創価学会破折
巨大カルト教団



政府の文書によってカルトと分類された団体一覧/フリー百科事典<ウィキペディア(Wikipedia)>H21.9.19

奏功した(??)バチカン工作──カルト批判の払拭を企図/広岡裕児=ジャーナリスト『Forum21』H25.5

「黒い手帖」裁判で浮かび上がった社会に潜む池田信奉者の危険性/『慧妙』H21.11.1

ストックホルム症候群/『慧妙』H21.11.1

学会機関紙に見る洗脳教育/『慧妙』H20.11.16

公明党は全体主義的傾向の党/参院議員・福本潤一『慧妙』H19.7.1

池田のために犠牲になる/佐高信著『田原総一郎よ驕るなかれ』毎日新聞社H18.1.30

この集団からなぜ犯罪者が現れるのか/山田直樹=ジャーナリスト『フォーラム21』H17.6.1

公明党・田端衆院議員“裁判やめろ”と圧力/『しんぶん赤旗』H17.7.18

米誌『フォーブス』が特集した「池田大作の世界」/『週刊新潮』H16.9.23

狂信カルト教団のすること/『慧妙』H16.1.16

学会員は自分で自分を説得/国正武重=政治評論家『文藝春秋』H15.8

アメリカ創価大学は「カルトスクール」/地元テレビ局・『フォーラム21』H15.5.1

国会で「朝木事件」に言及/第134回国会 宗教法人等に関する特別委員会 H7.11.30
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フランス創価学会
フランス国家博士論文『創価学会、タブーの解剖』/『慧妙』H23.11.16

フランス政府セクト対策一覧/<Wikisource>H21.9.16

仏(フランス)で「セクト(有害カルト)」と見られた創価学会/『フォーラム21』H19.7.16ほか

創価学会が実名で登場したセクト的逸脱対策警戒関係省庁本部の'05年度報告書/『フォーラム21』H18.7.1

インターネット掲載 SGI擁護「論文」の誤りを正す/広岡裕児『フォーラム21』H16.1.1〜2.1

『セクト危険注意』(抄訳)/広岡裕児『フォーラム21』H16.2.1

創価学会の「カルト度」/古川利明『フォーラム21』H15.3.1
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フランスでも起きていた不法アクセス事件/『フォーラム21』H17.2.15・7.15

公明党副大臣、フランスで議員の地位利用/広岡裕児『フォーラム21』H17.1.15

創価学会「裁判報道」のウソ/広岡裕児『フォーラム21』H15.11.15

名誉毀損訴訟で創価学会が負けた/広岡裕児『フォーラム21』H14.8.15

「創価学会はカルト教団」=フランス国営放送の特番/『週刊ポスト』H12.6.30
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韓国創価学会
韓国SBSテレビは、なぜ創価学会問題を報じたのか/『フォーラム21』H17.10.15

韓国のテレビ局が報じた「池田大作とは何者か」/『週刊新潮』H17.10.6

韓国の大統領選にまで介入した創価学会/『フォーラム21』H14.6.1




ストックホルム症候群(仮題)

―座談会に潜む"罠"―
―甘言に導かれ自己洗脳に陥る危険―
―いったん陥ると脱出は非常に困難―

(『慧妙』H21.11.1)

 8月の衆院総選挙惨敗を受けて信濃町の司令塔は、組織防衛対策として、既成組織の引き締めに着手したようだ。
 その主たる対策としては、オーソドックスな「座談会」を全国的に奨励しており、機関紙『聖教』でも「大座談会運動」と称して盛んに喧伝(けんでん)している。
 本紙前号「問答ダイジェスト」で既報のとおり、前回総選挙では組織の末端において、「仏敵」であるはずの民主党に投票する会員が続出する有り様で、創価組織の弱体化は、我々が想像している以上に進んでいたことが判明している。
 「組織中枢の指示が末端まで行き届いていない。」
 この事実は、信濃町の創価官僚たち(なかんずく池田)にとって、そうとうな精神的ダメージであったことは想像するに難(かた)くないが、10月17日付『聖教』等で、「創立80周年へ勝利の新布陣」との見出しのもと、人事の刷新が報告されていることも、組織引き締めの対策であろう。
 つまり「戦犯」に対する処断が断行され、それに乗じて組織内での地位を向上させたいゴマスリ米搗(こめつ)きバッタと、完全に洗脳された三色脳どもが、新たに幹部に登用されたのである。
 組織が退潮傾向にある中、幹部に登用された者が、いっそう組織に忠誠を尽くすであろうことは、容易に想像がつく。
 これらの毒々しさを増した三色脳たちは、組織の最前線において、手を替え品を替え、「民衆」を洗脳していく。
 その「洗脳」の実例が、まるで「洗脳はこうして実行すべし」とでも言いたげに、機関紙『聖教新聞』に掲載されている。
 その洗脳の手法が示されているのは、先に述べた「座談会」に関する記事だ。
 このところ「大座談会運動」と称して、「座談会」に関する記事が目立つ『聖教』であるが、特に10月19日付『聖教』3面では、「座談会」の「最前線ルポ」として特集記事が組まれているほか、『創価新報』(10月21日付)の「花の三丁目地区」という漫画まで、「座談会」が題材となっている。
 「この地区は一人暮らしの青年部も多い。都会での孤独な生活。仕事は順調か、病気はしていないか、悩んでいることはないか。食事や掃除や洗濯は大丈夫か。地区の壮年、婦人が家族のように親身になって声をかける」(前出『聖教』)。
 そして漫画に描かれるのは、座談会をバカにした一人暮らしの未入会青年が病気に罹(かか)り、それを見舞う青年部員を通じて学会組織に感動する姿である。
 青年だけではない、一人暮らしの老人も格好の標的となろう。
 これらの記事や漫画を見て想起されるのは、「ストックホルム症候群」という言葉だ。
 ウィキペディアによると、
 「1973年、ストックホルムでの銀行強盗事件において、犯人が人質を解放した後、人質が犯人をかばい警察に非協力的な証言を行なった、という事件から名付けられた」
 「犯人と人質が、閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有したことにより、高いレベルで共感し、犯人達の心情や事件を起こさざるを得ない理由を聞くと、それに同情するなどし、人質が犯人に信頼や愛情を持つようになる。また(中略)人質は、警察が突入すると身の危険が生じるので、突入を望まない。ゆえに人質を保護する側にある警察を敵対視する心理に陥(おちい)る。このような恐怖で支配された状況においては、犯人に対して反抗や嫌悪で対応するより、協力・信頼・好意で対応するほうが生存確率が高くなるため起こる心理的反応が原因、と説明される」
 「ストックホルム症候群は、恐怖と生存本能に基づく自己欺瞞(ぎまん)的心理操作(セルフ・マインドコントロール)である」
 創価学会の「座談会」という超閉鎖的異常空間で、そこに集(つど)う老若男女から様々な話を聞かされ、それまでハナからバカにしていた学会に好意を抱き、脱会するよう働きかける善意の者に対して、敵意・憎悪を抱き、その上、「脱会者は自殺に追い込め」という恐怖の指導によって、「恐怖と生存本能に基づくセルフ・マインドコントロール」、すなわち自分で自分を洗脳してしまうに至るのである。
 このような傾向は、役職が上がれば上がるほど顕著であると思われる。この推測が正しければ、最も「恐怖と生存本能に基づくセルフ・マインドコントロール」をしているのは、信濃町の会長・理事長をはじめとする、創価官僚(有給職員)たちであろう。
 恐怖支配については、本紙既報のとおり、矢野氏らがうけた仕打ちに明らかであり、生存本能について言えば、創価官僚たちは、今の高給が創価を退職したなら絶対にあり得ないことがわかっているのである。たとえ、それが麻薬入りのエサであっても、もはや、やめられないというわけだ。
 このような症状を「信濃町症候群」と名付けてはいかがだろうか!?
 冗談はさておき、我らは、総体革命戦略に籠絡(ろうらく)されて、人生を棒に振る孤独な老若男女を救うべく、倦(う)まず弛(たゆ)まず折伏の歩みを進め、いっそう自行化他に邁進(まいしん)してまいろう。





公明党は全体主義的傾向の党

―公明党離党した現職参議・福本潤一氏が暴露―
―離党表明記者会見で公明党の体質を指弾―
―渦中の福本潤一議員に単独取材を敢行!―

『慧妙』H19.7.1編集)

 6月15日公明党参議院議員の福本潤一氏が記者会見を開き、党に対し離党届を提出したと発表、「公明党はアンチ・ヒューマニズム」「全体主義的傾向がある」と公明党批判を展開した。
 これに対し公明党は、18日に党の中央規律委員会を開き、福本氏を除名処分に。


【公明党に「信教の自由」なし】
 福本氏は東京大学在学中の昭和43年10月12日に入信。以来、創価学会員ではあっても、信仰的には、自分はあくまでも「日蓮正宗創価学会」の会員である、というイメージできた、という。
 その福本氏は東大法華経研究会に籍を置き、最終的には総合委員長まで務めた人物。学会教学部長の斉藤克司とは5年間同居し、現会長の原田稔は先輩に、副会長(元総合青年部長)の谷川佳樹は後輩にあたる。
 東大大学院博士課程を修了後、愛媛大学の助教授として地域環境工学に取り組んでいたところ、平成7年、当時の新進党からの要請で参院選に出馬して当選し、現在は2期目。その福本氏が語った「勇退」の真相はこうだ。
 昨年1月、福本氏の政策秘書を務めていた馬田泰廣氏が死去。遺族の意向により、葬儀は日蓮正宗で行なうこととなった。
 福本氏としては当然のように、初当選以来、ずっと政策秘書を務めてきてくれた馬田氏に報(むく)いたいとの念から、自分が葬儀委員長を務め、葬儀を立派に執(と)り行なってあげたい、と考えた。
 ところが、馬田氏の葬儀が日蓮正宗で行なわれることを聞きつけた公明党秘書会長から、「葬儀委員長を務めるなどとんでもない!葬儀に参列してもいけない。マスコミに嗅(か)ぎつけられたら大騒ぎになるから、党内への訃報(ふほう)も回覧しないように」と強く申し渡されてしまったのである。
 党首脳部などとも綿密に連携している秘書会長--言い換えるなら"公明党の裏の顔"のような存在から強く言われてしまえば、福本氏としても、不本意ながら従うほかない。福本氏としては、馬田氏の未亡人に電話を入れて事情を説明し、葬儀の前日に馬田氏の自宅に赴(おもむ)いて、読経・唱題するのが精一杯だったという。
 それから3ヶ月が過ぎ、議員の間で次期参院選の公認に関する話が取り交わされるようになった4月、福本氏は、学会の方面幹部から「近々、冬柴から呼び出しがかかるぞ」と教えられた。
 その学会幹部の話によると、学会と公明党との間の協議で決められた比例区の"区割り"は、すでに学会の最高幹部会で発表されており、中国・四国ブロックの候補者名は空白になっていた、というのである。
 その学会幹部の言葉どおり、福本氏は冬柴幹事長(当時)に呼び出された。
 福本氏が冬柴を訪ねていくと、そこには神崎代表(当時)もいた。そして福本氏は、その場で冬柴から「今期は公認しない」と言い渡されたのである。
 福本氏としては3期目を目指すつもりで、年初に地元で行なわれた賀詞交換会に出席し、公認されることを前提に"どうぞよろしく"と挨拶もしている。
 納得のいかない福本氏がその理由を尋ねると、神崎が"馬田氏の葬儀問題"を口にし、冬柴もそれに同調したという。
 これにより福本氏は、"政策秘書の葬儀が日蓮正宗で行なわれたのは、秘書の管理ができていない証拠"という理由で、自分は"管理者責任"を問われたのだ、と認識したのである。
 秘書の葬儀が日蓮正宗で行なわれたことを理由に所属議員の公認を見送る―いくら支援団体である創価学会の手前があろうとも、日本国憲法には「信教の自由」が高らかに謳(うた)われている。そして公明党は、国民の血税から支出される政党助成金を受け取っている「公党」なのだ。
 秘書の葬儀の宗旨にクレームを付け、それを理由に公認候補から外したとしたら、それこそ言語道断。憲法を遵守(じゅんしゅ)すべき公党として許されないことは自明の理である。


【「学会が上で党が下」さらに池田はその上に君臨】
<公明党の使命>
 福本氏が離党を申し入れた際、太田昭宏は、
 「公明党議員に離党はない。公明党議員は一生、公明党議員なんだ!」
と言い放って離党届を受理しなかったという。
 また創価学会の方面幹部(副会長)は、
 「公明党議員の使命は何か分かっているのか!?池田先生と創価学会を守ることが公明党議員の使命なんだ。君はその使命を分かっているのか!」
と福本氏に教訓したという。

<勤行会・本部幹部会・そして池田大作への報告書>
 太田昭宏さんが公明党の代表になってから、より深刻になったのは、学会に毎月報告書を提出しなければならなくなったことと、議員が全員揃(そろ)って党本部で勤行をすることが頻繁になり、しかも、勤行会への参加回数が"評価"の対象にされるようになってしまったことです。
 じつは、創価大学でも今、同様の問題が起きているといいます。長谷川副会長が創価大学の担当になってから、大学職員ばかりでなく教授までが参加しての早朝勤行が常態化していることに、教授陣かち不満の声が盛んに上がっている、ということです。
 さて、「報告書」のことについて、もう少し詳しく話しましょう。
 学会の本部幹部会へは、毎回、30人ほどの公明党の国会議員が参加することになっています。ですから、だいたい3回に1回の割合で"順番"が回ってきます。それは国会の会期中であっても、です。
 そのため議員達は、外部の人間からそれと気付かれないよう、三々五々、八王子などの本部幹部会の会場に入るのです。会場内で座る位置は、写真や同時放送のカメラに絶対写らない位置です。
 本部幹部会終了後には、報告書を書いて提出しなければなりません。そもそも、池田大作が出席した会合に参加した学会幹部は全員、報告書を書く、というルールになっているのです。公明党議員もその例外ではない、ということです。
 池田名誉会長宛(あ)ての報告書は、宛先を空欄にします。それで、どこに上がる報告書かが判(わか)るのです。というのは、原島嵩さんに報告書のコピーを持ち出されたことが教訓になり、池田名誉会長宛ての報告書は、宛先を空欄にするようになったからです。
 ですから、報告書の書き出しは、必然的に「御健康な先生・奥様のもと、本部幹部会に参加させていただいて、ありがとうこざいました」といった具合いになります。しかも、こうした"定型文"が入っているか否かも、チェックの対象になっているのです。
 会合に参加したときには報告書を出すだけでなく、まず秋谷会長のところにあいさつに行き、次に第1庶務(※池田大作の秘書室)にあいさつに行きます。

<「お前は池田先生と同列か!?」との注意>
 もっとも、公明党議員は、こうした報告を通してだけでなく、学会員の監視の目によって、その一挙手一投足が全て創価学会に把握(はあく)されている、と言っても過言ではありません。
 私が演説の中で、「昭和43年10月12日に19歳で入信し」と語った時には、後から「福本君、『19歳の時に』というのはヤバイよ。池田先生と自分を同列に見ているのか?『19歳の時に』というのは言うべきではない」と、学会幹部にきつくたしなめられたことがあります(※「19歳」というのは、池田大作が入信した時の年齢)。
 こうした公明党の内情をよく知る自民党の野中広務(幹事長。現在は引退)さんから「君達のところは『SCIA』だ」と言われたこともありますよ。(笑い)

<「神崎、立て!」>
 私が出席した本部幹部会では、こんなこともありました。ちょうど、神崎武法さんが公朋党代表の座を太田さんに譲った、すぐ後の出来事です。
 池田名誉会長が「秋谷、立て!」「神崎、立て!」と命じ、いきなり「神崎、お前は秋谷にいじめられたそうだな」と問いただす。すると神崎氏が「はい!」と答える―。何のことはない、学会の会長である秋谷さんが公明党代表の神崎さんを辞任させたのだ、と印象付けるためのパフォーマンスなんですよ。もちろん、そんな場面が一般会員の目に触れることは絶対にありませし、「口外秘」です。


【その気がなくとも強制される竹入氏批判】
 竹入氏についてですが、今、公明党が竹入氏を訴えている裁判について、関係者から「あれは政治的裁判だ」というボヤキを聞いています。
 また、亡くなった馬田氏は、長く公明党秘書会長を務めていた優秀な人物でしたが、その彼が、竹入時代を評して「あの頃は本物の政治家が生まれていたが、今は創価学会の官僚が政治をやっている」という言い方をしていましたよ。
 それから、日蓮正宗や竹入氏を誹謗(ひぼう)することは、公明党議員OBに与えられる「役務(えきむ)」でもあります。私が勇退を拒(こば)み、離党を決意した理由の1つに、"0Bになって、日蓮正宗攻撃や竹入氏攻撃に駆り出されてはかなわない"という思いがありました。
 OB議員は、持ち回りで竹入氏攻撃をさせられています。「今回は君が竹入糾弾文章を書け」と言われてしまえば、言われた本人にそんな気持ちはなくとも、糾弾文章を書かざるを得ないのです。
 だから、自分が竹入さんについて知っていることを、わざと悪意の目で書く。また、批判的でない議員には竹入批判の指導をしなければならない。つまり、悪人像を作り上げための組織活動に加担しなければいけない。私にはとても耐えられません。





池田のために犠牲になる(仮題)

(佐高信著『田原総一郎よ驕るなかれ』毎日新聞社H18.1.30)

 久しぶりの「ら」である。マチャミとか呼ばれる久本がテレビに出ていると、私はすぐにスイッチを切るか変えるかするが、久本をはじめとした創価学会系タレントは見るに忍びない。自分の意志をもたない操り人形は痛々しくて見ていられないのである。操っているのは言うまでもなく池田大作だが、池田を「増上慢」とすれば、久本らは「卑下慢」となる。『広辞苑』を引くと、増上慢は「まだ悟りを得ないのに、得たと思ってたかぶること」、あるいは「実力が伴わないのに自慢すること」と出てくる。池田にぴったりだろう。それに対して卑下慢は、自慢することは同じだが、自分を卑しめ見下しながら、それを美徳として誇るのである。『広辞苑』には「形は随分へりくだりて、内心人に傲(おご)る気象ある者もあり。是を卑下慢といへり」という文例が引いてある。屈折した自慢で、出っ歯などの自分の醜さを表に出して笑いを取る久本の下品さに私は目をそむけたくなるのである。
 もう1つは、私はむずかしいことはわかりませんが、と自らを卑下しつつ、結局は増上慢の池田を支えている久本らの装われた無知と鈍感さに腹が立つ。
 たとえば、突如始まった公明党元委員長の矢野絢也への、創価学会のバッシングにも、学会系タレントは「反対しない」という形で加わるのだろう。学会は前に矢野の前の委員長の竹入義勝に対しても凄まじい攻撃を加えた。現在の代表の神崎武法もいつ同じ目に遭うか、わからない。公明党はこんな異常な党であり、その背後の学会も異常な集団なのである。1984年9月21日の公明党拡大中央執行委員会で、ある幹部が、
 「これからの党をどうするんだ。学会は、党と議員を無茶苦茶に言う。本部のいいなりだ。我々は『もの』だ。『もの』ですよ、『もの』」
と言ったので、当時委員長だった竹入と書記長だった矢野が、
 「そんなことは言ってはいかん。考えてもいかん」
と厳しく叱責した。しかし、その後2人で話すうち、
 「さっきは彼に厳しく注意したが、(われわれも)秋谷会長も『もの』か」
ということになった。つまり、池田の指示によって重要な会議への出席を止められたり、委員長を続けさせられたりするからである。
 こんな話がある。夫が公明党の国会議員だった女性が、公明党議員の妻たちを集めた「芙蓉会」なるものに出た。すると、池田夫人の香峯子と創価学会の幹部だった柏原ヤスが信心指導をし、柏原は
 「池田先生に献げた夫なのだから、決して自分の主人と思うな」
と叫んだ後で、
 「Sさん、立ちなさい」
と言った。病気になった彼女が夫に、
 「帰って来てほしい」
と電話をかけたことを捉えて柏原は、
 「議員は池田先生をお守りしなければならない。夫を私有物とするな」
と叱りつけたのである。それはそれは激しいもので、自分が死にかかっても夫には絶対電話はできをい、と聞いていた彼女は思ったという。池田のためにみんな犠牲になるのである。





この集団からなぜ犯罪者が現れるのか

(山田直樹=ジャーナリスト『フォーラム21』H17.6.1)

【余りに多くの学会員が犯罪に手を染めてきた】
 雑誌記者時代、ある法曹関係者に不躾な質問をしたことがある、
 「少なくとも粗暴犯がどんな宗教の信者か、調べて再犯防止に役立てたりしないんですか。オウムの事件もあったことだし、公安は洲べてるでしょうけど受刑者からデ一タを取ったり……」
 せせら笑うかのように、相手は答えた。
 「そりぁ時間のムダ。日本人はだいたい無宗教だし、人権派の弁護士にでも知れてみなさい、"信教の自由を侵害した"と騒がれるのがオチ」
 だがこの回答に、筆者は決して満足していない。95年秋、「創価学会による被害者の会」や日蓮正宗信徒たちの協力を得て、筆者の所属する週刊誌編集部はアンケート調査を実施した。このことは何度か書いているが、「創価学会関係者と思われる人物から、何らかの嫌がらせを受けたことがあるか」の問いに対して、実に生々しい回答が寄せられた。もちろんこの回答の多くは、91年秋の日蓮正宗による創価学会破門を機に学会を脱会した人々だ。回答にさまざまなバイアスがかかっているとも考えられる。従って、嫌がらせの具体的事例を記事化するにあたっては改めて回答者本人の話を聞いた。ポイントは、嫌がらせの相手が創価学会と思われる根拠、痕跡と証言内容が時系列的、論理的に成立するか否かだった。
 結果的には、深夜寝静まった折に実行されたケースのように判定不可能なものは別にして、多くの人々が遭遇した嫌がらせ相手が、氏名・所属、住所も特定しうる明々白々な創価学会員達だった。
 それを信仰、教義の間での争い事のみで捉えるのは正しいのだろうか。だいたい、誰が何を信じようと自由であり、信じないこともまた自由。憲法が保証する「信教の自由」とは、そういうものである。他者から"信仰を強制される"ならば、それは戦前の神道(宗教でなく伝統とすり替えた)と他宗の信者の関係と同義になる。
 脱会した者の家へ押しかけ、また逆に完全にシカトを決めこみ、脅迫電話をかける行為は明らかに社会的犯罪である。創価学会本体は、いつもこういう言い訳を用意していた。
 「会員に(嫌がらせを)指示したことなどない。個々の行為については、掌握していない
 無論、これは詭弁に過ぎず、行動を指示する内部文書は山のように集まった。で、話がそこに及べば、
 「山所不明の文書を前提にした話に回答の義務はない」
―ところが、加害者や被害者が創価学会員で人間関係の縫れから会館内で起きた殺人未遂事件のケース(99年5月)では、「世間を騒がせ申し訳ない」というような"一般的コメント"でお茶を濁す。しかし我々は知っている。余りに多くの創価学会員が犯罪に手を染めてきたことを。それを指摘すると、創価学会関係者はだいたいこう言うのである。
 「なにせ大きな組織ですから…
 まるですべての犯罪者の中では"少数派"に過ぎないじゃないかと言いたげなようである。ここで創価学会員による犯罪史を書きつらねる紙幅はないが、著名な事件だけを拾ってみよう。

●吉展ちゃん誘拐事件(63年)―犯人の小原保は学会員で、奪取した身代金を仏壇に置き、題目を上げていた。
●宝石商・金融業者強盗殺人事件(84年)―犯人は元警察官・沢地和夫。沢地は事件後、「(学会に)入信したおかげで借金を返すことが出来た」と船橋市の学会支部総会で、功徳を披瀝し体験発表していた。
●長野県でバラバラ死体が発見された母子殺害事件(89年)―この時筆者は、事件現場アパートヘ取材に赴いたが、明らかに死臭を感じた初めての体験だった。犯人は夫で、妻ともども熱心な学会員。死体を入れたビニール袋には『聖教新聞』が、そして放棄現場には「おしきみ」(創価学会員の仏壇には必須の植物)が置かれていた。
●大分県では日蓮正宗寺院から僧侶を誘拐し、6億円を要求する事件(89年)―犯人は学会員である。


【公明党議員にも腐敗が蔓延】
一方、元号が平成に代わる前後から目立つようになったのは、公明党議員による犯罪だ。かつては「サンズイ」を追及する爆弾質問が、公明党のウリであったが、多くの地方議会では与党、国会でもキャスティングボートを握るような状況となって、権力腐敗が蔓延していった。

リクルート事件に連座して逮捕されたのが現職国会議員(88年)
●大阪を舞台にした「砂利船汚職事件」でも公明党議買が逮捕(88年)
●北京で買春事件(92年)
覚醒剤取締法違反事件、所得税法違反事件、収賄事件(93年)
●現職参議院議員がセクハラで女性秘書(熱心な学会員)から訴えられた(95年)―この事件は、議員側敗訴で終結している。
●兵庫県のベテラン公明党市議が病気の妻を餓死させる事件が勃発(97年)―相互扶助を原則にする創価学会組織の"変化"が読み取れるようになった。
●現職公明党区議が少女20名以上と買春し、その様子をビデオ撮影していた事件(00年)。
もちろんその間、競争入札妨害や賭博、万引き、飲酒運転やひき逃げという毎度お馴染みの事件も起きている。組織の箍(たが)が綬み続けるのは、与党病そのものに罹っているからか。


【構造的欠陥が創学会員犯罪者を生み続ける】
学会員の事件にも時代の変化が起きた。
創価大学出身のエリート検事による取り調べ中の暴行事件(93年)―その象徴的幕開けだった。
●埼玉県北部を舞台にした保険金殺人事件(97年)―主犯、共犯ともども学会員だった。
●岩手県の知的障害者施設で学会員の男性職員が、知的障害者(女性の人所者)を妊娠させる事件(97年)
詐偽商法「八葉物流グループ」事件(02年)―トップも学会員、被害者の多くにも学会員という構図が生まれた。
●ドコモ携帯電話通話記録盗み出し事件(02年)
●ソフトバンク恐喝事件(04年)

 関わり合いの程度には温度差があるが、選挙違反を除いても学会員による犯罪はなくならない。
 しかも最近の傾向は、現実社会の犯罪動向をなぞるように犯人の低年齢化が認められる。

●東京では警察官の拳銃欲しさに刃物で襲う事件(98年)―未成年の学会員によるものだった。
小中高と創価学園、創価高校一筋に通い続けたフリーターが凶悪事件(05年)―ゴールデンウィーク中に宮城県から上京した19歳女性に新宿駅東口で声をかけたのは長谷部泰輔容疑者(23)。当初から金銭目的の"ナンパ"だった。松戸市の自宅アパートに女性を連れ込んだ長谷部容疑者は、この被害者が就寝中にキャッシュカードを盗んで、近くのATMに向かい、預金の引き出しを試みた。だが、暗証番号が合致せず、自宅に戻ると被害者と口論となり、絞殺。死体をトランクに入れ、柏市内の水田に放置した。

 筆者はことさら「創価学会員の犯罪」をあげつらうつもりはない。しかし、その教義、方針、集団の有り様が、そしてトップの指導がこうした事件に影を落としている点を簡単に否定できるだろうか。反対者、批判者への物理的暴力も伴う嫌がらせ、誹謗・中傷。「国法より仏法」という優先順位。単純に言えば、「敵を倒せ」の理屈は、「自らは正しい=絶対者」の論理に直結する。まともな宗教信徒であるなら、むしろ犯罪者は社会全体の比率に対して、皆無とはいわないが格段に低くなるはずだろう。
 公明党以外の政党所属議員は、信じる宗派、宗教がバラバラのはず。であるにもかかわらず、なぜ創価学会信者である公明党議員は他党同様汚職に手を染めるのか。ここには"宗教の御利益"や"抑止力"をまったく感じることができない
 創価学会とて、同様である。すばらしい知性に率いられたと自負するこの集団から、なぜ犯罪者が現れるのか。それが止まないとすれば、信じる宗教の方に「構造的欠陥」があると考える他ないだろう。今からでも遅くはない。創価学会は「犯罪の予防」と「犯罪者の更生」においても、実績を示すべきだ。また同時に、JR西日本のごとく社会的に謝罪すべきであり、運転士=末端会員の個人的責任にすり替えてはならない。もしそれが不可能なら、宗教法人格を返上し、宗教団体としては自主解散すべきだと思う。宗教は「人間を磨く」ものなのだから。

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【会員に対する池田の鬼畜指導】
―ニセ本尊崇拝と併せ、皆三悪道に―
(『慧妙』H17.8.1)

 では、彼らの独善性はいかにして培われたのであろうか――。
 「帷幕(いばく)の中に謀(はか)りごとを巡らし、千里の外に勝を決する。それだけの綿密に腹をすえた計画、謀り事を完壁にして、あとは運だ。そこまでやれば、きっとやれる。」
 「口八丁手八丁でよ、なんでもうまくやるんだ。社会(党)だって方便を使っている。共産(党賢)だって目的のためなら皆な謀略(ぼうりゃく)じゃないか。一般社会だって利益のためならあらゆる手段を使う。うちは信心を守るため、学会を守るためだ。」
 かように"自分の欲望を実現するためなら、いかなる謀略も厭(いと)わない"と公言して憚(はばか)らないのは、他ならぬ池田大作である。まさに、これは、「強い者を恐れ、弱い者をあなどり、理性を失って倫理・道徳をわきまえず、本能的欲望のままに行動していく」(『仏教哲学大事典』)畜生の姿そのものといえよう。
 しかして、こうした異常な池田発言に加え、学会では、池田センセーの指導を実現していくための対境として、ニセ本尊を配布しているのである。
 日蓮大聖人は
 「諸宗は本尊にまどえり。(中略)例せば、三皇已前に父をしらず、人皆禽獣(きんじゅう)に同ぜしがごとし。寿量品をしらざる諸宗の者は畜に同じ。不知恩の者なり」(御書554頁)
と仰せである。
 寿量品の仏たる御本尊を偽造するようなことは、まさに「畜に同じ。不知恩の者」であり、そのニセ本尊を拝み、池田の鬼畜のごとき指導・薫陶を受ける者達が、三悪道に堕ちることは、当然の結果ともいえる。
 されば、創価学会員による凶悪犯罪・異常犯罪は、ますます増えることこそあれ、減ることはありえないだろう。
 我々は、そのことをしっかりと肝(きも)に銘じ、1人でも多くの学会員を救い出すべく、全力で折伏を行じていこうではないか。





