがない」(49〜50ページ)、とのべ、北朝鮮帰国事業との関連では、「共産党がとってきた“消極的態度”は、はっきりいえば、不作為の罪としての“殺人加担行為”」(82ページ)などと記載し、日本共産党が拉致問題、帰国事業などにかかわって犯罪者の党であるかのようにえがき、虚偽の事実を公然と摘示して、出版流布し、日本共産党の名誉を毀損したものである。
 (2)被告訴・告発人株式会社ジェイアール東日本企画の本件中づり広告担当者は、本件書籍が、上記のような目的で出版され、もっぱら日本共産党の名誉を毀損する内容であることを知りながら、被告訴・告発人海野安雄、同社関係者である岡謙二および同社編集担当者氏名不詳者、同執筆者稲山三夫らの本件書籍の宣伝のための別紙写真記載内容の中づり広告(以下本件書籍の中づり広告という)を2003年2月8日から同月24日の17日間、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の山手線、京浜東北線、埼京線、中央線、東海道線などの各線のJR車両に掲示し、上記(1)の名誉毀損の犯罪行為を幇助したものである。
 (3)また、被告訴・告発人株式会社未来書房代表者代表取締役海野安雄、被告訴・告発人同社関係者岡謙二および同社編集担当者氏名不詳の者、同稲山三夫なる執筆者、同株式会社ジェイアール東日本企画の本件中づり広告担当者らは、共謀して、後記記載の本件書籍の中づり広告で「拉致被害者と日本人妻を返せ」と赤字で書き、「『地獄の凍土』を『地上の楽園』と宣伝し、北朝鮮に1800人の日本人妻を送り込んだのは誰か」「拉致事件、日本人妻問題の真実が今ここに明らかに!」「北朝鮮問題と日本共産党の罪」と大きく記載するなどとし、本件広告を見る者をして、あたかも日本共産党が拉致問題、帰国事業などにかかわって犯罪者の党であるかのように思わせる、虚偽の事実を摘示した同広告を2003年2月8日から同月24日の17日間、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の山手線、京浜東北線、埼京線、中央線、東海道線などの各線のJR車両に掲示し、日本共産党の名誉を毀損したものである。
2、罪名および罰条名誉毀損罪
 刑法230条1項、刑法60条、刑法62条
第2、著作権法違反の罪
1、犯罪事実
 (1)被告訴・告発人である株式会社未来書房の代表取締役である被告訴・告発人海野安雄、同株式会社未来書房関係者である岡謙二外同社編集担当者氏名不詳の者、同稲山三夫と名乗る執筆者らは、北朝鮮の拉致問題などに関し日本共産党を誹謗中傷し、その名誉を毀損する目的で本の出版とその本に資料として告訴・告発人日本共産党の「しんぶん赤旗」『前衛』など同党の著作物を無断で盗用することを共謀して、上記第1記載の本件書籍において、全頁257ページのうち約半分の125ページを「資料集北朝鮮と日本共産党」と題して日本共産党の著作物である「赤旗」「しんぶん赤旗」『前衛』などに掲載された別紙の資料集目次記載の各著作物を、無断で転載したうえ、本件書籍を2002年12月24日ごろ出版し、告訴・告発人日本共産党の著作権を侵害したものである。
 (2)また、被告訴・告発人株式会社未来書房においては、被告訴・告発人海野安雄が同社の代表取締役として、さらに同社編集担当者氏名不詳の者は同社社員として、同社の業務として、前記記載の著作権を侵害したものである。
2、罪名および罰条著作権法違反の罪
 著作権法119条1項違反、同法124条1項1号、刑法60条
第3、情状について
 1 告訴・告発人日本共産党は、北朝鮮の拉致問題を先駆的に国会で取り上げてきた。また、拉致問題の解決などのためにも、北朝鮮との政府間の交渉ルートを無条件に開くことが重要であるという提案をおこなってきた政党である。1988年日本共産党の橋本敦参議院議員(当時)が、拉致問題をまとまったかたちではじめて国会で取り上げ、当時の政府から「北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚」(梶山静六国家公安委員長)という答弁を引き出し、1990年には日本共産党の諫山博参議院議員(当時)が、1998年には木島日出夫衆議院議員が、それぞれ拉致問題で政府を追及するなどの活動をおこなってきた。1999年1月には、不破哲三委員長(当時)が、北朝鮮政権が国際社会におけるルールについてわれわれと共通の常識をもたないことを明確にしつつ、軍事的対応の悪循環を断ち切るためにも、当時皆無であった正式の政府間の対話ルートを確立する努力をおこなうことを提案した。
 さらに同年11月、不破委員長は、あれこれの問題の解決を前提条件とせず、無条件に交渉ルートをひらき、交渉のなかで拉致問題をふくめた日朝間の諸懸案の解決をはかるべきだと提案した。
 この提案が、同年12月の超党派代表団の派遣につながり、さらに、日朝間の国交正常化にむけた交渉の再開、昨年9月の日朝首脳会談につながったのである。