米誌『フォーブス』が特集した「池田大作の世界」

(『週刊新潮』H16.9.23抜粋編集)

 発行部数100万部といわれるアメリカ屈指の経済誌『フォーブス』が突然、創価学会の批判記事を掲載した。「先生の世界」と題された記事(9月6日号)は、冒頭から「池田大作の奇妙な帝国」と、学会を痛烈に皮肉っている。以下にご紹介するのは、アメリカ人記者が半年以上かけて綿密に取材した創価学会の内幕―。
 5ぺ-ジに及ぶ記事のタイトルは英語で「Sensei's World」。そのまま日本語に訳せば「先生の世界」……。むろん、この「先生」という単語が池田大作・創価学会インタナショナル(以下SGI)会長を指しているのは明白だから、これだけでも皮肉たっぷりとわかるが、冒頭の見開きの右側ぺージには丁寧に池田会長をデフォルメした、ギョッとするようなイラストまで掲載されている。
 大きな黒い鉄の鍵を手にした池田会長が、顔に鍵穴のあるのっぺらぼうの信者たちを従え、座禅したまま空中に浮遊しているイラストは「創価学会のキーマン」を象徴する隠喩(いんゆ)にしてはかなり辛口な印象だ。しかし、実は、記事の中身の方もこのイラストに負けず劣らず、辛口の内容だったのである。


<アメリカ創価大学>
◆創立3年目の創価大学は、オレンジ郡郊外の103エーカー(約41万平方メートル=編集部注)のキャンパスにこれまでに約3億ドルを費やしてきたが、工事は現在も行なわれている。この秋に、創価大学のキャンパスにある豪奢(ごうしゃ)なロマネスク様式の校舎を行き交うのは、わずかに400人の学生だ

◆教授陣が学会上層部の介入について苦情を表明したことで、創価大学の実態が次第に明らかになっていった。5〜6名のスタッフはすでに大学を離れており、(中略)1人は訴訟を起こしている。また、裁判所に調停を申し立てた議員もいる・・・

◆創価大学は、このアメリカの学間の砦(とりで)を老いたセンセイがもうじき訪れる予定があるという噂を否定している。創価学会会長のポストを誰が継承するかも決まってはいない。池田の2人の息子は、創価学会の副会長だが、学会は、世襲制を否定している。その一方で、税制の優遇措置を受けた何十億もの資金が今も学会に転がり込み、そのほぼ全てが、世界各国の税務当局の権限外となっている


<池田大作>
◆この会は44年間にわたって、熱心な宗教家の一面を見せながらも、執拗に自己権力の拡大に努めた池田大作に率いられてきた

◆池田の目的は何なのか?創価学会の統率権を獲得した5年後、池田は、日本のライターに、「私は日本の国主であり、大統領であり、精神界の王者であり、思想文化一切の指導者・最高権力者である」と述べている。(中略)信者たちは、池田をマーティン・ルーサー・キング・ジュニアや、マハトマ・ガンジーと同等の存在とみなして、池田の講演旅行の準備」をしている

◆「あなたは先生の心を自らの心としなければならない。あなたは、自分自身の夢ではなく、(池田の)夢を実現しなければならないということです」と述べるのは(中略)元信者であり側近でもあったリサ・ジヨーンズだ。彼女は現在、"創価学会を疑う"ウェブサイトを運営している。「彼の夢は、広宣流布であり、または学会員が言う"世界平和"であり、これは、世界の3分の1の人々が経を唱え、3分の1の人が、池田を祝福し、残りの3分の1の人が無関心という時に実現するだろうとされています」


<財務と資産>
◆創価学会も財務状況が明らかでない宗教組織のケースだ。池田(76)は、創価学会の世界的な組織となっている創価学会インタナショナルの会長で、学会には1200万人の信者がいると言っており、10年前に日本の国会議員が1000億ドルの資産価値があるとした帝国を束ねている

◆学会の広範囲にわたる国際資産には、フランスやイギリスの私有地が含まれている。創価学会は、カリフォルニアの金ぴかのサンタモニカにあるウイルシャー大通りの海岸寄りに、向かい合って高層のオフィスビルと講堂を所有している。近郊の丘の近くには、キング・ジレット農場を持っているが、これは、。『風と共に去りぬ』という映画の「タラの農場」のロケ現場となった。ニューヨークのユニオン・スクエア近くにある600万ドル近い物も含めて、数多くの礼拝所が世界各地に存在する


<犯罪>
◆仏教の日蓮宗派から喧嘩別れした創価学会には、暴力や恐喝、脅迫の嫌疑が渦巻いている。日本の創価学会の会員が、違法な盗聴行為や、非公開のデータベースに侵入したとして告発されるという事態も起きている

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◆この記事で訴えたかったのは、何をやっているか、よくわからないこの組織が巨額の金と巨大な権力を動かしているという事実です。それから、世界平和や民主主義を謳(うた)いながら、その一方で、創価学会という組織の中は、民主主義など全くない。トップダウンで、全員が池田会長のマリオネットのような発言ばかりしていますよね(記事を執筆したベンジャミン・フルフォード=『フォーブス』アジア太平洋支局長)
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創価学会は、先入観のない経験豊富な外人ジャーナリストの目にも、「池田帝国(センセイノセカイ)」と映ったようなのである。

[画像]:「Sensei's World」と題する『フォーブス』誌の学会解剖記事

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『フォーブス』には、目下、SGIから記事の撤回、訂正を求める激しい抗議文が届いており、この翌号の『フォーブス』には創価学会の秋谷栄之助会長の反論も掲載された。しかし、その反論文に『フォーブス』が付けたタイトルは「帝国からの返信」であり、同誌が少しも"反省"していないことが窺える。

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戸田先生は「信なき言論は煙のごとし」と宣言された。確固たる信念、信条のない「言論の暴力」とは、断固、戦え!これが戸田先生の叫びである。もちろん、中立・公正な「批判」ならば、いい。だが、悪意のデマ、中傷は断じて許さない(秋谷栄之助『聖教新聞』H16.9.14)
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ならば借問しよう。中立・公正な批判かどうか。それを決定するのは誰か。そして、どんなプロセスを経てそれを確定していくのか。是非とも方法と道筋を示してもらいたいものだ。(『フォーラム21』H16.10.15)





狂信カルト教団のすること(仮題)

―「降魔の剣」―
(『慧妙』H16.1.16)

▼狂信カルト教団のすることは、一般常識人には計り知れないものがある。本年もまた、総本山大石寺で執(と)り行なわれた本年の元旦勤行及び唱題行に、新年早々、創価学会の謀略部隊が潜入していたのである。およそ他の宗教団体で信仰礼拝する行事に、宗旨の違う教団の信者が入り込むこと自体、異常としか言いようがない
▼このような呆(あき)れた行為を平然とやってのけるカルトの洗脳の凄(すさ)まじさには、ただただ驚くばかりである。ちなみに、この戯(たわ)け者たちは、行事終了後、総本山に隣接している学会の"大石寺見張り小屋"と称される建物に、報告のため出入りしているという
▼彼らが潜入する目的は何かといえば、第1に、怪文書作成のための情報収集である。第2には、仕入れた情報を歪曲(わいきょく)して騒ぎ立て、学会員に対する宗門敵視の洗脳を深め、あわよくば、宗門の内部攪乱(かくらん) を狙っているのである。
▼なお彼らが情報収集しようと企(たくら)む最大のターゲットは、御法主日顕上人猊下であり、その証拠に彼らは、猊下のお言葉がある日には、必ず行事への潜入を試みるのだ
▼誰にでも分かる異常な行為が、まったく異常と認識できない学会員たち。その他にも、昨年12月19日の猊下のお誕生日に、組織を挙(あ)げて行なった『日顕(上人)打倒唱題会』なるものは、まさに狂気(カルト)の証明であろう。結集に結集を呼びかけ、「ゴントウリキ、ゴントウリキ」と、怨念の題目を唱える鬼気迫る姿
▼本年は『破邪顕正の年』。そんな狂った彼らを救う1年にしていこうではないか。





小泉総理は創価学会にひれ伏した

――「アンチ学会」の急先鋒だったはずの総理の変節―
(国正武重=政治評論家『文藝春秋』H15.8抜粋)

<変質した公明党の基本理念>
 99年7月、公明党は小渕政権下で連立与党に参画する。以来満4年、公明党のホームページを見ると、「公明党が『生活者の視点』で積み重ねてきた数々の実績」として、中小企業対策、児童手当てと育児休業制度の拡大、保育所待機ゼロ作戦などを挙げて誇っている。
 しかし一方で、平和、人権、福祉を不動の価値としてきた創価学会・公明党が変質してきたことも事実だ。
 たとえば、「清潔で金にきれいな党」の面影はどこに行ったのか。企業献金規制は公明党が長く掲げてきた政策にもかかわらず、今国会では企業・団体献金の公開基準引き上げを容認した。
 何より、公明党・創価学会グループは「永世平和」を希求してきたはずだった。ところが、01年9月11日にアメリカで同時多発テロが発生すると、テロ対策特別措置法が浮上した。公明党は逡巡したが、冬柴鐵三幹事長が自民党の山崎幹事長らとひそかに会い、時限立法で合意すると、一気に軟化して法案の骨子を固めた。冬柴氏は「緊急性にかんがみてトップダウンでやるしかなかった」と釈明したが、党内からは不満が吹き出した。
 党ばかりでなく、池田名誉会長も今年1月26日に、テロ、大量破壊兵器問題について提案を発表。「軍事力を全否定することは、政治の場でのオプション、選択肢としては必ずしも現実的とはいえない」と語ったのは、一連の与党連立によるブレを指摘したものととれる。
 イラク戦争後、イラク支援特別措置法案が焦点となると、公明党はますます前のめりになっていく。武器・弾薬の陸上輸送について神崎代表は6月11日、「武器・弾薬を除外すると、おそらく1つひとつの貨物について武器・弾薬が入っていないのかどうかを確認するという煩瑣な作業になる」と、これを容認する考えを示した。
 実は、前日の公明党政調全体会議では「まだ大量破壌兵器が見つかっていない。イラク戦争の正当性が疑われているのに、自衛隊を派遺する必要があるのか」と批判が出たばかりだが、神崎代表は「大人の判断」で先行したようだ。
 自民党側もしてやったり。「イラク特措法案では公明党は自民党より先に了承してくれた。大助かりですよ」(自民党幹部)というのも、この法案に盛り込まれた大量破壊兵器の処理に冬柴氏がいちはやく承諾を与えていたにもかかわらず、自民党内の反対でこの項目が削除されたという、あべこべの状況まで起きているからだ。
 急激な変化に支持者はついてこられるのだろうか。公明党三役経験者はこう答える。「違和感を覚える学会員がいても、変化を進化と捉える上層部が、『お前たちの言うことは時代遅れだ』と説得すれば、結果的にそれに従うのです。教団では、上層部の指導に従わないと自分の人生を『全否定』することになる。創価学会員は自分で自分を説得するのです」。「下駄の雪」として踏みつけられるのは、今度は一人一人の学会員なのかもしれない。





特集/「池田私兵」養成機関・創価大学の真実
地元紙が伝えるアメリカ創価大学

―「派閥抗争と秘密主義」の実態―
(乙骨正生『フォーラム21』H15.5.1抜粋・要旨)

このほどアメリカ創価大学のあるカリフォルニア州オレンジ郡で発行されている地元紙「ザ・オレンジカウンティ・レジスター」の記事によってアメリカ創価大学の隠れた実態が明らかとなった。

<渦巻く派閥抗争と秘密主義>
 問題の記事は、2月28日付同紙電子版に掲載されたスーザン・ギル・バードン記者による「キャンパスの美しい壁の中では、派閥抗争と秘密主義が渦巻いている」と題するアメリカ創価大学についてのレポート。それはこんな書き出しで始まっている。
 「(アメリカ)創価大学開校当時より在籍していた20人の教授陣のうち、4半数にのぼる教授が既に辞職するか、6月までに辞職することになっている。これは、仏教セクト(創価学会)によって設立された(創価)大学が、自由かつ無宗教を掲げた教育現場において、(創価学会が)本来の目的とする宗教教育を行わなければならないという2つの対立する目的のために生じた問題である」
 ここに記された辞職した教授の1人で、いまはカリフォルニア州立大学フルトン校に再就職している元生物学教授アン・ハウトマン女史は、顔写真入りで紙面に登場。「公約」を守らないアメリカ創価大学の欺瞞的体質をこう証言する。ちなみにアン元教授は、「一時、(アメリカ)創価大学の中でも最も高名で精力的な教授の1人であった」という。
 「新設された(創価)大学は、最初に公約したはずの自由と無宗教という理念を全く実行していない
 これを受けてレポートは、創価大学が「自由」と「無宗教」という公約を踏みにじっているばかりか、創価学会本部の傘下にある大学本部によって厳しく統制されているという事実を次のように報じている。
 「103エーカー(約12万6000坪)の広大な敷地を持つキャンパスは、2001年8月に開校されたが、当初、世界平和、人権擁護を目的に謳い、教授と学生がともに、カリキュラムの作成、教授の採用、予算作成にまで参加できるという非常にリベラルな学芸大学であるとして、学生募集を行っていた。
 だが、『そのような公約は一切守られなかった』と証言する教授や学生は少なくない。また、彼らの証言によれば、ほとんどの決定は、創価学会員のみによって構成されている大学本部によりなされていた。しかも非学会員の教授や学生が、大学本部の決定に対して不服を申し立てることは非常にはばかられた」
 再びアン・ハウトマン元教授の証言を引用するレポート。アン元教授はアメリカ創価大学の実態をこう厳しく批判している。
 「前に述べたような環境は、大学などすべての教育現場における理想ですが、創価大学内の教育現場は、こうした美辞麗句と正反対の対局に位置し、秘密主義、階級組織、高圧的で偽りの環境だった


<宗教差別や不当解雇で訴訟も惹起>
 レポートでは、創価大学を解雇された美術担当の前教授や図書館館長が、宗教差別と契約不履行を理由に創価大学を提訴していること。また、アン元教授をはじめ、情報システム部長、企業専門研究員、学籍担当事務官など4人の重要な教授ならびに事務職員がここ数カ月の間に辞職したことを紹介。「創価大学の抱える問題は、単に文化や宗教の違いによる誤解よりも、もっと根深い問題である」として、以下のように大学本部の理事等の弁解が詭弁にすぎないことを事実に即して浮き彫りにしていく。
 ハウトマン教授は、創価学会員の教授は、特別待遇を受けていると主張する。学会員の教授だけは、学生募集のための出張に参加できるが、非学会員の教授はそうしたことを知らされてもいなかった。また、新任の社会心理学教授も含めて何人かの学会員の教授は、ダニエル・ハブキ創価大学理事により直接採用されるが、非学会員の教授は、全国から募集を行い、選抜された後に、ようやく雇用契約を結ぶことになる」
 「既に十数人の学生が、大学を中退したが、その理由として、学内の張りつめた雰囲気や大学の研究科目プログラム、来学期より予算削減のため、教授陣も常勤ではなく、数十人の非常勤教員を採用するという大学本部の決定などを懸念している」
 「これから辞めていく人達(辞めずに残る人達もいるが)は、創価大学の先行きに対して不安を抱いている。彼らは一様に、一部の教授や学生が、意見することをはばかられるような環境では、学問の自由を得ることは不可能だと断言する。そしてその事が、大学が本来追求すべき、大学のレベル向上や学生を集めるのに必要不可欠とされる大学に対する信用そのものを落としている」

<創価大学は「カルトスクール」と報道>
 アメリカ創価大学の前身ともいえる創価大学ロサンゼルス分校は、ロサンゼルス郊外のマリブに開校した。だが、風光明媚で国立公園に隣接する同地で大規模開発を企てた創価大学に対して、環境保護を訴える地元住民、アメリカ政府国立公園保護局が猛反発。結局、連邦議会で創価大学用地の買い戻しが審議、可決されるにいたって創価大学側は創価大学ロス分校の大規模開発を放棄。オレンジ郡に移動して、アメリカ創価大学を開校(※'01)したのだった。
 その創価大学ロサンゼルス分校の大規模開発問題を取り扱ったカリフォルニア州の地元テレビ局KABCは、創価大学を日本でもさまざまなスキャンダルを起こしている特殊な宗教団体創価学会に支配された「カルトスクール」と呼んだ。
 池田氏のカリスマの源泉であるとともに、創価学会の人材養成機関としての役割を果たす創価大学。その「キャンパスの美しい壁の中」にあるおよそ人権や平和とはほど遠いおぞましいばかりの「派閥抗争と秘密主義」の実態を、この「ザ・オレンジカウンティ・レジスター」の記事は明らかにしている。





国会で「朝木事件」に言及

―第134回国会 宗教法人等に関する特別委員会 第6号―
(保坂三蔵 H7.11.30)

〈保坂三蔵君〉そういう危険な教団に実は、恐らくやじが飛ぶでありましょうが、創価学会もカルト教団と見られているんですよ。(発言する者多し)アメリカ社会では全くオウム同様に見られている。独善、排他、危険な存在。
 例えば、これはこの間中島議員からもお尋ねがありましたけれども、アメリカの『タイム』の11月20日付の記事の中にはこうやって池田学会会長と、「ザ・パワー・オブ・ソウカガッカイ」という記事の中に何とこうやってこの間の東村山の朝木市会議員の写真まで載っていまして、こういう事件が創価学会の中に存在するということを指摘しているわけですよ。
 そして同時に、例えばエホバの証人のように子供たちが交通事故で死にそうでも輸血をさせなかったような事件がありましたね。ああいう狂信的なところは、親の権利で子供の命を奪うことはないんですよ。それでもこういうカルト教団は平気で行う。しかも、教祖の指示なしで、場合によっては信者そのものが具体的な変な事件を起こすことは山とあるんです。(発言する者多し)
 これは11月27日の「東村山・朝木市議変死事件 真相糾明へ、遂に市民1万2千人が立ち上がる」という記事なんです。このカルト教団独特の犯罪行為を、実は創価学会が疑われているんですよ。そこが問題だ。
 私は、事件が創価学会が全部やったという立件はできませんよ。しかし、疑われているということに対して答える責任があるんではないかということを私はお尋ねしているわけなんですね。(発言する者多し)
〈理事(松浦功君)〉御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。
〈保坂三蔵君〉委員長、やじが飛びますけれども、私は公明党に対してこのことを言っているんじゃない……(発言する者多し)
〈理事(松浦功君)〉御静粛にお願いします。
〈保坂三蔵君〉創価学会だからね。創価学会に対して言っている。
 この朝木事件に対しては、数々のおかしなことが展開しておりまして、数々のおかしな事件が展開しておりまして、そして現実的には御存じのとおり自殺、他殺の両面から捜査をしているという、そういう公安委員長の答弁があった。(発言する者多し)
 そこで、刑事局長、この事件の捜査というのはどの辺まで今進んでいるかお尋ねしたい。
〈政府委員(野田健君)〉お尋ねの事案については、平成7年9月1日午後10時30分ごろ、東京都東村山市本町所在の6階建て店舗兼マンションの1階ごみ集積所において東村山市議会議員朝木明代氏が同マンション上階より落下した状態で発見され、病院に搬送された後死亡したもので、現在、警視庁において所要の捜査態勢のもとであらゆる可能性を視野に入れ、自殺、他殺両面からの捜査を進めており、早期に捜査を遂げ、総合的な判断をしたいと思っております。
〈理事(松浦功君)〉ちょっと待ってください。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
〈理事(松浦功君)〉速記を起こして。(発言する者多し)御静粛に願います。
〈保坂三蔵君〉委員長。
〈理事(松浦功君)〉ちょっと待ってください。
 ただいまの件につきましては、後刻速記録を調査の上、適当な措置をとることにいたします。
〈保坂三蔵君〉大分紛糾をしておりますけれども、しかし紛糾をするというのは、例えば坂本事件のときもそうだった。プルシャが落ちていてそれに気がつかなかったという痛みを今感じていますね。私は今度の朝木事件が何もなくそのままいけばいいですよ、自殺で。しかし、これが本当にある種の団体の圧力や何かで他殺だったらばどうするんですか。こういう事件が頻発をしているということが、もし明瞭になったら大変なんだ。
 そこであえてお尋ねいたしますが、この殺されたと言っている朝木という東村山の市会議員の娘さんと夫、そして同僚の市会議員が創価学会の解散請求を現実的に出したわけですよ。その中でいろいろ理由が述べられておりまして、こういう中で創価学会が既にこういう疑いを……(発言する者多し)
〈理事(松浦功君)〉御静粛に願います。
〈保坂三蔵君〉世界から、日本から持たれているということからすれば、そろそろきちんとしなくちゃならないと。日本の政治を動かすような力まで持った政党を持ち、そして同時に発展を続ける800万からの会員がいる創価学会がこのことに答えないで、このまま時間を経過していくなんということはあり得ない、そういうことを私は申し上げているんです。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、この亡くなった朝木という市会議員が遺書とも言うべく残していったいろんなことがあるんです。例えば、この亡くなった年に事件が十何件起きている。
 例えば、これも言われておりますけれども、草の根集会に出席をしようとした田参議院議員に対しまして、平成会の大久保参議院議員がこんな会に出ないでくれと要請をしたとか、何で李下で冠を正すのかというような事件が起きている。
 しかも、お万引き事件という事件が起きまして、この件も私は公正を期すために学会が出している『潮』の記事も読みましたけれども、いろんなことが書いてありますよ。いろんなことが書いてあって、「万引きと自殺……この2つが転落死をめぐる騒ぎの構成要件」だとも書いているし、アリバイ工作が崩れたとも書いているし……(発言する者多し)
〈理事(松浦功君)〉御静粛に願います。
〈保坂三蔵君〉そして同時に、「むしろ万引きを働くような自制心のない性癖が、地検出頭を控えての不安から衝動的な行動に走ったとみるのが、より常識的ではあるまいか。」とか、いろいろ書いてあるんですよ。
 しかも問題なのはこの中で、こう書いてある。彼女の転落死は警察の捜査で自殺と断定された。」とこの記事は書いてあるんです、『潮』の記事は。まだ断定していないんですよ。断定したと書いてある。こういう……(発言する者多し)国家公安委員長が断定していないと言っているじゃないですか。そういうことを、このミステリアスな事件が単純な偶発的な事件ではなくて計画された事件であったら大変なことだと、このことを私たちは申し上げ、そういうカルト教団的な体質が体質としてもし創価学会にあるようだったらば大変なことだなと私は思って今日この質問をしているわけであります。
 さらに続けますが、この同僚の矢野市会議員か暴漢に襲われまして前歯を折るような重症を負ったとか、あるいはこの人が前後からトラックで固められましてつぶされそうになった。恐怖の中からもそのナンバーを見たらば、残念ながら車が学会員のSという人の所有であることもわかったとか。
 要するに、これは週刊誌で書いてあったとか何とか言いますけれども、そういうことがこれだけ黒白のもとにさらされるような、週刊誌や報道機関に取り上げられながら、国会で私たちはこの問題に触れることができないというのはおかしいと思うのでございます。
 刑事局長、これは自殺と断定したのかどうか、その点についてもう1回お尋ねしたいと思います。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
〈政府委員(野田健君)〉現在、自殺、他殺、両面からの所要の捜査を進めているところでありまして、その結果を踏まえ総合的な判断をしたいと思っております。
〈保坂三蔵君〉自殺とか他殺というのは、かなり傍証といいましょうか、推定の部分もあることは事実ですよ。しかし、もしその推定の部分があるとしたならば、この人は死ぬ日のお昼に東京都庁に宗教法人法の改正を求める陳情書というのを現実に出してきて、ここにあるんですよ、東京都庁に出してきている、お昼ですよ。そして、夕方帰って、2日後の高知の反創価学会シンポジウムに出るためのレジュメをワープロに打ちまして、またそれを消さないままに行方不明になった、そういう事件なんですよ。
 ですから、これはいろんな、今申し上げたような事件から申し上げますときな臭い部分が非常に多い。こういうことを考えますと、私はこのことについてどうしても、創価学会が疑われているんですよ、起こしたとは言っていないですよ、疑われている以上は疑われた側が、PL法じゃないけれども、しっかりと答えをしないと、大きな力を持ちそして大きな信者が頼りにしている教団が疑われているわけでありますから、このことからしても私はこの問題を簡単に済ますことはできないような事件だと思うわけでありますが、委員長、お取り扱いについていかにお考えでございましょうか。(発言する者多し)
〈委員長(倉田寛之君)〉保坂君のただいまの委員長に対する問いにつきましては、理事間で協議を申し上げます。(発言する者多し)
 傍聴人に申し上げます。傍聴人はお静かに願います。(発言する者多し)
 委員席もお静かに願います。
〈保坂三蔵君〉私は、この事件を単なる推測で申し上げているんじゃないんだ。というのは、いろんな事件の中からこの事件が起きているということからすれば、点と点を結び線と線を結んで面になりかけているから、このことについて核心の事件として無視できませんよと私は申し上げている。
 この朝木という市会議員はなかなか敵が多い議員だった。ということは、与野党ともにこの人を敵に回すような状況があった。それは、歳費の値上げを認めないで2期8年にわたって歳費を800万返してしまったとか、そういうこともありまして扱いにくい議員だと思われていたこともあるんですよ。しかし、現実的には、やはりこの人の人生の最終局面は創価学会と対決していたことは事実なんです。このことをもって死因の1つだとするならば、これは大変なことだなということを考えるわけです。
 例えばこういう事件があった。市議会と学会の癒着を明瞭にして突っかかった。それから、東村山市の生活相談課の人が学会の方だったらしいんですな、それで、いろいろ脱会者が相談に行っても相談しにくいとかそういうことがあって突っ込んだとか、あるいは学会と業者の癒着を言ってしまったとか、いろいろパンドラのふたをあけてしまったんです、正直言って。
 そして、ここにきわめつきは昨年の6月に、創価学園の2年生の子供がいまして、その人が創価学会をやめたので創価学園もやめなさいと先生から言われた、これはもうゆゆしき人権上の問題だということで、親の代理人になって、子供の代理人になって親権者の親と一緒に出かけていって学会と交渉したり、言ってみればそういうことがつながっているだけに、さらに数えれば十何件、20個ぐらいあるんですよ。そして、最後にはTBSの「ニュースの森」が2週連続で取り上げたり、あるいは田中金脈が結局はこれで決まったという『文春』ですよ、『文芸春秋』でさえも取り上げたんですよ。
 そういうことになりますと、要するに社会的な信用のあるメディアがこれを無視して、イエローペーパーだとかあるいは、二流三流のメディアが取り上げたんではなくて一流のメディア、しかもアメリカにおいては『タイム』誌までこれを取り上げてやってきたということになると、週刊誌は事件の立件にはなりませんよ。なりませんけれども、国民が今疑問に思っていることをいみじくもメディアが敢然と取り上げてきたわけですよ。
 こういうことを、私は単なる推測で発言するんだとか言われちゃ困る。今、参議院の中島議員を初め、あるいはまた私どもの関根理事、すべての皆さん方が創価学会の問題について、やはりこういう不明瞭な点があるからそろそろ明白にしないとまずいんじゃないですかと何度も質問しましたね。私はそのうちの1つとして今この問題を取り上げているんですよ。
 ですから、私はあえてまた申し上げたいのでございますけれども、このことによって日本の政党を襲断するという見方もありますけれども、私たちによれば、政治活動の一環として、仮に百歩譲ってみても結構なんですけれども、そういうポリティカルパワーまで持つに至った事実上の創価学会の代表であり、また現在教祖とも言われております池田名誉会長、SGI会長の参考人としての出席をあえて求めたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。







フランス創価学会


フランス政府セクト対策一覧

<Wikisource>H21.9.16)

(前略)
 フランスのセクト対策は単なるリストアップではなく、行政レベルで多数の省庁が参加して広域に行われた。それはMiviludesの報告書を読めばよく分かる。リストに載ったという単純なレベルで判断するだけでなく、もっと高度な流れの中で見る必要がある。
 Miviludesはフランスのセクト対策の中心的組織のひとつで、フランス政府の公式サイトでMiviludesに関する情報が入手可能、詳細を知るにはそちらを参考にすると良い。


備考
1 セクトのリストは誰にでも閲覧可能、国民議会のサイトで読むことが可能となっている。また民間レベルの反セクト団体などの情報でも創価学会の名前を見つけることが可能。Mils,Miviludesからも特に注意すべきセクトの紹介が成されている。
 これらの報告書には注意すべきセクトが掲載されており毎年掲載されている団体にばらつきがある。これを根拠として、ある年の報告書において特定団体の名前が載って無いことを理由にその団体がセクト指定から外されたとする意見がある。これは明白な間違いである。理由は全ての団体が掲載されているわけではないからである。その年特に注目すべき団体。
 政府関係の報告書では極めて慎重な情報提供がなされている。これはセクトと目される団体によるネガティブキャンペーンを警戒してのことである。報告書において間違い、名誉毀損、不公平な取扱などがみつかり裁判で敗訴すれば今まで積み上げた信頼に大きな傷がつく。これを警戒してのことである。(中略)

2 フランスでは1980年代、1995年からのセクトのリストアップがあり、この件はインターネット上ではよく取り上げられた。
 1995年のセクトのリストアップの根拠が週刊誌記事を基にしたものであり、信頼性が低いという意見があるがこれは完全な誤解である。週刊誌記事が元になったのは1980年代である。1995年はGDRDGの資料が元になった。この2つをごっちゃにして理解している人も多いが、10年の開きがあることを理解するべきであろう。1995年にフランス政府が行ったセクトのリストアップを金科玉条のように取り扱う人もいるが、それは単純な見解である。むしろ1995年以降の政府によるカルト対策の活動―活発な情報収集と専門部署の設置、裁判実績の積み重ねや警察との連携などより堅実な活動に注目すべきである。

3 「首相セクト的逸脱行為対策に関する2005年5月27日の通達」によりフランス政府はセクト団体のリストアップを取りやめた。このリスト方式の取り止めをセクト指定解除の根拠とする論もあるがこれにも無理がある(主に創価学会員が主張していた)理由は3つ。
 1つ目の理由は、調査の進展の結果セクトとみなされる団体の数が増加したため、単純なリストアップ方式では数が膨大になり効果が低下したため。2つ目の理由は、政府の行動指針がセクトとみなされる団体のリストアップから、セクト的な行動を取る団体全般への対処へと変化したからである。この違いは極めて微妙な問題であり、理解にはそれなりの知識を必要とする。3つ目の理由は、前述の通り、フランス政府は指定など行っていないからである。フランス政府が行ったのは行政上の実用性に基づいたセクトのリストアップだったのであり、指定が無い以上その解除もありえない。
(中略)


国民議会「フランスにおけるセクト(カルト)教団」:調査委員会リポートno.2468 情報資料

国立国会図書館に日本語訳あり。有名なフランス政府によるセクトのリストとはこれを指します。

この翻訳の正確性を確かめるための追翻訳を実施中です。科学の世界ではよく行われるのですが実験の正確性を確かめるために何度も実験を再現し検証するのは常識です。翻訳においてもそれを行おうというわけです。

原文
http://www.assemblee-nationale.fr/rap-enq/r2468.asp
報告書の要旨を纏めると以下のようになる。

1.最近セクト被害やそれによる社会問題が増加している
2.問題の多い団体を10の基準に適合するかどうかで選別しリストアップした。
3.司法警察の記録を中心に、それと人権団体の仲介をしている団体への被害報告も加えて選別した。選別基準はフランス国内での実害、人権侵害、犯罪性である。
4.セクトは大衆の受容を満たしている面もある。またたいていの団体で少数ながら人生が向上しているひともいるので単純に否定は出来ない。そして異文化排斥にならないように注意しなくてはいけない。(後フランスはライシテの概念が憲法に盛り込まれているので教義や宗派で団体を差別できない
5.全てのセクトが危険なわけではないが、被害が多いのが問題であり特に危険な団体を選別しなくてはならない。
6.どのようなセクトがあるのかの説明、代表的なセクトとセクト側の主張を説明。またほとんどのセクトは1901年法による簡易設立で国家がきちんと認めた団体ではないとの説明。95年時点ではきちんとした宗教法人格どころかより簡易の法人格を持っている団体は1つもない。
7.セクトを取り締まるための法整備が十分ではなく(この当時フランスは組織犯罪全般に対する処罰が甘かった、その中でもセクトに対する法は未整備)取り締まりも十分でないため刑法などをしっかり適用して犯罪は取り締まるべきである。
8.脱税が非常に多いのに徴税が不十分なのでその辺もしっかりして欲しい。
9.被害の増加に対し監視組織が十分でないので対策を講じるべきである。
-----------------------
と文中で主張している。

この報告書以降、司法省、国民教育省、青年スポーツ省、内務省、雇用連帯省などセクト問題に関係する各省庁がセクト対策を打ちだした。セクトに関する関係省機関や議会と連携しながら、通達により実行に移された。「小泉洋一著政教分離の法」より抜粋 ライシテの原則に反するのではないかとの意見も存在し慎重論も存在した。

以上終わり
[編集] 参考文献
(省略)
[編集] 外部リンク
(省略)
[編集] 関連項目
(省略)

このページの最終更新は 2009年9月16日 (水) 21:23 に行われました。





仏(フランス)で「セクト(有害カルト)」と見られた創価学会

―国際ジャーナリスト・広岡裕児氏に聞く@―
―フランス国民議会の「セクト」リストに載った学会―
―その実態を検証すればリスト入りも当然!―

(『慧妙』H19.7.16編集)

 これまで本紙が報じてきた創価学会の実態。それらを一々検証してみると、池田大作に率(ひき)いられる現在の創価学会は、日蓮大聖人の教義を信仰する「宗教団体」というよりも、"日蓮仏法"を騙(かた)る池田大作を崇(あが)め、池田の思想を弘(ひろ)めようとする「思想団体」であり、積極的に政治活動を展開する「政治団体」であって、その本質は「謀略(ぼうりゃく)団体」である、とするのが正しい。
 その創価学会を、フランス国民議会(※日本の衆議院)特別委員会は「セクト(有害カルト)」のリストに掲載した。
 「セクト」というフランス語には複数の意味があるが、フランス国民議会のリストの場合、「セクト」とは「全体主義的構造を持った結社で、宗教的目的を表明していたりいなかったりし、その態度行為は人権と社会的均衡(きんこう)を侵害するもの」と定義づけている、という。
 しかし、これだけの説明で理解せよ、といわれても、戸惑(とまど)う読者が大半であろう。
 そこで本紙は、去る6月、たまたま帰国中であったフランス在住の国際ジャーナリスト・広岡裕児氏に、「セクト」とは何か、創価学会は何故「セケト」といえるのかを問うてみた。


【フランス国民議会による「セクト」の定義】
―判断基準となるのは10項目の指標―
広岡裕児氏―1954年生まれ。大阪外語大学フランス語学科卒。パリ第3大学(ソルボンヌ・ヌーベル)留学後、フランスに在住。パシフィカ総合研究所(PSK)主任研究員を務める国際ジャーナリスト。「セクト」(「有害カルト」)問題に詳(くわ)しい。著書に『プライベート・バンキング』(総合法令)『皇族』(読売新聞社)『一等国の皇族』(中央公論社)などがある。

<「セクト」の定義>
―本日はよろしくお願いします。まず「セクト」とはいかなるものか、教えていただきたいと思います。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉フランス国民議会で定義された「セクト」とは、単純化するならば、マインドコントロールを行ない、個人の自由意志を奪(うば)う、全体主義的体質を持った反社会的団体、ということになるでしょう。
 「セクト」という場合、そのような反社会的団体の中でも、宗教団体であるか、宗教団体を騙(かた)る場合が多いので、英語の「有害なカルト(狂信的で異常な宗教団体)」と同義語である、と理解していただいて問題はありません。

<リスト作成の基準>
―フランス国民議会のリストは、具体的にはどのような基準で作られたのでしょうか。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉フランスの場合は、次の10項目を指標に「セクト(有害なカルト)」の判別をしています。
・精神の不安定化
・法外な金銭的要求
・住み慣(な)れた生活環境からの断絶
・肉体的保全の損傷
・子供の囲い込み(強烈に教化すること)
・反社会的な説教
・公秩序の撹乱(かくらん)
・裁判沙汰(ざた)の多さ
・従来の経済回路からの逸脱(いつだつ)
・公権力ヘの浸透の試(こころ)み
 この10項目の中で、いくつかの項目について説明を加えておきますと、まず、「法外な金銭的要求」は、一時的に多額の寄附をさせる場合だけでなく、次から次へと出版物や商品を買わせたり恒常的(こうじょうてき)に金品を要求したりすることも含まれます。
 次に「住み慣れた生活環境からの断絶」ですが、これは、信者を教団施設内に閉じこめ、一般社会から隔離(かくり)してしまう、という意味だけではありません。
 会員達が、情報操作により、他人の意見に耳を貸さなくなる、実際に起きている社会現象すら否定する、といった場合も、これに当てはまります。「子供の囲い込み」も同様です。
 また、「肉体的保全の損傷」ですが、肉体的な虐待(ぎゃくたい)や束縛(そくばく)だけでなく、精神的な虐待や束縛によって、例(たと)えば精神的に追い詰められて自殺してしまう、自殺に至らなくとも精神状態に異常を来してしまう、といったケースも含まれると考えられます。
 また、「従来の経済回路からの逸脱」というのは、例えば脱税であったり、詐欺(さぎ)であったり、経済に関する社会的ルールから外(はず)れた行為を行なうことです。他の5項目については、説明するまでもないでしょう。


【指標に次々当てはまる創価学会】
―これなら「リスト」入りも当然―
―では、具体的に創価学会の場合はどうでしょうか。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉「精神の不安定化」等については後で述(の)べるとして、「公権力ヘの浸透の試み」は、誰の目にも明らかでしょう。もっとも、創価学会の場合は、「試み」ではなく、公明党を使う形で立派な「公権力」になってしまっていますが。(笑い)
 また、「裁判沙汰の多さ」も際立(きわだ)っています。裁判沙汰というのは、創価学会が訴えられるだけでなく、創価学会が、対立する相手に対して次々と訴訟を起こすことも含めての話です。
 創価学会が、日蓮正宗やマスコミを相手取って、数多くの訴訟を起こしてきたことは周知の事実です。そして、「セクト(有害カルト)」の代表格と呼ばれるような団体は皆、数多くの訴訟を起こし、また起こされてもきているのです。

―これは池田大作の実際の発言ですが、彼は、学会幹部に対して
 「本当は全体主義は一番理想の形態だ」(第61回社長会=S47.6.15)
 「口八丁、手八丁でよ、なんでもうまくやるんだ。社会(党)だって方便を使っている。共産(党)だって目的のためなら皆な謀略(ぼうりゃく)じゃないか。一般社会だって利益のためならあらゆる手段を使う。うちは信心を守るため、学会を守るためだ」(扶養研修所での指導=S51.6.1)
などと指導し、また、一般会員を前にして
 「日顕(上人)なんて(イヤな奴の)代表だ。針金でゆわえて、頭をトンカチでぶったたいて」(全国青年部幹部会=H4.12.13)
などと指導し、日蓮正宗への反発を煽(あお)ってきました。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉それらは「反社会的な説教」や「公秩序の撹乱」に当たるでしょうね。
 「セクト(有害なカルト)」が恐いのは、法律や社会の秩序よりも、教団の教えの方が大切だ、と思い込ませてしまうことです。

―なるほど。学会では、「世間法」や「国法」よりも「仏法律」の方が絶対だ、「仏法律」に従うためには、時には「国法」に背(そむ)くことがあっても当然である、などと教えてきましたが、それがまさに「セクト(有害カルト)」の要件に当たるわけですね。
 また創価学会は、巨大墓園をめぐって脱税を指摘されたり、ルノワールの絵画に関して不可解な取り引きを行ない、社会の批判を浴びたこともあります。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉それはまさに「従来の経済回路からの逸脱」でしよう。


【フランス政府の免税認定なき学会】
―政府より認定を受けた日蓮正宗―
―ところで創価学会の会員の中には、"フランス国民議会に提出された「セクト」に関する報告書の中には日蓮正宗の名前も出ている。日蓮正宗も「セクト」に認定されている"と口にする者(※<ふうふうさんのウエブナビ>WS070812参照)もいるようです。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉それは違います。
 まず、「セクト」としてリストアップされた173の団体の中に、「日蓮正宗」の名前はありません。あるのは「創価学会インターナショナル・フランス」の名前だけです。
 ただし、報告書の文章の中には「日蓮正宗」の名前が出てきます。
 それは、創価学会について説明する中で、創価学会に関連する形で登場するにしか過ぎません。
 つまり、報告書の文章は、フランスの市民団体が出していた統計などを引用しているのですが、その統計は、創価学会が日蓮正宗から破門される前のものであるため、創価学会と日蓮正宗の名前が併記されてしまっているのです。ただそれだけのことです。文章を引用された市民団体は、「日蓮正宗の文字は削(けず)ってほしかった」と、非常に残念がっています。
 とはいえ、それきりで、以後「日蓮正宗」の名前が出たことはありません
 一方、創価学会は、その後に作成された報告書(※首相直属の「カルト的逸脱対策関係省庁本部」の報告書)にも、一昨年・昨年と登場しています。

―では、現在のフランスにおいて、日蓮正宗と創価学会の一番大きな違いは何でしょうか。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉フランス政府による税務上の扱いが象徴していると思います。
 フランスでは、宗教法人は、その教義がどうであろうと、所定の書類さえ提出すれば「宗教法人(社団)」として認めてもらえる届け出制です。よって、法人の施設であっても、固定資産税の免除が認められるのは礼拝堂に限られ、贈与税の免除もありません。また、バザーすら開けないなど、宗教活動以外の活動にも厳しい制限が加えられています。
 しかし、申請して国の認可を受けることができれば、贈与税などが免除されるようになるのです。
 そこで創価学会では、この認可を受けようと、日蓮正宗より破門される前から申請を出し続けていますが、いまだに認められていません。
 一方、日蓮正宗ですが、創価学会を破門した後に申請を行なったところ、認められているのです。
 この事実から、創価学会が「セクト(有害カルト)」のリストに載(の)ったのは、かつて信奉していた日蓮正宗に関わる理由ではなく、まさに創価学会という組織の在(あ)り方が、「セクト(有害カルト)」のそれだからだ、ということが分かるでしょう。

[画像]:フランス国民会議に提出された「セクト(有害カルト)」のリストには「SGIフランス」の名がハッキリと!



―国際ジャーナリスト・広岡裕児氏に聞くA―
―過去の事件から懸念される公秩序の撹乱―
一学会の煽動で仏(フランス)現職警官が起こした事件―

(『慧妙』H19.8.1)

【「学会がセクトなら他宗団も」!?】
―言い訳しても実態はセクトに該当―
―創価学会員からの反論として、"創価学会を「セクト」と呼ぶなら、他にも「セクト」と呼ぶべき教団がある"というものもありますが。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉そう主張することが「セクト(有害カルト)」の常套(じょうとう)手段なんです。つまり、他の多くの団体を、"自分たちと同じだ"というふうに言いつのることで貶(おとし)めようとし、結果として「セクト」の定義を曖昧(あいまい)にしようとするのです。

―なるほど。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉また、宗教学者の中に、自分の研究対象を宗教学の立場から分析し、分類することには熱心であっても、その対象の反社会性については、あまり興味を示そうとしない人間が多い、ということが、別の問題としてあります。
 そうしたタイプの宗教学者が、「セクト(有害カルト)」教団を宗教として"公平"に分析し、その成果を発表する。それによって「セクト(有害カルト)」教団たる所以(ゆえん)である反社会性が、教義の裏に隠れてしまう―。オウム真理教の問題など、まさにその典型だったのではないでしょうか。また今日、創価学会を評した一部の宗教学者の書籍にも、同じような危険性を強く感じます。

―「セクト(有害カルト)」の、宗教的側面と反社会性とは、あくまでも切り離して考えなければいけない、ということですね。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉そういうことです。要するに、宗教法人といっても、他の法人と同じように社会の一員なのですから、守るべき社会のルールは守らなければならない。そこから逸脱(いつだつ)した時に、その宗教法人は「セクト(有害カルト)」と見なされる、ということです。

―次に、「セクト(有害カルト)」であることを特徴付ける重要な要素の「マインドコントロール」について教えてください。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉「マインドコントロール」は、いわば、人の心の隙間(すきま)につけ込んで、その人の精神に影響を与えていく手法です。つまり、相手を自分の影響下に取り込むんです。
 誰でも思い当たると思いますが、相手に対する価値観が大きく変わるのは、自分が厳しい状況・追い詰められた状況下にある時、やさしい声、励ましの声をかけられた瞬間ですよね。

―なるほど。創価学会の場合においても、多くの学会員は、"池田先生との原点"つまり、"自分は一生、池田先生について行く"と決めたきっかけを持っています。
 それが、池田から声をかけられた、とか、苦しい時に池田の書いた物を読んだ、というもので、それをきっかけにして、自分で"先生に付ききっていく"と決めているわけです。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉その「自分で決める」と思い込むということも重要なポイントです。本人にとっては"誰かから、そう仕向けられている"という意識がないままに、活動に没頭していくのです。

―実際の学会員の姿を見てみると、全くそのとおりですね。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉ですから、一見、普通の社会生活を営(いとな)んでいるように見えても、教団から与えられた条件に従って、自ら見えない壁を作ってその中に入り込んでいる、つまり、外からの情報を遮断している。そうした状況は、先に挙(あ)げた「セクト判別のための指標」に当てはめれば、「住み慣(な)れた生活環境からの断絶」「子供の囲い込み」などに当たる、といえるでしょう。

―本紙を手渡された学会員が、「読む必要がないから読まないのだ」「学会は絶対に正しいのだから、そんなものは読まないのだ」と言って突き返してくる状況は、まさにそれに当たるということですか。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉そういえるでしょう。

―本紙には"ある精神病院を訪ねたら、患者の多くが学会員だったので驚いた"といった情報が寄せられていますが。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉それは、マインドコントロールのあげくに「精神の不安定化」をきたし、精神を病むにまで至った例、ということができるかもしれません。必然的に「肉体的保全の損傷」ということにもなるでしょう。これもセクトの要件です。

―次に学会の「財務」ですが、「1口1万円」という表看板はあるものの、2桁・3桁・4桁と、どんどんエスカレートさせていく実態は、まさに「法外な金銭的要求」ですが、肝心の学会員は"申し込むも申し込まないも本人の自由。強制されることはない"と口にします。それもマインドコントロールのためなのでしょうが、しかし、細かく検証していくと、創価学会は結局、10項目の指標の全てに当てはまってしまいますね。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉「セクト(有害カルト)」というものは、そういうものなのです。いや、順序は逆で、指標に当てはまるから「セクト(有害カルト)」なんです。


【フランス人警官が起こした事件!】
―創価学会・公明党の危険度は大―
―では、広岡さんの目に映(うつ)る、創価学会の危険性はどのようなものですか。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉今までに出た個人の不幸のほか、社会的にはやはり、創価学会はオウム真理教などと同様、全体主義を指向する団体ですから、トップの池田大作さんによる「反社会的な説教」によって、「公秩序の撹乱(かくらん)」が起きることが最も心配な点です。
 じつは、フランスでは、現職警宮が犯罪を犯した要因は、創価学会のプロパガンダによるものだった、という判決が下っています。
 日本でも、学会員がNTTドコモのデータに不正アクセスした事件がありましたね。
 フランスでは、学会員であるフランス人警官が、警察内のデータベースに不正にアクセスし、フランス駐在の日蓮正宗僧侶・毛利博道師に関する犯罪情報がないか、捜そうとして発覚、逮捕され、罰金刑を言い渡される、という事件がありました。
 もっとも、毛利さんに関する犯罪情報などは何もなく、まあ、それは当たり前ですが(笑い)、そういう意味で事件自体も未遂(みすい)のようなものとして扱われ、フランスのマスコミも取り上げず、話題にはなりませんでした。
 しかし、この事件の裁判では、"犯人宅の家宅捜索で発見された創価学会の書物の中に、日蓮正宗を攻撃し、憎悪を煽(あお)るようなものがあった。犯人はそれに触発されて事件を起こした"ということが、判決の中でしっかりと謳(うた)われたのです。
 そして、これは、暴力団などにおいても一緒ですが、教団が小さいうちは表面化しなくても、大きくなってくると、組織の中でトップに媚(こ)びたり、覚えめでたくなろうとして、行きすぎる人間が出てくる。さらに、そうした人間同土が影響し合って、暴走が始まるのです。」種の自己増殖ですね。ましてや、トップが反社会的思想を持っている団体の中でこうしたことが始まると、非常に危険です。

―たしかに、創価学会が宗門から破門された直後に、日顕上人宛(あて)に拳銃の実弾入りの脅迫状が送り付けられたり、大石寺の搭中坊に銃弾が撃ち込まれたり、「大石寺に爆弾を仕掛けた」と騙(かた)る脅迫電話が架かったり、大石寺の警備員の寮に火炎瓶(かえんびん)が投げ込まれたり、といった凶悪な事件が続発しましたが、それらの事件のうち、脅迫電話を架けてきたのは創価学会の婦人部副本部長(当時)でした。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉今は、池田大作さんが名誉欲に溺(おぼ)れている―勲章を貰(もら)うのが好きで、"ノーベル平和賞を貰いたい"などと思っているから、いちおう平和が保たれていますが、あの人が別のことを考え出したらどうなるか、それは、これまでの、日蓮正宗に対する仕打ちを見れば想像がつくでしょう。
 もちろん、創価学会ほどの規模になれば、池田さんが危険な思想を語ったとしても、少なくとも表面上は、冷静さを保つ人も多いでしょう。
 しかし、先ほど言ったような自己増殖を起こすようなタイプの人間、それが組織の中に1%いたとしたら、十万人の組織で1千人、百万人で1万人、1千万人で十万人が、何をしでかすか分からない状況になる、ということです。

―危険ですね。ところで、公明党についてはいかがでしょうか。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉よく「宗教政党」といいますが、宗教政党も2種類に分類することができます。1つは、"政教分離的な"宗教政党、もう1つは、そうでない宗教政党です。
 つまり、人権や法律など、今のルールというものを守ることを、宗教の教義よりも上位に置いているのが"政教分離的な"宗教政党、要するに、宗教的なモラルに則(のっと)りながら政治を行なおうとする政党です。
 一方、"自分たちの信仰こそが、全てのものの上位にあるから、時には国の法律を犯すこともやむをえない"と考えているのがそうでない宗教政党、これは"原理主義政党"と呼び変えることもできるでしょう。
 たまたま現時点では、"政教分離的な"宗教政党のような顔をしていても、価値観の相違が生じると"原理主義"が顔を出す、そういう政党もこれに当たります。
 私は、公明党は後者の方だと思われます。

―なるほど。オウム真理教の事件が契機となって起こった、平成7年の宗教法人法改正の時の公明党議員の動きが思い出されますね。


【池田亡き後の創価学会の行方】
―原理主義派の分裂はあるか!?―
―最後に、池田亡き後、創価学会はどうなっていくと思いますか。方向を間違えると創価テロリズムに変わっていく恐れがある、との指摘も一部にありますが。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉全くそのとおりだと思います。
 「セクト(有害カルト)」団体は、教祖の死によって消滅してしまう団体もありますが、多くは穏健派と強硬派(原理主義派)に分裂していきます。
 創価学会も、おそらく分裂していくと思われます。
 つまり、"池田像"を抽象化(ちゅうしょうか)し、「先生はこう言っていた」ということで、どんどん先鋭化していくグループが現われても、おかしくはありません。

―例えば「第一警備」などというグループは、今でも「池田先生"命"」みたいな集まりなんですが、(笑い)こうした、いわゆる人材グループと呼ばれる、多くの池田シンパが先鋭化したら、これは恐いですね。
------------------------------------------------------------
〈広岡〉そうですね。

―創価学会の歴史を振り返ると、池田大作自身、戸田会長像を自分の都合のいいように抽象化し、戸田会長の構想を実現するのだと宣言して、今の創価学会や公明党を作り上げてきました。信仰面では、本来の、日蓮正宗の一信徒団体という立場からどんどん逸脱し、今や完全な「池田教」となってしまいました。
 そのことを考え合わせると、池田亡き後の創価学会がどうなっていくかは、たいへん恐ろしい可能性もあると思われます。
 本紙はこれからも、創価学会の実態とその危険性に警鐘を鳴ちし続けていきたいと思います。
 お忙しいところ、どうもありがとうこざいました。



■『「フォーラム21」のセクト論を添削する』について

(<法蔵>H19.8.12)

 大方の読者(閲覧者)がそうであるように、私もフランス語が皆目分からない。そのために「フランス語でこう書かれている」と言われれば、反論する術がない(苦笑)。そこが"語学に堪能な"学会員の狙い目なのかも知れないが(笑)。
 そこで、ここでは仕方なく(再び苦笑)広岡氏の論文や発言を踏まえた上で、学会側の主張に対する"感想"を書きとどめることにした。

************************************************************
(1)現在、フランス議会は、173という異常に高い数の宗教団体をセクトと見なしている。
(2)同議会がそれらの宗教団体をセクトに指定した理由は、それぞれの教義内容に基づいている
(3)また、同議会は、特定の宗教団体をセクトに指定する際、その教義内容を12のジャンルに区分している。
(4)SGIフランスがセクトに指定された理由は、同議会が、その教義内容から、同宗教団体を「東洋主義者」と解釈したことによる
<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
------------------------------------------------------------
過日ふうふうさんが『フランスにおけるセクト政策を巡って』と題する主張をインターネット上に掲載、これに対して広岡氏が『フォーラム21』誌上で批判したのが『インターネット掲載SGI擁護「論文」の誤りを正す』という論文である。これに対してふうふうさんが『「フォーラム21」のセクト論を添削する』という主張を展開。上記はその「結語」であるが、その内容は『フランスにおけるセクト政策を巡って』と同じである。要するにふうふうさんは、広岡氏に「誤りを正」されたにも拘らず、自身の主張をまったく「正」さなかったということである。



【リストアップした本人が「10の条件」が「判断基準」と明言】
************************************************************
ある種の宗教団体がセクトとしてリストアップされているのは、教義ゆえではなく危険性によるのです。(広岡)
************************************************************
おやおや、凄まじい力の入れ方です。なんだか、フランスに於いてセクトの“指定”が教義に基づいていると、相当度にまずい理由がおありなのかな〜〜。それはともかく、氏がこのように主張するのは、一応、拙作のページでも扱ったフランス議会報告書2468号=通称「ジェスト・ギアール報告書」の構成に基づいているかのような様相を帯びています。同報告書は「I−A−2」なる項目においてセクト指定の判断基準として、「精神の不安定化」、「法外な金銭的要求」、「生まれ育った環境との断絶の教唆」、「多くの裁判沙汰」等10の条件を列挙しています。そして、これに続き、同報告書は、“項目を改めて”、セクトに指定された各宗教団体を、それぞれが基づく教義に分類するという体裁を取っているかに見えます。(<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
------------------------------------------------------------
 「フランス議会報告書2468号」では「セクト指定の判断基準として、『精神の不安定化』、『法外な金銭的要求』、『生まれ育った環境との断絶の教唆』、『多くの裁判沙汰』等10の条件を列挙」している。―これは客観的事実であり、これについてはふうふうさんも認めていることが分かります。
 創価学会をセクトとしてリストアップした当事者が「10の条件」が「セクト指定の判断基準」だと明言している以上、これ以上何を詮索する必要があるでしょうか。
 ふうふうさんが「凄まじい力の入れ方」で、セクトの判断基準を教義内容と結びつけようとする理由(目的)は何か?学会がセクトにリストアップされていることは、ふうふうさんも否定しようがない。それで、セクトにされた理由を、破門前の日蓮正宗の教義に求めることによって、宗門と袂を分った後の学会にはセクトとされる理由も責任もない、としたかったのです。つまり、ふうふうさんこそ「フランスに於いてセクトの“指定”が教義に基づいて」いないと、「相当度にまずい」のです(笑)。



【報告書の趣旨】
************************************************************
もし「10の条件」が、想定されているものであれば、議会報告書2468号は、少なくとも、SGについては、ほぼ「からっぽ」状態になります。各種報告書で2468号のみで「10の条件」を詳説(とまでは、とても言えない様子が看取されますが)しながら、しかも、その膨大な資料で173(見方によっては172)の宗教団体を扱いながら、13回もSGの名前を出しつつ、おそらく想定されている内容については、僅かに、拙稿で述べた「トレッツの土地を買った」と出ているだけなのですから。ですから、「なんじゃ、こりゃ」という報告書と言えるでしょうね(笑)。(投稿番号719/<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)

1◆私が一望してきたSGについて、報告書が「10の条件」との符合について、具体的に明示していれば、拙稿の書き方も変わっていたことでしょう。それら諸条件が、さほどに重要であれば、符合について皆無と言って良いほどに言及されていない以上、結局、それらは、実質を伴わない形式的なものと見なさざるを得ないと考えます。更に言えば、報告書2468号には、「10の条件」について、次の一節が見られます:[原文略]
 つまり、ある意味で自画自賛的に「10の条件」を挙げ、「この内、ひとつでも該当すれば、セクトと見なす」かの如き言辞を弄しながら、SGについて――恐らくは他の宗教団体についても同様でしょう(詳細は未見ですが)――それらの条件がどのように関わるかについて、言及が殆ど見られません。これで、「<10の条件>に実質が備わると見なすべし」と言われても、それは、到底、できることではありません。(投稿番号723/<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
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 「10の条件」のうち、いかなる点で創価学会にあてはまるのかにつき、具体的な記述が無い→だから「10の条件」は「実質を伴わない形式的なもの」であり、「セクト指定の規準」ではない―という論理のようです。しかし、これは、報告書の趣旨によって評価が変わるのではないでしょうか。
 つまり、報告書の趣旨が単に"セクトの一般的評価基準の明示と、それに該当するセクトのリストアップ"ということであれば、一々各団体について具体的な実態を取り上げ、セクトであることを証明する必要はないことになります。