 このように、拉致問題をふくむ日朝問題の解決のために、日本共産党が大きな役割を果たしてきたのは動かすことのできない事実である。
 また、在日朝鮮人の北朝鮮帰国事業は、あくまで居住地選択の自由にもとづく人道的事業で、日本政府も閣議了解し、日本赤十字が主体となっておこなったものである。この事業を人道的立場から支援したものは、日本共産党だけでなく、自民党、社会党など超党派である。被告訴・告発人らが、帰国後の40年以上の経過のなかで顕在化した北朝鮮内部の否定的現象によって生まれた帰国者と日本人妻にたいする責任を、人道的問題として帰国事業を支持した日本共産党に転嫁し、「殺人加担行為」などと攻撃をするのは、まったく虚偽の議論である。
 今年の3月、4月におこなわれるいっせい地方選挙を前にして、日本共産党の前進を阻もうと、公明党などによって全国各地で北朝鮮の拉致問題と帰国事業で、日本共産党にたいしてその社会的評価をおとしめようとする虚偽の誹謗中傷を内容とするビラなどが多数撒かれるという異常な状況が生まれている。本件書籍の出版や中づり広告は、このような一連の日本共産党にたいする誹謗中傷の一環としておこなわれているもので、きわめて悪質であり、公正、公明な政治活動を汚す、民主主義にとって許されない行為である。
 2 被告訴・告発人の株式会社未来書房は、本件書籍(初版本)に記載された住所である東京都新宿区新宿7の16の12には同社自体が存在しない。本件中づり広告で、出版社所在地を東京都新宿区西新宿7の16の12と訂正広告しているが、その住所には用件を取り次ぐだけの事務代行会社が存在するだけである。未来書房の登記簿上の本店所在地は、立川市の公団賃貸住宅の一部屋で、「海野」の表札が出されており、同社代表者の自宅とみられるもので、そこに会社事務所が置かれている様子もない。しかも、同社の電話は、事務代行会社にかかる状態である。そのうえ、同社は、本件書籍の出版直前の昨年の9月15日に現在の代表者らが就任し、10月に登記がされた会社であり、どうも休眠状態であった法人登記をつかって会社をつくったと見られるのである。本件書籍の出版の直前に本の取次ぎの取引をはじめている様子で、本件書籍が最初の本の出版であるが、日本共産党の名誉をおとしめる本件書籍出版のために会社として動き出したと思われるものである。このように専用の電話もきちんとした事務所もない出版社である被告訴・告発会社が、本件の中づり広告のように本件書籍について大々的な広告を出しているのである。中づり広告の費用は、JR東日本の関係だけでも、総額約1600万円だとされており、1万部売っても1冊の本体価格1300円で合計で1300万円にしかならない本に、1600万円の広告費をかけるということはきわめて異常なものといわざるをえない。また、本件書籍には、著者の経歴や連絡先、印刷所などもまったく記載されていないということも異常である。
 これらの事実から、本件書籍の出版とそれを利用し、本の宣伝を口実とし、狙いは政治的に日本共産党をおとしめる宣伝という本件広告の役割が、そこから透けて見えてくる。本件書籍の出版は、日本共産党の社会的評価をおとしめようとすること自体が目的だということは明らかである。また、前述のような会社が、多額の広告費をどう捻出しているのか、背後関係に日本共産党を攻撃する政治的勢力が策動している疑いが高い。検察当局が、鋭意捜査し、背後関係を含む事の真相を究明し、民主主義を冒とくする犯罪者たちを厳重に処罰するよう強く求める。
 3 さらに、被告訴・告発人株式会社未来書房およびその関係者らは、本件書籍の257ページのうち、約半分の125ページを「資料集北朝鮮と日本共産党」と称するものとし、そこに「赤旗」『前衛』など日本共産党の著作物からの大量の無断転載をおこなっている。出版された本の半分は、無断転載した内容で占められたものを出版発行し、それを臆面もなく販売するという悪質きわまる著作権侵害の犯罪行為である。
 4 また、被告訴・告発人株式会社ジェイアール東日本企画の社員で本件中づり広告担当者の行為は、本件書籍が日本共産党の名誉を毀損し、その著作権をも侵害する悪質な日本共産党を特定して誹謗中傷する本であることを十分知りながら、しかも、東日本旅客鉄道株式会社との広告業務委託契約書で、広告内容が、「特定の政治活動のためにするもの」「特定の個人または団体等を誹謗し、名誉または信用を傷つけるもの」などは掲出してはならないことになっているにもかかわらず、日本共産党を誹謗し、その名誉を毀損する内容で、本の宣伝をよそおって、日本共産党の社会的評価をおとしめる反共政治活動をするための広告であることを承知しながら、あえて広告を掲出したもので、悪質かつ重大な犯罪行為である。日本共産党は、本件のようなかたちでもっぱら日本共産党の社会的評価をおとしめるために公共機関であるJRの車両の広告がつかわれることのないよう、このような悪質な広告の掲出に手をかした関係者を厳重に処分するよう求める。