【「10の条件」と教義内容の関係】
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2◆若干の言葉を補えば、議会報告書2468号で、セクト指定の規準とされる10の条件は、それ自体では何ら実質的な内容をもちません。これに内容を持たせるとするならば、他の部分と関連させるしかないことになります。つまり、2468号の大部を占める各「セクト」に関する教義を解説した部分です。そして、該当の報告書で教義として言及されている部分は、単に観念的・思念的なものに留まる訳ではありません。たとえば「代替グループ」なる「セクト」の教義として「従来の産業流通経路・生産様式・世界貿易の形態に取って代わる機構の設立を指向する」と述べられています。これが、たとえば、10の条件のひとつとして述べられている「通常の経済流通回路からの逸脱傾向」と関わってくると解釈されるでしょう。すなわち、10の条件とは、教義内容に含まれる潜在的可能性としての「危険」、または、同じく教義に由来して顕在している「危険」を列挙したものと見ることが可能になります。そうでなければ、どうして10の条件が実質的な内容を伴うでしょうか。(<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
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セクトと見なされた団体について、「10の条件」のうち該当する項目の具体的事実が挙げられていない→だから「10の条件」には「それ自体では何ら実質的な内容」を持たない→「10の条件」を「教義内容に含まれる潜在的可能性としての『危険』」と関連付けることによってはじめて「10の条件」が「実質的な内容を伴う」→教義自体の危険性によってセクトとされる―という論理のようです。しかし、よく考えてみると、私が赤字で示した部分のみが客観的事実であり、青字の部分はふうふうさんの主観に過ぎません。


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3◆議会報告書の2468号から1687号=通称「セクトと金」に目を転じてみましょう。その「I-A-1」項に "La typologie de 1995 garde toute sa pertinence(1995年のタイポロジーは全関係性を保っている)" という項目があります。URLは、こちらです(click:ページ途中のため待機が必要)。

さて、議会報告書1687号におけるその項目には、東洋主義者を含んで新時代グループ、代替グループ、福音主義・擬似カトリック教徒グループなど、一連の教義面から分類されたセクトのジャンルが、簡潔なコメントと共に列挙されています。それらは、議会報告書2468号中「II-A-1」の内容をコンパクトにまとめた様相を呈しています。例として、いくつかを引用しておきましょう:

- les apocalyptiques, qui predisent un prochain cataclysme planetaire et offrent a leurs adeptes les moyens d'y echapper ;
- les evangeliques, qui representent des emanations extremes des Eglises reformees, ou le pasteur joue un role de gourou ;
- les guerisseuses, qui proposent des therapies faisant appel a des procedes irrationnels ou peu scientifiques pour vaincre les maladies incurables les plus graves, notamment le cancer et le SIDA ;

この体裁を確認すると、始めに複数定冠詞 "les" に導かれて、それぞれの教義に基づいて分類されたグループの名称が示されています。最初の "les apocalyptiques" は「黙示録主義者」、2番目の "les evangeliques" は「福音主義者」、そして "les guerisseuses" 「ヒーリング主義者」と続きます。その後に原則としてコンマ(,)プラス関係詞 "qui" が配置され、それぞれの特性が示されています。この構造は、「それぞれの教義によって分類されたグループ=(イコール)"qui" 以下の特性を持つ人々」ということを示します。ちなみに、東洋主義者については、次のように示されています:

- les orientalistes, qui constituent des deviances des religions orientales (bouddhisme, hindouisme, taoisme...) en fonction des lumieres particulieres a leur gourou ;

試訳すれば、「東洋主義者=彼等はグルにのみ備わる『光』に準拠して、東洋の宗教(仏教、ヒンドゥー教、道教等々)の常軌を逸脱した行動を取る」とでもなるでしょうか。このあたり、「法主隷属宗」・「法主“伏せ拝”宗」とでも呼ぶべき宗派を思わせますね――もっとも、“あの人”の場合、備わっているのが「光」かどうかは、甚だ疑問ですが。

そして、議会報告書の1687号では、該当する「I-A-1」項に列挙されたグループが、総てセクトに属するとされています。ここに、2468号で構成上漠然としか示されていない「セクトは教義に基づいて指定される」という事実が明らかになっていると見なされます。(<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
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>東洋主義者=彼等はグルにのみ備わる「光」に準拠して、東洋の宗教(仏教、ヒンドゥー教、道教等々)の常軌を逸脱した行動を取る
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 これは創価学会が該当するとされた「東洋主義者」の教義の解説だそうです。「10の条件とは、教義内容に含まれる潜在的可能性としての『危険』、または、同じく教義に由来して顕在している『危険』を列挙したもの」(2◆)というふうふうさんの見解からすれば、この内容が「10の条件」と関連付けられることになります。が、一体この教義内容は10の条件の内、どれに当てはまるのでしょうか?はっきり言って、これだけでは、どれにも当てはまらない、というべきです。
 「該当する『I-A-1』項に列挙されたグループが、総てセクトに属する」(3◆)というふうふうさんの解釈では、このような教義に該当する団体はすべて「東洋主義者」に分類されセクトにリストアップされることになります。しかし、具体的に創価学会のいかなる教義が、これに該当するのかについては報告書では説明されていません。これでは、ふうふうさんが「10の条件」について「実質を伴わない」ことを理由にセクトの判断基準ではないとしたことと同じことが言えるのではないでしょうか。

>たとえば「代替グループ」なる「セクト」の教義として「従来の産業流通経路・生産様式・世界貿易の形態に取って代わる機構の設立を指向する」と述べられています。これが、たとえば、10の条件のひとつとして述べられている「通常の経済流通回路からの逸脱傾向」と関わってくると解釈されるでしょう。すなわち、10の条件とは、教義内容に含まれる潜在的可能性としての「危険」、または、同じく教義に由来して顕在している「危険」を列挙したものと見ることが可能になります。
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 確かに言葉の表面だけを見れば「従来の産業流通経路・生産様式・世界貿易の形態に取って代わる機構の設立を指向する」ことは「10の条件」の1つ「通常の経済流通回路からの逸脱傾向」と対応付けられそうです。しかし、他の分類項目についてはどうでしょうか。「議会報告書2468号」の当該箇所を読む限り、先の「東洋主義者」の場合同様、どれ1つとして「10の条件」との関連が明確ではありません。
 ここでふと思ったことは、ふうふうさんは故意に「10の条件」との関連を推定できる唯一の事例(「代替グループ」)を取り上げて、あたかも他のすべての(話の展開上持ち出さざるを得なかった「東洋主義者」は別として)分類項目についても「10の条件」との関連付けが容易にできると、読者に錯覚させたのではないか―そんなことも考えてしまうのは、フランス語のできない者のヒガミでしょうか(笑)。

>議会報告書の1687号では、該当する「I-A-1」項に列挙されたグループが、総てセクトに属するとされています。ここに、2468号で構成上漠然としか示されていない「セクトは教義に基づいて指定される」という事実が明らかになっていると見なされます。
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これについては後述


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>さらに委員長ジェスト議員は、96年2月8日の本会議での次のような発言でいっそう[セクトをリストアップする規準が教義によるのでないことを]明快にしています。
 「どのようなものであれ魔女狩りをおこなったり、いわゆる<新宗教>を原則から断罪しようという考えは我々からほど遠いものです。だれでも自分が良いと思うことを信じるのは自由であります。唯一、その隣人に害を与えないという条件において
 我々の注意を引いたのはグループの実践ではなく、法と他人の自由を尊重しないことなのです」(広岡)
>[それ故に]教義を理由にセクトというのではない。(同)
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 氏が引用した一節から、一体、何が「明快」になったのでしょうか。どうすれば、該当の一節の中に「教義をもとにセクトを指定するのではない」という見解を読み取ることができるのでしょう。フランス議会がある種の宗教の教義に「『隣人に害を与える』要素・『法と他人の自由を尊重しない』要素が内包される」と解釈した場合はどうなるのでしょうか。(中略)
 重複しますが、上に示した議会報告書1687号に見られる各宗教団体のジャンル分けは、明らかに、フランス議会が教義に「隣人に害を与え」、「法と自由を尊重しない」危険性があると解釈している証左に他ならないと言えるのではないでしょうか。(<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
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重複しますが、「議会報告書1687号に見られる各宗教団体のジャンル分けは」「議会報告書2468号で、セクト指定の規準とされる10の条件」と対応させることは不可能です。そうでないというのであれば、「議会報告書1687号に見られる各宗教団体のジャンル分け」とその解説をすべて示し、具体的に「10の条件」のどれに該当するのかを示すべきです。

●そもそもフランスは政教分離制度(著者注:国は宗教に無関心であるべきというもの)をとっており、宗教の法的定義もしていない。法律上キリスト教とセクトを区別することは不可能である。
 委員会はセクトの語源、社会学的分析、危険性に基づく分析などにコメントしつつ、結局以下の基準(内務省のセクト現象分析でも用いられているもの=※「10の条件」)を採用することにした。(「議会報告書2468号」/『カルト宗教のトラブル対策』教育史料出版会)
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およそ各宗教を特徴付ける最大のものは教義だと考えられますが、「法律上キリスト教とセクトを区別することは不可能」ということは、教義によってセクトを判断選別することはできない、と言っているようなものでしょう。

●委員会は、その団体が新しい、信者数が少ない、奇抜だということをもって、セクトとみなす基準にはできない、と考える。現在大宗教と言われるものでも初期においてはおおむね信者数の限られた団体にすぎなかったし、現在社会的に受容されている宗教儀式が、当初は警戒心や反対を呼び起こしたこともあり得るからである。(「議会報告書2468号」/『カルト宗教のトラブル対策』教育史料出版会)
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「奇抜」「宗教儀式」も教義と深く関わってます。ここでも教義自体によって「セクトとみなす基準にはできない」ことを示しているといえます。

●だれでも自分が良いと思うことを信じるのは自由であります。唯一、その隣人に害を与えないという条件において。
 我々の注意を引いたのはグループの実践ではなく、法と他人の自由を尊重しないことなのです(96年2月8日の本会議での委員長・ジェスト議員の発言)
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>フランス議会がある種の宗教の教義に「『隣人に害を与える』要素・『法と他人の自由を尊重しない』要素が内包される」と解釈した場合はどうなるのでしょうか。
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勿論、教義内容において明確に「10の条件」に当てはまるものがあれば、セクトとされる可能性は大きいといえます。しかし、思想の自由との関連でいえば、教義が危険であっても運用上または実態上、"危険な"教義が実行されなけば、直ちにセクトと決め付けることはできないでしょう。

●思想の異なる流派、伝統宗教、あるいは(危険の有無に関わらず)セクト[訳注:宗派、少数派宗教の意]の間に、信仰の理論上から可能な識別法はありません。それは、不可侵な領域であり、現状維持していくことが適当だと想われます。(『セクト危険注意』/『フォーラム21』H16.2.1)
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議会報告2468号がでたあとの96年9月にフランス青年スポーツ省が出したクラブや林間学校の指導者等宛の小冊子(広岡祐児『フォーラム21』H16.2.1)

●前述したセクトの判断基準(※10の条件)に1つでも該当するとして内務省が列挙したセクトは172ある。(「議会報告書2468号」第1章2項(1)/『カルト宗教のトラブル対策』教育史料出版会)
●委員会は以上の事実をふまえて、セクトの性質、組織、構造、テーマについて分析を加えている。(「議会報告書2468号」第1章3項(1)/『カルト宗教のトラブル対策』教育史料出版会)
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このことからも報告書の趣旨は「セクトの判断基準に1つでも該当する」団体をセクトとして列挙し、その上でそれらについて様々な角度(性質、組織、構造、テーマ)から分析することにあったといえます。



【教義が同じ(?)はずの宗門はセクトではない!!】
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セクトに指定されているのはSGIフランスであり、NSTではない(広岡)
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私見では、実に、古色蒼然たる見解ですが、私としては、常に、この見解に、一種の“あほらしさ”を感じています。今回は、「著名(?)な広岡氏にして、これか」・「はあ〜」と思いました。だって、1995年に2468号でSGIフランスがセクトに指定された理由には、少なからず、SGIフランスがNSTと袂(たもと)を分かつ以前の1990年までの出来事が関係している訳です(これについては、別項『フランスにおけるセクト政策を巡って』で若干を述べました)。当時、SGIフランスはNSTのひとつの講(信徒団体)でした。そうである以上、SGIフランスがセクトに指定されているのであれば、当然、NSTもセクトになるに決まっているじゃありませんか。それとも、広岡氏は、「1990年以前、NSTの執行部は、自らの信徒団体であるSGIを監督できないほど、無能者ばかりで固められていた」と言いたいのでしょうか。ふう〜む。

他議会報告書1687号と照合しても、2468号は、実質上、(広岡氏の言もしくは希望に反して)教義をもとにセクトを定めています。そうである以上、2468号に於いて、NSTが本来抱いていた(或いは、「抱いていたことになっている」)教義は「東洋主義」としてフランスSGIのそれと共通するものとされ、前者が後者に付随する「セクト」と見なされても、なんら不思議はありません。そして、ここにこそ2468号が意義を持つ文書として蘇るでしょう。(<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
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 まず、「セクト」としてリストアップされた173の団体の中に、「日蓮正宗」の名前はありません。あるのは「創価学会インターナショナル・フランス」の名前だけです。
 ただし、報告書の文章の中には「日蓮正宗」の名前が出てきます。
 それは、創価学会について説明する中で、創価学会に関連する形で登場するにしか過ぎません。
 つまり、報告書の文章は、フランスの市民団体が出していた統計などを引用しているのですが、その統計は、創価学会が日蓮正宗から破門される前のものであるため、創価学会と日蓮正宗の名前が併記されてしまっているのです。ただそれだけのことです。文章を引用された市民団体は、「日蓮正宗の文字は削(けず)ってほしかった」と、非常に残念がっています
 とはいえ、それきりで、以後「日蓮正宗」の名前が出たことはありません
 一方、創価学会は、その後に作成された報告書(※首相直属の「カルト的逸脱対策関係省庁本部」の報告書)にも、一昨年・昨年と登場しています。(広岡裕児『慧妙』H19.7.16)

 フランス政府による税務上の扱いが象徴していると思います。
 フランスでは、宗教法人は、その教義がどうであろうと、所定の書類さえ提出すれば「宗教法人(社団)」として認めてもらえる届け出制です。よって、法人の施設であっても、固定資産税の免除が認められるのは礼拝堂に限られ、贈与税の免除もありません。また、バザーすら開けないなど、宗教活動以外の活動にも厳しい制限が加えられています。
 しかし、申請して国の認可を受けることができれば、贈与税などが免除されるようになるのです。
 そこで創価学会では、この認可を受けようと、日蓮正宗より破門される前から申請を出し続けていますが、いまだに認められていません
 一方、日蓮正宗ですが、創価学会を破門した後に申請を行なったところ、認められているのです。
 この事実から、創価学会が「セクト(有害カルト)」のリストに載(の)ったのは、かつて信奉していた日蓮正宗に関わる理由ではなく、まさに創価学会という組織の在(あ)り方が、「セクト(有害カルト)」のそれだからだ、ということが分かるでしょう。(広岡裕児『慧妙』H19.7.16)

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■フランス議会報告(要旨)
―1995年12月採択―
―「議会報告書2468号」―



〔第1章セクトの現状について〕
1.定義が困難な現象・セクト
 セクトとは何か。これを定義づげるのは困難であり、法律のどこにも手がかりはない。だからといって、信教の自由を侵す危険をおかしてまで強いてセクトの定義をするか、それとも定義づけは不可能だとして作業を放棄するか、いずれもとるべきではない。委員会は事実に基づいてセクトと一般に言われている組織の現象を分析し、その特徴を引き出す努力をした。
 そもそもフランスは政教分離制度(著者注:国は宗教に無関心であるべきというもの)をとっており、宗教の法的定義もしていない。法律上キリスト教とセクトを区別することは不可能である。
 委員会はセクトの語源、社会学的分析、危険性に基づく分析などにコメントしつつ、結局以下の基準(内務省のセクト現象分析でも用いられているもの)を採用することにした。

@精神の不安定化をもたらすか
A法外な金銭的要求をするか
B生まれ育った環境との断絶を教唆するか
C健全な身体の損傷をもたらすか
D児童徴用(子どもをかり集めて、グループ化)するか
E多少を問わず反社会的な説教をするか
F公共秩序の撹乱をもたらすか
G多くの裁判沙汰を起こしているか
H通常の経済流通活動からの逸脱傾向があるか
I行政当局への浸透を企てているか


委員会は、その団体が新しい、信者数が少ない、奇抜だということをもって、セクトとみなす基準にはできない、と考える。現在大宗教と言われるものでも初期においてはおおむね信者数の限られた団体にすぎなかったし、現在社会的に受容されている宗教儀式が、当初は警戒心や反対を呼び起こしたこともあり得るからである。


2.セクト活動の現状
 セクトの実情を把握することは極めて困難である。そもそもセクトとは何か。どの範囲をセクトの信者と認めるのか。たんなる講演会の参加者もメンバーと同一視してよいのか。信者とシンパ層を区別できるのか。
 そこで、委員会は、内務省からの情報とセクト問題の専門家からの情報をまとめてそのまま掲載している。
 (1)内務省の情報
 前述したセクトの判断基準に1つでも該当するとして内務省が列挙したセクトは172ある。(中略)


3.セクトの実情の分析
 (1)委員会は以上の事実をふまえて、セクトの性質、組織、構造、テーマについて分析を加えている。(中略)



〔第2章セクトの現状と問題点〕
1.セクトの多面的現状
 委員会はフランスにおけるセクトの教義や活動の特色を分析しているが、ここでは内務省の教義の特色に基づく分類、分析の要旨を紹介する。173のセクトのうち各カテゴリーに入るグルーブの数も記載する。(以下略)
 (1)ニューエイジグループ
信者をエネルギー・意識のような絶対的なものにコンタクトさせるためのさまざまな手法を用いる。輪廻転生やカルマの法、地球的規模の意識の覚醒などへの信奉のグループもある。49セクト。

 (2)代替宗教グループ
現代社会と異なる経済回路、生産世界、人間関係を提示して、第三世界の開発プロジェクトの支援などを提唱している。49セクト。

 (3)福音的グループと疑似カトリック的グループ
 伝統的キリスト教に依拠しつつ、特定の牧師や神父を中心に独自の教義を主張する。前者には世界同盟、ブザンソン・ペンタコステ福音教会、神の子どもたち(愛の家族)、統一協会など13セクトがある。
 後者には強い生への誘い、文化の未来協会など9セクト。

 (4)黙示録的運動
世界的大異変を予告するヨハネの黙示録やヒンズー教の輪廻思想に依っている。エホバの証人など15セクト。

 (5)ネオ異教運動
バイブル以外の神を信じる人びと、ケルト、北欧、精霊などの神話をよりどころにしている。Ava11on修道会、河岸の自殺、宇宙の鍵の3セクト。

 (6)悪魔崇拝運動(サタニズム)
AZAZEL協会、西欧一角獣イニシエーショソセンター、ルシフェル哲学教会、新バビロンの十字軍兵士など4セクト。

 (7)祈祷師運動
 18のセクトがある。
 19世紀に始まったアントワーヌ派は、病気や死の概念を否定し(生まれかわりを信じる)確固たる信仰のみが苦しみを消し去るという。
 祈祷師運動には、かなりの医療関係者やパラメディカルなどに支持者がある。

 (8)東洋志向派運動
仏教、ヒンズー教、道教などの多様なグループ。クリシュナ意識協会、創価学会たど19セクト。

 (9)オカルト運動
 錬金術、占星術、カード占い、手相占い、予知、魔法、降霊術、テレパシーなどを信じるもので、入会儀礼を必要とする。
 1984年にリュック・ジュレが創設した太陽寺院もこのグループで他に15のセクトがある。

 (10)精神分析運動
 さまざまな意識下の障害を治癒するため超心理学的手法を発展させた。
 パラサイコロジー能力、ナザレの家族、サイエソトロジーなど9セクト。

 (11)UFO崇拝運動
地球外生物(ET)の存在を仮定するグループ。ラエリアンムーブメソトが有名で5セクト。

 (12)習合主義的運動(シンクレティズム)
 原始宗教や東洋と西洋の伝統的宗教の習合的活動。
 金の蓮華の騎士、世界白い友愛会など。9セクト。

なお、104のセクトはこれらの典型タイプの結合的類型になる。とくに祈祷師運動とニューエイジの傾向のセクトが多い。

(『カルト宗教のトラブル対策』教育史料出版会)

 これは、「議会報告書2468号」の抄訳の一部である。とくに「セクトとみなす基準」として10の条件を示し、さらに「セクトの多面的現状」として「内務省の教義の特色に基づく分類、分析の要旨」を記載するまでを抜粋した。
 「2.セクト活動の現状」「(1)内務省の情報」において「前述したセクトの判断基準に1つでも該当するとして内務省が列挙したセクトは172ある。」と明言した後に、「3.セクトの実情の分析」の(1)で「委員会は以上の事実をふまえて、セクトの性質、組織、構造、テーマについて分析を加えている。」とし、さらに「第2章セクトの現状と問題点」「1.セクトの多面的現状」において「内務省の教義の特色に基づく分類、分析の要旨を紹介」している(この「内務省の教義の特色に基づく分類、分析」こそが、セクトの基準である10の条件と関連する―と、ふうふうさんは主張するのであるが)。
 つまり、教義の解説だけでなく、色々な角度からセクトを分類分析しているのだが、既に「第1章セクトの現状について」「1.定義が困難な現象・セクト」において「委員会はセクトの語源、社会学的分析、危険性に基づく分析などにコメントしつつ、結局以下の基準(内務省のセクト現象分析でも用いられているもの)を採用することにした。」として10の条件を示したあと「2.セクト活動の現状」「(1)内務省の情報」において「セクトの判断基準に1つでも該当するとして内務省が列挙したセクトは172ある。」と分類分析対象を172の団体に限定していたのである。
 このことから、「教義の特色に基づく分類」に当てはまるからセクトなのではなく、「セクトの判断基準に1つでも該当する」からセクトなのであり、そのセクトを教義の特色によって分類したということが分かる。

>議会報告書の1687号では、該当する「I-A-1」項に列挙されたグループが、総てセクトに属するとされています。ここに、2468号で構成上漠然としか示されていない「セクトは教義に基づいて指定される」という事実が明らかになっていると見なされます。(3◆<『フォーラム21』のセクト論を添削する>070812)
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 「該当する「I−A−1」項に列挙されたグループが、総てセクトに属する」これは翻訳の問題というよりも文脈を踏まえた解釈の問題ではないでしょうか。前述のように「議会報告書2468号」では、まず10の条件に該当するもの172をセクトとしてリストアップし、それらについて「グループ」分けしたのです。セクトとされたものを分類したのですから「列挙されたグループが、総てセクトに属する」のは当然です。ふうふうさんの見解では「東洋主義者」に入るはずの宗門が、平成19年の時点でもセクトに入っておらず、学会にはない免税特権が付与されていることから考えても、"分類内容に該当するからセクトなのではなくセクトを分類した"ことは明白です。
 これは当該原文の直訳ではないようですから、ふうふうさんが故意に紛らわしい表現をしたのではないか―そう考えるのはフランス語のできない者のヒガミでしょうか(笑)。





創価学会が実名で登場したセクト的逸脱対策警戒関係省庁本部の'05年度報告書

(『フォーラム21』H18.7.1/<阿修羅>WS)

 去る4月27日に発表されたセクト的逸脱対策警戒関係省庁本部(MIVILUDES)の2005年度報告書に創価学会が実名で登場した。
 創価学会の名がでたのは、「セクト的支配に直面した未成年者の保護」と「緊急人道援助とセクト的逸脱」の章。
 後者は99年の国会報告「セクトと金銭」で国連のNGOの地位をえているセクト的団体の1つとして統一協会などとならんで創価学会が掲載されていると書かれているだけだが、「セクト的支配に直面した未成年者の保護」の方はかなり長文である。つぎに訳出す。

 創価学会の内部では、信者同士が結婚する。これを「コーセンルフ(広宣流布)のためにカップルを形成する」という。家庭を教義の流布の中継地とするということである。実際には、夫婦は一緒に祈る(1日1〜3時間)時間をのぞいてはほとんど一緒に生活しない。子供は親たちの関心の中心ではない。なぜなら、大人たちは祈りと会合に時間を取られて、ほとんど暇がないからである。子供が不満を述べたときには次のように言うように指示が出ている。「お母さんは毎日、人のため、社会のためになることをしているんです。(……)子供達よ、お母さんはあなたを愛しています、だからこそ毎日活動しているんです」(『第三文明』'99年)
 親への執着は否定的でエゴイストな行動となる。運動の創設者である池田にとって、「理想は子供たちが私たちの組織を深く愛することです。この精神によって、子供達は素晴らしい成長をするのです」(同)創価学会は、青少年団体をつくっていた。なぜなら「青少年は将来を創造する力を持っている。もちろんこの能力の根源は我々の信仰と神秘の法の中にある。(……)若いときに肉体と精神を鍛えないものは、たいてい、人生の末期になってその決意と理想が壊れてしまう。最終的にその人生があらゆる面において失敗であるということもまれではない。(…)私のもっとも深い望み、私の祈りはあなた方が人生を深く愛し、『ご本尊』に強い信仰を持ち、信仰の道と『広宣流布』の道から外れないことです」(池田会長による青少年への指示、dailyguidande vol.3)〉

 「なんだ、文書の引用ばかりではないか」と思われるかもしれない。だが、膨大な池田語録の片言隻句を取り上げてあげつらっているわけではない。
 MIVILUDESは、名誉毀損訴訟で重箱の隅をつつかれて敗れて、報告書全体の信用をなくしたりすることのないよう非常に慎重な書き方をする。同じ理由で、慎重に、かなり確実なものでなければとりあげない。また実名を出さないことも多い。
 この記述は、まだ刑事犯罪にはなっていないが憂慮すべき事態がかなり起きているということが市民団体ほかから報告されているということを示唆している。そしてそれが集団のリーダーの教えに起因していることも。
 さて、95年の国民議会報告以来、政府であれ国会であれ、セクトのリストは出ていない。毎年のセクト対策本部の報告書に実名が出てくるが、創価学会の名はなかった。
 とくに、MIVILUDESになってからは、個々の集団の研究はせず「フランスにおけるセクト的逸脱」だけを対象にしたため、フランスではイイ顔をしている創価学会の名はますます出にくくなった。
 イメージアップ戦略は功を奏し、東京富士美術館での展覧会にフランス文化省や元老院などの後援を取り付けることに成功した。「公明党が政権党だから断るわけには行かないんです」といっていた国会議員の苦渋の表情が思い出される。
 そういうなかで、ここまで明確に出されたことは意義深い。しかも、内容が内容である。いままでよく騒がれた金銭の豊富さとか、スパイの疑いとかいった、反論の余地のある問題とは違う。まさに、セクト的逸脱の核心のひとつであるセクトの子供の問題で真正面から取り上げられたのである。





インターネット掲載SGI擁護「論文」の誤りを正す

―ヨーロッパ・カルト事情-特別版―
(国際ジャーナリスト・広岡祐児『フォーラム21』H16.1.1〜2.1編集)

 「フランスでは教義をもとにセクト(カルト)規制をしている」などというとんでもない「論文」がインターネットに載っている。
 「フランスにおけるセクト政策を巡って=当該国議会の焦燥と擬似同調者の愚昧=」というもので、匿名だがもっともらしく原文を引用したりして体裁は繕(つくろ)っているので、事情を知らない人が読めばさもあらんと思ってしまうような内容である。けっこう他の書き込みにもこの「論文」と同じ誤解が蔓延している。そこで、ただのインターネットの匿名のいたずら書きと看過せず、ヨーロッパ・カルト事情-特別版として徹底的にこの「論文」の誤りを正すことにした。けっして「糾す」のではない。正しい事実を提示するだけである。
 なお掲載後インターネットに載せる目的で書くので、本誌の読者には繰り返しの部分もあるが、ご容赦いただきたい。(本誌掲載分には紙数の関係もあり原文は適宜省略した)
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「フランスにおけるセクト政策を巡って=当該国議会の焦燥と擬似同調者の愚昧=」なる匿名「論文」について、順を追って間違いを訂正していきます。同「論文」と併せてお読みください。(http//members.lycos.co.uk/whowho21/sectemain.htm/-68k)
※上記URLにはアクセスできなかったが、下記に同内容のサイトがあったので紹介する(法蔵)
http://who-who.freehostia.com/webnavigation/secte/


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 正視眼を失う時、人は知性を失い、代わって痴愚の虜(とりこ)となります。日本に於いてSGI批判を行なう人物達が頻繁に行なう発言のひとつに、「SGIは、フランスでは、カルトだからね」という浮薄なものがあります。彼等が使用している「カルト」なる用語が意味する概念は、フランスでは「セクト(secte)」と表現されます。
 これを前提に、かの国でSGIフランスがセクトに指定されているとすれば、それは、いかなる理由によるのか?他にセクトとされている宗教団体には、いかなるものがあるのか?それらは、それぞれ、いかなる理由によってセクトに指定されているのか?指定規準に教義は関わるのか?関わるとすれば、いかほどであるのか?社会問題との関わりはあるのか?あるとすれば、その判断規準は何か?(…中略…)厳格な国教を持つ国家におけるセクト指定とフランスにおけるセクト指定の間には、いかなる相違があるのか?フランスがセクト規制を行なっているとすれば、それは、いかなる国情によるのか?
(当該国議会の焦燥と擬似同調者の愚昧 はじめに)
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とたいへん意気込んで匿名氏(筆者と書くと私自身と混同されるのでこう表記します)は始めています。「指定」という言葉がちょっと気になりますが、これはあとで詳しく論じることにして先に進みましょう。


【フランス議会がリストアップしたセクト】
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本稿は、インターネット上で公開されている当国の国民議会(Assemblee Nationale:日本の衆議院に相応=以下、フランス議会と略称)のセクト関係の報告書に基づいて、SGIフランスを含む諸宗教団体がフランス国家によっていかに対応されているかについて調査を行なったものです。
(同上)
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 「議会報告書」811号、1039号、1687号、2468号ともう1つ列挙しています。番号順に一見整然と並んでいますが、この並べ方は不適切です。報告書は議会の任期存続期間ごとに通し番号がつけられ、選挙があるとあらたに第1号から始まります。前の3つは第11期、後の1つは第10期国会です。時系列順に第10期2468号、第11期811号、1039号、1687号とするべきでしょう。
 第10期2468号は95年末提出の有名な「フランスのセクト」(通称ギヤール報告)で、第11期1687号は99年の「セクトと金銭」(通称ブラール報告)です。ともに書物としても公刊されています。
 第11期811号と1039号はこの「セクトと金銭」報告書をまとめた特別委員会の設置に関する提案ならびに常任委員会の意見です。
 匿名氏はたとえば811号を「決定事項の推移:セクトの金銭的援助・国際的財務関係・世襲的経営・税金状態に関する審理委員会創設の企図に関する事項」と訳していますが、「Proposition de resolution」とは「決議提案」つまり議会に出した「議案」、「exigences」とは「きびしい要求、無理な要求、要求、必要」(大修館スタンダード仏和)、「patrimoniale」は文脈ならびに同委員会の趣旨からいって「資産、財産」です。また「enquete」を「審理」と訳していますが、委員会には司法に準じた調査権があるのですから、「調査」とした方がいいでしょう。
 さきほど「もう1つ」と書きましたが、それは、「1998-1999国民議会定期総会:差戻し予算に関する公的分析」(Assemblee nationale:Compte rendu:Analytique officiel:Session ordinaire de 1998-1999)なるものです。なんで唐突に予算の話がでてくるのでしょうか?
 どうも匿名氏は「compte rendu」という成句を知らず「compte」(計算、勘定)「rendu」(動詞rendre:戻す、返すの活用)をそのままくっつけたようです。「compte rendu」は「議事録」のことです。またanalytiqueとはこの場合要約のこと。本当はこの2語の間に「:」はなく、「Compte rendu analytique officiel」で「公式要約議事録」になります。フランスの国会では各議員の発言をそのまま採録した議事録と要約した議事録の2つが公式に発行されます。何のことはない、「セクトと金銭」報告書をまとめた委員会の設置に関する本会議の議事録です。
 「当国」というのですから、匿名氏はフランス在住なのでしょうか。それにしてはフランスの制度についての基礎知識があまりにも乏しい

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2468号は、「今は昔」の人となりましたが、かつて、フランスのセクト抑制活動では、議会の公式な中心者として広く知られていたアラン・ヴィヴィアン(Alain Vivien)議員が深く関与して起草されたものであり
(同上)
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 この委員会にはヴィヴィアン氏は一切関係していません。第一、この当時、氏は国会議員ですらありませんでした。ついでに、ヴィヴィアン氏の退陣に関する議論がclickできるようになっていますが、そのほとんどが反ヴィヴィアン・セクト擁護派の人の発言です。
 なおこの2468号(フランスのセクト)を
 <当国のセクト問題を知る上では最大に不可欠の資料となります。>
としていますが、なにせ8年前の資料であり、先駆者のならいでこの報告書自体にさまざまな不備もあります(その一端は後述)。そのあと実際の経験の中で明らかになった事を修正しつつさまざまな動きがありました。たしかに歴史的に不可欠の資料ではありますが、現時点では、最大とはいえないでしょう。

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1.フランス議会がセクトに指定した宗教団体の一覧
フランス議会報告書2468号中「I-B-1: 一般情報進化(L'evaluation par les Renseignements generaux)」と題された項における「セクトの信奉者(Les adeptes des sectes)」の部を一瞥する
(フランス議会がセクトに指定した宗教団体の一覧)
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としてセクトに「指定」された「宗教団体」を採録しています。
 匿名氏は最近、創価学会フランスがある日本の記事に対して「フランスでは創価学会はカルトに指定されていない」と抗議したことをご存知なのでしょうか?
 それはともかく、正確には「フランス議会が報告書でリスト・アップした」です。ただ議会が行った行為として「認めた」またはギリギリ「認定した」という表現はできるかも知れません。しかし「指定」は行きすぎです。「指定」という言葉からは「成人向指定」とか「暴力団指定」とかいった用例が連想されます。ちなみに広辞苑は「@それとさし定めること、A行政官庁が、法令の定める所により、調査の上、ある資格を与えること」としています。@の意味で使ったと強弁することもできましょうが、言葉はコミュニケーションの道具であり、受け手がどう解釈するかが重要です。Aの意味でとることは十二分にありえます。ですからこの言葉を使用すべきではありません。
 日本の暴力団規制法のようにある団体を指定し規制するというやり方は、フランスでは「特別法」(la loi specifique)あるいは「特別な法制的制度」(le regime juridique)と呼ばれているもので、報告書2468号(公刊版p.99)で明確に否定されていますし、その後現在に至るまでその方針に変化はありません。
 「evaluation」には「進化」という意味はありません。「evolution」と混同したのでしょう。また「les Renseignements generaux」は「一般情報」と訳せないことはありませんが、ここでは明確に内務省の一般情報部のことです。(これは報告書を読めばすぐにわかります。)要するに警察の公安当局です。
 その中央局をDCRGと略称します。「公安」というとすぐ規制・取締と連想されますが、強面の活動をするDST(領土安全保障局)と違ってこのRGの主な役割は国会や内閣への情報提供です。ですから国会の委員会がその資料を使用することには何ら問題ありません。この報告書は公安が細かく情報開示した世界にも稀有な例です。
 また匿名氏は「宗教団体」としていますが、たとえばリストの中のCEDIPAC SA(ex-GEPM)はマルチ商法の株式会社ですし、Humana France-TVINDは北朝鮮にも近い非宗教団体です。



【教義内容とセクトの関係】
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2.フランス議会によるセクトの教義的区分
それでは、これら膨大な数に及ぶ宗教団体は、いかなる理由によって、フランス議会からセクトに指定されているのでしょうか。その解答は、各宗教団体の教義にあります。
(フランス議会によるセクトの教義的区分)
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これは大間違い。語学力のなさから報告書を誤読したのであれば、お気の毒というしかありません。

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 それ(広岡注:教義を理由にセクトに指定されていること)は、議会報告書2468号中「U-A-1: 一般情報に採択された方法(La methode adoptee par les Renseignements generaux)」なる項における「セクトの教義内容の基準に関する分析(Analyse des criteres de qualification doctrinale des sectes)」の部に窺うことができます。
 その部では、セクトに指定された宗教団体の内、議会によって特に目立った活動をしていると判断される団体が、これまた議会の見解に基づいて、簡略な説明と共に12のジャンルに配当されています。
(同上)
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 繰り返しになりますが「一般情報」は「(内務省)一般情報部(RG)」の誤訳で、「議会によって」「議会の見解に基づいて」と書いているのは誤読か捏造です。原典にはちゃんとU-Aの1の直前に「DCRGによって採択された方法とその研究の主要な結果を、委員会の求めに応じて提出された通りに掲示する。」と書いてあります。
 しかし、この項は何をもって「セクト」とするかの理由づけをした部分ではありません
 理由説明は、「T-A-2:日常言語から出た定義の不正確さと多様さ」にあります。
 ここで、委員会は、セクトという言葉は大別してa)語源的アプローチ、b)社会学的アプローチ、c)セクトの危険性にもとづいたアプローチの3つの概念でつかわれていると説明したあと、このc)の概念を採択したと宣言しています。(公刊版p.12)そして次のように述べます。
 「疑惑の信憑性を測り、宗教を口実としたある運動をセクトとみなす手掛かりの中から、委員会は、内務省一般情報局から通知された同局がセクト現象の分析に使用している基準を採用することにした。それは:
・精神の不安定化
・法外な金銭的要求
・住み慣れた生活環境からの断絶
・肉体的保全の損傷
・子供の囲い込み(強烈に教化すること)
・反社会的な説教
・公秩序の撹乱
・裁判沙汰の多さ
・従来の経済回路からの逸脱
・公権力への浸透の試み
 委員会はセクトの定義がいろいろな点から難しいという事を強調し、その対話相手の提唱するセクトの定義をもとに仕事をした。対話相手は新宗教の発展に寄与したり、実際あるいは推測上の、行き過ぎと戦っている人達である。
 調査委員会は、新しい事、信徒が少数である事、変わっている事等を、宗教を口実とする運動をセクトと位置付ける基準には入れなかった。現在ある大宗教の多くも、その発足当時にはしばしば会員の少ないセクトにすぎなかったし、現在では社会で公認されている儀式も、その当時では反対されたり、留保されたりしたものだ」
 とくにこの最後の段落に注意して下さい。(文中の「セクト」はa)b)の意)さらに委員長ジェスト議員は、96年2月8日の本会議での次のような発言でいっそう明快にしています。
 「どのようなものであれ魔女狩りをおこなったり、いわゆる『新宗教』を原則から断罪しようという考えは我々からほど遠いものです。だれでも自分が良いと思うことを信じるのは自由であります。唯一、その隣人に害を与えないという条件において。
 我々の注意を引いたのはグループの実践ではなく、法と他人の自由を尊重しないことなのです」
 教義を理由にセクトというのではない
 U-A-1は、第U部A章第1節ということで、当然このT-A-2や173の団体をリストアップしたT-B-1よりも後になります。
 議会報告書2468号は第T部A章で「セクト」の定義(法律上の定義ではなく本委員会が採択した「セクト」の概念)をし、第T部B章においてRGがこの定義に基づいて「セクト」として認めたグループ名を上げ、第U部でその「セクト」を様々な角度から分類して現状を見てみる。という構成になっています。
 つまり、U-A-1の時点では、いかなる理由によってセクトと見なしたかの議論はすでに終わっているのです。
 創価学会は危険性によりセクトである。その創価学会は教義の上から分類すれば東洋主義者に入る。ということであって決して創価学会は東洋主義者だからセクトであるということではありません。
 第一、この分類には「ニューエイジ」「代替」「福音主義・擬似カトリック教徒」「黙示録主義者」「新異教者」「悪魔主義者」「治療者」「東洋主義者」「オカルト主義者」「心理分析主義者」「UFO主義者」「混合主義者」が入っています。もし匿名氏のいうようにこの部分でセクト「指定」の理由説明がなされているのであれば、カトリックとロシア・ギリシャ正教とユダヤ教以外の団体はすべてセクトであるということになってしまいます。

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本稿は、上記ふたつの項目において、フランス議会の公式報告書に即して、次の事柄を確認してきました:
(1)現在、フランス議会は、173という異常に高い数の宗教団体をセクトと見なしている。
(2)同議会がそれらの宗教団体をセクトに指定した理由は、それぞれの教義内容に基づいている
(3)また、同議会は、特定の宗教団体をセクトに指定する際、その教義内容を12のジャンルに区分している。
(4)SGIフランスがセクトに指定された理由は、同議会が、その教義内容から、同宗教団体を「東洋主義者」と解釈したことによる
(フランス議会による日蓮仏教の解釈とNSTの場合)
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 匿名氏の記述が全くの誤解あるいは捏造であるということは、いままでに述べたことで明らかでしょう。
 ある種の宗教団体がセクトとしてリストアップされたのは、教義ゆえではなく、危険性によるものです。



【NST(日蓮正宗)はセクトではない】
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3.フランス議会による日蓮仏教の解釈とNSTの場合
本稿の初めに挙げた173に及ぶセクトと解釈されている宗教団体の中に、NSTの名称は見出されません。ところが、事実は、NSTもフランス議会からセクトに指定されているのです。
(同上)
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 これはまったくの虚報です。
 匿名氏はその根拠として
 <議会報告書2468号中「I-B-2:諸専門家による査定」の項における「UNADFI=家庭・個人の擁護に関わる諸協会の全国連合=による1995年におけるセクト信者の一覧」なる表>
をあげていますが、この表はあくまでもUNADFI(「家族と個人を守る会」の全国連合―全国の人権擁護団体の連合会ではない一という、一市民団体の資料にすぎません。
 議会がセクトとしてリストアップしたのはRGの報告にもとづく173の団体以外にはありません。
 ではなぜこの表に日蓮正宗がでているのでしょうか?事情は次の通りです。
 破門されるまでフランスの創価学会は「日蓮正宗フランス(Nichiren shoshu France)」という協会名でした。日蓮正宗はその後独立した協会を作りますが、いったい何人が日蓮正宗に移ったのかについてUNADFIは調査しませんでした。UNADFIはセクト被害者の家族の会が母体になって教義とは関係のない人権問題としてのセクト問題を長く訴え続けてきた団体で、関係者はほとんどがボランティア、この当時、セクト団体の分析よりも実際の被害者救済に手一杯だったのです。そこで破門前のフランスの本に出ていた数字をそのままつかったのです。
 UNADFI関係者はこの表や電話相談の表が不用意に議会報告書に使われ、デマ(他のセクトも匿名氏と同様に誤って利用した)の源になったことに遺憾の意を表明しています。

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なお、UNADFIによる該当の一覧は、当国の議会のみならず、EU(欧州連邦)議会に於いても、フランス議会の公式見解として採択されています。
(同上)
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該当Pにclickしてみると冒頭に「Summary of the report of the French National Assembly Committee of Inquiry on Cults-adopted unanimously by the committee in December1995」と資料の性格が書いてあります。どう考えても「フランス国民議会カルト調査委員会報告要約-同委員会によって1995年12月満場一致で採択された」としか読めません。これがどうしてEU(欧州連邦)議会に於いて「フランス議会の公式見解として採択した」になるのでしようか?



【民間のウエブサイトについて】
さて、政府や議会の文書に日蓮正宗がセクトに指定されているという証拠がなかったからでしょうか、ここで匿名氏は民間のセクト関連のウエブサイトに根拠を求めます。

―「インフォ・セクト(Info Sectes)」―
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「現在、日蓮の教義に基づくことを標榜するセクトは40余りある。その中核を成すものは「日蓮正宗」であり、現在、極めて権威主義的かつ幾つかの裁判―その行動面・経済面に由来する―係争中にある法主、阿部日顕によって率いられている。」※コメント=ここの「該当P」は、日本に淵源を持つセクトと見なされる宗教団体を扱ったものです(SGIフランスも含まれる)。裁判係争中の「阿部日顕」に言及している辺り、明瞭に宗門問題以降のNSTをセクトと見なし、その「危険」を指摘していると判断されます。
(同上)
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 このサイトはフランス語圏プロテスタント系のアソシエーション(社団・協会)であるである「vigi-secte」に近く、ホームページでもキリスト教的色彩を明らかにしています。そして同サイトが「セクト」とみなしているのは議会報告書にリストアップされた173の団体であり、日蓮正宗は入っていません。
 該当PはUNADFIやCCMMとならぶセクト対策市民団体GEMPPIの機関誌の01年7月号の「日本のセクトと新宗教運動」(SECTE ET NMR JAPONAIS)という記事を転載したものです。そのテーマは日本の宗教全体を概観するものであって、「セクトと見なされる宗教団体」だけを扱ったものではありません。
 この記事の冒頭には「これらの新宗教運動の大部分は西洋における仏教への流行現象によって有効な布教を行っている。それらの中のある種のものはフランスでもすでに知られている」崇教真光、創価学会、日蓮正宗、世界救世教、禅マクロビオティック。これらのグルーブのいくつかはセクトの害についての最近の2つのフランス国会報告(1995、1999)に指摘されている。」とはっきり記されています。つまり、この記事では、西洋で布教している日本の新宗教運動のうちの創価学会のように国会報告に明記してある一部のもののことをsecteというのであって、阿部日顕への言及はセクトと見なすか否かにまったく関係ありません。
 それにしてもなぜ日蓮正宗が新宗教なのでしょうか?あきらかにこの記事の筆者の誤認です。
 しかし、まだフランスでは日本の仏教についての認識は浅く、しかも創価学会が日本の学界を通じて、あるいは直接に研究者にアプローチしています。市民団体がこのように偏向のない研究の努力をしていますが、溢れんばかりの創価学会側からの情報に比べて他の情報はあまりにも貧弱なのです。単に日蓮正宗に限らず日蓮宗、法華経を重視する日本仏教全体の由々しき問題であり、日本の関係者の一層の努力を期待します。

―「セクトの罠に陥らないために(Pour ne pas se laisser pieger par les sectes)」―
このサイトは私が『Forum21』第42号にフランスでの創価学会訴訟についての記事を書いたときにも引用した、創価学会のセクト性についてキチンと批判しているサイトです。
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「日蓮正宗は仏教ではない。日蓮正宗は、仏教の本来あるべき姿から完全に逸脱している。[中略]釈尊は、人々を折伏することを厳禁したのである。」※コメント=該当PがNSTがセクトであることの傍証として引用した新聞記事の一節です。
(同上)
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 該当PをみるとUNADFIの機関紙「Bulles」90年第1四半期号の転載と書いてあります。文中の「新聞記事」は88年6月17日付の「Santa Monica News」です。すなわち創価学会が外国では日蓮正宗を名乗っていた時代。文中には「私は、なぜ仏壇の横に池田会長の肖像画があるのかと疑問に思いました。なぜなら日蓮の仏教には神や人物の崇拝はないからです」という同じ新聞からの引用もあります。何のことはない。ここでいう「日蓮正宗」とは「創価学会」のことなのです!!
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「教義面における日蓮正宗と他日蓮系仏教団体の相違についてひとつの大きな違いは、日蓮なる存在の解釈にあり、それは仏教の三宝―仏宝・法宝・僧宝の捉え方にも相違をもたらしている。日蓮正宗は、日蓮を歴史上の釈尊と異なる永遠仏[久遠元初の仏」と解釈し、その永遠仏を、歴史上の釈尊を越える存在と見なしているのである。」
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数多くの日蓮系仏教団体の内、殊更に日蓮正宗がセクトと解釈される主な理由のひとつとして、日蓮正宗が日蓮本仏論に立つことを挙げている一節です
(同上)
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 牽強付会としかいいようがありません。
 なお、このPの文中に日蓮正宗の訳として「La vraie secte de Nichiren」という表現がありますが、「secte」には本来「宗派」という意味がありますからその意味で使用されたものです。同文の注釈によりこう訳したのが政治学者フロランス・ラクロワさんであることが判明しており、同氏から直接確認しました。

 そのあと匿名氏は「おまけ」として「EDA=パリ在住国外大使のための情報エージェンス(Agence d'information des missions etrangeres de Paris)」なるもののウエブ報道の記事を紹介しています。
 「missions etrangeres」とはたしかに外交団といった意味にも取れます。しかしここでは、カトリックの海外伝道部のことで、とくに極東など遠隔地にいく伝道師たちのことをいいます。
 匿名氏の語学力と知識のなさには呆れ返るばかりです―が、ふと思い返すと、文章ばかりの議会報告書ならまだしも、ホームページを見れば一目瞭然「missions etrangeres de Paris」が「パリ在住国外大使」ではないことは明らかです。スタンダード仏和辞典にも「外国伝道」という訳語が出ています。
 もしかしたら、匿名氏はすべて分かっていてわざとカトリックの海外伝道部を「国外大使」としたり、「(内務省)一般情報部の評価」を「一般情報の進化」としたり、「調査」ではなく異端審判を思わせる「審理」にしたり「決議案」ではなくて一方的決定を思わせる「決定事項の推移」にするなどの小細工をしたのではないでしょうか?うがち過ぎかとは思いますが・・・。



【Forum21】
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因みに、SGIとの裁判係争で知られる乙骨(おっこつ)某氏に於いては、NSTに深く加担する立場にありながら、『Forum21』なる自らのウエブサイトに、フランスの「セクト」政策に賛同するジャーナリストにスペースを提供し、(中略)いくら「SGI憎し」の感情に身を焦がしているにせよ、果たして、これは、正気の沙汰と言えるのでしょうか。
(同上)
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 件のジャーナリストとは私のようであります。私も乙骨氏もべつに日蓮正宗に加担しているわけではありません。事実をありのままに述べているだけです。匿名氏がちゃんと名乗り出たなら乙骨氏とフランスで名誉棄損訴訟を起こしたい、と思います。
 『Forum21』のサイトについて
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私見では、アクセスに際して危険を覚えるため、ハイパーリンクは設定しません。
(同上)
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いったい何の危険があるのでしょう。「自分の信念が崩れる危険」「嘘がバレてしまう危険」でしょうか?



【SGIフランスは税金滞納含む社会問題惹起】
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4.フランス議会セクト担当者の愚行と日本における擬似同調者のそれ
創宗掲示板には、時として、アンチSGIの人物達によって「SGIフランスは当国で高額の税金滞納を含む社会問題を惹起している故にセクトに指定されているのだ」という批判がなされています。これは、無知から生じる悲しくも甚だしい誤謬と言わざるを得ません。当然ながら、その批判は、ついぞ、確かな文献的証拠を伴っていたことがありません
(フランス議会セクト担当者の愚行と日本における擬似同調者のそれ)
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 しかし確かな文献的証拠はあります
 まず、99年の議会報告書1687号(「セクトと金銭」)。これは
 <「V-B-2:一般的に未払いの負債(Une dette generalement impayee)」なる項には、こう述べられています。AMORC[なるセクト]に対して宣告されている調整額は1億1800万フラン、サイエントロジー[なるセクト]については1億4050万フラン、創価学会については1950万フランである」>
と匿名氏自身が引用しています。「調整額」は申告漏れの調整(修正)です。
 同報告書以外にも、創価学会フランスの本部に対して1991年に、国庫と管轄税務署が未払い負債の担保として3787621フラン(約7600万円)の抵当権を設定していることが登記書に記載されています。これ以上確かな動かぬ証拠がありましょうか。
 議会報告2468号のセクト判断の10の基準のうち「従来の経済回路からの逸脱」とは脱税等のことです。これだけでも創価学会をセクトとみなすのは当然でしょう。
 先の税金滞納の証拠でもそうですが、匿名氏は資料を解読できないのでしょうか?故意に歪曲しているのでしょうか?

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しかし、議会報告書に記されている「SGIフランスが2億4千万フランもの財を持っている」というのは、本当でしょうか。日本円にすると、その金額は、約50億円に及びます。
(同上)
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じつは、この金額は、創価学会の自己申告に基づくものだと報告書(公刊版331ぺージ)にちゃんと書いてあります。

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また、SGIフランスが核開発の研究を行なったり国民に危害を与える可能性がある怪しげな核に関わりを持つような科学研究を企んでいるという疑惑を持つのであれば、それを何年にも渡って主張しながら、そのままに放置している国家は、どのような神経をしているのでしょう―自らの存亡に無頓着な能天気な国家と言うべきか、それとも荒唐無稽と言うべきか。
(同上)
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まさにだからこそ、新聞沙汰になり、RGやDSTが特別な注意を払い、ミッテラン大統領は池田大作氏の第2回目の会見を断り、ヴィクトル・ユゴー文学館の開館式は大臣以下出席をキャンセルされ、とても寂しいものになったのです。

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議会報告書に照らしてSGIフランスが悪しきセクトの代表格であるとすれば、フランスという国家は、いかなる悪人・悪しき機関であれ、お金を出しさえすれば、自在に不動産の購入を許諾する国家なのでしょうか。
(同上)
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 議会報告書はあくまでも議会の意見にすぎません。けっして法律ができたわけではないのです。法規に裏付けのないことをしてはいけないというのは、民主国家法治国家の当然の初歩です。日本では残念ながら、オウム真理教の子供達を公立学校に入学拒否するなど、まったく子供の将来すら尊重しない由々しき行政の越権行為がまかり通っていますが。
 あるいはこれらの記述で、匿名氏は、反語的に議会が独走しているだけでフランスは国家としてはSGIをセクトとみなしていないと言いたいのかもしれません。しかしそれは議会は主権者たる国民の代表機関であるという国民主権・民主主義の初歩的原理からして成り立たないレトリックです。

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日本でSGI批判を行なう人物達の中には、「SGIフランスがフランス文化を破壊する存在だからセクトに指定されている」と述べる人がいる模様です。
(同上)
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もしそういう人達がいるのであれば、私からも間違っているとはっきり申し上げておきます。文化破壊とは関係ない話です。



【「諸宗教の政治的統制の理由」】
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5.フランス議会における諸宗教の政治的統制の理由
(フランス議会における諸宗教の政治的統制の理由)
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 さきに述べたように、国民議会は「セクト」には現在、a)語源b)社会学という宗教的な意味と、c)宗教とは関係なく有害性からと3つの意味があるとし、この内のc)の意味でセクトという言葉を使用すると宣言しました。
 議会のいう「セクト」とは宗教とは関係ない人権侵害をするグルーブ・運動のことです。(ですから当然教義とは関係がない)
 政府もまったく同じ姿勢である証拠に雇用連帯省社会活動総局の「セクトの逸脱に関する2000年10月3日の2000-51号通達(circulaire DGAS n.2000-51 du 3 octobre 2000 relative aux derives sectaires)」の付帯文書のセクトの定義を紹介しましょう。
 「セクトとは、宗教的目的を宣言していたりいなかったりする全体主義的構造のアソシアシオン(協会・社団)で、その実態行動が人権と社会の均衡を侵害するものである」
 この非宗教の「セクト」問題は、無理解な宗教家・学者・政治家などの妨害にもめげず、統一協会の家族の会から出発した市民団体が20年余の長きにわたっていい続けてきたことでした。これがようやく国会レベルに到達したのです。匿名氏も引用している「世論が、その語(セクト)に与えている概念を取る」とはまさにこういう意味です。
 諸宗教の政治的統制など一切ありません
 フランスの宗教事情やイスラムのスカーフの問題についても匿名氏は論じていますが、これは書き出すと長くなるので、『Forum21』の連載で改めて取り上げたいと思います。ここではただ、匿名氏はフランスの宗教事情、政教分離について一から勉強し直す必要があるとだけいっておきましょう。ちなみに匿名氏が引用している『世界日報』は統一協会の新聞です。



【「結語」】
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6.結語
(フランスにおけるセクト政策を巡って――結語)
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 その内容は「無知と先入観への隷属性に囚われた」無駄な言葉の羅列にすぎないのでとくに訂正はしません。
 さいごに匿名氏の言葉をそのままお返しします―
 「正視眼を失う時、人は知性を失い、代わって痴愚の虜(とりこ)となります」。〔終〕





『セクト危険注意』(抄訳)

(国際ジャーナリスト・広岡祐児『フォーラム21』H16.2.1)

議会報告2468号がでたあとの96年9月にフランス青年スポーツ省が出したクラブや林間学校の指導者等宛の小冊子「セクト危険注意」を抄訳します。

何によってあるグループをセクト的だと決めつけられるのでしょうか?

まず不寛容、主導者(gourou)が曝いた真実だけが唯一無二なものだと信じ込むことがあげられます。残りのものはすべてそこから派生します。服従、虚偽の約束、だんだん大きくなる要求(金銭、時間、献身)、断絶(友人、家族、そして時には勉学や仕事)、監視、信者を募る義務、継続的な完全な従属、一言でいえば有害性。


セクトが明日の信者に誘いを掛けるため、利用する仮面とは何ですか?

理想、宗教、指導者の見せかけの価値スポーツ・文化・人道主義的な政策、偽治療法、慈善活動、女性擁護、平和擁護、第三世界との連帯…


信じ込みやすい、狂信的な人々だけに関わる問題なのではないでしょうか?

違います。勧誘される人ははじめは普通の人達と同じです。まさに鋳型にはめるともいうべき方法ですこしづつ変化させた後、彼らは従属した、服従した、ロポット化された、あるいは狂信的人物となるのです。このように、我々は誰でも勧誘される危険性がありますが、それは決してセクトそのものには足を踏み人れたつもりではなくても、魅力的で、一見無害と思われる集団にははまってしまうからです。


俳優や知識人たちなどたくさんの人々が、入信したことによって価値あるものを獲得したと発言しているのは何故でしょうか?

まず、セクトが彼らをまるで王子様のごとく扱うからです。次に、彼らは重大な欠点とは別に、不安定な困難な仕事に立ち向かっていくための集団の支えという利点をそこに見い出すからです。最後に、高い代償を払って手に人れたものは簡単に放棄できないし、心理操作によって離脱行為はすべて裏切りと見なすようにされているからです。


このような集団に、どんな期待を抱いて入信するのですか?

じつに様々です。ある人達にとっては、温かい集団を見つけること、まことしやかに調われた大義名分への賛同や宗教的な理想の発見であったり、混乱や疑惑から逃れることであったり、奇跡的に病気を治すことであったりもします。


我々は、自由な国にいます。誰かをあるグループに強制的に入らせたり、力づくで引き留めたりすることがどうしてできるのでしょうか?

まさに、誰も力づくで引き留めたりはしないのです。少なくとも最初の頃は。その後、徐々に心理操作が行われていくのです。


それは、洗脳ということなのでしょうか?

洗脳よりはるかに狡猾(こうかつ)です。例えばヴェトナムで捕虜になったアメリカ人操縦士が受けた洗脳は強制的に行われました。現在のセクト集団では、信者は自発的に自己変革するとか、人道的あるいはエコロジー活動に身を投じるとか、治療するとかいっています。しかし、信者は騙されているのです。


何故人々はセクトについて行くのですか?

恩恵を期待しているからであり、またセクト集団やその指導者が説得力に長け、魅力的だからです。更にセクトは、個人が秘かに抱いている不安や疑惑を煽ります。人に劣等感や罪悪感を持たせるのです。


その代わり、何が約束されるのでしょう?

進歩、権力の獲得、啓示です。


そして実際には?

 感情的な反応を挑発し、感動的な証言を提示し、集団の効果あるいは孤立や疲労の状況を作り出します。こうした事によって、教化に対して人を無防備にさせてしまうのです。
 その追究を我々に提示します。セクトにはまり込む人達はそれを信じているのです。実際にはセクト集団は、従順な信者の活力や仕事、金、時には肉体をも搾取し、その上に指導者の支配力を構築して強化することを狙う権力や集金の装置であることが多いのです。


あらゆる社会参加(政治的、宗教的、あるいは人道的)は、セクト主義への一歩を含むものなのですか?