反共謀略本 つり広告費(首都圏)2200万円

−どこから資金電話も事務所もない出版社が…−
(『しんぶん赤旗』H15.2.22)

北朝鮮問題を利用して日本共産党を根拠なく中傷している反共謀略本(本紙19日付で報道)の広告費用に、首都圏の電車内つり広告だけで約2200万円も使われたことが本紙の調べでわかりました。この本は内容が公明党機関紙とうりふたつで、書店で創価学会・公明党がまとめ買いしているもの。公団賃貸住宅の一室に「本店」を置き、専用電話も事務所もないような出版社がどこから多額の資金をねん出しているのか重大な疑問が浮かんでいます。

<公明まとめ買い>
 この本は『拉致被害者と日本人妻を返せ北朝鮮問題と日本共産党の罪』(「未来書房」刊)。「しんぶん赤旗」から大量の無断転載をし、著作権上も問題となっています。
 今月8日から、JR東日本の山手、京浜東北、埼京、中央など首都圏の各線の車内につり広告で大宣伝されました。JR東日本の交通広告を扱うJR東日本企画によると、広告掲示は今月24日までの17日間で、費用は総額約1600万円にものぼります。
 謀略本のつり広告は営団地下鉄、京浜急行でも行われています。営団地下鉄は計6日間で、費用は約480万円。京浜急行でも計6日間掲示され、広告代理店の料金表によると約140万円。
 これらの総計で約2200万円ですが、このほか新聞にも出版広告が出されており、広告費はさらに多額です。
 本は1冊の小売価格が1300円。1万冊売っても販売額が1300万円にしかならない本に、2000万円以上の広告費用を投じるとは「きわめて異常」(出版関係者)。広告自体が目的といえます。
 未来書房は、登記上の本店所在地が代表取締役、海野安雄氏の自宅。自宅は立川市の公団賃貸住宅の一室です。つり広告に記載された所在地も電話も事務代行会社のものという奇怪な会社です。
 未来書房が国際標準図書番号(ISBN)に登録したのは昨年11月。謀略本の出版までほとんど休眠状態にあり、多額の広告資金をどうねん出したのか、背後関係が注目されます。
 謀略本は、「ベストセラー」などと宣伝していますが、組織買いが目立ち、関東のある書店で昨年12月、200部が創価学会の依頼で公明党に届けられています。

[画像]:未来書房が入っている公団の部屋の玄関=立川市の公団幸町団地