セクト集団には組織への取込みがつきものです。社会参加と組織への取込みとは大きな違いがあります。
・社会参加は、一時的で変換が可能。
・社会参加はほんとうに自分を待ち受けているものがわかっているが、組織への取込みをされる者はわからないまま。
・社会参加では心理操作は存在しないが、セクト集団では必ず系統的に行われる。
・社会参加は限られた活動範囲のみに関係するが、組織への取込みは、全体的支配の構築(意見、信仰、感情、行動の仕方、あらゆる領域における服従)を目指す。


信仰と狂信との違いは何ですか?

信仰は寛容を前提としますが、狂信は一体性を要求し、外のあらゆるものと闘います。信仰は〈私は信ずる〉と言いますが、〈私は知っている〉とは言いません。狂信は反論を拒否し、〈絶対の真実〉に自分たちは直結していると主張します。


宗教とはどう違いますか?

宗教は常にセクト的逸脱と無関係だったわけではなく、そのために闘いや迫害を巻起こしました。主な宗教に含まれるある種のグループが、現在でもなおセクト組織の様な行動を取っているとしても、その一般的な方向はセクト的狂信とはかけ離れています。さらにセクト主義は宗教の領域のみ関係しているわけではありません。他にもセクトのグループや組織は存在します。例えばナチズム、この政治的、思想的なセクト主義はとてつもない恐怖を引き起こしましたが、宗教として紹介されたことは1度もありませんでした。


宗教はセクトとして始まったのではないのですか?

主要な宗教はむしろ、過度な知的、宗教的、政治的権威に反対する解放組織のようなものとして始まり、創立者の死後発展していきました。それは幹部が個人的な権威あるいは栄光への追究を達成しようとした場合に限りセクト的な逸脱をしました。


何故セクトを非難するのですか?

問題はセクトを迫害することではなく、犯罪が現実にあるという事実です。たとえば、子供の権利や労働法、民主主義的自由を遵守しないこと、汚職や現体制の転覆を試みることなどです。


何故国家は、セクトを禁止しないのですか?

思想の自由、宗教の自由、結社の自由によってセクトの禁止ができないようになっています。実際、国家は、セクトのメッセージの内容だけから、ある団体は許可し、ある団体は禁止するというように宗教団体(あるいは偽宗教的、哲学的な集団)の間で差別するわけにはいかないのです。思想の異なる流派、伝統宗教、あるいは(危険の有無に関わらず)セクト[訳注:宗派、少数派宗教の意]の間に、信仰の理論上から可能な識別法はありません。それは、不可侵な領域であり、現状維持していくことが適当だと想われます。


セクトの違法的不正行為は、何故あまり処罰されないのですか?

普通法への侵害について議論が起るたびに、セクトの代表者らは、決まって宗教の自由というお得意の分野に議論を移そうと努めるからです。セクトに対する告訴の多くが失敗に終わるのは、被害者と推定された者が、法廷では事件の際同意していたとみられたり、セクトの信者が皆完全に心理操作され、弁護側証人として登場し、偽りの証言によって法廷を惑わすためです。





創価学会の「カルト度」を検証する

−「巨大カルト」創価学会の危険度−
(古川利明『フォーラム21』H15.3.1抜粋)

<カルトの本質を「新しい形の全体主義」と定義>
 いち早くカルト対策に乗り出したのが、フランスである。
 もともと、フランスでは1970年代から、カルトにのめり込んでいった信者の家族の相談に乗る民間の機関があった。そこでは、統一教会やエホバの証人、サイエントロジー教会といった、既にアメリカで脅威をふるっていたカルトに関する相談を受けていたが、実はその中に「創価学会」も含まれていたのである。
 そして、オウム真理教の事件を受けて、仏下院(国民議会)が調査委員会を設置し、新たに報告書をまとめるにあたり、カルトの本質を「新しい形の全体主義」である、と定義づけたのである。それは、「魚は頭から腐る」のことわざのように、このカルトの問題を放置しておくと、自由と民主主義を抑圧し、最終的には社会全体を「死」に至らせる、という危機感からである。
 そこで1995年12月、下院で採択された報告書が『フランスにおけるセクト』(「セクト」はフランス語における「カルト」に相当する)である。
 これは、調査委の委員長の名前を取って『アラン・ジュスト報告書』ともよばれている。ここでは、カルトの構成要件を10項目列挙し、この項目のいずれかにあてはまるもののうち、フランス国内で活動する172の団体を「カルト」と認定し、実名でリストアップしている。この中に「創価学会」(正確には「創価学会インタナショナル・フランス」)も含まれており、既にマスコミ等でも報じられているので、ご存じの方も多いだろう。

<カルトの構成要件にぴたりとあてはまる>

カルト構成要件の10項目(「アラン・ジュスト報告書」)
(1)精神の不安定化、(2)法外な金銭要求、(3)住み慣れた生活環境からの隔絶、(4)肉体的損傷、(5)子供の囲い込み、(6)大なり小なりの反社会的な言説、(7)公共の秩序に対する錯乱、(8)裁判沙汰の多さ、(9)通常の経済回路からの逸脱、(10)公権力に浸透しようとする企て

 この10項目に、わが国の創価学会がいかにぴったりとあてはまっているかについては、拙著『カルトとしての創価学会=池田大作』(第三書館、2000年)で詳細に論及しているので、興味のある方は参照していただきたい。
 特に「暴走財務」に象徴される(2)(=法外な金銭要求)は広く知られていることであるし、(5)(=子供の囲い込み)についていえば、学会員2世、3世に、小さい頃から池田大作著の絵本やアニメを見せて、いかに池田が尊敬すべき素晴らしい人間であるかを刷り込ますといったことがあてはまる。(8)(=裁判沙汰の多さ)のように訴訟を乱発して、批判意見を封じ込めようとする動きなどは、一般の人でもピンと来るだろう。
また、(9)の「通常の経済回路からの逸脱」とは、詐欺や脱税、裏金捻出、不法労働の類のことで、例えば、これまでルノワールの絵画購入に関して約15億円の裏金を捻出したり、初代第1庶務室長・中西治雄が、1億7500万円入りの金庫を竹ヤブに放置したりなど、いくらでも具体例は出てくる。
 (10)の「公権力に浸透する企て」も、官公庁や大企業に学会員を侵入させる「総体革命」はもとより、公明党を作って、99年以降、自・公で政権与党入りしている現状を見れば、あまり詳しい説明はいらないだろう。

<巨大カルトの危険>
 仏下院の調査委は'99年、アラン・ジュスト報告書よりさらに一歩、奥へ突っ込んだ『セクトと金』と題する報告書(ジャック・ギュイヤール報告書)をまとめている。
 ここでは、フランスの創価学会が、「エホバの証人、サイエントロジー教会に次いで、3番目にリッチなセクトである」と指摘。具体的には、フランス創価学会の年間収入は1400万フラン(1フラン16円で換算して2億2400万円、以下同じ)から2千万フラン(3億2千万円)、また、土地や建物などの総資産は、帳簿上、はっきりとした記載があるもので、97年12月末現在で2億4160万フラン(38億6560万円)である、と明らかにしている。
 報告書では、こうした詳しい事実を列挙したうえで、国民に警戒を呼びかけているのだが、カルト問題の本質的かつ最も重要なところは、こうしたふんだんな資金量を誇り、それをバックに国家権力をも乗っ取りかねない「巨大カルト」の存在なのである。

(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。著書に『新聞記者卒業――オレがブンヤを2度辞めたワケ』『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『あなたが病院で「殺される」しくみ――システムとしての医療過誤』(いずれも第三書館刊)など。





フランスでも起きていた不法アクセス事件

―免職・超訴された学会員警察官―
(国際ジヤーナリスト・広岡裕児=パリ在住『フォーラム21』H17.2.15抜粋編集)

【犯罪の内容】
平成13年7月9日と平成14年7月24日に、パリ司法警察地方局情報課勤務の警察官ジャン=イブ・ロワゾーが、「司法警察の犯罪捜査と統計用途」以外厳禁のデータベースの日蓮正宗の御僧侶である毛利博道御尊師のファイルに不法にアクセス


【裁判官が「創価学会との関係」を尋問】
 平成17年1月27日、シテ島ノートルダム寺院近くのパリ大審院(地方裁判所)軽罪第17法廷で、ロワゾー事件の第1審が行われた。なお「軽罪」というのは日本でいう軽犯罪のことではなく、陪審の対象にならない懲役5年以下の犯罪をいう。
 尚、兄のパトリスと妹のジスレーヌも情報を得たとして共犯に問われている(3人は毛利師の件のほかにも15人と39台の車についての不法なアクセスで起訴されている)。

●3人とも創価学会に入っている。このグループは仏教団体でセクトに関する国会報告に記載され、とくにテクノロジーに関心のあるグループとして知られている(裁判長=起訴状朗読)
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裁判長の起訴状朗読の最初から明確に創価学会の名が出てきた。ただし、「情報が創価学会に渡されたという証拠はない」が。

●あなたは1988年にこの団体に加入、パリ16区の青年部長(フランス語の直訳)ですね(裁判長=ロワゾー被告への尋問)

◆警察監察官には1時間にわたって「創価学会が危険なセクトだと知っているか」「創価学会はテクノロジーに関心を持っている、子供の関係で問題を起こしているなどと知っているか」「あなたの仕事とこのグループに入っている事とは両立しない」といわれました。(ロワゾー)
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ジャン=イブ・ロワゾーは、起訴前に警察官監察官の査問をうけ、平成16年7月1日付で免職になっているが、そのときにも創価学会との関係をしつこく聞かれたようだ。

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◆新しいソフトが導入されたのですがうまく動かなかった。外国人ファイルなので外国人の名を入れなければならないのですが、ほかに外国人を知らないので入れました。
 私は危険をおかしたことは分かっています。ユーザーIDとパスワードを用いてソフトでは登録番号と暗証ワードを入れなければならないから、だれがアクセスしたのかすぐに分かります。(…)
 毛利博道は離脱した僧です。面識はありません。創価学会の新聞雑誌でよく取り上げられているのでその名が浮かんだのです。情報は出ませんでした。私の個人的なイニシアチブです(ロワゾー被告)
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●毛利博道については、外国人登録のソフトをテストするという口実は通用しません。彼がアクセスしたのは、前科についてのファイルです。
 個人の尊厳を侵害する。警察への信頼を侵害する重大な事件です(検察官)
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とジャン=イブに、重い罰金と2年間の警察就職禁止を求刑した。
 アクセスしたファイルは外国人登録だけではなかった。
 幸か不幸か毛利師に前科も何もなかったので情報はなく、ために兄妹に話すこともなかった。それで、2人は共犯を免れ、ジャン=イブ・ロワゾーも守秘義務違反は免れた。

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◆創価学会は、私は、仏教徒として1987年から実践しています。
 この仏教団体は国会報告ではセクトとされていますが、昨年のMIVILUDESの報告ではもはやセクトとしては出ていません。(…)
 日蓮大聖人の仏教で法華経を信仰しています。それはみんなが仏だといっています。創価学会のもっているのは人間主義です。
 毛利博道は2、3年前から、日蓮正宗の活動を広めるために来ていると聞いています。モントルイユに寺、といっても民家を改装したものですが、を開いたときに良く話題になりました。たしか寺は市長によって閉鎖されたはずです。
 日蓮正宗は1200万人を破門しました。日顕という僧が創価学会の権力を握るためです。
 日本では、いまちょうどヨーロッパの14、15世紀のように仏教信者が僧侶とは別に直接仏教を理解する運動が起きています。創価学会は宗教のヒエラルキーから独立し社会そのものを目的としています。他宗教とも対話しフランスではユダヤ教イスラム教仏教ともシンポジウムを開いています。
 毛利は日蓮正宗で養成された者で、創価学会の信者を最大限取り戻そうとしています。その目的は、資金を集めるためだけです(ロワゾーの兄パトリス被告)
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 MIVILUDESの報告はセクトのリスト掲載を固く拒否し、実名は事件や裁判の実例として出ているだけである。不記載は決してセクト視されなくなったという証拠ではない。モントルイユの寺院はまだ立派に開いている。こういうあからさまな嘘でも盲信しているようだ。
 いや、もっと重大なことが彼らの言葉の中にはある。
 さきにジャン=イブ・ロワゾーは、毛利師を「離脱した」僧といった。原語は、「島dissident」(反逆者、離脱者、異端者、反主流派)つまり創価学会が本流なのである。
 そこであらためてパトリスの言を聞くと、創価学会はただ単に日蓮正宗に対して本流なのではなく、日蓮大聖人の仏教の本流ひいては日本仏教の本流だといっているのだとわかる。日蓮宗全体いや日本の仏教界全体が反主流なのだ。日本の仏教、日本の文化の根本まで歪める由々しき問題である。
 しかも、この主張をまともに信じる外国人は案外多い。創価学会はもともと在家信者の組織なのだから離脱するもなにもその中に僧侶そのものがいなかった。その荒唐無稽さはしかし西洋では分からない。またヨーロッパの宗教改革のように仏教が改革中であるというような話も「なるほど」と思われてしまう。創価学会の海外宣伝は突出しており、著名な学者も籠絡しているので残念ながら今では彼らの主張が定説化しつつある。


【組織のための「個人的犯罪」】
―組織によって培われた洗脳メカニズム―
 ジヤン=イブ・ロワゾーが繰返した「毛利博道の名は創価学会の新聞雑誌でよく取り上げられているので浮かんだ」という言葉は重要である。
 モウリ・ハクドウなどという名はまず普通のフランス人に思い浮かぶ名前ではない。その名が出てきた原因は創価学会の喧伝以外のなにものでもない。
 ジャン=イブ・ロワゾー自身がいみじくもいっているようにこの行為が違法であり発覚する危険性も大であると知りながら、故意に使命感をもっておこなったのならば、「悪魔の詩」の翻訳者を殺害した犯人と同じことである。ほんとうに「フッと浮かんだ」のであるならば、それほどまでに深く彼の心の中に入り込んでしまったということだ。心が蝕まれてしまった、と言い換えてもいいだろう。(中略)
 ジャン=イブ・ロワゾーは他人に情報は渡さなかったようだ。しかし、それは出てこなかったからであって、もし出てくれば話したことは容易に想像される。彼に悪意はなくても巡り巡って利用しようとする人にまで伝わることは十二分にありうる。
 組織が命令しなくてもメンバーが勝手に犯罪行為をして目的を達成してくれる。命令はしていないのだから、組織を法律で裁くことはできない。何と都合のいいことか。
 このメカニズムは一朝一夕にできるものではない。


■被告に有罪判決、判決文で創価学会に言及

―特報/フランスの学会員警察官不法アクセス事件―
(フリーライター・尾崎洋『フォーラム21』H17.7.15)

本誌72号で既報の「フランス・創価学会員警察官不法アクセス事件」はさる3月10日、フランスの地方裁判所にあたるパリ大審院で結審、被告の元警官に有罪判決が言い渡された。現在来日中で、事件を取材しているパリ在住のジャーナリスト・広岡裕児氏に改めて事件の背景と問題点を伺った。


【創価学会幹部が日蓮正宗住職の情報に不正アクセス】
〈Q〉以前報告していただきましたが、あらためて事件の概要についての説明をお願いします。
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〈広岡〉ひと言でいえばフランスの創価学会員の現職警察官が職権を悪用して約2年間、複数の個人情報に不正にアクセスし、また、情報を漏えいして摘発された事件です。
 犯人のジャン=イヴ・ロワゾーは、パリ警察の警察官で事件当時28歳、地方局情報課に勤務していました。検索者本人のユーザーIDとパスワードの入力で犯歴情報や外国人登録などを業務上閲覧できる部門ですが、もちろんその目的は「司法警察の犯罪捜査と統計用途」に限定され、法令でも厳しく規定されています。ロワゾーはその情報課に2001年4月から'03年6月に配属されて、犯行を重ねていました。
 ロワゾーは熱心な創価学会員で、パリ16区という地域の青年部長でした。ロワゾーがアクセスした人物の中には、フランスの日蓮正宗のお寺の住職・毛利博道さんも含まれており、それも情報課異動直後の'01年7月9日という早い時期です。毛利さんへはさらに翌'02年7月24日にも検索しています。もっともロワゾーが期待していた犯罪歴などは何も出て来なかったようですが。
 事件は、警察の監察部局でもとりあげられ、調査の結果ロワゾーは起訴前の昨年7月1日付でフランス警察を免職になっています。

〈Q〉ではロワゾーの目的は自分が個人情報を閲覧できる立場になって、創価学会と敵対する日蓮正宗幹部をターゲットにすることだったと考えられますね。
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〈広岡〉その前に事件の全容について、もう少し説明したいと思います。ロワゾーが不正アクセスしたのは毛利さんだけでなく、彼の兄・パトリス(38)と姉・ジスレーヌ(35)に関わる人物や車のナンバーも多数あったんです。
 兄も姉も創価学会員で、兄は仕事の、姉は家庭のトラブルを抱えていました。それでロワゾーは兄姉の関係者も検索、その結果、@兄への件、A姉への件、B毛利さんの件、の計3件で立件されました。ロワゾーから情報を得たパトリスとジスレーヌはそれぞれ@Aの件で共犯でしたが、Bの毛利さんの件に対しては、与える情報自体がなかったこともあってロワゾーのみが裁かれました。

〈Q〉何だか、「フォーラム21」発行人の乙骨氏が携帯電話の通信記録を盗まれた「NTTドコモ事件」と似てますね。あの事件も当初は創価学会男性幹部の女性問題から発覚したわけですが、もちろん、個人情報の不正アクセスという犯罪行為は絶対に許されないものです。しかし学会員は罪悪感もなく、敵対者の情報を平気で獲ってしまう。しかもこちらの方が"本筋"と思えてしまいます。
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〈広岡〉確かにロワゾー事件と乙骨さんの事件は犯人が創価学会員ということや犯行時期(編集部注・ロワゾーは'01年7月〜、乙骨氏は'02年3月)、職権の悪用など、類似点も多い事件です。しかし単純にそれを国際的組織犯罪とくくるのはいささか短絡的だと思います。それに、陰謀説にあまりこだわると問題の本質が見えなくなってしまいます。
 ロワゾーの事件の動機として弁護側は、創価学会の雑誌やインターネットサイトでの日蓮正宗や毛利さんへの誹謗中傷まがいの攻撃に影響されたと主張しました。ロワゾーはこういう記事を信じ警官の責務を忘れて犯罪に走ったわけです。統一協会などでもそうですが一般的にセクト問題で重要なのは、明確な指示がなくても、「自分自身の意思」で動いてしまうことです。じつはそれはある精神状態にされているために動いたのであって、本来の意味での自分ではないのですが。

〈Q〉マインドコントロールですか?
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〈広岡〉そうです。そこにこそセクトの怖ろしさ、危険があります。
 ドコモ事件でも、単独犯だったとしても乙骨正生さんに犯人が興味を持ったのは、ロワゾーと同じ精神状態にあり同じようにプロパガンダされていたからでしょう。たとえ、表面上組織的犯罪でなかったとしても、心の中は完全に組繊に支配されているのです。裁判官もそのことはよく理解していて、判決でも創価学会の関与は立証できなかったとしながらも、あえてこの組織についてふれています。



【刑と賠償が確定、創価学会に言及した判決文】
〈Q〉日本の東京地裁がドコモ事件の実行犯に、創価学会の"そ"の字も出さなかったのに対して、随分対照的といえますが、実際の裁判はどういう感じだったんでしょうか。
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〈広岡〉裁判長は起訴状朗読から「被告3人は創価学会に入っている。このグループは仏教団体でセクトに関する国会報告に記載され、とくにテクノロジーに関心のあるグループと知られている」と述べ、被告人尋問でも「創価学会、またはセクト、との関係」をロワゾーに問い質していました。
 しかしロワゾーは「私は創価学会の活動と職業は混同したことはありません。(毛利氏を検索したのは)外国人ファイルなので外国人の名前を入れなければならないのですが、毛利氏以外に外国人を知らないので人れました。毛利氏には面識はありませんが、学会の新聞や雑誌で取り上げられているので、その名が浮かんだのです。個人的なイニシアチブです」と、証言していました。
 ですが、フランスの創価学会に日本人はたくさんいるのですから外国人はいくらでも知っているはずです。

〈Q〉弁護士や傍聴人の様子は?
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〈広岡〉ドコモ事件では学会幹部の大物弁護士がつけられたようですが、ロワゾーらには迫力のないのがたった1人で、傍聴席もガラガラでした。ひとつつけくわえると、日本では刑事と民事は別々の法廷で行われますが、フランスでは民事の損害賠償訴訟も同時に審理され、ロワゾーに対して毛利さんが9,000ユーロ(約117万円)の請求を起こしました。

〈Q〉日仏の裁判制度の違いはあれ、判決は有罪だったわけですよね。
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〈広岡〉そうです。ロワゾーには執行猶予がついたものの、禁固1ヵ月という量刑が下されました。ほかに毛利さんへの民事のものは、損害賠償と弁護士費用にそれぞれ1,000ユーロ(約13万円)支払えというものでした。
 ロワゾーも毛利さん側も控訴しなかったので、裁判としてはこれで確定しました。

〈Q〉量刑の率直な感想と判決文に関してはどう分析されていますか。
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〈広岡〉正直なところ、軽いという感じは否めません。ですが、パリ大審院は創価学会に関して、セクト問題の1つとしてとらえた姿勢をみせました。このことは大いに評価できると思います。宗教問題であるなら、フランスではそうした場合、一般的な傾向としては裁判所は不介入ということがありがちなんです。
 ところがロワゾー事件の判決文では、創価学会が国会報告でセクトにリストアップされたことを明記し、ロワゾーが毛利氏の名で行った検索はコンピュータシステムのテストなどとは全く関係ないものであり、ロワゾー自らの所属する団体(創価学会)と対立関係の人物として調査を行ったと、ロワゾーの動機にまで踏み込みました。そのことは、明確に毛利さんへの損害賠償を認めた判決からも明らかです。

〈Q〉量刑はともかく、非常にインパクトの強いこの事件、肝心のフランスでの反響はいかがだったんでしょうか。
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〈広岡〉先ほど、傍聴席もガラガラだったと話したように、残念ながらマスコミ報道はほとんどありませんでした。それには主に次の3点が考えられると思われます。
 まずフランスで日本の宗教がきちんと理解されていないこと。だから、創価学会と日蓮正宗の内輪もめ、ケンカ両成敗ととらえられているんですね。次に被害者側の日蓮正宗は事件のことをあえてマスコミに広めませんでした。同時に創価学会側もロワゾーらを積極的に守ろうどはしませんでした。最後にロワゾーは警察官です。どこの国でも同じでしょうが、やはり警察の不祥事というのは組織が大々的に公表はしないものでしょう。
 しかし私が取材したセクト対策関係者からは、「再犯や類似犯の予防という観点からも、ロワゾーの禁固1ヵ月という量刑は軽すぎる」という意見が多かったですね。

〈Q〉全くその通りだと思いますが、日本の宗教に対してフランスではかなり誤った見方がなされているんでしょうか。
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〈広岡〉現状ではそういわざるをえません。フランスでは日本仏教の基礎的知識が欠けており、例えば出家と在家の違いもよく理解されていません。創価学会と日蓮正宗にしても、片や元信徒団体、片やれっきとした伝統宗派という明確な違いがあるのに、池田大作氏が日蓮聖人の正当な継承者という宣伝がまかりとおってしまいます。
 もちろんこうした背景には、創価学会の戦略が功をなしていることも見逃せません。創価学会はフランスの宗教学者を手厚く保護し、彼らも創価学会の言い分を学術論文として発表しています。それらを読んだ若い研究者たちは当然書かれたものを信じるわけで、正しいことが伝承されずに日本の仏教が歪められていることになっています。
 そのことに関しては、日本の仏教界からキチンとした情報発信がなされてないんですね。

〈Q〉事件後ロワゾーは離婚、失業の憂き目にあっているそうですが、世界平和・人間主義を唱える創価学会を信仰しても、相変わらず末端の学会員は救われていないようです。しかし今回、フランスの裁判所がロワゾー事件の本質をきちんと認定したことは意義深いことだったと思います。どうもありがとうございました。



[判決文抜粋]

(ジャン=イヴ・ロワゾーは)刑事警察地方部情報課配属の巡査として記名情報の保管者であり、2001年7月5日の政令により「刑事警察の職務としての犯罪者の検索及び統計資料」と目的が規定されているSTICの記名個人情報へのアクセスが可能な立場を利用し、(中略)個人的な関心から毛利博道(※日蓮正宗・僧侶)を含む複数の人物の個人情報を検索した。これは刑法226-21条にその罰則と共に規定された犯罪である。(中略)
 2002年12月13日パリ警察地方部情報課に配属されていた巡査ジャン=イヴ・ロワゾーは、義兄フィリップ・ソアレスから窃盗として告発されたことにより、行政捜査の枠内で聴取された。彼(ジャン=イヴ・ロワゾー)は、とくに、1995年の国会報告でセクトとリストアップされている仏教系の社団創価学会のメンバーであるといった。
 STICの情報利用に関する中央犯罪情報課の確認調査により、ジャン=イヴ・ロワゾーは刑事警察地方部情報課に配属された2001年4月15日から2003年1月29日までの期間において、55名の人物の前科の検索を224回にわたって行っていることが判明し、また、総監察部は予備捜査にのりだし、その中で、それらの内の複数の人物がジャン=イヴ・ロワゾーの警察情報ファイル検索の対象となっていた事が明らかとなった。(中略)
 ジャン=イヴ・ロワゾーの犯した違法行為に創価学会という社団が関与しているという事は立証されないにしても、民訴人毛利博道は創価学会と対立関係にある宗派の僧侶であるということを指摘すべきである。ジャン=イヴ・ロワゾー宅の家宅捜査において同社団(訳注・創価学会)の発行している機関紙が押収され、それには毛利博道に関する記事が掲載されていた。また同じく創価学会員であるタマラ・ゲッティングは警察における事情聴取において、ジャン=イヴ・ロワゾーが毛利博道に関する情報をもっていると教えたと証言している。これらの要素で明らかになる事はジャン=イヴ・ロワゾーの陳述とは相反して、毛利博道の名前から行った検索はコンピューターシステムのテストのため偶然にこの姓名についておこなったものではなく、被告はこうして自らの所属する社団と対立する人物の記名情報を個人的目的のために横領した。






公明党副大臣、フランスで議員の地位利用

(国際ジャーナリスト・広岡裕児『フォーラム21』H17.1.15抜粋編集)

 去年の夏のことだった。
 本誌でなんども紹介しているセクト(有害カルト)被害対策市民団体UNADFI(個人と家族を守る会全国連合)の会長カトリーヌ・ピカール女史から1本の電話があった。
 「セクト問題に関心のある上院議員(※参議院議員)が来訪するのだが、通訳が同行してくるのかどうか分からない、同行したとしても、こちら側にも日本語の分かる人がいたほうがいいので同席してくれないか」という。(中略)
 ピカール氏は前国民議会議員で、2001年成立の「基本的な人権と自由を侵害するセクト的集団に対する予防と取締強化のための法」担当委員。この、宗教とは関係のない人権侵害問題としてのセクトをはじめて定義した法律は元老院のアブー氏とならべて「アブー・ピカール法」と通称されている。


【日本大使館員と一緒に】
 開っ放しになっているドアからピカール氏と現れたのは3人だけだった。もう1人は大使館の人で、受付で待つとのこと。それが大使館員の自主的判断なのかどうかは知らない。
 議員を真ん中に通訳の女性と、中年の日本人男性が1人着席、お互いに紹介しあった。もらった名刺には「参議院議員 高野博師」とあった。ただその横の男性だけは、名刺も出さず名乗りもしなかった。(中略)

〈高野〉いまテロリズムや大災害への対策の法案準備のため参議院の派遣団の一員としてヨーロッパを訪問しています。
 アラン・ヴィヴィアンさんからピカールさんに会ったらどうかといわれました。私は、ヴィヴィアンさんとは4、5回、日本でもフランスでも会ったことがあります。
 私は公明党の参議院議員をしています。ですから、目的はご想像できると思います。
 日本の事情について申し上げます。日本でもオウム真理教のような団体に対して取締りを厳しくしています。オウムには近隣の国からエージェント的な人が入っているともいわれ公安当局の目が厳しくなっています。
 フランスのセクト問題については、日本の創価学会がフランスでセクトと位置づけられています。そのことはよく承知しています。
 創価学会と公明党の関係について説明いたします。創価学会は、1千万人近いメンバーがいる日本の社会に広く受け入れられた宗教団体です

〈ピカール〉「メンバーの数字は日本だけのものですか?」
〈高野〉まあ、実質的にやめた人もいますから800万から1千万でしょうか。小さい頃からメンバーになっています
〈ピカール〉「本日は、参議院のメンバーとしてこられたのですか?創価学会員としてこられたのですか?テロと創価学会は関係あるのですか?」
〈高野〉今回のミッションは、緊急事態に対してどのような法で対応するかであって、セクト問題は関係ありません。参議院の代表団の一員としてきました。いまは自由時間で、他の団員はみんなショッピングなどをしています
〈ジュグラ〉「災害とセクトは興味あるテーマです。セクトにとって災害はお金の動く市場であり、宣伝の機会でもあります。世界レベルのセクトとみなされる大グルーブは、とくに9.11以降この機会を利用して浸透しようとしています」


【創価学会をセクト視するので迷惑】
〈高野〉話をもどしますが、日本の創価学会はセクトという概念には入らないと思います。創価学会の目的は平和文化教育生命の尊厳です。
 創価学会は公明党の支持団体です。創価学会に支持されている公明党として人権問題をいろいろとやっています。公明党は、日本で800万から1千万の信者のいる宗教団体に政党として支持されています。いま公明党は自民党と連立政権を作っています。連立政権での重みは増しています

〈ジュグラ〉「それは日本だけに関係することでしょう」
〈高野〉たしかに日本の問題です。創価学会は、自民党員も野党の民主党の人も人物本位で推薦しています。その創価学会がフランスでセクトであるという位置づけがされているのは好ましくない
〈ピカール〉「フランスの政教分離は1905年法に明らかです。宗教は私的なことで公的なものではありません。私たちは新しい宗教団体がフランスに進出することを問題視しているのではありません。グループが大きいとか歴史があるとかいうことも関係ありません。
 各国にはそれぞれの歴史と事情があります。ですから市民団体なり個人なりが他国での扱い方を咎めることはできません。しかし、私たちが同意できない組織がわが国のことに介人してくることには反対です」
〈高野〉創価学会がセクトのリストに入っていますが、フランスでセクトとされたのは理解できません。もっともセクトの定義も明確でありませんが。
 テロや人権問題を起こしたことがあるのでしょうか。そういう問題はありません。それなのになぜセクトとみなされているのか理解できません。
 そういう位置づけをされているので、日本の政治で、わが党が、フランスでセクトだという理由で攻撃される。だから我々は困ったものだなと思うものです

〈ジュグラ〉「創価学会信者であるという私的な立場から、あなたが距離をもてない、客観的に見られないということは良く分かります」
〈高野〉いえ、できるだけ客観的に見ています。客観的に見られるかどうかは宗教の力です。宗教の持つ哲学性とか、社会観人生観世界観そういうものを教えない宗教は間違っています
〈ジュグラ〉「他の宗派と創価学会の関係はどうなんですか」
〈高野〉それをいうと丸1日あってもたりないと思いますが、簡単にいうと3千年前、シャカムニの流れを汲んでいます。シャカムニが1番強調したかったのが法華経です。シャカは60年説教しましたが、その中心が法華経です。法華経に書かれたとおり、そのあとにも仏がでています。その流れで、750年前に日蓮が生まれた。日蓮が創設した仏教にもとづいて創価学会という信者の団体ができました。創価学会が信じていることは日蓮の教えに基づいています。日本には18万の仏教宗派があります。釈迦の教えがいくつもあるので、その一部を信じている人、そのあと自分の宗派を創立した人がある。そのなかで信者の団体としては1番大きくなりました
〈ジュグラ〉「フランスでは仏教には、チベット仏教、禅、ベトナム仏教の大きな流れがありますが、創価学会はフランスの仏教運動からは認められておらず、また批判されています」
〈高野〉いまの3つの宗派は日本ではほとんど力はありません。チベット仏教をやっている人はほんの少しだと思います。ベトナム仏教はべトナムから移住した人の中にあるかもしれませんが。禅は、信者というよりも座禅、茶道などの中にも入っているので文化として入っています。
 日本の仏教は行動を重視します。現実を直視します。政治には結びつきません。社会の問題を直視したときに政治も無関係とはいえませんが。フランスの創価学会は政治活動は一切していません。政教分離法がありますから

〈ピカール〉「創価学会は、非常に大きな経済的勢力です。99年の『セクトと金銭』の調査委員会の情報でも日本の創価学会とフランスの創価学会に大きな関係があることが明らかです。政党との関係は?」
〈高野〉お金の流れについて簡単にいうと、政党と創価学会の間にお金の流れはありません。法的にきっちりしています。政党は政党としての活動をしています。機関紙収入、企業や個人の寄付をもらうこともあります。創価学会には550万部の新聞があり、それが資金的には重要です。信者の寄付もあります。
 創価学会はフランスにも英国にもドイツにも支部があり、そのメンバーはその国の法律はきちんと守る、自分の住んでいる社会に貢献する、そして個人の幸福のために働く。それが宗教の使命です。セクトについてもコンセプトが変わって反社会的行為があるときには取締まるということになったのはいいことだと思います



【地位利用が原則を曲げさせた】
〈高野〉皆さんの考え方はよくわかりました。ヴィヴィアンさんとは何10時間も議論しています。皆さんの考え方は良く分かっています
〈ピカール〉「我々はこの問題については反対の考え方を持っています。今回結論はでませんね」
〈高野〉簡単な話を難しくしているのではないでしょうか

 高野議員が聞きようによっては捨てゼリフとも取れる言葉をもらしたあと、ジュグラ氏は弁護士の顔に戻って、
 「我々は、あくまでも政治家をお迎えしたのであって、宗教団体の代表を迎えたのではないということははっきりさせておきます」ときっぱりと念を押した。
 UNADFIでは絶対に宗教団体を事務所に迎えない。カトリック教会でさえも例外ではない。不偏不党を守るのと同時に、セクト的団体にUNADFIと会ったという事実をあたかも自分が公認されたかのように宣伝されるのを防ぐためである。
 もちろんUNADFIの会員の中には、さまざまな宗教の信者がいる。だが、ひとたびそのドアを開けた時からみんなただの一市民になる。まえに日本の統一協会被害者問題に携わる牧師たちが訪問し意見交換したことがあるが、これも、牧師としてではなく人権を守る市民として来たから門戸開放したのである。
 今回、もし高野議員が直接面会を求めたら、創価学会と公明党の関係を知っているピカール氏は、この理由から絶対に承諾することはなかっただろう。
 しかし、日本大使館から面会を依頼され(あるいは、大使館の誰かが大使館からの依頼のようにみせかけ)、しかも政党名を知らされていなかったからこそ実現したものだ。いや、たとえ公明党員であるといわれたとしても、ピカール氏は拒否することはできなかっただろう。一国の大使館から依頼があった以上、公的な役割を果たしている公益市民団体が拒否することは難しい。場合によっては、外交事件にまで発展することを覚悟しなければならない。
 この訪問をアレンジした日本大使館員が創価学会関係者かどうか興味あるところだが、この詮索には意味はない。天下の国会議員から頼まれれば現地大使館員はだれであろうと2つ返事で走り回らなければならない。


【支持団体の利益のために】
 高野議員がいうように、ほんとうに一個人の資格としての訪問ならば、大使館など通さず自分でコンタクトし、タクシーでも拾ってくるべきだ。ついでにいえばヨーロッパまで来た費用は国民の血税から払われていることを忘れてはならない。
 高野議員の訪問目的は「創価学会がセクト呼ばわりされているのを見直してほしい」ということにほかならなかった。その一方で、公明党と創価学会は政教分離しており、創価学会は公明党の支持団体にすぎないとさかんに強調していた。
 仮に創価学会と公明党が一体であるならば、創価学会の話は公明党議員にとって自分の話だから、自分の事をお願いするのは、まあ、当たり前のことといっていい。ところが、高野議員の言に従うならば一支持団体についてのお願いをしにきたことになる。
 東西対立華やかな頃、共産圏輸出禁制を侵したと某企業がリストアップされたためにアメリカ市場から締出されたことがあった。あの時に「某企業は私たちの大切な支持団体です。どうか何とかして下さい」と国会議員がアメリカの当局者に頼んだらどうだっただろうか?
 今回の高野議員の行為はまったくこのケースにあてはまる。しかもその議員(の所属する党)はたとえ個人献金という形であれ、某企業関係者から莫大な金銭を受け取っており、某企業のほぼ全社員が機関紙の定期購読をし、選挙になれば企業ぐるみで日夜熱烈応援してもらっている。
 いみじくも、高野議員はみずからヴィヴィァン氏と会ったと繰り返したが、氏は、首相直属のセクト対策中央本部長であった。そこでもまさに同様の「お願い」をしていたことは想像に難くない。
 高野議員は公費での視察の合間に来ている。すべて日本大使館員がお膳立てし、日本大使館員と一緒に来ている。議員という肩書きとともに、これをすべて「一支持団体」の利益、便宜のために使ったのである。
 高野議員のホームベージによれば、同氏は元外交官で、現在環境副大臣。昨年、チリ、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、シンガポール、中国、ロシア、英国などの大使に会ったという。同様の過誤を犯していなければ良いが。
 昭和45年に池田大作会長(当時)みずから政教分離宣言した創価学会は、公費と公的な地位を使って、宣言への違反行為、余計なお節介をする議員・副大臣を即刻断罪すべきである。

(追記)高野氏と同行した謎の日本人に会談終了後、氏名と住所を聞くと渋々教えてくれた。E・Mというその男は、パリの創価学会の有カメンバーらしい。ご多忙にもかかわらず記事を細かくチェックしていただいたピカール氏にあらためて深謝いたします。





創価学会「裁判報道」のウソ

―フランスでの創価学会訴訟「SGI全面勝訴」報道のウソと狙い―
(ジャーナリスト・広岡裕児『フォーラム21』H15.11.15編集)

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学会への「中傷記事」で裁かれたフランスのマスコミ報道〉という記事は、91年4月ごろから92年11月まで〈“学会バッシング”ともいうべきSGI批判記事の氾濫 〉があったため、〈フランスのSGI法人および創価学会が名誉毀損および民法上の過失(善良な管理者の注意義務の不履行)を基に地方裁判所に提訴〉し〈SGI側が全面的に勝訴している〉
(<>内=『潮』1994年5月号)
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<『ル・ポワン』の記事>
一連の訴訟のひとつ『ル・ポワン』誌91年6月24―30日号の「創価学会、奇妙なセクトの曲がった原子力」という題名の記事に対して、92年4月1日パリ地方裁判所(正式名はパリ大審院)は原告敗訴の判決をだしている。判決文はいう。

●記事の筆者が中傷の意図やどんなことがあっても誹謗しようという意志に動かされているということは証明されていない―筆者は客観性を気にして慈善活動などこの運動のいくつかのプラスの面を強調している―のに、創価学会という運動についての取材をした記者が、フランスのセクトについてのフランスのヴィヴィアン報告を引用すること、あるいは、その(注:創価学会の)いくつかの所有地が戦略的な拠点の近くにあるという理由でDST(注:国際案件の諜報公安組織)や一般情報部(注:公安組織)が監視しているという報告をすることは、それがたとえ批判であっても、非難できない。よって本記事は情報の自由の観点から誤ったものとはみなされない。(92年4月1日パリ地方裁判所判決文)


<『ラ・レピュブリカンヌ・エッソンヌ』の記事>
92年11月2日にはパリ郊外の地方紙(週刊)『ラ・レピュブリカンヌ・エッソンヌ』91年4月18―24日付の「マレヴィル城にはどんな将来が、ゴルフ場、セクト、公園?」という記事についてエブリー地方裁判所(大審院)は、原告敗訴の判決を下している。被告となったラポルト記者は「創価学会は控訴したが途中で控訴を取り下げた。彼らに理があるのならそれを明らかにすべきだ。どうして放棄したのか」という。


<『エヴェンヌモン・ドゥ・ジュディ』の記事>
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週刊誌『エヴェンヌモン・ドゥ・ジュディ』91年5月9日号の「日本の仏教に三菱の影」という記事についての第1審判決をとりあげ〈記事の悪質さを裁判所がはっきりと指摘した。
(<>内=『潮』1994年5月号)
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じつはこの訴訟、93年2月23日パリ控訴院で〈(原告の)訴訟は根拠がなく、すべての請求を却下する〉と逆転判決がでているのである。

●(※名誉毀損は成立しないとし、民法上の過失についても)それら(注:原告の協会のこと。以下原告と表記)はこの第2の記事の筆者がどこで「間違った技巧」をつかっているのかということについて明確にしていない。そもそも、原告自身筆者が「巧妙に名誉毀損表現を避けた」と訴状に書いている。また原告は問題となっている記事が与える情報の正確さについて抗議しておらず、インフォメーションのためのその出版は表現の自由の間違った濫用を構成しない(判決文)

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週刊誌『エヴェンヌモン・ドゥ・ジュディ』91年6月27日号の「創価学会:いかにしてこのセクトはダニエル叔母さんの慈善事業に入り込んだのか」という記事についての第1審判決をとりあげ〈記事の悪質さを裁判所がはっきりと指摘した。〉〈フランスの名誉毀損訴訟としては異例に高額な3万フラン(約80万円)の損害賠償金を支払うことを命じ〉たと高々と勝利を謳っている。
(<>内=『潮』1994年5月号)
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じつはこの訴訟も、93年2月23日パリ控訴院で〈(原告の)訴訟は根拠がなく、すべての請求を却下する〉と逆転判決がでているのである。

●被告は善意で、この件を問題となっている記事の枠内で扱うことができ、それに対する名誉毀損の抗議は根拠がない(判決文)

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『エヴェンヌモン・ドゥ・ジュディ』の記事について〈なお、この2件は、被告が控訴したため現在係争中である。
(<>内=『潮』1994年5月号)
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掲載されたのは94年4月に発売される5月号、原稿の締切りがいつなのか日付は分からないが、控訴審判決からすくなくとも1年は経過していよう。この部分につけられた「裁判所も認めた記事の悪質さ」の小見出しをそのままお返ししたい

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『エヴェンヌモン・ドゥ・ジュディ』91年4月18日号の記事について〈裁判所は名誉毀損は明らかであるとしたが、92年1月22日に時効が成立し、裁判は終了した。
(<>内=『潮』1994年5月号)
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名誉毀損裁判でもほかの裁判と同様に訴訟した時点で成立しているかどうかが問題なのであって、裁判中に突然時効が成立することはありえない。また、時効であれば裁判そのものが成立しないのであるから、裁判所が「名誉毀損は明らかである」などと判断するはずがない。正確には時効が成立しているために訴えは不受理になったのである


<「7勝6敗」だった『潮』の「全勝」報道の中身>
 『潮』の記事は、1991年から92年にかけて14件の訴訟といっているが、いまのところ13件が確認できた。その結果を確定判決でみると、勝訴7回、敗訴5回、不受理1回である。
 しかし、時効が成立しているための不受理はいわば不戦敗とみていいのではないか。損害賠償額数千万円と見積もるほどの大事件を、全国発売のメジャーな新聞雑誌で発売から3か月の期間中に訴えられないこと自体おかしなことだからである。反対に、損害賠償金が1フラン(約20円)しか認められなかった判決も3件があるが、勝ちは勝ちである。(もちろんもっと金額が高ければ控訴しただろうから逆転の可能性もあるが。)
 そうすると、7勝6敗。もっとも、『潮』の記事で大きく取り上げられている『ル・パリジャン・リベレ』紙の91年6月18日付記事「我が国の機密防衛に万歳」の控訴審勝訴が最高裁で覆ったのは記事の出た後だから、その時点では8勝5敗である。


<不可解な創価学会の訴訟姿勢>
 創価学会のフランスでの訴訟にはいくつかの腑に落ちない点がある。
 まず、創価学会は1881年7月29日法(報道の自由についての法)を根拠に訴えたわけだが、その第13条には反論権と呼ばれる規定がある。記事に名の出た人からの反論を日刊であればそれを受け取ってから3日以内、そうでない場合は翌々日以降の最新号に無料で掲載するというものである。記事は同じ場所に同じ長さ(ただし最高200行まで)で一切の手を加えずに掲載しなければならない。この違反を裁判に訴えれば、現行3750ユーロ(49万円)の罰金と掲載命令がでる。さらに裁判所の命令の不履行のときは同額の罰金及び3ヵ月以下の禁固刑である。この反論権を創価学会は行使しなかった。この権利を使ったからといって名誉毀損訴訟ができなくなるわけではないし、反論権の時効も3ヵ月で名誉毀損裁判と同じであるから、技術上の問題もない。それなのに……、である。
 つぎに名誉毀損は刑事裁判でもできる。フランスでは刑事裁判の中で損害賠償請求もできるから民事で行うよりも効率的である。とくに個人や集団がある宗教に所属しているという理由での名誉毀損では現行4万5千ユーロ(585万円)以下の罰金と1年以下の禁固刑であるから懲罰も重い。ところが、創価学会はそれを行わなかった
 さらに、同じことが書かれていても時期によって名誉毀損裁判を起こしたり起こさなかったりする
 原子力疑惑については、88年にも『ラ・レピュブリカンヌ・エッソンヌ』が、「アルニーの地所(ブリュイエール・ル・シャテル)を日本のセクトに売却、当局は危険を知っていた」という記事をはっきり「SOKA」の文字が分かる創価大学のフランスの施設の写真付きで出しているが、まったく行動は起こさなかった
 逆に99年11月29日付の『フランス・ソワール』紙には、「彼(注:池田大作)はダニエル・ミッテランのフランス自由協会に献金しエリゼでフランソワ・ミッテランに会いました。かれは来年初めにパリに来るはずで、すでにジャック・シラックから招待されるよう工作をしています。しかし秘密諜報部は監視しています。90年代の初めから彼等は創価学会がフランスの原子力研究機関の近く、とくにサクレーの周辺に施設をつくるので心配しています。なぜならその信者たちは科学的あるいは軍事的スパイ活動をしていると疑われているからです」という政治学者のコメントが載っているが、訴訟は起こしていない
 ところが同じ頃99年10月11日付の『ドフィネ・リベレ』紙の「創価学会は我々の地方で信者をあつめている。奇妙な仏教徒」「仏教徒……というのは早とちりだ!」という記事に対しては訴訟を起こしている。ただしこれは01年12月13日第1審創価学会側が敗訴したが。(控訴せず確定)


<狙いはジャーナリストの口封じ?>

●1988年創価学会はアンテンヌ2の上層部に圧力をかけた。7月7日の夜に予定されていた「エディッション・スペシャル」という番組は生命への招待(IVI)、エコヴィーと創価学会の3つのルポルタージュで彩られるはずだった。IVIは関係するテーマの放送を禁止するために告訴した。創価学会については、彼らもまたジャーナリストによって撮影された映像に不満で、番組が取り消されるよう要求し執達吏によってアンテンヌ2の本社に通知させた。法的な価値はないにも拘らず、この動きは、フランスのテレビ局の代表コンタミンヌ氏を屈服させるに十分だった。(…番組は惨澹たるもので、ゲストはスタジオを去り、司会者はセクトのロビーがテレビに対していかに身勝手ができるかと嘆いた…) 判決文抜粋(勝訴したものだけ)が信者に送られ、このセクトのさまざまな出版物やインターネットのサイトに掲載されている。(マチュー・コシュー氏)
→インターネットでどこの組織にも属さずセクト関係の報道を丹念に追って発表しているマチュー・コシュー氏はホームページで創価学会による訴訟攻勢を、1988年に創価学会がフランスの国営テレビ局に圧力をかけるのに成功したのに勇気づけられたのだと解説している。(www.prevensectes.com)

●(創価学会の)メンバーにとっては、これは、彼らが犠牲者だと思っているメディアの陰謀に対する正当な防衛でしかない。 それ以外の人にとって、これはむしろジャーナリストの口を封じるための真のハラスメントのようである。(同)


広岡裕児(ひろおか・ゆうじ)1954年生まれ。大阪外語大学フランス語科卒。パリ第3大学(ソルボンヌ・ヌーベル)留学後、フランス在住。オドセーヌ県立アルベール・カーン博物館客員研究員、パシフィカ総合研究所(PSK)主任研究員。著書に『プライベート・バンキング』(総合法令)『皇族』(読売新聞社)など。





名誉毀損訴訟で創価学会が負けた

(国際ジャーナリスト・広岡裕児『フォーラム21』H14.8.15抜粋または要旨)

2001年12月13日創価学会が名誉毀損訴訟で負けた。

<問題の記事>
有力地方紙『ドフィネ・リベレ』が、1999年10月11日付で「創価学会は我々の地方で信者をあつめている。奇妙な仏教徒」「健康、繁栄、社会的成功……これが仏教から着想を得たというこの日本の組織が約束するものだ。しかし、実際には、その実践はセクトのそれと同族だ。ちなみに1996年の国会報告はセクトとしてリストアップしている」という記事を出した。

<学会が名誉毀損で訴え>
2000年1月11日創価学会インターナショナルフランス、創価学会フランス、創価学会が連名で日本の地方裁判所にあたるアヌシー大審裁判所に新聞社、記者などを名誉毀損で捉訴した。
・原告は「名誉毀損の事実の真実の証明は、完全かつ完璧でさまざまな該当部分について全面的に合致するものでなければならない。しかし、1996年の国民議会報告はそうではない。それは創価学会の活動について十分な指示物をもたらしていない。セクトについての本やADFIの機関誌もおなじである」などと主張。どうやら国民議会報告(95年提出96年公刊)の信頼を崩したかったようだ。

<判決>
・判決は日本の創価学会の訴訟はそもそも不受理。フランスの、一法人は全面敗訴で民事訴訟法により費用充当分、15000フラン(約27万円)の支払を命じられた。
・新聞社によれば7月末現在まだ控訴通知はないとのこと。

●証拠として提出された『第三文明』を読んでみると、脳膜炎にかかった15歳の子供が「ダイモク」で治った、牛乳アレルギーの4歳の子供が「ダイモク」を唱えて治した医者を見つけた、そして同じ子供が、5歳半になったとき「もし誰かが病気になったと聞いたらすぐにダイモクをおこないそれを信じるんだ」と言ったことになっている。 記者は少なくとも問題にはなるこれらの要素から、正当にも警報を受けとめ、当該記事でインフォメーションの正当な目的を行使した(判決理由)
●メンバーは教化と罪の意識で、あらゆる反対意見を放棄してしまい、少しずつ創価学会がその人生を侵略する(裁判所)

(判決文)





「創価学会はカルト教団」

−フランス国営放送の特番−
(『週刊ポスト』/2000.6.30=WS)

 日本のメディア、特にテレビ局や大新聞が創価学会について深みのある取材、報道を行なうことはほとんどない。だが、海外メディアは創価学会問題に意欲的な取材を展開している。6月8日、フランスの国営放送(チャンネル2)が創価学会に手厳しい番組を放映した。「いったい、創価学会はどこまでいくつもりなのか。なぜ、日本の社会に浸透しようとしているのか。どういう意図を隠して、仏教から離れて権力に近づこうというのか」―政権与党である公明党の支持基盤に対して、大きな危惧を投げかけている。
 広々とした座敷で、数人の女性創価学会員が正座して題目を唱えているシーンが続く。ナレーションが入る。
<マントラを唱えることが人生への答えである。教師とか芸術家とか会社の管理職たちが、この考えを受け入れてくれる。そういうふうに他から尊重される。ホワイトカラーのカルト、それが創価学会である>
 国によって物差しが違うのは当然としても、フランスほど創価学会に対して厳しい態度をとる国はないだろう。96年には日本の衆議院にあたる国民議会が報告書の中で「創価学会はカルト(フランス語ではセクト)だ」と認定しているほどだ。
 創価学会は現在、世界135か国で布教活動を行なっている。それを束ねているのが創価学会インタナショナルという組織で、会長を務めているのが池田大作・創価学会名誉会長だ。
 フランス創価学会は他の多くの国々と違った独自の布教活動を行なっているわけではなく、むしろ日本の活動を忠実なまでに再現しているに過ぎない。にもかかわらずフランスで創価学会といえば「カルト」扱いなのだ。

 ちなみに、この場合のカルトとは「全体主義的拘束的反人権的団体」という意味だ。ヨーロッパではカルト基本法などによって、カルトの要件として、精神操作および精神の不安定化、肉体の健全さを損なう、周囲との断絶、信者の自由の制限、教祖(グル)が活動を主導する、子供のバランスのとれた発育を損なう、金銭活動の重視、集中した改宗勧誘……などが定められている。
 6月8日、フランス国営放送のチャンネル2は、『創価学会―21世紀のカルト』と題する60分の特別番組を放映。日本でも約1週間にわたる取材を敢行したという番組は、公共放送にしてはかなり衝撃的な内容になっていた。







韓国創価学会

韓国SBSテレビは、なぜ創価学会問題を報じたのか

―特集/韓国のテレビ局が報じた創価学会の真実―
(ジャーナリスト・段勲『フォーラム21』H17.10.15)

【機動隊4千人余りがSBS社屋の警戒に】
 「南無妙法蓮華経 韓国SGIをどうみるか」
 去る8月27日、午後11時から1時間、韓国SBS(ソウル放送)テレビが、こんなタイトルで創価学会の検証番組を報じた。「SGI」とは創価学会インタナショナルの略称である。
 毎週土曜日、同局が夜の11時台に放送しているドキュメントタッチの「そこが知りたい」は、
 「SBSでも一定の評価を得ている報道番組で、視聴者からの信頼感も厚い」(「SBS放送」番組制作関係者)
という人気番組。今回、韓国SGIを検証した放送でも、視聴率13%を獲得。全人口の10%、ざっと400万人強の韓国民が観た勘定になる。
 反響も凄かったようだ。「そこが知りたい」のインターネット掲示板には、視聴者から1千通からの書き込みがあり、放送中、抗議や賛同の声で同局の電話も鳴りっ放しであったという。
 一方、事前に「韓国SGI会員1万人が、テレビ局に押し寄せてくる」との物騒な情報が飛び交い、放送当日、機動隊45個中隊4千人余りがSBS社屋の警戒に当たった。まるで韓国の戒厳令時代を蘇らせるような物々しい雰囲気の中で、放送されたのである。
 番組は今年5月15日、ソウルのオリンピックスタジアムに10万人を結集させた韓国SGIによる「愛国大祝祭」の模様から始まった。以下、放送の中身については、本誌特集の別稿に譲るとして、同局が、韓国SGIを「そこが知りたい」で取り上げる直接の動機になったのは、5月に開催されるこの10万人結集の集会にあったようだ。
 日本という外国から入ってきた特定の宗教団体が、首都に会員、10万人も結集させようとする教勢力。同国には前例がなかった。いったい、韓国SGIとはどんな組織なのか、どこまで国内に浸透しているのか等、こうした報道姿勢に立って取材チームが組まれたようである。
 国内はもとより、今年の春先から取材スタッフたちは何度か訪日。韓国SGIの発祥の地である日本の創価学会周辺を飛び回っている。ただ同会の歴史や、内情についての予備知識が浅いため、取材には悪戦苦闘をしたようだが、ほぼ半年間の日数を重ね、ようやくオンエアにたどり着いている。
 1時間の検証放送で、中に“スクープ”(本誌・特集別稿参照)も報じるなど、なかなか気合が入った報道番組として完成している。
 ところで、SBSが、韓国SGIの取材を開始した頃、韓国の親しい大学関係者からこんな情報が寄せられていた。どこが司令塔か判らないが、韓国の有識者たちがグループを組み、「韓国SGI」に関して鋭意調査を行っているというのである。どんな趣旨の調査なのか。
 調査スタッフの一員が、
 「韓国SGIの組織は、公称会員数が100万人を超えたといわれている。どのような団体であれ、100万人を超えた大きな組織は注目に値し、その目的、動向を正確に把握しておかなければならない」
と、真顔で語っていたというのだ。
 韓国のSGI組織に対し、同国の有識者たちが敏感になる背景を解くには、歴史を少し遡らなければいけない。


【韓国でも創価学会はトラブルメーカーの宗教】
 隣国の韓国にはこれまで、日本から伝わった主な宗教として「天理教」「創価学会」「世界救世教」「日蓮正宗」「立正佼成会」等がある。そのうち韓国でもっとも知名度が高い宗教団体は天理教である('99年、'00年「日韓学生宗教意識調査」による)。
 天理市に本部を構える天理教は、早くから韓国のハンセン病患者に対するボランティア活動等に着手。活動実績が認められて、韓国から早々と法人格の認証を受けている。
 一方の創価学会(韓国SGI)は、その法人格の取得にしても話題騒然。申請する経過の中で金銭スキャンダルを呼び起こし、組織に内紛まで招く(本誌平成14年10月15日号既報)という足跡を残している。さらに歴史を遡ると、日本から韓国に進出した他の教団の中でも、「創価学会」はトラブルメーカーの宗教として、何かと衆目も集めてきていたのだ。
 韓国に創価学会が渡ったのは、1960年(昭和35年)の初頭の頃。日韓基本条約('65年)が成立し、日本と韓国の往来が開かれ、数多くの在日韓国人が里帰りを始めた時期と符合する。家族、親族を訪ねて帰国する在日韓国人の中に創価学会員がおり、そうした会員たちが中心になって母国で布教を開始したのである。
 戒厳令下の朴政権時代、韓国民がまだ貧困のどん底にあるなかで、「祈れば病気が治る、金持ちになる」と、ただ祈るだけで不幸から脱却できると説く日本の宗教、創価学会が、韓国全土に野火のようにあっという間に燃え広がったのである。
 都市部の地域によっては1日に50人、100人と信者が増えるに連れ、集会も活発になってきた。言論の自由もなく、人が集まる集会も禁じていた韓国政府・文教部(当時)の審議会は、急成長を遂げる創価学会に、「反国家的な民族宗教」のレッテルを貼り、布教や集会の自由を激しく取り締まるという事態が起こる。理由は、36年間も植民地の支配下に置き、憎悪の対象からまだ解けていない日本が生んだ宗教が、再び韓国に広まることに畏怖感を抱いたのである。
 また、学会の教義的な問題も韓国の反発を買った。毎日、朝晩に唱える信者のお経で、東を向いて唱える儀式がある。これはかつての植民地帝国・日本を向いて礼拝するのと同意と見られたのである。
 そのため、当時、韓国の組織リーダーの中には、韓国KCIAに、ひどい拷問を受けたケースもあった。だが、1度付いた信仰の火は、取り締まるといっても、簡単に消すことが出来なかったのである。結果、布教の最盛期にあった1970年代中ごろには、信者数はすでに100万人を超えていたと推定されている。
 日本の学会本部も手が出せないほど急速に信者が急増する一方で、都市、地方などバラバラになっている韓国の信者たちをまとめるリーダーがいない。1975年を前後して、韓国・学会組織(当時の名称は「韓国・日蓮正宗仏教会」)は、日本の学会本部と密に連絡を取り合うようになり、徐々に学会本部主導型の韓国・学会が形成されていくのだ。


【有識者に衝撃与えた大統領との「幻の会見」】
 でも、それはそれでまた問題があった。日本と韓国の間には36年間に及ぶ不幸な時代があり、民族性にしても大いに異なる。そのため、日本から訪韓して信者を指導する学会幹部たちと、韓国組織のリーダー間でギクシャクすることも少なくなかったのだ。
 さらに本家の日本・創価学会が、信仰の対象にしてきた宗門と対立(第1次紛争=1978年)。続く、離反(第2次紛争='91年)といった複雑な信仰問題が生じるたびに、そっくり隣国の韓国組織にも飛び火したのである。
 日本で、本家が問題を起こすごとに韓国の信者たちも激しく動揺し、組織が分裂するなどして混乱を招き、国内のニュースにもなった。他国から来た幸せを主眼とする宗教が、国民の間で自らトラブルを起こすなど、国の安寧を願う政府にとっては迷惑以外なにものでもない。
 が、1991年、本家の創価学会が宗門と離反したのを期に、韓国の組織でも日蓮正宗の肩書を外し、あらためて「韓国SGI」の名称に固定する。
 ところが同年、日本の創価学会が発信源で、また韓国を驚かすようなニュースが伝わった。伝えたのは韓国の有力紙『東亜日報』(6月18日付)で、以下のような記事をスクープしたのである。
 「……池田会長(SGI会長)は、創価学会の韓国組織の日蓮正宗(※韓国SGI)の内部結束と、自分の指導的地位の強化のため、昨年より盧(泰愚)大統領及び、李御寧文化長官との会見を希望していた。その池田会長に、昨年末にチャンスが訪れてきた。昨年末、海部俊樹日本首相も盧大統領に、池田会長との会見を依頼する親書を送っていた。海部首相は小沢一郎、当時、自民党幹事長の要請によってこのような親書を送ったことを知らされている。海部首相、とくに小沢幹事長がこのように学会を配慮したのは、当時、主に湾岸戦争の多国籍軍に対する10億ドル追加支援を、衆議院に通過させるためだったという……」(韓国の有力紙『東亜日報』H3.6.18)
 と書かれ、
 「大使館当局者は、もしこの会見が成立していた場合、盧大統領が受ける政治的ダメージを浮かべながら、“延期だけでもできてよかった”と、言っている」(同)
 と、記事を結んでいる。
 実際、池田・SGI会長と、韓国、当時の盧泰愚大統領との会見は幻に終わった。だが、この1件は、韓国の有識者たちに大きな衝撃を与えたらしい。
 自ら主導する宗教団体のために池田大作・創価学会名誉会長は、自国の政府を動かすほどの権力を持ち、他国の大統領まで利用しようとした機密な裏工作
 あれから10余年。会員を順調に増やし続けながら、組織拡大の渦中にある「韓国SGI」の教勢力。国内の有識者たちが、強い関心を抱いて調査に入るのも当然のことかもしれない。

段 勲(だん・いさお):フリージャーナリスト。1947年生まれ。週刊誌記者を経て、創価学会・公明党など宗教問題をはじめ社会・世相、医学・健康等をレポート。近著の『私はこうしてがんを克服した』(日本能率協会)『鍵師の仕事』(小学館)『宗教か詐欺か』『創価学会インタナショナルの実像』(共にリム出版)など著書多数。


$韓国テレビ局が”訂正放送”

―「言論仲裁委員会」が決定―
(『聖教新聞』H17.11.15/fb)

 韓国のテレビ局・SBS(ソウル放送)が、韓国SGIについて、事実を著しく歪曲した番組を放送した問題で、同局は5日、韓国の「言論仲裁委員会」の決定に基づき、「職権調停決定文」を放送した。これは事実上の「訂正放送」にあたる。
 ことの発端は、SBSが8月27日に放送した「そこが知りたい」と題する報道番組。″忠清大学から授与された名誉教授称号は寄付の見返り″″韓国SGIは、天照大神や八幡大菩薩などを信仰する日本宗教(倭色宗教)″云々と、全く事実無根の虚偽を流すなど、悪意と偏見に満ちた中傷を行った。
 この番組に対し、韓国SGIは先月14日、「言論仲裁委員会」に訂正報道請求を申請した。
 同委員会は、「言論仲裁及び被害救済等に関する法律」に基づき、報道被害者を救済する目的で設立された韓国の公的機関である。現職の判事や弁護士、大学教授などの学識者で構成されている。
 同委員会は、韓国SGIの申請を受け、SBS側の主張も考慮したうえで、職権によって同27日、今回の調停内容を決定した。本来、この決定に不服がある当事者は異議申し立てをすることができるが、今回はSBS側が異議申立権を放棄したことにより、決定が確定した。この決定は裁判所による判決と同じ効力がある。
 決定に基づく今回の″訂正放送″では、視聴者が十分に理解できるように、文字と音声を通じて
@忠清大学は、池田SGI会長が創価大学の創立者として世界平和及び文化、教育分野で多様な活動をしていること、また国際的にも卓越した学問的業績をもち、徳望が高く、世界文化に責献してきたことから、その功績を称えて名誉教授学位を授与した
A韓国SGIは、韓国内の政治や選挙に一切、関与しておらず、大統領選挙に介入した事実もない
B韓国SGIはインド、中国、韓国から日本に伝来された法華経を根本にする日蓮大聖人の仏教を信奉しており、「倭色宗教」ではない
C天照大神や八幡大菩薩を信仰の対象としている事実はない
D牧口初代会長は、第2次大戦の責任を韓国など被害国家に転嫁した事実はない
とSBSが行った放送の誤りを正す内容の報道文を放送した。
 メディア問題に詳しい韓国の弁護士は、この放送について「訂正・反論の報道は通常、20秒程度であるが、今回は1分以上にわたって放映された。これは極めて異例で、韓国SGIの立場を十分に反映した内容だった」と評価している。
 今回の放送によって、創価学会と韓国SGIの「正義」と「真実」が、広く宣揚されたことになる。
 一方、日本では『週刊新潮』(10月6日号)が、この虚偽番組を完全に鵜呑みにした悪辣な捏造記事を掲載した。その肝心のネタ元のSBSが誤りを正す内容の放送に至ったことで、同誌の無責任な体質と軽挙妄動ぶりは、改めて広く社会の知るところとなった。
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●私は(創価大学から)名誉博士号を受けたし、わが校を助けてくれたんだ。図書資金を5000(万ウォン=約500万円)出してくれて、発展基金に2億出してくれて、また文化祭で3億ウォン出してくれて、だから……忠清大学・チョン・ジョンテク学長/番組)
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忠清大学から池田氏に名誉教授の称号が贈られたのは、韓国経済がどん底にあった98年のことだそうだ。この学校にとって、5億5000万ウォンという援助がいかに有難かったか、想像に難くない。

●私は、池田氏が、なぜそこまで名誉や学位にこだわるのか不思議に思いました。同時に、宗教指導者としての道徳観に疑問を持ったのです。そういう肩書や感謝状が、事実上、お金を払った見返りであることは、おかしいと思いますね(SBSのキム・プロデューサー/番組)

 もし、インタビューの趣旨を違えた内容となるべく、映像を故意に編集したのであれば、悪質であり担当者は処分の対象となるはずである。しかし、そのような事実は伝えられていない。ということは、インタビューの映像が編集されたとしても、全体の趣旨を捻じ曲げるようなものではなかったということである。
 つまり、番組のプロデューサーは、忠清大学長に取材した結果「肩書や感謝状が、事実上、お金を払った見返りである」という認識を持った。だからこそ、その趣旨に沿った放送をしたのである。この事実は否定しようがないし、重大である。
 しかし、巨大組織・創価学会が公然と抗議し、さらには証言者・本人(忠清大学長)が前言を撤回(本人は"撤回"とは言わないだろうが)してしまっては、放送局としても訂正するしかなかったのであろう。忠清大学としても"金品の見返りとして名誉教授の称号を与えた"ということを認めると、大学の権威にキズを付けることになるから、放送内容を否定して当然である。
 つまり、学長が不用意に本音を吐露してしまった。それが後に問題となったので否定した。そう考えるのが自然ではないか。

@実際の忠清大学長の証言内容は、放送された内容と同趣旨のもので「肩書や感謝状が、事実上、お金を払った見返りである」という印象を与えるものであった。つまり、本音がポロリと出てしまったという訳である。

A忠清大学としては、自身の大学の名誉のために建前どおり「その功績を称えて名誉教授学位を授与した」と主張するしかなかった。つまり、放送内容を否定するしかなかった。この点、創価学会と忠清大学は利害が一致している。しかし、放送局に抗議をしたのは学会であって忠清大学ではない。もし、学会が「言論仲裁委員会」に訂正報道請求を申請しなければ、忠清大学としては黙認していたかも知れない。

B証言者自身が、発言内容を否定した以上、放送局としては訂正せざるを得なかった。

C忠清大学は、創価学会より多大な金品を受け取った後に池田大作に名誉教授の称号を与えたという客観的事実は否定しようもない。そして、この関係は他のすべての大学についてもあてはまるのではないか。つまり


"多大な金品の贈与→称号の授与"という客観的事実については否定しようがない


■池田の名誉称号は「寄附の見返り」!?

―韓国SBSの番組が重大問題を提起―
(『慧妙』H17.12.1)

 池田大作への名誉称号の類(たぐい)が、じつは"金で買ったもの"である、との疑惑については、これまで度々、"贈賄(ぞうわい)"した側の証言が公表されてきた。
 しかるに"収賄(しゅうわい)"側による証言は、今まで絶えてなかったことから、念のため本紙でも、問題の番組のビデオテープを入手し、証言の内容を確認した。すると、確かに、
 「創価大学は私に名誉博士号をくれたし、創価学会は我が校に、図書資金として5千万ウォン(5百万円)、発展基金に2億ウォン(2千万円)、文化祭に3億ウォン(3千万円)出してくれた。だから名誉教授の称号を贈ったのだ」
という趣旨を語っているではないか。
 このSBSの報道等に対し、『聖教新聞』は、この関係者が「(SBSは)私の発言の一部を切り取り、意図的に利用して編集し、発言の趣旨をまったく別のものに作り替えた」と憤慨(ふんがい)していると報じ、また、韓国SGIが、韓国の「言論仲裁委員会」に訂正報道請求を申請。職権による調停を受け入れたSBSが訂正放送を行なった、と報じた。
 が、大学関係者がどう言い繕(つくろ)おうと、池田大作が名誉称号を"金"で買っている、という疑惑が払拭(ふっしょく)されたわけではない。そもそも前述の『聖教』報道でさえ、創価学会が大学に多額の寄附をしていたこと自体は否定できずにいるのだ。
 学会がもし、疑惑を完全に払拭したければ、池田大作の会長就任時にさかのぼり、創価学会の収支の一切を完全公開するしかないだろう。できようはずがないが―。





韓国のテレビ局が報じた「池田大作とは何者か」

(『週刊新潮』H17.10.6編集)

 自公大勝で、公明党のスポンサー、池田大作・創価学会名誉会長の笑いは止まるまい。「総体革命の成就」とばかり、まさにわが世の春を満喫だ。が、海の向こうから、その創価学会への痛烈な批判が湧き起こっている。韓国SBSが放映した創価学会検証番組。そこでは、日本ではタブーとなった池田大作氏の実像が見事に炙りだされていた。
 この回のタイトルは、<南妙法蓮華経 韓国SGIをどうみるか>というものだ。


【学会員の証言】
 冒頭から、今年5月15日にソウルのオリンピックスタジアムで開かれた韓国SGIの「愛国大祝祭」の模様が大映しにされる。10万人の信者を飲み込んだ大イベントである。
 熱狂的な信者たちが、人文字や舞踏を演じ、「池田先生!」と絶叫するサマは、金日正万歳を叫ぶ北朝鮮のマスゲームと瓜2つだ。
 そして、番組は、信者たちが語る創価学会礼賛の言葉を紹介していく。「生命から歓喜が爆発するんです」「南妙法蓮華経を4時間も5時間も唱えれば、生命が清らかになります」「癌も、普通の病気も治ります。南妙法蓮華経で、宇宙のリズムにあわせていくからです」
 中には、こんな奇跡を語る信者も登場する。
 「私は乳癌の3期だったんですよ。病気では死ぬか生きるか、と言われました。でも、(南妙法蓮華経を唱えることで)これが治ったんです」
 テレビ局のスタッフがすかさず問う。
 「これを信じて治ったんですか?」
 「そうです。だから、今でもこうして生きているんじゃないですか」
 またテレビ局のスタッフに対して、
 「この宗教は必ず信じられるようになりますよ。私は確信しています。なぜなら、(この世に)こんな宗教があればよい、ということをみんなが願っているからです」
と語りかける信者も出てくる。



【反社会的実態】
<家族関係に亀裂>
●(創価学会は)狂信的で、家族をなおざりにしてしまうんです。妻は毎日午前中の11時頃出て行って、午後5時ごろまで帰ってきません。何をしているのか探ってみたら、『和光新聞』(注=韓国版の『聖教新聞』のこと)を配っているんです・・・・・(学会員の妻をもつ夫/番組)
●私は遊びにいっているわけではないし、贅沢をしているわけでもない。新聞を配っても、学会からはお金ももらっていません。南妙法蓮華経を唱えることによって、病気の解毒となるんです。だから、子供たちも病院に行かなくて済むんです(学会員の妻/番組)
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前夜もこの問題で夫婦は大喧嘩をしたという。一心不乱に題目を唱え、必死で信仰する姿は、日本の学会員も韓国の学会員も変わりはないようだ。


<政治集団としての姿>
 そしてSBSは、創価学会が持つ特異な体質を次第に掘り下げていく。番組は、池田大作氏とはそもそも何者なのか―という本題に入っていくのである。(中略)
 そして、場面は日本に。ここで、番組は、創価学会を脱会した日本人元信者の経験談を紹介する。
 選挙のときに朝早くから、公明党への票を獲得するために信者を奔走させたり、選挙運動に有無を言わせずウグイス嬢として駆り出す、政治集団としての創価学会の姿を浮き彫りにし、公明党を創設したときの池田氏の姿と、その前でひざまずいて指示を仰ぐ候補者達の写真を番組は映し出す。

[画像]:池田氏の前に跪(ひざまず)く公明党議員たち(番組)


<言論妨害、盗聴、不正投票……>
そして、創価学会が引き起こした1968年の「不正投票事件」、69年の言論出版妨害事件、さらには、70年の共産党・宮本顕治委員長宅盗聴事件などを、当時の日本の新聞報道と、ジャーナリスト・乙骨正生氏、あるいは元創価学会顧問弁護士の山崎正友氏らの証言をもとにこう振りかえっている。

●新宿という、若者がたくさん住んでいる町で、送られてきた投票入場券を創価学会の活動家が抜いて、年恰好が似た人間をダミーとして行かせて、公明党に投票させたのです(番組)
●創価学会を批判する本に圧力をかけて出版できないようにするという言論出版妨害事件は、70年の国会で大問題になりました。これは、日本では言論・出版の自由を侵害する、憲法に違反する重大事件でした。池田創価学会会長は、この一件で、公式に謝罪文まで発表しなければなりませんでした(番組)
●創価学会を激しく攻撃する共産党の情報を集めるべく、創価学会は共産党委員長宅に盗聴器を仕掛けました。もちろん池田氏も承知の上でのことで、(その実行者たちを池田氏は)激励したのです(番組)
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今や日本のマスコミではタブー視され、公に議論することもできない創価学会の特異な体質と歴史。SBSはこれを果敢に報じたのである。

[画像]:『創価学会を斬る』(藤原弘達著)の映像(番組)=激しい出版妨害活動の対象となった



【名誉教授の称号や学位は寄付への見返り】
 しかし、この番組の圧巻は何といっても、池田氏が海外の大学等から送られる名誉教授の称号や学位が、実は多額のお金(寄付)による見返りであることを初めて暴露した点にある。
 創価学会は、これまで池田氏が世界各国から学位や表彰状を受けていることを盛んに喧伝し、その数は学位だけでも180にのぼるという。

●世界文化に貢献した人に名誉博士号を与えるのは当たり前のことなのです(済州大学のチョ・ムンブ前総長/番組)
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済州大学に、本誌が改めて聞いてみると、時価5000万ウォン相当のコンピューターを寄贈されたことを認めたのである。

●私は(創価大学から)名誉博士号を受けたし、わが校を助けてくれたんだ。図書資金を5000(万ウォン=約500万円)出してくれて、発展基金に2億出してくれて、また文化祭で3億ウォン出してくれて、だから……忠清大学・チョン・ジョンテク学長/番組)
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忠清大学から池田氏に名誉教授の称号が贈られたのは、韓国経済がどん底にあった98年のことだそうだ。この学校にとって、5億5000万ウォンという援助がいかに有難かったか、想像に難くない。

●私は、池田氏が、なぜそこまで名誉や学位にこだわるのか不思議に思いました。同時に、宗教指導者としての道徳観に疑問を持ったのです。そういう肩書や感謝状が、事実上、お金を払った見返りであることは、おかしいと思いますね(SBSのキム・プロデューサー/番組)

 また番組では、創価学会がその政治力を生かして強引な宣伝を展開するサマも描かれている。
 SGI通り……。忠清北道鎮川郡に突如、そんな名前の道が現れた出来事をスッパ抜いているのである。番組によれば、郡の議員が村長(里長)のサインを偽造してまで道路にこの名称を冠し、住民の怒りを買ったことが明らかにされている。(中略)
 創価学会のためには、たとえどんなことをしてでも役に立ちたいという信者たちの異常な行動を、番組は地方の取材を通して掘り下げているのである。

[画像]:名誉教授の称号を受けた池田氏と、証言する忠清大学のチョン・ジョンテク学長



【学会員の過剰な反応】
 「驚きました。この番組は放送前に予告編を流すのですが、今回はその段階で抗議電話が殺到したのです。内容は、“放送をやめろ”というもので、抗議電話ですべての回線が埋まってしまったほどです。私の携帯電話の番号もどこで調べたのか、知らない人間からひっきりなしに電話がかかり、罵声を浴びせられました。」
 そう語るのは、創価学会の検証番組を放映した韓国SBS(ソウル放送)の金鐘一(キムジョンイル)プロデューサーである。(中略)
 放送当日には、
 「放映反対のデモ隊3000人がテレビ局に押しかける」
という情報も流されるなど、厳戒態勢のなかでのオンエアだった。
 金氏によると、
 「放送後も反響は凄かったですよ。“あんな話しはウソだ!”とか、“なぜSGIだけを叩くのか”“政治的意図があるのか”という抗議電話が殺到しました。番組の趣旨に賛同する電話も半分くらいありましたね。その中には、“あの程度では生ぬるい”という声もありましたが・・・・」(中略)



【「法的措置を検討する」】
 創価学会にこの番組への感想を問うと、
 「番組は重大な事実誤認や悪意にもとづく意図的な編集が施されており、法的措置を含む対応を検討しております。従って、現時点では、コメントを差し控えさせていただきます」(広報室)
という答えが返ってきた。
 しかし、一体、この番組のどの部分が事実誤認や悪意にもとづくものなのか、具体的な指摘は一切ない。
 報道に対して即座に「法的措置を検討する」という反応は、この団体が持つ特徴である。ちなみに、フランスでメディアへの訴訟を連発したフランス創価学会が、これを理由の1つとして、「カルト(セクト)」と国会で報告されたのはあまりに有名だ。
 時は移っても、そして洋の東西を問わず、この団体が持つ特異な体質は、変わることはないのである。


$悪辣なデマ報道で『週刊新潮』に厳重抗議

(<富士宮ボーイ>BBS:NO.7193)

 『週刊新潮』の悪辣な捏造記事で名誉を毀損されたとして、創価学会は7日、発行元の新潮社と同社の佐藤隆信社長に対し、文書で厳重抗議を行った。問題となったのは『週刊新潮』10月6日号に掲載された韓国のテレビ局の報道をめぐる事実無根の中傷。
 番組中に流された忠清大学・鄭宗澤学長の発言を意図的に改ざんし、名誉称号が、あたかも寄付によるかのような、悪意に満ちた虚偽を並べ立てている。
 なお、同番組の内容については、取材を受けた鄭学長本人が「私の発言の一部を切り取り、意図的に利用して編集し、発言の趣旨をまったく別のものに作り替えた」と憤慨している。
 さらに同誌は、恐喝事件で実刑判決を受けた極悪ペテン師の山崎正友や、3年間で9度も裁判で断罪された「ガセネタ屋」乙骨らの同番組でのデマ発言を利用して学会に対する中傷を並べている。
 これらに対し抗議書は、明らかな名誉毀損であると厳しく警告。速やかに謝罪・訂正するよう強く求めている。
 新潮社といえば、これまで名誉毀損訴訟で断罪され続け、1990年以降だけで和解金を含め総額1億円を超える賠償命令を下されている。
 『週刊新潮』に限っても、本年だけで約2700万円の損害賠償を命じられている。また同誌は「北新宿『地上げ』デマ事件」で2002年12月、学会に公式謝罪した。
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・「悪辣な捏造記事で名誉を毀損されたとして」「文書で厳重抗議」→抗議だけなら誰でもできる。訴訟好きの学会としては是非とも裁判を起こして「謝罪・訂正」と「損害賠償」を勝ち取ってもらいたいものである。
・「新潮社といえば、これまで名誉毀損訴訟で断罪され続け」→いかにも『週刊新潮』の記事がウソだらけ、という印象を受ける。しかし、これまでの同誌による学会批判記事のうち、何%が捏造と認定されたのか?おそらくは1割にも満たないのではないか。

●そんな卑劣なデマを流す連中は、絶対に許さない。テープやビデオで現場を押さえて、どんどん告訴、告発してやろうじゃないか!(佐藤総合青年部長『聖教新聞』H15.3.31/『フォーラム21』H15.5.1)
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訴訟好きの学会が訴えなければ、それ自体、記事が真実であったことを暗黙のうちに認めていることになるのではなかろうか。





韓国の大統領選にまで介入した創価学会

―韓国で策動する創価学会―
―韓国誌が創価学会政界工作をスクープ―

(段 勲『フォーラム21』H14.6.1)

 4月末日、ソウルから帰国したばかりの在日韓国人が、
 「韓国政界の中で、いま、ちょっと話題を呼んでいる記事があるんです」
 こう言って、カバンの中から1冊の本を取りだし、テーブルの上に乗せた。大きさやボリュームも日本の総合月刊誌程度で、表紙には「月刊朝鮮」(H14.5)とある。
 韓国の有力紙、朝鮮日報社が発行している月刊誌で、"韓国の文藝春秋"ともいわれる同国のオピニオンリーダー的な存在だ。
 秘密裡に行われた金・藤井会談 同誌、5月号(4月末発売)に掲載された12ページに及ぶ話題の記事とは、タイトルが、
 「追跡 金大中30年の知己、日本人・原田重雄の証言 金大中・藤井富雄 秘密面談のミステリー」
 というもの。内容を紹介する前に、ここに登場する3人の人物について、ざっと紹介しておく。
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との「太陽政策」等を打ち出し、一昨年、ノーベル平和賞を受賞した周知の金大中氏は、韓国の現職大統領である。
 1997年暮れ、4度目の大統領選に挑戦し、晴れて初当選(同国の大統領は任期が1期5年、再選は禁止)。2002年の今年末がその改選時期に当たっているが、金大中大統領と日本は因縁浅からぬ仲にある。
 野党の政治家として、韓国・朴政権に抵抗していた金氏は1973年8月、東京のホテル滞在中に同国の中央情報部員により拉致された。現在、上映中の話題映画「KT」は、この金大中拉致事件がテーマになっている。
 この時期あたりから、金氏の日本人支援者の1人として、長いつき合いを続けてきたのが原田重雄氏(70)である。
 東京・高田馬場駅前で「原田ビルディング(株)」を経営する原田氏は、多くの賃貸ビルを所有する資産家。与野党を問わず政治家の知人も少なくなく、子息を衆院選に立候補させるなど政治的関心も高い。
 原田氏のそうした政治家知人の1人に、公明党都議の藤井富雄氏(78)がいた。創価学会草創期の幹部で、1963年、東京都議会議員に初当選以来、現在c(※ママ)期目。都議会副議長、都議会公明党幹事長、同議員団長などを歴任。94年、公明結成に伴い党代表に就任。現在、党常任顧問。同党には、60歳定年制が敷かれているが、80歳近くになってまだ議員を務めている藤井氏は、党内でも別格扱い。池田大作・名誉会長の覚えもめでたく、公明党の"最高実力者"ともいわれている。
 この3人が絡み合う同誌本文の記事は、こんな書き出しから始まっている。
 「1997年の大統領選挙出馬を前に、金大中総裁が日本で秘密裏に公明党幹部と会った。李姫鎬女史も一緒にいた。金総裁は日本の公明党の影響下にある韓国創価学会が自分を推してくれることを依頼した。韓国創価学会の会員は嶺南に多く住んでいるが、1997年の大統領選で、この地域で金大中候補が意外に多くの票を得たのは、このためだという。この密談は、金大統領の長い知己である日本人、原田重雄氏が斡旋した」
 要するに、韓国の金総裁が、1997年の大統領選挙に立候補するにあたり、知人の原田重雄氏を仲介にして、公明党の幹部に韓国創価学会の支援を要請した、というもの。
 もし事実としたら、かなりショッキングな出来事である。日本の公明党という政党、創価学会という宗教団体が他国の主権にまで介入したことになるからだ。本文の続きを紹介する前に、ここで、韓国創価学会の実情についてふれておきたい。
 公称、800万世帯強という創価学会は、海外にも会員を擁している。外国の会員組織を総称して「SGI」(創価学会インタナショナル)と呼称。『聖教新聞』等が報じるところによれば、SGIの勢力は180ヵ国を越え、会員数は百数十万人。その最高責任者が、池田大作・SGI会長である。
 早い時期から、音楽祭や鼓笛隊による街頭パレードなど派手な宗教活動を展開してきた米国・創価学会が、SGIの"総本部"と言われてきた。ところが、その米国が、公称会員数、2、30万人といわれていた1970年代前半、隣の韓国では、すでに百万人の会員数を誇っていたといわれる。
 60年代初頭、在日韓国人の創価学員たちが訪韓し、鋭意、故郷で布教したのが始まり。当時、極貧の時代にあった同国で、
 「願えば、何でもかなう御本尊の功徳」
が人気を博し、信者数が野火のように広まったのである。ただし、気性の激しい民族性も影響してか、その後、創価学会が日蓮正宗・総本山とトラブルを起こすたびに、韓国の組織は四分五裂。現在は韓国創価学会(KSGI)を最大勢力にして、日蓮正宗を源流にした組織は、5派から10派にも分かれて活動をしているといわれている。
 そのなかで、注目のKSGIは現在、公称信者数を120万人と発表しているようだが、一方韓国マスコミ人の見方では、
 「だいたい、KSGIの勢力実数は40万人前後」
と、推定している。


【創価学会に支援要請した金大中氏】
 さて、『月刊朝鮮』の記事に戻って、金大中氏が原田氏を介して公明党の幹部に会った時の模様を、原田氏の証言としてこう書いている。
 「金大中総裁から『どうにかして頼んでくれ』と、連絡があった。大統領選の1年前ころ、金総裁が訪日した。金総裁が韓国に帰る日の朝早く、8時に会った。原田マンションの私の事務所で会った。公明党の首脳は、衆人の視線に触れぬよう、裏口からこっそりと入ってきた。(そこで)私と金総裁夫妻が、公明党の首脳と会った。会ったのは1回」(要旨)
 その公明党の首脳とは、藤井富雄都議であったことを明かす。
 同誌では、藤井富雄なる人物像を詳細に紹介した後、記事は核心に触れていく。
 「最初の話題は宗教関係だった。(公明党が)『日本にはいろんな種類の宗教がある。宗教同士が対立してはだめだ。宗教が願うことは平和だから』というやりとりのあと、『応援しよう』と、言った。……公明党は秘密を守ってくれと、要求した。公明党とはうまく話がついたと私が言った通りに事が運んだので、金大中氏は安心していた。金総裁は、日本に特使を送ると言った」(要旨)
 さらに、
 「――金大統領本人も公明党の協力がなければ落ちただろうと認識しているか。
『当然そうだ。100%、300%分かっている』。
――公明党の立場として、隣国の大統領選挙に介入したという事実が明るみに出れば、困るだろう。
『公明党、創価学会は沈黙を守った。なぜなら、日本の政党が隣国の大統領選挙に介入したとか、宗教団体が支援したという世論が起こればうまくないから、一切、黙っている』」
 このあと記事は、韓国創価学会の実態に言及。ソウル、京畿など29方面と102の圏組織があり、会館数は全国に260ヵ所などと紹介した後、韓国創価学会の代表、呂相洛理事長に1問1答のインタビューを試みている。
 日本の公明党と日本の創価学会の指示で、金大中候補を支持したかの質問には、
 「そんなことはあり得ない。我々は個人的な信心を通じて自己の幸福を追求する団体で、政治に関与しない」
と、否定していた。
 一方、この『月刊朝鮮』の記事は、日本のマスコミも注目した。まず、藤井富雄都議は、一部マスコミの取材に応じて、原田氏の仲介で金氏と面会した事実は認めたものの、金氏の選挙支援は全面否定のコメント。さらに、同記事の核心部分を証言したことになっている原田氏の方は、心境がより複雑のようである。
 『月刊朝鮮』側によると、原田氏のインタビューは録音をしているというが、同氏は、親しいマスコミ関係者にこう語っているという。
 「今年の3月だったか、私の知り合いである韓国人が友人と名乗る人を1人連れて会いにきた。別にそのとき、取材とは思っていなかった。話した内容についてはノーコメントである」
 真相を知りたい。